選考は内部の視点が鍵―私はこうしてトップティアの外資系投資銀行に転職した
2018/08/14
#投資銀行につながるキャリア
#投資銀行に転職しました
#投資銀行の選考対策で大事なこと

はじめに

転職に成功した方々に経験を語って頂く選考体験記シリーズ、今回は投資銀行業界です。

若手にして、大手日系証券会社からトップティアの外資系投資銀行(以降、A社)に転職した方から、転職に至った経緯、転職活動での四苦八苦についてお聞きしています。

ぜひご覧ください。

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グローバル水準にチャレンジする機会をつかみたいと、日頃から考えていた

―まずは前職についてお聞かせください。

就職活動時にメガバンク系証券会社の投資銀行部門(以降、IBD)から内定をもらい、新卒で入社しました。入社後は研修を経て、M&A担当の部署に配属されています。

―M&A担当の部署とはIBDの中でも特に希望者の多い、花形の業務ですね。

そうですね。IBDと言えばM&Aアドバイザリー業務しか知らない状態で入社する方も多いですから、やはり競争の激しい、人気の部署になるかと思います。

自分は体育会系というバックグランドもあり、周りにおいていかれないよう、 内定者時代から業務について勉強していたので、それが研修時の人事の評価、人気部署への配属につながったのでしょう。

―それがなぜ前職から転職しようということになったのでしょうか。

前職が嫌になったわけではありません。日本国内のM&A市場において、最大手クラスの企業だったので、多数のM&Aの案件に携わることができ、恵まれていると感じていました。

一方で、日系企業に留まらず、グローバル水準の環境に身を置くことに元々興味がありました。この想いから、外資系の企業に移ることは視野に入れていたのです。

また、この業界では個人の力量が重視される側面もあり、常に上を目指すべきと考えていました。そうした中、私もグローバル水準にチャレンジする機会をつかみたいと、日頃から考えていたことも大きいですね。

そんな折に、ある外資系投資銀行(以降、B社)の人事から登録していた転職媒体経由で接触があり、選考を案内されました。本格的に転職活動を始めていたわけではなかったのですが、良い機会だと思い、選考を受けました。

ろくな準備もしていなかったため、二次選考で落ちてしまいましたが、当時の自分にとってCV(英文職務経歴書)が通過しただけでも非常に大きな意味がありました。

―CVが通過したことはそれほど重要だったのですね。

個人的にはCV作成が最も手間のかかる段階で、転職活動を始める上で一番大きなハードルだったのです(笑)。しかしそのハードルも本件で乗り越えてしまったので、他の外資系投資銀行にも挑戦することにしました。

PEファンドは、自分にはまだ早いと感じた

―ということは、基本的に外資系金融機関のIBDに絞って転職活動を行っていた、ということでしょうか。

はい。ただし、いくらグローバル水準とはいえ日本市場で活躍している企業でないと、海外オフィスの手伝いに終始してしまい、日本で仕事をする意味がありません。

そこで日本でもプレゼンスが高い、という点が自分の中では一番重要でした。

―グローバルというだけでなく、日本でもトップティアの投資銀行に的を絞ったのですね。

はい。この基準では4社程しか残らず、その内1社のB社は既に選考に落ちています。さらに別の1社もその年の中途採用を終えており、自分が選考に進めるのは実質2社しか残っていませんでした。

―非常に限られた選択肢だったと思います。

そうして残った2社の内片方は、面接でテクニカルな細かい質問があり、経験・知識が不足していた自分はあえなく落ちました。

ですので内定をもらえたA社は、トップティアの中では残された最後の選択肢でした。

―少ない選択の中で内定されたことは本当に凄いことです。トップティア以外に選考を受けた会社はなかったのでしょうか。

エージェントからM&Aに強いブティック系の外資系投資銀行を2社紹介されており、途中まで選考を受けています。いずれも途中でA社の内定が出たため、辞退しましたが。

―ブティック系の投資銀行の選考にも進まれていたのですね。Liigaでは投資銀行の選考に進まれる方はPEファンドへの転職も視野に入れる方が多いです。PEファンドは考えなかったのでしょうか。

PEファンドは魅力的な選択肢ですが、PEファンドに勤めている知り合いに話を聞いたりする中で、自分にはまだ早いと感じたのです。

具体的には、PEファンドは人を育ててくれるわけではないため、入社の段階で相当程度の経験値が必要で、かつ自分から仕事を作ることができなければ生きていけない環境であり、若手の自分は、もっと経験を積むためにもう少し企業に身を置くべきだと考えました。

また、本質からは少しずれているかもしれませんが、PEファンドにいる方々の経歴を見ると輝かしい社歴の方が多数派で、もっと自分の経歴に箔をつけてから行くべきだと感じたことも、ファンドを選ばなかった理由です。

まだ自分はアナリストなので、転職した先での役割も考えると、少なくとも現職でアソシエイトやヴァイスプレジデントになっておきたいですね。

―将来的にPEファンドに行く可能性はあるのですね。

選択肢としては除外していません。ただどのような道を辿るにせよ、最終的にはアドバイザーの立場ではなく、「当事者」の立場でビジネスに携わっていきたいと考えています。

エージェントによって情報の粒度が全く異なった

―ずばり、外資系投資銀行への転職を成功させた秘訣は何でしょう。

「エージェント」ではないでしょうか。これは全く想定外だったのですが、いざ転職活動を始めて複数のエージェントと接触すると、「こんなに違うのか」、「ここまでしてくれるのか」という驚きがありました。

―エージェントのサポート体制に差があったということでしょうか。

歴然とした差がありました。私は転職媒体経由で知り合った、エージェントと3名ほどお会いしましたが、その中の1名がA社の採用チーム長と個人的に仲の良い方で、内部にいる人の視点や細かい情報を提供してくれました。

実際、内定を頂けたA社の選考をサポートしてくれたのはこのエージェントです。

それに対して、他のエージェントは日程調整など必要な手続きしかしてくれなかったり、情報の粒度が落ちていたりと、非常に対照的でした。

―転職活動での情報戦を制覇するには、それに見合ったエージェントが必要ということですね。

他にも、A社に関しては事前に想定問答を教えてくれるなど、面接対策の上でも多くのアドバイスを頂きました。

なぜM&Aからカバレッジに移るのか、前職のカバレッジへの異動ではだめなのか、なぜカバレッジの中でもTMT(テレコム・メディア・テクノロジー・グループ)なのか、添削を通して、自分の回答を磨いてくれました。

A社内の人とコミュニケーションをとる中で得た、企業内の視点をエージェントは持っています。実際の面接に近いクオリティで準備できるだけでなく、「M&Aよりカバレッジの方が面白い」というチームメンバーの考え方を、自分の回答に取り込むことができました。

結果的にA社に転職できているので、このエージェントのコミットメントは、非常に助かりました。

また純粋な面接対策というだけでなく、「この選択が本当に正しいのか」ということをエージェントと話し合い、自分が納得した上で選考に臨むことができたためエージェントと出会うことは非常に意義深かったと思います。

エージェントと会話するのはお金がかかりませんし、「正しい選択」をするという意味でもエージェントを使い倒すべきでしょう。

転職活動を終えた今になって気付いたことですが、エージェントをきちんと見定めて選ぶのは、非常に重要だと思います。

―エージェントによって選考の準備の質を上げることができる、ということですね。エージェントとは別に、個人的に心掛けていた点はありましたか。

そうですね。面接時の回答を準備する際、スクリプトにしないことでしょうか。文字に書き起こしてしまうと、本番では読み上げているようになってしまい、その時々の面接の「自然なつながり」で話せなくなります。

面接時に不自然にならないようにしつつ、一方で自分の考えに感情をこめて話せるように、準備の際は自分の考えを頭の中で整理して、アウトプットできるよう心掛けていました。

逆質問は能動性が求められるため、何を聞くのか事前に準備していましたが、逆質問もあくまで会話の一環として捉え、次々に箇条書きの質問をするのではなく、面接者の回答に対して関連する質問を投げかけるように心がけていました。

―面接にむけて、考えを整理する程度の準備は必要だが、「文字に起こす」のは逆効果だ、と。身の回りでも思い当たる節があり、非常に納得がいきます。

実際、エージェント経由で頂いた企業からのフィードバックでは、「自分の言葉で話しているのが良かった」 と言われました。

コラム作成者
Liiga編集部
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