「明確な夢がなければまずは投資銀行に行け」投資銀行出身、PEファンド勤務者へのインタビュー #01
はじめに
「安定」とは、世間では何かと話題になりやすい言葉です。では、安定の定義は何でしょうか。
「終身雇用は保証されているが、スキルの多くは会社固有のものである」と「終身雇用は保証されていないが、大きな裁量のもと必死で働くことで、世界に通じるスキルが身に付く」のでは、どちらが安定と言えるのでしょうか。
人によって答えは違うはず。
今回は参考として、新卒で投資銀行に入社した後現在はPEファンドで勤務されている方に、Liigaを運営するハウテレビジョンの代表・音成洋介がインタビューを行いました。
就職活動について
――新卒で外資系投資銀行のマーチャント・バンキング(ファンド運用部門、主に不動産や不良債権、不動産保有会社への投資・運用を行う)部門に入社したそうですが、大学時代の専攻は金融系関連だったのですか?
いえ、経済学部でマクロ経済を専攻していましたので、いわゆるコーポレートファイナンスや会計のバックグラウンドはありませんでした。
――内定を得たのはいつですか?
内定は3年生の冬季にいただきました。
――では研修課題などもその時点で?
内定をいただいた直後に研修課題を与えられ、簿記2級程度の会計知識やバリュエ―ションの基礎について学びました。
入社前研修で、必要最低限の知識をつけられるので、金融を専攻していなくても問題ないと思います。実際に、金融を専攻している人というのは割合としては、少数派かと思います。
――プリンシパルを志望した経緯は?
学生時代にベンチャーキャピタルでアルバイトをしていて、「投資の面白さ」に気づいたことをきっかけに、アドバイザリー業務よりも、投資判断・意思決定に関われる業務に携わりたいという気持ちを強く持つようになりました。
――入社前に抱いていたイメージとのギャップは感じましたか?
あまりありませんでしたが、思っていたよりも慎重に物事を進めるのだな、とは感じました。
投資というと、新聞を賑わすような結果のみに目がいきがちですが、投資という性質上、失敗して損するのは、投資家と自分たちです。そのため、不確実性を極力排除するため、慎重になるのが当然ですが、学生の時の自分には想像できませんでした。
――新入社員時代に読んだおすすめの本はありますか?
著:森生明 (日経BP社)
この本はよく参考にしました。
突然バリュエ―ションの本を読んでも、なかなか理解しにくいと思いますので、シュミレーションしながら読み進めることをおすすめします。
例えば、この会社に投資したら~、もしくは、この会社を買収したら~、と仮説を立てて、具体的に考えながら読むことで学習効率が上がると思います。
――事業投資の文脈では、総合商社を志望する方も多いですが、投資銀行の方が面白いと感じる点はありますか?
投資の意味合いにもよりますが、商社 だと、長期スパンの大きなビジネスに大人数で携わるので、直接意思決定に関わっている実感はわきにくいのではないかと個人的には思います。
一方、投資銀行のマーチャントバンキング部門は商社と比べて案件の規模は小さいですが、その分、短いスパンで多くの案件の意思決定に携われ、自分でも手応えが分かるのが面白いですね。
投資銀行というものを時間軸で考えると、一昔前は投資銀行自体が儲かっていたので、今の若手と同じような仕事をしても給料は倍くらい支払われていました。もし、その当時に戻れるのであれば、その時代から投資銀行に入った方が良いと思います。
一方、現時点においても、昔と比べて給料は下がってはいるものの、投資銀行は商社の倍以上の給料水準で、関われる案件も多く、裁量が大きいと思います。
また、30歳を過ぎると外資系金融 人材の流動性は非常に高くなり、投資銀行から商社に転職するケースもありますよね。逆は、若手でなければなかなか難しいですが。
転職の垣根が低くなっている現在、若手のうちに商社に入らなくても、と個人的には思いますね。
それに、最近の投資銀行は、部署が閉鎖になることはあっても若手をクビにすることは余程のことがない限りありません。
私が入社して2年後くらいに、ウォールストリートを中心に給料設計の見直しがありました。それまで、給料の中でボーナスが高い割合を占めていたのですが、その比率をベース給料に寄せて月の給与額を平均化し、より長期的な目線で働いてもらおうという動きです。
昔の良さが無くなったと思う反面、やや日本化している面も垣間見えて、全体的なバランスとしては悪くはないのでは、と思っています。
「長時間労働が当たり前」という労働環境はあまり変わっていないかもしれませんが、身体を壊して辞める人は少数だと思います。
採用時に適性をよく見て判断していることもあるでしょうし、案件数自体が一昔前と比べて多くないので、追い込まれることなく自分で上手くコントロールできているのだと思います。
――安定を求める方にとっても投資銀行は魅力のある業界であるとお考えですか?
外資系・日系トップ企業から
スカウトが来ます
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