経営を科学するCFOの重要性~ハンズオン・コンサルティングのパイオニア、エスネットワークスが日本のGDPを底上げする
2018/06/21
#ベンチャーCXOの実情
#財務・会計スキルをつける

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「社長」になるほうが簡単!? 高難度人材・CFOを輩出

CFOとはー。

“Chief Financial Officer”の頭文字で、日本語で「最高財務責任者」というポジションを指すことは、Liigaユーザーの皆さんなら知っているはずです。ではCFOの仕事とは何か、具体的にイメージをお持ちですか?

CFOという人材になることの難しさについて、「社長になるほうが簡単かもしれない」と話すのは、ハンズオン・コンサルティングファーム、株式会社エスネットワークスの代表取締役社長・須原伸太郎さんです。

同社はベンチャー企業や中堅中小企業にCFO人材を送り込み、企業の生産性を底上げすることで日本のGDPの底上げに寄与しています。

企業の血液ともいえる「お金」と「数字」を科学的に読み取り、アドバイスのみならず実行までやり切る徹底的なハンズオン姿勢。「コンサルティング」という言葉の定義をも揺るがす程のこだわりようです。

今回は、企業経営におけるCFOの重要性や役割、ハンズオン・コンサルティングの仕事の魅力や求める人物像などについて須原社長に伺いました。

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CFO=専門性を備え、マーケットと向き合う経営者

――「CFO」の定義を教えてください。

須原:世の中の捉え方としてはCFOは「専門家」であるというイメージが強い気がしますが、「社長」や「経営者」と何も変わりません。「財務や経営管理の専門知識が備わった経営者」というのが定義になるかと思います。ですから当社は、コーポレートサイトなどでも「経営者(CFO)」という記載をしています。

――CFOの必要性とは何なのでしょうか?

須原:我が国では1960年から1980年代後半まで、今でいうCFOに近い役割は存在したのですが、おそらく財務担当役員や財務部長、経理部長といったポジションの方がその役割を果たしていました。その時代、まだ日本では間接金融が中心で、銀行がお金を貸してくれやすかったのです。

バランスシートの右側、つまり資金調達のためにコミュニケーションが必要な相手は銀行に限られていました。相対(あいたい)で各銀行とコミュニケーションを取り、資金繰り表と決算書、税務申告書を提出して、借り入れを実行する。難易度は高くありませんでした。

その後、バブル崩壊で銀行が簡単にお金を貸せなくなってきたときから、日本でもエクイティを調達するという概念が広まってきました。そうするとこれまで間接金融で使えていた知識や知恵が全く使い物にならなくなります。エクイティファイナンスの場合はマーケット相手のコミュニケーションが欠かせません。1対1の間接金融から1対nの直接金融にも対応できる人材としてCFOの重要性が語られるようになってきたのです。

――必要性が高いCFOですが、その役割の重要性はあまり一般に広く知られていないかと思います。なぜなのでしょうか。

須原:10年前20年前と比べれば認知度は随分上がってきている印象です。ただおっしゃる通り、まだ全国津々浦々までCFOの重要性が知られているかというと、決してそうではないと思います。

なぜなら、CFOが必要な企業の数がある程度限られているためです。例えば日本には約400万社の会社がありますが、うち320万社ほどは従業員数5名から20名程度で、地元の信用金庫や地方銀行から資金調達すればよく、エクイティは親族や社長自身のファミリーマネーであることがほとんどです。

残りの約80万社がCFOを必要とする母集団なのですが、そのうち上場している約3,500社を筆頭に、上位1万社でもCFO機能が十分でない中で、残りの会社においてはCFOが配置されていることが稀で、我々の実感でいうと、うち10%くらいにしかいないのが現状かと思います。1980年代後半から広まってきたニーズに対して、人材の供給が追いついていないからです。

――CFOがいないとその会社はどうなってしまうのでしょうか。

須原:CFOがいないと、その企業は倒産リスクが高まります。あるいは倒産しないまでもそれ以上は成長せず現状維持、いわゆるステイになる可能性が高くなります。具体的には、お金の使い方を間違えるか、調達側で間違えるか、どちらかが原因になってデフォルト(債務不履行)してしまう可能性が相対的に高くなるということです。

このような背景もあって、当社のターゲット顧客を大きく二分するならば、その一つはスタートアップやベンチャー企業。社長個人には旺盛な成長意欲があり事業を大きくしたいという気持ちがあるものの、CFOを社内で抱えられない企業群です。そうした企業に我々のCFOサービスを提供しています。

そしてもう一つは地方の中堅中小企業です。このセクターは持続性はありつつ成長していない状態の会社が多いですが、地域経済に与えるインパクトは無視できません。そうした企業群をボトムアップできれば、日本全体の生産性を底上げできる。ひいては日本国経済に貢献できるという思いで仕事をしています。

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「商売がしたい」~おぼろげながらも持ち続けた夢

――少し時間軸を戻し、株式会社エスネットワークス設立に至るまでのお話をうかがいます。ご自身の就職活動はどのように進められましたか?

須原:小学生くらいから将来の夢は「商売」でした。周りの友人が「プロ野球選手」とか「パイロット」とか言っている中で。電気屋とかクリーニング屋をやっている友達の家が何となく楽しそうだなと。単純ですが目の前でお金が動いてお客さんに感謝され、さらに儲かっているようにも見えました。

大学時代、友人が銀行や総合商社への就職を目指して動き始めたころ、幼少の頃から抱えていた「商売がしたい」という思いが根底にあった私は、大企業に入社するという世界観に浸れないことに気付きました。そして、何が自分に向いているのかをようやく探し始めました。

そんな中、友人の一人が公認会計士の資格取得を目指して勉強を始めていて、「それ何?」と聞くと「経営に役に立つ仕事だ」と。彼は経営をサポートする仕事という意味で言ったのでしょうが、私は経営する側として身につけておくべき知識だと思い込み、勉強を始めたのです。

結果、大学3年生の春から勉強を始めて、4年生の夏に試験に合格しました。すると今度は同期合格した友人たちが「トーマツ」に行くか「新日本」に行くか、はたまた「プライスウォーター」かと耳慣れない会社名を話し始めるんですよ。私バカだったので(笑)、その時に初めてそれらが何たるかを知ったんです。ただ大規模組織である点に変わりはなく、どうしても足が向かない。結局、就職はせず、卒業後は1年間ほどアルバイト生活をしていました(笑)。

――その選択、珍しいですよね。

須原:はい、同期合格者は実際に、私以外全員が大手監査法人か大手企業に就職しました(J.P.モルガンや日銀、SMBC、トーマツ、新日本・・・)。その彼らに「せっかく受かったのにオレ達の後輩だね」と言われ、悩んだ挙句、結局翌年トーマツに入りました(笑)。

ただ、トーマツの中でも、監査部門ではなくIPO(新規株式上場)を支援する部署を希望し、配属されたことは幸運だったと思います。

「先生」と呼ばせない~株式会社エスネットワークス設立でこだわったこと

――そしてトーマツに3年間所属した後、広告代理店であるマッキャンエリクソンに転職されたということですが、その理由は何ですか?

須原:依然商売をしたいと思っていたので顧客を獲得する力、つまり「営業」を経験したいと考えました。しかし監査法人においては、若いうちはひたすら実務経験を積むということになります。ですから、営業も年次が上の人しか担当させてもらえないんですね。これは時間がもったいない、と思うようになりました。

加えて、監査法人では1年目の新人であったとしても、クライアントから「先生」って呼ばれます。ハイヤーまで手配してもらって。将来自分が会社経営をするにあたって、こうした世界観しか知らないのはまずい、と思ったのも理由の一つです。

そこで、公認会計士という資格をむしろ使わず、営業職が経験できる広告代理店に転職したのです。外資系のマッキャンエリクソンにこだわりがあったわけではなく、人材募集の広告を偶然目にしたからで、縁だと思いました。

――マッキャンエリクソンにも3年間所属された後、共同設立者である佐藤英志さんと株式会社エスネットワークスを共同設立されたのですね。

須原:はい、佐藤はトーマツ時代の先輩です。佐藤もいつか自分で何かやりたいという意思を持っていたので、将来一緒に事業をできたらと話していて、トーマツからマッキャンエリクソンに転職した後も引き続き誘いを受けていました。

ただ当初、私自身はウエディングビジネスがやりたくて、会計を武器にした起業を考えていた佐藤とはコンセプトの違いがあったので、ありがたく思いながらもその誘いを断っていました。

しかし1999年、佐藤と膝を突き合わせて話すタイミングがあり、ずっと会計だけをやっていくのではなく、他のビジネスもしたいと正直に思いを伝えました。佐藤もそれを理解してくれ、まずは得意な会計で収益を上げ、将来的にはさまざまな事業展開をしてもいいじゃないかということで株式会社エスネットワークスを共同で設立しました。

――株式会社エスネットワークスの立ち上げでこだわったことは何ですか?

須原:監査法人時代、クライアントからはっきりと、「監査法人って顧客目線じゃないよね」と言われていました。また、会計税務に関わる仕事の人は若くても「先生」と呼称される世界に浸るからか、ビジネスの感覚が希薄なように感じていました。

ですので我々は逆張りを徹底しようということで、当社はクライアントを中心に据えた「サービス業である」と明確に位置付け、クライアントへも「先生」と呼ばないよう、お願いしました。先生稼業ではなく、サービス業であることの意識を明示するという考えからです。

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“常駐支援”でも社員が残るワケ

――CFOの仕事をより具体的に知りたいのですが、須原さんご自身の最も印象的だった仕事を教えてください。

須原:企業再生の分野の仕事で、金融機関からかなりのプレッシャーを受ける状態に陥ったあるクライアントがありました。

当時1,400億円程度の負債を抱えており、その返済キャッシュフローと事業から生まれるキャッシュフローのピッチが合わなくなってしまっていたんですね。それを調整するため、私はそのクライアントに2年半ほど常駐しました。

交渉相手は30数行の銀行が集まった銀行団。当時その銀行団からお金を借りてきた前任者がいたんですが、その方が直接やり取りをすると、交渉力が弱まってしまいます。彼らと対峙して粘り強く交渉するためには「CFO」の役割が不可欠であり、クライアントと一緒に対応していきました。最終的には「リスケジュール」と呼ぶのですが、返済ピッチの見直しに30数行が全行同意し、この案件は解決しました。

――他のコンサルティングファームとの違いは何でしょうか?

須原:当社もコンサルティングファームですが、コンサルティングサービスを通じて『経営者の支援』を主たる事業の目的としながらも、『経営者の輩出』まで踏み込んでいるのが大きな特長です。

一般的なコンサルティングファームは、ジョブを細かく切り取り、割と短いスパンでそのアウトプットを出していくスタイルで仕事をします。しかし当社は、顧客のオーダーを丸ごと請け負い、課題設定から優先順位設定、実務実行までを一括して引き受けます。

これは社員を育てることを意識しているからです。現場が自律的に考えるプロセス自体が経営の訓練になると考えているので、常駐支援、いわゆるハンズオン・コンサルティングを基本としています。

一方、コンサルタントがクライアントのオフィスに一定期間常駐支援することで、そのプロジェクトが終わった後に当社に戻ってこない、つまり常駐先に転職してしまうリスクもあります(笑)。

――それは苦労も多いのではないでしょうか?

須原:実際、当社のほぼ全メンバーがクライアントに誘われているのではないでしょうか。

ですが、「声がかかった」というのが当社ではステータスになっており、声がかかっても当社に残るという選択を取ることも、メンバーのステータスになるようなカルチャーが醸成されています。逆に声がかからないのはダメじゃんと。

「エスでもっと経験して、外の世界に行く前にしっかりと成果を挙げてからでも遅くない」という考え方で過ごしているメンバーも多くいます。会社設立以来、じっくり煮込んでようやく作られた社風ですね。

当社のクライアント業種は多岐に渡りますし、実際にさまざまな業界や業種のコンサルティングを経験できるので、ある意味、「目移りしやすい」という状況です(笑)。それでも多くのメンバーが当社に残る選択をしてくれるのは、外からは見えづらいですが当社の大きな強みです。

――それでも退職する人もいると思いますが、どのような進路が多いですか?

須原:3分の1くらいが独立・開業ですね。そもそもが経営に関心のあるメンバーが多いことから、会計事務所を開業したり、別の分野で起業したり、さらには家業を継ぐといったケースが多く見られます。

もう3分の1が、常駐先のクライアントに移るパターンですね。残りの3分の1がライフステージの変化に伴ういわゆる一般的な転職です。なお転職先のポジションは、ベンチャー企業のCFOなどが多く見受けられます。

会計分野以外での起業を挙げれば、一例ですが、手芸作品の作り方をユーザー同士が情報提供し合うプラットフォーム運営を行う会社を起業したメンバーがいます。複数社から出資を受けてIPOを目指していますね。またソーシャルファイナンスの会社やプロスポーツ選手のマネジメント会社を立ち上げたメンバーもいます。

異なる価値観をインプットできる稀有な人材求む

――活躍しているメンバーに共通している要素は何ですか?

須原:スキルとしてはやはり財務会計の勉強が必要です。当社としても、そのインプットは最大限サポートしています。ただし、必ずしも公認会計士の資格が必要かというと、決してそうではありません。当社に入社してから十分にキャッチアップ可能です。

もう一つは、座学では学べないこと。クライアントなどとの会話の中で意図や話している意味を理解する力です。読解力あるいは共感力ともいえるかもしれません。言葉は交わしていても、相手の意図が汲み取れなくては、顧客が求めていることを実現しえません。我々が扱うのは数字とお金なので、間違えた時の影響はとてつもなく大きいです。

顧客企業が自社の課題を明確に言語化してくれればいいのですが、そうした要望を言語化しない(できない)人も社長の中には多くいます。クライアントと適時適切に合意形成ができないと全体設計を誤り、解決の方向性を大きく間違えてしまいます。

――そうした相手の意味理解ができる人の特徴はありますか?

須原:自分とは全く異なる価値観についても「こういう考え方もあるんだ」ということをインプットできる人。異なる価値観に「同調」する必要はありませんが、異なる考え方が世の中にたくさんあることを受容する人ですね。有名大学出身者だからといってこの能力が備わっているわけではないので、見極めるのは実際相当難しいです。

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〈Profile〉
須原伸太郎(すはら・しんたろう)


株式会社エスネットワークス代表取締役社長。

「経済のエンジンは企業。企業のエンジンは経営者」を信条に、一貫して企業経営者に対するCFO領域のコンサルティングを展開。

ベンチャーマーケット及びSMEsマーケットに関する豊富な知見を有するほか、Large Capにおける、M&Aや企業再生に関する執行経験を有する。オーナー経営者とのネットワーク及び信頼関係の構築が強み。

一橋大学経済学部卒業。
公認会計士・税理士。

本記事は2018年6月に「外資就活ドットコム」に公開されたものとなっております。

コラム作成者
Liiga編集部
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