戦略コンサルタントに求められる英語力
2016/03/21
#戦略コンサルの仕事内容
#戦略コンサルで身につくスキル
#エクセルを学ぶ

はじめに

コンサルティングファームでは、高い英語力をもっている人が多く入社しています。では業務にあたって、どのような英語が求められているのかということを現役のコンサルタントにお答えいただきました。

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自己紹介

現在外資系の戦略コンサルティングファームに勤務しているものです。 基本的にクライアントは日系企業なのですが、海外進出や子会社マネジメントに関連した案件が最近増えてきたため、英語を使う機会もそれに応じて増えてきています。新卒で入ってくる若手コンサルタントも、留学経験者や帰国子女など、英語に堪能な人が多くなってきている印象です。

私自身は留学経験もなく、いわゆる純ジャパの状態で入社しました。コンサルティングファームへの転職を考えている方がいるかと思いますので私なりに求められる英語能力についてお話しさせていただきたいとおもいます。

ビジネスの現場で使われる英語とは?

私の実体験になってしまいますが、実際に業務で英語を使う場面をご紹介します。

まずはWritingについて。 私が勤務する会社はグローバルに数十拠点あるファームだったため、ほとんどすべての社内資料は英語で作成しなくてはなりませんでした。また、クライアントへの提案についても、日本人以外が含まれる会議でプレゼンすることが多かったため、60%ほどは英語で作成します。

海外での新規市場参入戦略などは、日本人のみならずクライアントの海外支社長等にもプレゼンする場合がありました。 「Writingならできるよ!」という方は多いと思いますが、ある程度英語に慣れてくるとWritingの難しさに気づいて愕然とすると思います。

もちろん自分の言いたいことを何となく書いていくレベルであれば難しくはないです。しかし、ネイティブであるクライアントや上司向けにメールや資料を作成する際は、洗練された語彙や表現を使う必要があるのです。

英語はあくまで手段ですが、それなりのレベルで話せるようにならないと1ビジネスマンとして認められないのも事実です。 ビジネスレベルのライティングを身に着けている人は、帰国子女であっても案外少ないのが現状です。

効率よく身に着けたい方は、下記書籍を参考に勉強してみてもいいかと。 ビジネス&留学に使えるMBAの英語表現400 具体的にはこんなかんじのフレーズを多用します。

<詳しく説明してもらえますか> Would you please elaborate it?

<こういう問題については、まずあなたの側でちゃんと調べてほしい> Could you please investigate this kind of issue as much as you can at your side

<来週のステコミ(プロジェクト運営委員会)用の資料を添付して送るので、確認してください> Please kindly find attached document for next Steering Committee.

<今週がプロジェクトの佳境になります。みなさんの絶大なるパフォーマンスを期待していますね> As you all aware, this week is the highlight and climax of our project. I’m relying on your incredible performance for success of this project.

<この分析、完了までにだいたい1時間半欲しいですね> I will take roughly half an hour to complete this analysis.

Readingについては、リサーチとメールで必須となる能力です。 提案書やリサーチレポートをまとめる際に、リサーチソースや文献を漁らなければならない状況は多々あります。そこでダラダラと読んでいたらいつまでたっても仕事は終わりません。 事前にハイレベルな語彙力をつけて引っかかるところをなるべく少なくし、必要な情報のみを拾ってきてアウトプットに変換する作業が必要になります。

また、もちろんプロジェクトによりますが、飛び交うメールの量が膨大になる場合があります。 ToではなくCCではあるものの、めちゃくちゃ重要なメールが配信されていることもありました・・・

英語メールで助かるのは、結論がメールの最初に書かれていることが多いことです。そこで最初の一文を読んでどうでもよかったらスルー、重要そうだったらちゃんと読むというメリハリをつけて処理していかないと、メールチェックしているだけで1時間たっている・・・なんてことになってしまいます。 メールを書く際も、ダラダラ書いてしまうと読み飛ばされる可能性が高いので、なるべく簡潔に書きましょう。下記にいい例&悪い例を載せておきますね。

<簡潔なメールの例>

Title: Request:Attending a MTG in 04/05(Tue) at 14:00 PM

Dear John

Hello! I would like to ask you to attend a MTG in 04/05(Tue) at 14:00 PM, and minutes creation as well. Please kindly find attached document for the MTG detail. I will not attend it because I should join another meeting at the same timeslot. So sorry for bothering you.

Best regards,

Tanaka

<日本人がやりがちなダラダラメールの例>

Title: About a tele-conference Dear John Hello! We will have tele-conference in next Tuesday. It will last 1 hour, and be held in Japan. Sasaki-san will report about overall progress, and I will explain remaining todos of us. I planned to attend that, but I need to attend another meeting in the timeslot, so it is a little bit difficult. I understand that you have lots tasks now, but is it possible to attend the meeting on behalf of me? After that, would you mind reporting the result of it? Best regards, Tanaka

英語のMTGの議事録作成をしていたら朝までかかることもあった

SpeakingとListeningについては、社内でも社外でも最重要となる能力のひとつです。

日々の雑談、プレゼンテーション、MTG、議事録作成などなど聞いたり話したりする機会は枚挙に暇がありません。また、ここは何としても速攻でキャッチアップしないとだいぶ辛い思いをします。

私が最初にグローバルプロジェクトにアサインされたとき、いきなりシンガポールでのMTGの議事録取りを任されました。 本来であれば、議事録は会議の半分以下の時間で作成しなければいけないものです。そのMTGの時間は1時間程度だったため、かけてもよい工数は本来30分程度です。しかし、そのときの話についていくことができず、会議と並行して取ったメモも全然腹落ちせず取っていたため、30分で終わらせることは不可能でした。とはいえ、いつまでもそれにかかりきりになるわけにもいかないので、いったんそれは中断して他の仕事をしました。

そして、23時ごろに仕事を終えた後、ホテルで議事録作成再開です。幸運なことにiPhoneで会議の録音をしていたので、まずはそれを再生してみました。しかし、雑音は入っているしスピーカーの表情もわからない、また、サクサク理解することはできず、発言ごとに何回も巻き戻して再生し、意味を何とかとっていきながら文字に起こす以外に方法はありませんでした。

結局朝5時ごろまで単なる議事録作成に費やすことになり、しかも先輩に「半分ぐらいしか内容あってないね」というキツいフィードバックを貰うという、悪夢のような経験になってしまいました。

話すときも、中学生レベルの文法や単語、発音では相手にしてもらえません。 Writingで申し上げたことと同じになりますが、ネイティブにバカにされないレベルのスピードで話せるトレーニングすることが欠かせません。

非ネイティブだと正直あまりレベルが変わらないので問題ないのですが、ネイティブはすぐに「あ、こいつ英語話せないんだな」と気づき、下に見るようになります。

日本語がたどたどしい外国人のことを想像してみればわかりますが、「一生懸命頑張っていてかわいいな、応援してあげたいな」と思うかもしれませんが、ビジネスパートナーとして対等にディスカッションする気にはならないですよね。

あるとき、ニューヨークに3日ほど滞在し、クライアント(イギリス系アメリカ人)とディスカッションする機会がありました。 それまでの私の英語コミュニケーション経験は、フィリピン人やインド人など非ネイティブの人たちが主でした。彼らはもちろんアクセントに癖はあるものの、お互いネイティブではないことがわかっているので、そこまで爆速で話したりしないですし、こちらのアクセントやワードチョイスが少々おかしくても気分を害したりすることはないです。なので、そのときの私レベルの英語力でも、あまり不自由せずに仕事ができていました。

しかし、そのクライアントとの打ち合わせは、そう簡単にはいきませんでした。そもそも日本人というだけで下に見られ、かつ私の英語は非ネイティブとの会話の中で培った、お世辞にも洗練されているとは言えないものです。

こっちが一生懸命伝えようとしても「は?」という顔をされます。しかも、話すスピードも非ネイティブとは比較にならないほど速いのです。 なんとか必死に食らいついて必要なディスカッションはしたのですが、要所要所で海外MBAを取得しているマネージャの助けを借りなければならず、非常に情けない思いをしたことを覚えています。

海外のプロジェクトにアサインされるには?

どうやって身に着ける? もっとも効率が良いやり方は、「実際に海外に赴任して英語の海に溺れる」ことです。 現在メーカーや金融機関にお勤めの方であれば、積極的に海外赴任募集に応募したり、マネージャー以上のポジションの方にこっそり裏側からネゴったりするなどして、海外行きへの切符を手に入れることをおすすめします。

実際の仕事だと、「聞けない、書けない、しゃべれない」など言っていられなくなります。「は?」みたいな顔をされながらもガンガン書いて聞いて喋り、常により良い表現や発音を身につけるべく一つずつ改善していくことが一番の近道です。

とはいえ、いきなり海外赴任できるような状況にない人が大多数だと思います。 そういう方々におススメしたいのが、IELTSを勉強することです。 引用 IELTSは、イギリス、アメリカ、オーストラリアなど120カ国、約6,000の教育機関・国際機関・政府機関が採用し、年間140万人が受験する、世界的に認められた英語運用能力試験です。 アメリカでは、約3,000校の大学がIELTSを採用しています。

IELTSはSpeaking、Reading、Writing、Listeningと英語の総合力が問われるテストで、難易度はだいぶ高いです。その分、このテストでちゃんとスコアを取ることができれば、実際の英語力も相当高いということができます。

戦略コンサルタントになりたいと考えている皆様の多くは、将来的にMBAの取得も考えられているのではないでしょうか。その場合も、IELTSで高いスコアを持っていれば、その際の準備が楽になります。 IELTSで頻出の難易度が高い単語を覚え、短い時間でたくさんの文章を読むクセを付け、流暢かつ正確な文法で話せるようになれば、普段の仕事で使う英語のレベルもどんどん上がっていきます。 TOEICの勉強に時間を費やすよりも、だいぶ楽しいですし効果もお墨付きです。

※ちなみに、IELTSの勉強をしっかりやって点数を取れれば、TOEICも簡単に800後半から900中盤ぐらいまでは取得可能です。 ちょっと勉強に疲れたな・・・というときは、好きな映画やアニメを英語でみるというのが非常に効果的です。好きなものなのでリフレッシュにもなりますし、リスニングの訓練にもなります。

できれば、ただ聞くだけではなく、スクリプトを手に入れたうえでシャドーイングしてみてもいいでしょう。同じスピード、イントネーションで話す癖がつき、ホンモノの英語らしい話し方が身に付きます。

今までご説明したことをまとめますと下記になります。 * 実際のビジネス現場では、Writing、Reading、Listening、Speakingすべてにおいて高度な英語力が必要とされる。 * 実践的な英語力をつけるためには、社内で根回しして海外赴任させてもらうことがベスト。難しければ、将来のMBA留学等をモチベーションにIELTSに取り組み、ビジネスの現場に堪えうる英語力をつける。

以上、参考になりましたら幸いです。 頑張ってください。

おわりに

いかがでしたでしょうか? コンサルティングファームで求められる英語力はある程度高いことがわかったのではないでしょうか。しかし、働きながら身に着けている方も多く、実際にその求められるレベル感を体感することが重要になってくるのではないでしょうか。

コラム作成者
Liiga編集部
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