KPMGコンサルティング|VUCA時代に、キャリア・働き方を考える
2023/01/31

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現代はVUCA時代とも呼ばれ、不確実性や複雑性が高まり続けている。働き方や個人の価値観もどんどん多様化する中で、どのようにして自律的にキャリアを築いていけばいいのだろうか。

2022年11月にKPMGコンサルティング(以下、KC)が主催したセミナーでは、「これからのキャリア・働き方について考える」というテーマで座談会を行い、多くの参加者から好評を得た。本稿では当日の内容を抜粋して掲載しているので、今後のキャリアを検討中の方はぜひ参考にしていただきたい。

〈Profile〉 ◇掲載企業特有の事情により氏名はイニシャル表記となっています。
写真右/S. M
シニアマネジャー
Consulting部門 Technology Transformation所属
大学院修了後、2011年新卒で大手外資系SIerに入社し、金融・保険業界の基幹システム検討・構築・運用プロジェクトを4年半経験。2015年にKPMGコンサルティングに転職。社会インフラ業界を対象に、業務改革・業務標準化や、先進テクノロジーを活用したDX/ITシステム導入支援など、幅広いコンサルティング業務を多数経験。兼業制度のMulti-Experience Programを利用してNPO活動にも参画し、仕事外での社会貢献も行っている。
写真左/S. T
マネジャー
Business Innovation部門 Edge Incubation & Innovation所属
2013年新卒でベンチャー企業に入社。台湾大手飲食企業との合弁会社に出向し事業立ち上げを経験。2015年にKPMGコンサルティングに第二新卒として入社し、オープンイノベーション支援、DX、業務改革、競合調査、コスト削減などのプロジェクトに従事する。その後、関西への引越しを機に他コンサルティングファームに転職し、DX、グローバル案件などを経験。2022年にKPMGコンサルティングへ再入社。現在はビジネスイノベーション部門の大阪所属で主にオープンイノベーションを担当している。
(聞き手)A. Y
マネジャー
Human Capital Development所属
2007年4月に大手カード会社に新卒入社し、新規事業開発、営業企画などを担当。2014年にKPMGコンサルティングへ入社。Consulting部門でStrategic Transformation、People & Changeに所属し、コンサルタントとしてさまざまなプロジェクトに従事した後、コーポレート部門のHR部署へ異動し、アルムナイ(卒業生ネットワーキング組織)の立ち上げやタレントマーケティングを担当。

※内容や肩書は2023年1月の記事公開当時のものです

コンサルタントへ転職後の変化~あらゆるプロジェクトを、クライアント基点で考える

A. Y:今回のイベントは、キャリアや働き方がテーマです。スピーカーとして、コンサルタント未経験からの転職でシニアマネジャーとマネジャーになったお二人にお越しいただきました。お二人には、「自律的なキャリアを築いていくためのヒント」を聞いていきたいと思います。

まずは、これまでのキャリアについて教えてください。

S. M:大学院では物理学を専攻し、独立行政法人にて最先端の量子光学や量子情報通信を研究しておりました。そのまま研究の道に進むことも考えたのですが、テクノロジーを活用した「社会変革の実現」に強い興味を持つようになり、民間企業に就職することを決めました。1社目に選んだのは外資系の大手SIerです。

1社目では、プロジェクトの規模が大きく顧客の期待値が高い案件を担当し、厳しい環境ではあったものの充実した毎日でした。一方で日々の業務に忙殺され、当初興味を持っていた「社会変革の実現」からは少し離れているように感じていたことも事実です。そんな中、KCのことを知り、より「社会変革の実現」に近いところで仕事ができるのでは、と考えて転職してきました。それから約7年間は、一貫して社会インフラ業界を対象に、業務改革プロジェクトやDXの推進を支援しています。

A. Y:SIerからコンサルティング業界に転職される方はたくさんいらっしゃいますが、入社されてからどのような違いを感じましたか?

S. M:SIerとコンサルティング会社は、クライアントが実現したいことを支援する、という意味では共通しています。一方で、SIerはシステムを使って支援しますが、コンサルティング会社はシステムに限定せずさまざまな知見や論理的思考などを使って支援するという点で異なると私は考えています。

ただ、そうした差異はあるにせよ、コンサルティングの結果としてシステムが導入される場合は多いので、働き方のイメージはしやすかったです。

A. Y:採用現場でも、近しい話はよく耳にします。コンサルティングファームでも、クライアントが変革する手段としてデジタルを導入することも多いので、これまでの経験を生かせるということですね。一方で、取り扱う領域がシステムだけでは選択肢が狭いので、上流から戦略を考えた上で幅広い施策を提案したいとコンサルタントを目指すSIer出身者も多い印象です。

S. M:最大の違いは、「何を目的に仕事をしているのか」という意識ではないでしょうか。SIerの頃は、システムを作ること自体が目的化していたように感じます。KCに来て感じたのは、コンサルタントはクライアントが何を実現したいのかを基点に物事を考えているということです。業務を効率化したいのか、働き方を進化させたいのかなど、システムはその目的を達成するためのツールであるということを、強く意識するようになりました。 description

コンサルティングファーム出身者のスキルの高さに圧倒されて、未経験からコンサルタントへの挑戦を決めた

A. Y: S. Tさんにもお話を伺いたいのですが、これまでのキャリアとKCへの入社動機をお聞かせいただけますか?

S. T:学生時代はドイツに留学したり、ゼミで環境ビジネスを研究していました。最初にキャリアを考えるきっかけになったのは、学生時代にコンサルタントとして活躍している女性の先輩から話を聞いたことです。

その方は見据えている世界が非常に広く、お話はいつも示唆に富んでいて、「日本はこれから人口が減っていくので新しい事業をいくつも作って世界に出なければ衰退してしまう」など、さまざまなことを教えていただきました。その時に、私も自分自身で事業を創り出すベンチャー企業か、そういった企業を支えるコンサルタントになりたいと考えたわけです。

ただ、就活時に受けたコンサルティングファームは少し社風が合わないと感じて、ベンチャー企業に入社することを決めました。ベンチャー企業では新規事業の立ち上げを経験させてもらい、約3年で黒字化までもっていけたのは非常に良い経験になりましたね。

A. Y:そこからなぜコンサルタントになろうと思ったのか、きっかけや心境の変化などがあれば教えてください。

S. T:新規事業が黒字化して、一定の成果を得られたタイミングだったというのが一つです。また、当時の会社にはコンサルティングファーム出身者がいて、自分とのスキルの差を非常に強く感じていました。その方から学ぶことも多くありましたが、もっと対等に、さらに言えばこの人を越えたいと思ってコンサルタントに挑戦することを決めました。

当時まだ設立から1年ほどというKCに入社して、オープンイノベーションや業務改革、競合調査、DXなど幅広いプロジェクトを経験させていただきました。ただその後、実は他のコンサルティングファームに一度転職しています。私生活の関係で大阪に引っ越すことになり、大阪で働けるコンサルティングファームに移ったという単純な理由です。

そちらでしばらく働いた後、2022年にKCに戻ってきました。これも理由はシンプルで、辞めた後もKCのメンバーとコミュニケーションは取っていたので、KCの大阪オフィスの仕事が増えてきていることを知り、好きだったKCに戻らせていただいたという経緯です。

A. Y:KCが好きで再入社されたというのはうれしいですね。KCでは昨年、退職した卒業生のコミュニティーであるアルムナイを立ち上げたのですが、半年で約20人の卒業生がKCに戻られています。それほどKCを好きでい続けてくれる方が多くいらっしゃるということだと思います。

また、KCでは大阪や他の地域の案件も増えていますし、コロナ禍をきっかけにさらにリモートワークも浸透して、地方から東京のプロジェクトに参加することもできるようになりました。住んでいる場所が障壁になることは少なくなっていると感じます。

S. T:その通りですね。私自身も現在は大阪に住みながら、九州での地方創生プロジェクトを担当しています。地域中核企業とスタートアップが協業で新規事業を創出するための支援です。新規事業はまさにやりたかった領域ですし、いろいろな地方を訪れるたびに地方の課題も実感しているので、以前、東京に住んでいた時以上に熱量を持って仕事に取り組むことができています。 description

充実した座学研修と、実践によるトライ&エラーの両輪で伸びていく

A. Y:お二人ともコンサルタント未経験からの転身ですが、初めのうちは苦労したこともありましたか?

S. M:先ほどの話と重複しますが、システム基点なのかクライアント基点なのかという考え方の違いには苦労しました。やっていることは近いように見えても、それぞれで求められるスキルセットや解決のためのアプローチ方法は全く異なるのだ、ということを痛感しました。

例えば、システムに想定外の障害が起きたとします。SEの時の私であれば、まず障害の発生原因を特定し、システムの修正方法を考えると思います。しかし、コンサルタントはその障害によるクライアントへの影響を評価し、その上で影響がないと判断できれは、わざわざ時間とお金をかけて修正することは提案しません。課題に対するアプローチも違えば、解決策そのものも変わってくると思います。

A. Y:たしかにシステムにフォーカスしていたら、どうにかしてバグを修正して障害を解消しようとしますよね。クライアントのバリューを最大化することにフォーカスすると、そういった考え方も違ってくるというのは興味深いです。

S. M:私自身、この考え方の違いによって最初の担当プロジェクトで失敗を経験しています。システム戦略立案のための現状システム調査を任されたのですが、最初のプロジェクトで何とか結果を出したいと思って、現状調査項目を考えられるだけ増やし、夜遅くまで時間をかけてドキュメントも読み込んで調査結果にまとめました。多くのことを調べた方がクライアントも喜んでくれるだろうと考えたわけですが、クライアントには全く響きませんでした。

クライアントが求めていたのは詳細な現状調査ではなく、システム戦略立案のために必要な情報だった、ということです。「クライアントは何を実現したいのか」、「それに対して必要な情報は何なのか」、そこまで検討した上で調査することが大切だと考えますが、そうした思考プロセスは難しいですし、今でも試行錯誤しています。

A. Y:お話を聞いていて、全てをクライアント基点で考えることが、難しいところであり面白さでもあると感じました。S. Tさんはいかがですか?

S. T:新卒で入ったベンチャー企業の上司がコンサルティングファーム出身の方だったので、当時からコンサルタントに必要なスキルである、ロジカルシンキングなどの教育は受けていました。ただ、やはり机上の学びと実践とでは全く違うので、そういう意味では毎日がトライ&エラーだったように思います。

最初にアサインされたプロジェクトは海外企業のリサーチだったのですが、未経験で入社した私は右も左も分からない。しかし逆に良かったなと思うのは、何も分からないから遠慮なく何でも聞けたということです。もちろんチームメンバーや上司に気軽に聞くことができるKCの社風があってこそですが、とにかくマネジャーに聞いて確認して、自分でやってみてレビューをもらってという繰り返し。やっているうちに少しずつフィードバックが減ってきて、自分なりに自信がついていくというサイクルで成長してきました。

A. Y:KCでは、中途入社者に向けて、ロジカルシンキングや仮説思考、問題解決、パワーポイントやエクセルの使い方、さまざまなリサーチの手法といったコンサルタント基礎スキルについて、豊富な研修を用意しています。そういった座学と実際のプロジェクトの両輪で成長していただきますので、未経験の方も安心していただけると思います。 description

自分の仕事に意思を持つこと。それが、成長への絶対条件

A. Y:お二人とも今はシニアマネジャーとマネジャーというポジションで、若手に指導する立場だと思うのですが、育成にあたってどんなところに気を付けていますか?

S. T:先ほどあったS. Mさんのお話に近いですが、常にクライアントの立場に立って物事を考えてほしいとお願いしています。クライアントは今回のプロジェクトでどんな課題を解決したいのか。その課題の解決に向けて、自分だったらどのような資料があれば検討しやすいか。そういった思考方法を身に付けてもらえるようにサポートしています。

もう1点大切にしているのは、一人一人のメンバーが納得感を持って気持ちよく仕事ができることです。上司に言われたからこの仕事をするというだけではつまらないですし、何より成長につながりません。自分の意思を持ってプロジェクトを進めながら、なおかつそれでクライアントに喜んでもらえることを意識してもらっています。

S. M:私も同じです。単なる作業者のような仕事の渡し方はしたくありません。経験が浅いメンバーでも、意思を持って仕事をしてほしいと思っています。資料をレビューする時も、どういう思いでこの資料を作成したのか、をまず聞きます。

その上で「なぜそう思ったのか」「なぜこの表現にしているのか」と、「なぜ」を繰り返しながら深掘りする。もし私の想定と出てきた資料にズレがあったとしても、そのズレを頭から指摘するのではなく、コミュニケーションを通じて自分自身で気づいてもらえるように心がけています。

「なぜ」を繰り返しながら深掘りする手法が合わない人もいるので、人によってやり方を変えますが、基本的には自分で考え、自分で気づいてもらうことを大切にしています。

A. Y:私も未経験でコンサルタントになった当初は、上司から「なぜそう思ったのか」を繰り返し聞かれてしんどいと感じたこともありました。ただ、上司からすると最初から答えを伝える方が圧倒的に早いですし楽なはずなのに、個人の成長のために長時間、何度でも付き合ってくれる。そのお陰で、考え抜くことや適切な資料作成など、入社当時と比べると格段に成長することができました。

KCでは「人を大切にするNo.1ファーム」という言葉を掲げていますが、お二人ともまさにここを体現しておられると感じます。

KCは未経験からでも安心して成長できる環境作りに努めていますが、正直に言って、コンサルタントには向き不向きもあるかと思います。お二人は、スキルや経験、考え方など、どんな人が向いているとお考えですか?

S. T:自由度が高い反面、自律的に働くことが求められるので、自分の頭で考えながら仕事をしたい人は楽しめるでしょう。一方で、自分で決めることが苦手で決められた業務じゃないと進められないという人には向いていないと思います。

あとは継続的なスキルアップですね。クライアントの課題は毎回違うので、経験を積んだとしても自分自身のアップデートは必要です。新しい知識やスキルをどんどん取り入れられるかどうかがポイントになるのではないでしょうか。

S. M:私も同じ考えです。向き不向きというより好き嫌いの世界かもしれませんが、自分で考えることが好きだという資質は不可欠だと思います。自分自身が未経験どころか社会的にも事例のないまったく新しい領域に取り組むこともあるので、自主的にインプットできることも大事だと考えます。

もう一つ付け加えるとしたらコミュニケーション力です。課題を引き出すためのクライアントとのコミュニケーションも大切ですし、課題解決策を提案するためのKC内のコミュニケーションも大切です。いろいろと申し上げましたが、現時点での知識や経験がないからといってコンサルタントというキャリアを諦める必要はありません。

A. Y:ありがとうございます。最後に、今後のキャリアを検討中の皆さんにメッセージをお願いします。

S. M:一昔前までは、会社に雇われるという考え方が強く残っていました。しかし皆さんには「やりたいことを実現するために会社を利用するんだ」という考え方で転職を検討していただければと思います。

実は私は今、KCの兼業制度であるMulti-Experience Programを利用して、NPO活動に参画しています。コンサルティングという「クライアントのやりたいことを支援する」仕事だけでなく、「自分のやりたいことを実現したい」という気持ちが強くなったことが、参画理由です。

コンサルタントは、幅広く経験を積んで成長することができますし、そこから自分で新しい領域や事業を開拓していくこともできます。コンサルティングに100%集中しても良し、経験を通じて得たスキルを別の領域に生かすも良し。ぜひご自分のやりたいことを定め、それを実現するための環境を選んでほしいと思います。

S. T:今の会社に残るのか、それとも別の道を選ぶのか、すごく悩むと思います。どちらの方が良いかという答えは永遠に見つかりませんし、人生は一度きりなので、同じタイミングでどちらも試すことは残念ながらできません。だとしたら、その道を選択した時に後悔するかしないかが大切なのではないでしょうか。

まずは、自分自身が納得できる道かどうか。そして実際に選んだ後はその選択が正しかったと自分で思い続けること。キャリアを築いていく際には、この2つが大切だと私は思います。ぜひ、ご自分の納得できる道を選んでください。応援しています。 description

コラム作成者
Liiga編集部
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