【東大・松尾豊氏】既得権者が甘い蜜を吸うだけの日本AIに未来はない #01

date_range 2018/09/04

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現状に絶望せよ、そうでもしないと始まらない

日本のAI(人工知能)研究の第一人者である東京大学大学院の松尾豊・特任准教授と、「Liiga」を運営するハウテレビジョンの代表・音成洋介とのスペシャル対談をこのほど行いました。その様子を2回に分けてお届けします。

1回目の今回は、AIについての研究や社会への導入・普及に関する、松尾氏の「絶望」ともいえる悲観論をお伝えします。

AIやディープラーニングの分野を強化しようと、自ら先頭に立ち、国にも働きかけてきた松尾氏が絶望しているというこの現実。松尾氏のこの絶望は、「希望のための絶望」なのでしょうか。2回の連載でその真意に迫ります。

〈Profile〉
写真右/松尾豊(まつお・ゆたか)


東京大学大学院 工学系研究科 技術経営戦略学専攻
専門:人工知能 特任准教授。
1997年に東京大学工学部電子情報工学科卒業、2002年に同大学院博士課程修了、博士(工学)。2005年10月よりスタンフォード大学客員研究員。2007年10月より東京大学大学院 工学系研究科総合研究機構/知の構造化センター/技術経営戦略学専攻 准教授。2014年より現職。専門は人工知能、Webマイニング、ビッグデータ分析、ディープラーニング。

写真左/音成洋介(おとなり・ようすけ)


株式会社ハウテレビジョン 代表取締役社長。
東京大学農学部卒業。バークレイズ証券投資銀行本部にて、事業法人並びに金融法人の債券発行業務に従事。2007年よりアドバンテッジパートナーズに参加し、公開企業・非公開企業への投資業務に従事する。2010年にハウテレビジョンを創業。世界で挑戦できる人材を育み、未来を創る人材プラットフォームの創設を目指し、学生向けに「外資就活ドットコム」、若手社会人向けに「Liiga」を展開している。

「研究開発の競争」ではない、「資金の補給路を作る戦い」である

音成:松尾先生は数多くのメディアに登場され、著書や講演などで「日本のAI研究は遅れている」とおっしゃっていますが、実際にはどの程度のレベルと考えるのが適切でしょうか?

松尾:まず、AIやディープラーニングの研究、社会への導入をめぐるこの戦いは、「兵站(へいたん)」の戦いだということを認識しなければなりません。兵站とは、戦闘部隊の後方で兵器や食糧などを補給するといった活動のことです。

太平洋戦争の旧日本軍が当初は「連戦連勝」だったのに、補給路の整備が後手に回ったことで徐々に戦況が苦しくなっていたのと同様、AI研究についても一見するとディープラーニングの研究開発競争のように見えて、実は、本質的には補給路を作る戦いなのです。

音成:つまり、日本のAI研究は、表に見える「研究開発」のレベルではもしかすると一定水準に達しているかもしれませんが、それを後方で支える機能で負けていると。

松尾:はい、圧倒的に負けています。しかも勝負に勝つためにはそれが一番重要であるにもかかわらず、ということです。

GoogleやFacebookはその後ろに巨大なマネタイズマシンがあって、常に資金が供給され続けている。中国のテンセントやアリババ、バイドゥにも、資金が流れ込む生態系ができあがっていて、いくらでも「補給物資」が来る状態なのです。

その中で、日本の研究者たちは個々で頑張っている人はいますが、どうしても「ゼロ戦的戦い方」なんですよね。個人の操縦技術だけで何とかしよう、最後は機体ごと体当たりしよう、となってしまうわけです。

音成:なぜ日本では米中のような補給路ができなかったのでしょうか?

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