日本のグローバル化を加速させたい。世界的IT企業が取り組む「第3の変革」
2022/04/20

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DXCテクノロジー社は、世界70カ国・地域以上で13万人が働くグローバルIT企業として知られ、米経済誌Fortuneが算出するランキング「Fortune500社」のうち240社以上が同社のサービスを採用している。その日本法人として2017年に設立されたDXCテクノロジー・ジャパンは現在、「第3の変革」としてITコンサルティング部門の強化に乗り出している。チームを統括する金翰新氏に、その背景と狙いについて話を伺った。

〈Profile〉
金 翰新(きむ はんしん)
韓国出身。大学卒業後、プログラマーおよびシステムエンジニアを経て、1996年に米PeopleSoft(現Oracle)の日本法人立ち上げに参画。人事および会計製品のローカライゼーションに携わりつつプリセールスを統括。その後PeopleSoftが買収した「Vantive」事業のゼネラルマネージャに就任し、CRM事業を推進。仏ビジネスオブジェクツ社(現SAP)日本法人、米マイクロストラテジー社日本法人、ワークデイ社代表取締役社長などを経て、2019年1月よりDXCテクノロジー・ジャパンのエンタープライズアプリケーション&SaaS事業を統括。現在に至る。

※内容や肩書は2022年4月の記事公開当時のものです。

ベンチャーの立ち上げに参画したことが、キャリアの方向性を決定づけた

――金さんのこれまでのキャリアからお聞かせください。

:私は韓国出身で、アメリカの高校を出て、日本の大学に入りました。以来30年以上、日本で暮らしています。IT業界には知人の紹介でたまたま入ったのですが、当時アメリカではコンピューター教育が始まっていて、何か世の中が大きく変わるような感触は持っていました。もちろん日本はまだまだこれからという状況でしたけれど。

プログラミングの仕事などを経験して、社会人2年目に米国のPeopleSoft(現Oracle)の日本法人の立ち上げに参加。そこでエンジニアリングからプリセールスまでを担当して、その後、PeopleSoftが買収した企業のCRM事業の統括を任されました。それが20代の後半のときですね。いきなり100人くらいのチームをマネジメントすることになりました。そうやって若くして法人の立ち上げや組織マネジメントを経験したことで、自分自身のキャリアの方向性が決まったように思います。

――その後もさまざまな企業やプロジェクトの立ち上げを経験されていますね。

:PeopleSoftは当時ベンチャーでしたが、ゼロからビジネスを作り上げる経験がとても楽しくて、自分に合っているなと感じました。だからそれ以来、キャリアのほとんどでスタートアップに携っています。

私がDXCテクノロジー・ジャパンに参加したのは2019年です。エンタープライズアプリケーションやSaaS向けのソリューションからコンサルティング、運用メンテナンスまでEnd to Endで提供する部門を立ち上げると聞き、そうしたゼロからの挑戦ならばやりがいがあるし、自分のこれまでの経験が活かせると考えて参画することを決めました。

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コンサルティングを柱とする「第3の変革」がスタート

――DXCテクノロジー・ジャパンは2017年の設立以来、急成長を遂げています。貴社の事業内容について教えてください。

:DXCの事業領域はとても広くて、なかなか一言で説明するのは難しいのですが、使命として共通しているのはテクノロジーの力を活かしてお客さまの成長を支援することです。私の部門であればヒト・モノ・カネ、いわゆる人事、会計、物流、ワークフローといった企業の内部システムのサポートをおこなっています。ほかにも保険業界に特化したビジネスプロセスの改善や、車の自動運転に関するデータ分析など、事例をあげればきりがないほど本当に幅広いサービスを提供している会社です。

そのことを可能にしているのが社員13万人のグローバル体制であり、もうひとつが、「プラクティス」と呼ばれるサービスの標準テンプレート化です。これは、アナリティクス、アプリケーション、セキュリティー、クラウドなどの領域ごとに標準的なサービスのテンプレートを構築し、そのカスタマイズによってお客さまに最適なソリューションを迅速に提供する仕組みです。当社では現在、「第3の変革」を掲げ、このプラクティスの普及をさらに推し進めるために2022年2月にコンサルティングチームを新設し、採用活動もスタートさせました。

――第3の変革はコンサルティングが大きな柱となるわけですね。新しく参加するメンバーにはどんなことを求めていますか。

:コンサルティングなので、お客さまの課題を抽出し、その解決策を提案することがミッションになるわけですが、まずは立ち上げたばかりのチームなので組織作りから一緒にお願いできればと思っています。まさにスタートアップのイメージですね。

言ってみれば、すでにできあがっているビジネスを継続していくのはそれほど難しくないと思います。けれど、我々のようにゼロから始める場合は、ある意味、作っては壊してを繰り返さなくてはなりません。とても大変なプロセスですが、だからこそ軌道にのせたときの達成感も大きい。私自身、スタートアップをいくつも経験しているのでそれは断言できます。

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プロアクティブに提案。チームで課題解決に取り組んでいく

――コンサルティングをする上で金さんが大切にしていることは何でしょうか。また、コンサルタントにはどんな資質が必要だとお考えですか?

:コンサルタントとして参画していただいた場合、まずは自分が得意とするマーケットを特定し、お客さまにアプローチをしていくことになります。そのときに大切なのが、言われたことだけを提案するのではなく、お客さまの環境や戦略を十分に理解した上で、プロアクティブに提案をすること。そうやって信頼を得て初めて、お客さまと一緒に課題解決するための土台ができあがります。

また、課題は当然ながらコンサルタント1人で解決できるわけではありません。適切な方針を打ち立てるためには、AIだったりクラウドだったり、課題に応じたテクノロジーの専門家が必要です。業界に詳しいアナリストやリサーチャー、さらにはヒト・モノ・カネの業務領域に詳しい人材も必要になるかもしれません。DXCには世界中にそうしたスペシャリストがたくさんいるので、国内外の社員とチームを組んでプロジェクトを進めていくことになります。

そのため、求められる資質としては、チームをまとめあげるためのコミュニケーションやファシリテーションの力ですね。あとは業界に対する知識も必要だし、ロジカルシンキングも欲しい……もちろん、全部の能力を持っている人なんていませんから、メンバー同士で補い合ってお客さまに価値を提供していくことになります。

――コンサルタントにはチームのまとめ役も期待する、ということですね。

:ビジネスの場面においてはよくIQやEQが大切だと言いますよね。IQは知能指数、EQは感情指数や心の知能指数といわれるものです。加えて、最近読んだ本でJQという言葉を知りました。意思決定(ジャッジメント)の指数だそうです。これは自分のキャリアを振り返ってもかなり納得できて、IQやEQだけでなく、物事を前にすすめるには決断する勇気が確かに必要だなと感じます。

ただし、その先もあると思っています。決断したら、確実に実行しなくてはならない。私はそれを勝手に「PQ」、実行(プラクティス)指数と名付けました。さらに、実行しても間違ったときは素早く修正しなくてはいけない。それは「CQ」、つまり修正(コレクティブ)指数です。私はチームのメンバーにPQやCQも高めようと常に話しています。

今、「VUCAの時代」といわれますよね。だからこそ求められるのは、意思決定と実行、そして軌道修正する力ではないでしょうか。とくにコンサルタントはそのサイクルを回す能力が必要だと感じます。

――日本の場合、意思決定に対するバイアスもありそうです。一度決めたものをどこまでも正しいと思い、失敗を認めない。だからなかなか方向転換できません。

:そう思います。しかもプロジェクトが失敗すると、すぐに責任論が出てくる。それでは萎縮してしまいますよね。そこはカルチャーの問題でもあって、たとえばグーグルだと新しいプロジェクトが失敗したらお祝いするそうです。失敗した理由がわかればそこからいろいろなことが学べるし、組織の知的財産になる、だから祝おうぜと。私はこの考え方に大賛成で、成功だけを祝うのではなく、とことんやって失敗したならぜひ盛大に祝いたい。これはPQ、CQに通じる姿勢だと思います。

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日本社会のために、真のグローバル化を支援したい

――金さんがコンサルティング事業を通じて実現したいビジョンについてお聞かせください。

:すごく大きくいえば、日本社会をもっと良くしたい。残念ながら日本は経済的に長く停滞したままで、賃金の国際比較をみても海外との差がどんどん開いています。格差社会でたくさんの問題を抱えているし、改善の兆しがありません。私は韓国人ですが、日本に長く住んで愛着もありますから、やっぱり日本という国をなんとか良くしたい。それにはグローバル化しかないんです。

ただし、グローバル化というと、アメリカで使われているのと同じソフトウエアを導入したり、オフショアで開発コストを下げようとしたり、すぐに海外のナレッジやリソースを単純に日本に当てはめる発想になるのですが、それはちょっと違うと思うんです。

海外の成長企業を表面的に真似するのではなく、その成長モデルの“本質”を学んで初めて、真の意味でグローバルシフトといえる。そこに気付いていただくことが、DXCのコンサルタントの使命の一つだと考えています。

DXCがグローバル企業なのは確かですが、だからといって我々がその知見や経験を押し付けることはありません。お客さまとともに海外の成功から学び、それをどう日本で活用するかを考えていく。目先の利益ではなくて、5年先、10年先の未来を見据えて一緒になって旅をする。そうすることで日本社会を良くしていきたいと本気で思っています。

――やはりDXCの強みでもあるグローバルが大きなキーワードになるわけですね。

:DXCでは、世界各地で毎日のように新しいプロジェクトが立ち上がり、その知見や経験がどんどん蓄積されています。優秀な人材も世界中にいて、それが私たちにとって大きな強みであることは間違いありません。

お客さまから「金さんのチームメンバーは何人くらいですか」と聞かれたときには、グローバールチームを含めて数千人ですと答えています。そう言うとたいてい「いや、日本では何人ですか」と改めて聞き直されますが、DXCはグローバルでワンチームです。

アメリカ、ドイツ、ベトナム、マレーシア、オーストラリア……。あの国のあの人がこの分野が得意だから今回のプロジェクトに加わってもらおうと、多種多様な人材の発想や能力を活かすことができる。DXCはテクノロジーの会社だと思われていますが、じつはそういう一人一人の多様性で成り立っている会社なのです。

言葉の問題についていえば、海外とのコミュニケーションは英語になりますが、苦手でもなんとかなります。完ぺきに話さないといけないと思って英語のミーティングではあまり発言しようとしない日本人も多いですが、日本人だけでなく英語を母語としない国の社員はブロークンイングリッシュになったり、またアクセントや言葉選びに癖もあったりして、正直なにを言っているかわからない時もあります(笑)。でも、お互いがそうだから理解しようと努力するし、そこにエネルギーがあればちゃんと伝わります。

英語については、もしかしたらコンサルタントの資質の話と近いのかもしれません。まずは実行して、だめなら修正する。PQとCQですね。とにかくやってみること。そうした意欲のある方と一緒に働けたらと思っています。

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コラム作成者
Liiga編集部
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