「人への気の遣い方」。チームワークを重視するアセマネ業界で学んだことー私はこうして外資系アセマネ会社へ転職した #02
2018/12/11
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はじめに

今回は現在、外資系のアセットマネジメント会社でご活躍されているLiiga会員へインタビューを実施し、その実態をお伺いしました。

この方は新卒でメガバンクに入社後、外資系の総合コンサルティングファームを経て、20代中盤のご年齢でアセットマネジメント業界へ入られました。アセットマネジメント業界へ入られてからも転職を経験し、現在はご自身のキャリアの中で延べ4社目にあたる会社でご活躍されています。

後編である今回は、アセットマネジメント業界で学んだことや、転職時の選考フロー、アセットマネジメント業界に向いている方の特徴をお伺いしました。

ぜひ、ご覧ください。

前編はこちら

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「人への気の遣い方」。チームワークを重視するアセマネ業界で学んだこと

- 新卒入社されたメガバンクやその後に転職されたコンサルティングファームでも金融の知識を用いて仕事をされていたことと思います。そのご経験が活きることはありましたか。

金融畑を歩んできたつもりでしたが、あまり前職や前々職の経験が活きたと思ったことはありませんね。仕事の内容自体は全く異なるので、必要な知識や経験が異なったのです。

アセットマネジメント会社というのは、投資家の方々の資産のポートフォリオを運営する会社なので、お客様からは「何でこのポートフォリオのプライスが上がっているのか」「最終利回りが動いた要因について教えてください」などの今までの職場では聞かれたことが無かったような質問が飛んできます。

そうなってくると、メガバンクやコンサルティング業界で必要な知識とアセットマネジメント業界で必要な知識は全く異なるなと実感しますね。

- なるほど。アセットマネジメント業界に入ってから、プライベートでは何か勉強されていますか。

新卒入社時から続けている事ですが、英語の勉強は欠かせません。現在も週刊エコノミストを英語の音声を聞きながら勉強しています。

- 英語の勉強は重要なのですね。

そうですね。アセットマネジメント業界の仕事は国内のメンバーだけで進めることができるものではなく、海外のメンバーの助けが無ければ進まない仕事がほとんどです。しかし海外のメンバーに連絡をするときに何を言っているのか分からない英語で話しかけると凄くイライラされるんですよね(笑)。

この背景から英語力がなければ仕事をスムーズに進めていくことは難しいので、身に付けていた方がいいですね。

仮に英語が話せなくても海外のメンバーは最低限の情報は渡してくれますが、友好な関係を築いて、より良い仕事を行うために英語力はあったほうがよいと思います。

- 必要な知識も働き方もメガバンクやコンサルティングファームとは異なるということですね。アセットマネジメント業界に入られてから身に付いたスキルなどはありますか。

「アセットマネジメント業界に必要な金融の知識」「チームワーク力」「人への気の遣い方」だと思います。

当時在籍していたアセットマネジメント会社の場合だと、非常にハードワークが求められたため、その分アセットマネジメント業界に必要な金融の知識が身に付きました。

また、会社の仕事の進め方としても、1つの部署で1つのプロジェクトが完結するようにできているので、プロジェクトの初めから最後までの仕事の進め方を学ぶことができましたし、そのチーム単位でプロジェクトを進めるため、チームワークも育まれました。

しかし、この業界に入ってから最も身に付いたと思えるスキルは「人への気の遣い方」だと思います。

- 「人への気の遣い方」ですか。非常に意外です。

お互いにストレスなく働くことは非常に大事だと思います。

例えば、忙しい人にどのタイミングで話かけるのがいいのか、どのように話しかけることでストレスを最小にできるのか、ということは常に考えるようになりました。

特に社内でもオペレーションの仕事を担当される方は、忙しいのでメールを送付しても返信が来なかったりします。話しかけに行っても機嫌が悪いことが多いため、そのような環境の中でどのようにストレスが少ない関わり方をして、成果を残していくのか、という点はよく考えるようになりましたね。

同じ金融業界でも、投資銀行だと人間関係もさっぱりしているのであまり気を遣うことも関係がないのかもしれませんが、アセットマネジメント業界においては非常に大切なことなのです。

- 他の金融機関とも社風が異なるのですね。アセットマネジメント会社だとどのような雰囲気を持った方が多いのでしょうか。

比較的おっとりした方が多い業界だと思います。アセットマネジメント業界全体的に、あまりガツガツと短期決戦で勝負しようという感じではありません。

コツコツと営業を行い、売上を積み上げていこうという戦略です。

特に外資系企業だと、財務基盤はアメリカにあり、日本は中長期的に成長させていけばいいな、という感覚で事業を行っています。そのため短期的にお尻たたいて事業を進めるカルチャーではなく、長期的な事業構想の元に事業を進めていくので、比較的おっとりした方が多いのではないかと思います。

ベーシックな質問が中心の選考。最後は社風に合うかどうかが大事

- アセットマネジメント業界に入られて3年経過した後に、他の外資系アセットマネジメント会社へ転職されています。今回の転職を検討されたきっかけは何だったのでしょうか。

今回の転職も、転職した方が給料が上がると思ったからです。

アセットマネジメント業界は転職した方が給料は増えて残業時間が減るケースが多いので、結婚などのプライベートの理由で転職される方も多いですね。

- ちなみに今回の転職活動では何社の選考に進まれたのでしょうか。

同じ業界内で、5社ほど選考に進みました。

- アセットマネジメント業界で転職先を探されていたのですね。選考は面接が中心なのでしょうか。

おっしゃる通りです。面接内容に関してもコンサルティングファームのケース面接のように特殊な面接はなく、ベーシックな質問を聞かれることが多いかもしれません。志望動機や自身の経歴について聞かれる他、業界知識を問うような面接が中心でした。

例えば、日本のこれからの経済見通しを聞かれたり、「金融庁がいくらの投資を進めようとしているけど、これについてはどう思う?」といった時事的な質問も聞かれます。

- ベーシックな質問が中心ですか。

強いて他に特徴を挙げるとすれば、面接の回数が多い事かもしれません。

例えば選考にあたって10回以上面接を行う会社もあります。面接を通じてチームのメンバーに会うことも求められますが、海外の支社のヘッドや人事と面談する機会もあるので、必然的に面接の回数が多くなるのです。

- 10回は非常に多いですね。数多くの面接をこなす中で、どのような志望動機を伝えられていたのでしょう。

志望動機は主に2点伝えていました。

1点目は「ワークライフを改善したい」という思いです。ある会社でこの志望動機を言ったところ、「じゃあうちの会社は合わないね」と言われることもありました(笑)。

2つ目はアセットマネジメント業界の中でも、資産の運用部門を強化している会社で働きたいと思っていることです。

アセットマネジメント業界の企業では部署ごとに強みが異なることがあります。例えば、この会社は運用にはあまり力を入れていないけど、営業に関しては専門の部隊を持って強化している、といった具合です。

私が前に在籍していた企業は逆のパターンで、運用に非常に力を入れていました。そのため、前職の経験を活かせるような企業に入社したいと考えていたのです。

- 結果的に外資系のアセットマネジメント会社への転職をされたましたね。面接ではどういったことが重視されたと思われますか。

即戦力が求められることが多いので、基本的には1つのプロジェクトにおける一連の仕事を担えることが重要でした。

以前の会社では投資信託の機関投資家への営業などを含めて、プロジェクトの初めから最後まで1つのチームで行っていたので、アセットマネジメント業界における幅広い経験が買われたのだと思います。

特定の仕事をやりたい、というより、私はどの仕事でもやります、と言った人の方が企業に好まれる印象です。

他にもチームワークや運用知識の有無も確認されますが、最後は社風が合うかどうか、という点が重要かもしれませんね。

日本の投資の流れを掴みたい

- 現在に至るまで、様々な企業の経てキャリアアップされてきました。キャリアを積んでいくことにおいてモチベーションになっていることはありますか。

やはり「年収アップ」ということが大きなモチベーションですね。それに併せて自分が興味を持っている事業分野と仕事がリンクしていればとても良いです。

私の場合、資産の運用に元々興味があったので、それが実際に仕事で使えるのであれば、非常に充実しているなと思い、アセットマネジメント業界に入りました。元々プライベートの時間でも運用関係の本を読むことは好きなので。

- これからもその軸を元にキャリアを築かれていくかと思います。取り組んでみたい仕事などはありますか。

アセットマネジメント業界の中で、新しい仕事に挑戦したいと思っています。

近頃の日本を見ると少子高齢化で人口が減り、経済の単位も縮小しています。そのため日本という国が今までと同じかそれ以上のお金を稼ぐ方法となると、ぱっと思いつく方法は2つしかありません。1つは海外でビジネスを行い、稼いでくる方法。もう1つはこれまで日本に蓄えてきた金融資産を投資に回していく方法です。

後者の金融資産を投資に回していくことは1つの大きなビジネスチャンスだと思いますが、このビジネスチャンスをモノにできるのがアセットマネジメントという業界だと思います。そのため個人的な考えですが、アセットマネジメントの業界はこの時代において大きなチャンスが到来しています。

特にどこの会社も高齢化が進み、若手が少ないので後15年程で上の年次の方が一気に引退します。そのタイミングで、私が主導権を握って日本の投資の流れつかめるような仕事にチャレンジできれば面白いかなと思っています。

アセマネ業界で大切なのは「ルーティンワークをコツコツと回すことができる能力」

- 本日はありがとうございました。最後になりますが、アセットマネジメント業界に向いている人はどのような人だと思いますか。

ルーティンワークをコツコツ回すことができる能力を持っている方だと思います。

アセットマネジメント会社と言ってもあくまで事業会社ですので、まずは与えられたルーティンワークを確実にこなしていける人間が好まれます。その上で新しい仕事に挑戦する姿勢が大事ですね。この仕事の進め方を受け入れられる方がアセットマネジメントの業界に向いているのではないかと思います。

加えてアセットマネジメント業界はお金を安定的にコツコツと少しずつ増やして行きたいという思いを持っている方には向いていますし、ワークライフバランスも確保しやすい業界だと思います。

逆に短期的にガツンと稼ぎたい、という人にはあまり向いていないですね。そのような方には投資銀行をお勧めします。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

後編である本コラムでは、アセットマネジメント業界で学んだことや、転職時の選考フロー、アセットマネジメント業界に向いている方の特徴をお伺いしました。

本コラムを通じてアセットマネジメント業界の実情を少しでもご理解いただけたら幸いです。

コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。