コンサルティングが好きではない理由は「自分事ではない」からー私はこうして経営企画部へ転職した #02
2018/10/24
#ポスト戦略コンサルの研究
#コンサルを出てやりたいことを見つける
#経営企画は何をするのか

はじめに

戦略コンサルタントから経営企画職への転職を実現させた方へのインタビュー、後編です。

転職時の様子や経営企画職への転職時にどのように意思決定を行ったのか、を話して頂いています。

ぜひご覧ください。

前編はこちら

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コンサルティングが好きではない理由

―前編ではマネージャーに昇進した時に、コンサルタントを辞めることを以前から決めていたと伺いました。就職時からあった、起業までのキャリアの計画の一環だったということですね。

そうですね。学生の頃から、コンサルタントの後は、経営企画部か、起業のどちらかのキャリアを選択しようと考えていました。

そもそも、私はあまりコンサルティングが好きではありません。業務としてコンサルティングを楽しいと感じることがあまりなく、あくまで修行の場として従事していました。

―コンサルティングが好きではない、というのはなぜでしょうか。

自分事でないためです。「自分事として向き合え」とは建前上言われますが、コンサルティングはどうしても、他人の事業を扱います。極論を言えば、顧客の業績がどうなってもコンサルティング自体の収益には関係ありません。

端的に言うと「燃えない」のです。仕事として一定のやる気を出すことはできても、自分のやる気を最大限に引き出すことはできません。

業務内容自体は嫌いではありません。最先端の技術を知るために、担当する技術分野の権威である教授の方々にヒアリングを行うこともあり、知的な刺激という点では非常に面白い仕事でした。

しかし、「自分事」化の難しいビジネスモデルが自分の適性に合っていませんでした。顧客の業績の成長を心の底から喜べるような人でなければ、続けるのは難しいと思います。

またコンサルタントの実行支援業務も、自分の好みには合わないものでした。実行力のある企業ならコンサルタントに協力を依頼することはないため、実行支援の対象はなんらかの大きな欠陥をもつ企業に偏ります。

きちんと機能している優良企業が、更なる高みを目指すというような、チャレンジングで創造的な案件は、あまりないのが実情です。

外資系戦略ファーム出身者は、「実行力がない」と思われる

ーモチベーションの観点からも、事業会社への転職を望んでいたということですね。どのようにして転職先を探したのでしょうか。

基本的にはエージェントです。特に今勤めている会社(以降、C社)は、Liiga経由でお会いしたキープレイヤーズの高野氏の紹介で、1ヶ月で転職が決まった会社でした。

実は高野氏は、就職直後からの知り合いでして、スカウトをもらった時は驚きました(笑)。

この案件は高野氏の個人的なパイプによる部分が大きく、転職先の経営企画部も、私の応募に合わせて会社が新設したものです。面接も、本来踏まえるべき段階を1つ飛び越えて、いきなりCEO面接、その後社外顧問との面接、という形でした。

高野氏は、数多くの企業の知り合いの中から、「貴方にはここがいい」と候補者の個性に合わせて、特定の転職先を紹介してくださります。非常に独特な紹介の仕方でした。

―エージェントの人脈から生まれたポジションだったのですね。面接ではどのようなことを重視されたのでしょうか。

基本的に私がしたいこと、経営知識、性格について見られていたと思います。業界知識は会社が娯楽とITという異なる業界をまたいでいたこともあり、あまり聞かれませんでした。

そういえば、A社(新卒時に入った独立系コンサルティングファーム)でのキャリアは特に聞かれましたね。社外顧問の方は現在メガベンチャーになっている会社出身のシニアの方で、A社に対して「実行力がある」という好印象を持っているようでした。

外資系戦略ファーム出身者は、経歴は煌びやかで頭はいいが、実行力に欠けるという印象を持たれがちです。例えば、「契約1万件とる」という状況の時、泥臭いことが苦手で、なかなか実行に移さない、と。

そのため、例えばA社からリクルートに移るキャリアは、実行力もつくし大企業の組織力学も学べるので、ベンチャー領域でのキャリアとしては一貫性があって良いという話もしていました。

―大企業での人の動かし方を学ぶ、という点でメガベンチャーが適しているということでしょうか。しかし、T氏選んだC社は当時経営企画部がなかったようなスタートアップですよね。

そうですね。「今後起業するのなら、ゼロから始める方が面白いでしょう」ということで、高野氏から紹介して頂いたのは、基本的にスタートアップでした。

高野氏以外のエージェントを使って、大企業の新規事業開発も受けていましたが、メガベンチャーと言えど結局は大手ですので、事業推進のスピード感は遅くなります。あるメガベンチャーの面接でも、「本当に自分でこれだと感じた企画を進めるのは、ほぼ難しい」と言われました。

―自由度や裁量の大きさ、スピード感を望むなら、メガベンチャーでは限界があると。

もちろん、メガベンチャーにはメガベンチャーの良さがあると思います。

先程話に出てきたメガベンチャーを紹介してくれたエージェントの方は、良さとしてOB・OGとの繋がりを挙げていました。この人脈が、起業時に資金調達など多方面で活きてくると。何より、スタートアップのような倒産リスクがありません。

もっとも、スピード感やポジションの高さではメガベンチャーは劣るとも同時に仰っていましたが。

―それぞれの特徴を、フェアに比較してくれたのですね。

当時はC社の内定獲得後で、メガベンチャーに入社しない可能性がありました。それでも自分を担当してくれた方は、一緒にキャリアビジョンを一緒に整理してくれるなど、親身に対応してくださいました。

社長の人柄でベンチャーを選んだ

―スタートアップの中でも、新天地をC社にした決め手は何だったのでしょうか。

社風と人でした。社長は学生起業出身の非常に若い方でありながら財務管理に厳しく、非常に安定感がありました。

後は私が元々好きなエンタメ業界の会社であることや、中国への進出を考えたいたこと、私の持てる裁量が大きかったことも、後押しになりましたね。私のしたいことをしていいと言われています。

―厳しい財務管理が会社の安定性を支えていたのですね。

はい。その上、資本金は全て社長とCOOの2人で賄っており、収入の安定した事業もあります。もうすぐ社員数が3桁を超えるのに、CFOがおらず、経営企画は私1人のみという、経営管理の面ではまだこれからの会社ですが、非常に優良な企業だと思いました。

―この先、どのようなキャリアを思い描いていますか。

まずは本気で今の会社を拡大させたいです。そしてそのまま、役員、例えばCFOになるか、もっと面白いことを見つければ移ったり、起業したりしようと思います。少なくともコンサルタントに戻ることは考えていません。

―経営者にはMBA取得者も多いですが、その資格を今後取得する予定はありますか。

経営者を目指すなら、誰しもが一度は考えると思います。前職のコンサルティングファームでも周囲にMBA保持者は多く、取得について彼らに相談したこともあります。

しかし、経営のことならコンサルティング業務で学べるため、ブランド・肩書きで勝負する際にしか意味がないという結論になりました。最後は、「自分は起業家になるから」と考えて取得しないことにしました。

―なるほど。ご自身の場合、起業やスタートアップ経営で、資格は意味を持たないということですね。ありがとうございました。 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

戦略コンサルティングファームからの事業会社の経営企画部というキャリアを語っていただきました。「起業家になる」という強い想いのもと、意思決定を行ってこられた姿は非常に刺激を受けるものだったと思います。

本コラムを通じて、経営企画職への転職を検討する際に少しでも役立てて頂ければと思います。

コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。