【2023年】コンサル転職市場と押さえておくべき動向(未経験からポストコンサルまで)
2023/05/30

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2023年のコンサルの転職市場は、企業の採用熱が高いため、全体的に売り手市場となりそうです。未経験からコンサル、コンサルから事業会社など、各市場の動向や求められる人材を解説します。採用の時期やプロセスの変化も確認しましょう。

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フォルトナ株式会社 エグゼクティブコンサルタント 中島悠

外資系コンサルを経てフォルトナに参画。Big4をはじめ東証プライム上場企業の経営幹部との1on1MTGから得た「”鮮度の高い”情報提供」と「個人の”well-being”を意識した支援」が強み。

またLiigaでは、年間300名以上のマッチングや認定バッチ取得、コラム執筆などメディア発信の依頼も受け、厳選エージェントとして高い評価&口コミを受けている。東京大学AI経営寄付講座修了。

コンサルティングファームでは、求人も応募も増えています。主な理由としては、コンサルティング業界が全体的に好調であること、そして職場としてコンサルティング業界が人気であることが挙げられます。

各社とも第二新卒や20代の未経験者のポテンシャル採用に力を入れていますし、30代後半や40代の未経験者がマネージャーポジションで採用されるケースもあります。

ただし求人も求職者も増えているからこそ、ミスマッチも起こりやすくなっています。特に未経験者の場合、「キラキラしていて年収も高い」という理由だけで転職すると、何度も転職を繰り返すことになってしまいます。

2023年の転職市場概況

2023年の採用市場は、どの業界も企業の採用意欲が高い一年となるかと思います。普段なら募集が出にくい職種、未経験者を採用しない業界でも求人を出しているケースがあります。

各業界の転職市場や特に求められているポジションについては、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】2023年の業界別の転職市場と対策(20代/30代/40代以上)

2023年のコンサルの転職市場

トップ企業の求人が揃うLiigaでは、特に「コンサルティング」「IT・通信・インターネット」の求人が増えている傾向です。

またコンサル/ポストコンサル転職で多くの実績を持つフォルトナ株式会社にも、日頃より各ファームの幹部や採用責任者の方々から多くの相談が寄せられているため、今回は、コンサル業界への転職を視野に入れている皆様に向けて、各テーマに沿ってお話いただきます。

各社とも業績好調で採用拡大

コロナ禍の影響もあり一時期採用を控える動きもありましたが、年々コンサルティングファームの需要は高まっています。そのため、今年度も変わらず各社採用熱が高いと感じています。主な理由として各ファームとも業績が好調である点はもちろんですが、未経験者を受け入れる環境(研修やリモート環境など)が整ってきている点も挙げられます。

またクライアント(事業会社)もコンサルティングファームを活用することが増えてきており、多様なニーズへの対応が求められています。中でも、DX推進は企業にとって最重要なテーマであり、戦略立案から実行まで幅広いプロジェクトに様々な強みを持つコンサルタントが関わっています。

もう一つの要因として、創業年度が比較的若いベンチャーファームの採用熱が高いことも挙げられます。最近では戦略ファーム出身やパートナー経験者によって立ち上げたDXやデザイン、マーケティングに強みを持つファームや事業会社(商社や広告業界など)が新設したファームも増えており、弊社にも多様な強みを活かした活動や採用のご相談を受けております。

こうしたベンチャーファームは「経営陣と近い距離で働ける」「会社の成長や体制構築にも携われる」という点でも、魅力的な選択肢でしょう。

第二新卒の採用には各社とも熱心

2023年に限ったことではないですが、第二新卒~20代後半の積極採用は続いている印象です。

IT/英語のスキルや現職のご経験はもちろんですが、「営業やデジタルマーケ経験」を活かしたコンサル求人の案件も出てきています。

上記はスキルベースですが、いわゆるポテンシャル採用では「なぜコンサルティング業界」「どのようなビジネスパーソンになりたいのか」「仕事への向き合い方」といった部分の整理もとても大切です。

1つ意外に知られていていない話を挙げると、特に大手ファームの場合、第二新卒は特定の時期にしか募集していないケースがあります。具体的には「4月1日と10月1日入社のみ」という年1.2回のファームもあるため、転職活動のスケジューリングにも注意しましょう。

例えば4月入社の場合、11月中旬に募集が始まり、1月初頭ごろに応募を締め切るというスケジュールです。また採用人数も一定ではないため、採用難易度や応募可能な企業などについては最新情報を入手する必要があります。

未経験からコンサルを目指すなら!未経験可や第二新卒の求人も揃うLiiga

30代・40代の未経験者にもコンサル転職の道

「未経験で転職できるのは20代から30代前半まで」というイメージも強いですが、昨今の転職市場の活性化も影響し、コンサルティング業界に関しても、30代や40代のコンサル未経験者も採用しています。

具体例では、IT業界でプロジェクトマネジメント(特に要件定義/顧客折衝)のご経験がある方だと、コンサルティング未経験の30代後半や40代であっても、マネージャー以上の待遇で迎えられるケースもあります。

大規模プロジェクトで一部分だけ担当していた方よりも、小さなプロジェクトにて開発から設計、要件定義など「現場感」「全体感」の経験が評価される場合もありますので、定期的にスキルや経験の整理、自身の目指すキャリアの方向性を確認することもおすすめします。

特に30代・40代になると、「各ファームのカルチャーや求めている経験」を踏まえた職務経歴書や面接対策が重要です。そのためにも、コンサルティングファームと深いパイプを持つエージェントを活用するなど、深い情報収集を心掛けてください。

テクノロジーや新興分野の知見があるとプラス

コンサルティング未経験でも、これまでの仕事において業界特有のスキルや知識を身につけている人は高く評価される傾向です。

最近ではDX関連のプロジェクトも多いため、SIerとして開発~要件定義などIT関連の知見がある方、事業会社で5G/AIなどの先端技術の知見を培ってきた方も求められています。また企画や運営などのプロジェクト経験や特定の業界に詳しいといった要素もアピールポイントとなります。

この他にリスクマネジメント、SDGs、宇宙開発、スポーツビジネス、スマートシティなどのプロジェクトも増えているようで、コンサルティングファームから求人の相談が寄せられています。こうした領域に詳しい人材は希少なため、転職活動の時には大きな武器になるでしょう。

コンサル経験者の採用も拡大中

各ファームはコンサル経験者の採用にも力を入れています。

特に、コンサル経験が3年以上のシニアコンサルタントからシニアマネージャークラスへの採用ニーズが多いです。またマネジメント経験はなくても、「一定の領域への豊富なプロジェクト経験」「チームリード経験」「グローバルプロジェクト経験」などの方々も積極的に採用しています。

高いポジションや200~300万円の年収アップでのオファーも珍しくないことから、引き続き採用熱が高いことが伺えます。

また最近、個人的に採用責任者の方々より「事業会社とコンサルファームの両社を経験している人はいないですか?」とご依頼を頂くことが多くあります。こうした方々は「クライアント業界や事業会社の業務やカルチャーを理解し、かつコンサルとしての知識やスキルも身につけている」ため、ステークホルダーとの対峙する際に「より納得感/実行力/信頼感がある」との期待を受けて、希有なご経験と評価されることも多い印象です。

事業会社もコンサル経験者を積極的に採用

コンサルティングファームへの転職だけでなく、ファームからの転職(ポストコンサル)も多く見られます。特にマネジメントやクライアントへの営業経験も積んでいる「デリバリー経験+α」への方々へのニーズが高いです。

以前から「戦略ファーム出身者を役員として招く」ことは珍しくありませんが、上手くフィットするケースばかりではなかったという幹部の方々からのご相談もお受けします。そのため最近では、コンサル経験者で且つ「業界の慣行や事業の想いを理解し、敬意を持てる人」「現場感を持ってメンバーを動かせる人」を求める傾向が強いです。

押さえておくべき変化

コロナ禍や転職市場の過熱を受けて、採用プロセスや働き方にも大きな変化が生まれています。コンサル転職の際に押さえておくべき変化を確認しましょう。

カジュアル面談や地域別採用が増えている

コンサルティングファームの面接は一般的に2~4回(戦略ファームでは3~5回)で、最終面接を除けば基本的にオンライン面接の企業が多いです。そのため、オンライン面接のマナーやトラブル対策は事前に確認しておきましょう。

また採用意欲の高まりによって、セミナー開催やカジュアル面談を行うファームが増えてきています。ベンチャーファームでは、初回面接から社長や経営幹部が登場するケースも多くあり、よりリアルな経営陣の考えやカルチャーフィットなどを知る機会が増えていますので、ぜひチェックしましょう。

大手コンサルティングファームでは、地方の拠点を拡大する傾向がみられます。それに伴い大阪、名古屋、福岡などの拠点で地域別採用やU/Iターンを許容するファームが出てきていますので、「地元で働きたい」「ライフイベントの変化で転勤が難しい」「地域特有の課題に関わりたい」という人はぜひチェックしてみてください。

弊社が転職をお手伝いした方の中にも、遠隔地勤務を条件に転職された方がいらっしゃいました。

ファームによって働き方にも差が

「激務」と言われることが多かったコンサルティング業界ですが、最近では働き方も多様化しています。

業界全体として勤怠システムやリモートの導入により”働き方”の柔軟性や選択肢が増えたことで、各ファームは働き方や制度の特徴を打ち出しています。

例えばフルリモートを許容するファーム、社員交流をメインに週1での出社を大切にするファーム、社員同士の交流費を支給するファームなど様々なアイデアで従業員のベネフィット向上に取り組まれています。

セミナー参加や応募企業を検討する際には、”well-being”や”D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)”など「自身と企業が大切にしている”価値観”が近しいのか」という観点で企業情報を確認することも大切かと思います。

しかしこうした””価値観”や”想い”は、なかなか求人票から読み取れない部分です。そのため個人的には前述にもありますが、ありたい姿(=転職によって実現したいこと)を整理し、企業全体やパートナーの方々の”大切にしている価値観”をご相談者へお伝えし、より企業の魅力を発信することもエージェントの重要な役割だと考えています。業界に詳しいコンサルタントに相談すると、企業や社員の雰囲気についてもお伝えできるかと思いますので、ぜひ転職エージェントを活用してみてください。

口コミもあるからピッタリの相談相手が見つかる!Liigaで転職エージェント探し

転職に失敗しないために

年々求人数が増えており、それに伴い転職を希望する人も増えています。

転職に失敗しないためにも、きちんと「なぜ転職を考えたのか」「転職によって実現したいこと」「今後やりたいこと」などを整理/言語化してください。「現職でしかできない経験」もあるからこそ、「現職を決めた理由」や「希望している経験や異動など職場内に可能性(チャンス)はないのか」を見つめ直してみましょう。

未経験なら「何を身に着けたいのか」を考えて

一方コンサル未経験の方より、「キラキラして年収が高い」「次の転職先にも困らない」というイメージだけでコンサルティングファームを志望したいという声も耳にします。

確かに、前述のようなコンサルティングファームでの経験やスキルは、今後の選択肢を広げてくれるキャリアの1つかと思います。

しかしルーティンワークではなくプロアクティブな行動が求められるため、憧れやイメージだけで転職すると、ギャップに苦しむ方もいらっしゃいます。

コンサルタントというキャリアが最終ゴールではなくとも「コンサルティング経験を経て何を実現したいのか」もしくは「○○を実現するためにコンサルティング経験が必要なのか」を考えるようにしましょう。そのためにも、身近な先輩や知人などに話を聞いてみましょう。

本格的に転職活動を行う際には、より専門性の高いエージェントにケースやビヘイビア対策、スケジュール調整などの相談や依頼を行うこともおすすめします。

コンサル経験者は「手段としての転職」を

コンサルティング経験者には、「コンサルティング経験をどう活かしたいのか」を考えることから始めるようお伝えしています。ポジション、年収、働き方、専門性など仕事には様々な軸がある中で、自分は何を重視しているのか”価値観の整理”をしてみてください。

コンサルティング経験者の場合、年収やポジションといった条件に反応することも多いかと思います。

しかし「転職によって実現したいこと」「今後やりたいこと」「自身にできること」の軸に立ち返ることが大切かと思います。その考えを基にぜひ転職を「手段(打ち手)」だと考えて活動を行ってください。

フォロー面談を積極的に活用して

コンサルティングファームへの転職活動を行う中で「私でも大丈夫だろうか」「どんな働き方なのだろうか」とご相談を受けることも多いです。

そのため私と接点をお持ちの方々には「セミナーへの参加」や「フォロー面談」の重要性を強くお伝えしています。特にフォロー面談は、同じようなバックグラウンドを持つ人や、マネージャーの方より「プロジェクト事例」や「プロモーション」「働き方」など”リアルな声”を聞くこともできます。その結果入社後のミスマッチを抑えることができるため、積極的に打診してみましょう。最近では、多くのコンサルティングファームがフォロー面談に応じてくださいます。

「自分でフォロー面談を依頼するのはちょっと」という人は、担当の転職エージェントに相談することをおすすめします。弊社では「フォロー面談の大切さ」を企業の方々、ご相談者双方へ積極的に働きかけていますので、お気軽にご相談ください。

どんな仕事に就くにせよ「どこで誰とどんな環境で働くのか」は非常に重要です。だからこそ私個人としては、大きな意味での自己実現と、そのためのキャリアデザインや意思決定のお手伝いをすることを心掛けております。

今回のメッセージが皆様の自己実現の一助となりましたら嬉しい限りです!!

フォルトナ株式会社 エグゼクティブコンサルタント 中島悠

外資系コンサルを経てフォルトナに参画。Big4をはじめ東証プライム上場企業の経営幹部との1on1MTGから得た「”鮮度の高い”情報提供」と「個人の”well-being”を意識した支援」が強み。

またLiigaでは、年間300名以上のマッチングや認定バッチ取得、コラム執筆などメディア発信の依頼も受け、厳選エージェントとして高い評価&口コミを受けている。東京大学AI経営寄付講座修了。

コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。
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