【ケース問題を徹底解説】正確な現状分析を踏まえた、矛盾のない解答とは?

はじめに

今回は、Liigaコロッセオにケース問題を提供してくださっている現役の戦略コンサルタントの方に、ケース問題を解く際のポイントを、コロッセオのケース問題を用いて解説していただきました。

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導入: 本コラムの趣旨

本来のケース面接では、現状整理や課題の特定など、様々な考えるべきプロセスや論点があり、複数の重要なポイントがあります。

しかし、これらの重要なポイントをいきなりフルセットで学習するのは、難易度が高いと思われます。そのため本コラムでは、それらのプロセスや論点から、一部分を切り出した問題を出題し、それに対する解説に絞ることで、学習内容や解説内容を明確にしたいと思います。

Liigaコロッセオにて出題された問題を利用しますので、ぜひコロッセオを解いたうえで、本コラムを読んでみてください。今回解説するのは、以下の問題です。

今回の問題文

とある、東京近郊の住宅地でパン屋を経営している親戚がいます。
この親戚から、とある日に相談を受けました。

「ここ数年、少しずつ売上もお客さんの数も下がってきている。その理由を特定してほしい」 ちなみに、上記の相談にあたって、以下の情報が得られています。

・値段は特に変えていない。また、近隣の飲食店やスーパーなども含め、特に物価が高くなったり安くなっているようには見受けられない。

・商品の質は落としていない(味見もして確かめている)。

・特段、強力な飲食店やスーパーが出店してきたり、また既存の飲食店やスーパーが質を大きく改善したことによって、客を取られていることもないと思う。

さて、あなたは、売上や客数が低下した原因をどのように分析するでしょうか?
理由の一覧、および、どの理由が正解の可能性が高いかも含めて、考えてください。


問題を解きたい方はこちら

考え方流れ(大枠のみ)

本コラムは、模範解答を示すことを意図していません。解答そのものよりも、「なぜそのように考えたのか」という、プロセス・背景・ロジックのようなものを理解して身につけないと、実際のケース問題に対応できないからです。

しかしながら、解説をスムーズに進めるために、最低限の大まかな考え方の流れを示しておきます。

まず、売上の減少は、「客数」の減少、「客単価」の減少に分けられます。しかし、問題文の前提から、「客数」側に原因があると考えるのが自然です(この部分は、あまりにも自明なので、解答に明示する必要もないでしょう)。

次に、「客数」の減少の原因は、商圏内の「全パン購買者数の減少」か「競合にパン購買の顧客(シェア)を奪われている」に分けられます。しかし、問題文の最後の3つの補足情報を総合すると、競合の影響はほとんどないと考えられるため、「競合に顧客を奪われている」可能性は”低い”です。 ※コンビニエンスストア(以下、CVS)とECサイトについては、後ほど補足します。

最後に、パン購買者の減少は、「パン以外の“食事”に客を奪われている」か、そうでなければ「そもそもの食事規模の減少」が考えられます。 ※これ以降は、今回の解説に不要なため、省略します。

今回の問題の特徴・解答の傾向まとめ

それでは、解説に入ります。まず初めに本解説の結論として、今回の「問題」と「解答」の特徴や傾向について述べておきます。

問題の特徴

まず、「問題」の特徴ですが、「”一般的”な、とあるパン屋の売上」に関する議論を求められているわけではないというのがポイントです。特に重要なのは、以下の2つの条件・前提です。

  • 「東京近郊」の「住宅街」に立地している
  • 売上や客数は「少しずつ」減少している

解答の傾向

また、「解答」の傾向として、大きく以下の2つの視点があります。

  • 3C(市場、競合、自社)の視点のうち、いずれかが抜けてしまうことが多い: 今回の場合、市場の視点

  • 市場の視点の中でも、マクロ環境など、問題の対象に関係ない内容が抜けてしまうことが多い: 今回の場合、「問題の対象」は「パン」であり、抜けてしまう内容とは、「人口動態」に関する視点

さて、上記の詳細を、以下の解説で見ていきましょう。

ポイント①:まず、問題内容を理解したうえで解答する

基本的に、ケース問題の出題者は、「確認したい視点」や「想定解答」のようなものを持ったうえで出題していることが多いです(そうでなければ、仮説思考がない)。問題文内の補足情報は、その方向性やヒントのようなものを示していると考えるのが自然です。

今回の問題は、「とあるパン屋の客数減少理由は」といった”一般論”ではありません。そのため、このパン屋さんの状況・前提条件を理解したうえで、客数減少の要因を洗い出すほうが、少ないケース面接時間で効率的に答えを導きだせます。以下の2つの前提について考えてみましょう。

  • 「東京近郊」の「住宅街」に立地している
  • 売上や客数は「少しずつ」減少している

「住宅街」という前提の意味

さて、まず「東京近郊の住宅街」というワードについて考えてみましょう。まず結論を述べれば、住宅街というのは、人口規模や世代が、時の流れによって変遷していくというのがポイントです。

わかりやすい例として、東京の豊洲を考えてみましょう。豊洲は開発が進んでおり、マンションの供給が増えているため、人口が増加しています。そして、豊洲に新たに住み始める方は若い方が多いため、世代は若者に偏っています。さらに、住み始めた後も、しばらくの間は、子どもができることによって、人口は増加し、より若い世代に偏っていきます。

では20~30年後はどうでしょうか。子どもたちは、成人していき、家を離れていくでしょう。また、マンションを賃貸ではなく購入している人は、簡単に引っ越さないと想定されます。つまり、比較的年配の世代が多く残ることになります。まとめると、長い目で見れば、人口は減っていき、さらに人口構成も高齢者に偏るタイミングが訪れる可能性が高いでしょう。

客数の減少が、「少しずつ」である場合の特徴

次に、客数が「少しずつ」減少しているという条件について考えてみましょう。これは、客数減少が「断続的・急激な変化ではない」と読み替えたほうがわかりやすいかもしれません。

例えば、近くに「駅が新設された(撤退した)」「大企業のオフィスが移転してきた(撤退した)」などの理由であれば、売上はとあるタイミングで急激に変化している可能性が高いです。また、「風評被害」や、「流行・ブーム」なども、比較的急激な変化を及ぼすでしょう。よって今回の客数減少の理由である可能性は“低い”と想定されます。

このような、とあるタイミングのイベントではなく、「構造的な」変化であることを問題文から読み取る必要があります。例えば、「少しずつ米の消費が減っており、その分パンの消費が増えている」などは、「構造的」な要因になります(※注:これは、あくまで客数を増加させる要因です)。

ポイント①のまとめ


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