はじめに
今回インタビューを実施したのは、総合コンサルティングファームから、別の総合コンサルティングファームへ転職したLiiga会員の方です。
学生時代からPEファンドへの入社を目標として掲げ、そのためのキャリアを歩まれています。今回の転職活動では、競合他社に転職されたように見えますが、どのような理由で転職を決意されたのでしょうか。
ぜひ、ご覧ください。
学生時代からのPEファンドへの想い。キャリアを逆算して考える
- 新卒では総合コンサルティングファームに入社されたと伺っています。当時からコンサルティングファームを志望していらしたのでしょうか。
そうですね。新卒では、特に総合系のコンサルティングファームを中心に就職活動を行っていました。
- 総合系のコンサルティングファームに絞られていたのですね。戦略、ITなど様々なファームが増えている中で、総合系のファームに絞られていた理由はありますか。
戦略コンサルティングファームで戦略の策定だけを行うのではなく、策定した戦略の実行まで携わりたいと思っていたことが最も大きい理由です。
実は私は大学時代にファンド経営者の講義を受講したことがきっかけで将来的にPEファンドへ入社したいという気持ちがあり、その気持ちを元にキャリアを考えています。
PEファンドではもちろん戦略的な思考も必要となってくるのですが、それと同時に投資先に入り込んで経営戦略を実行することまで求められるので、その働き方に近いようなファームで働きたいと思っていました。
そのため学生時代から、戦略の実行まで関われて、現場になるべく近い距離で仕事を行えるであろう総合コンサルティングファームに入社したいなと考えていたのです。
- 学生時代からPEファンドへ行くためのキャリアを逆算して歩まれているのですね。
そうですね。新卒で前職のコンサルティングファームに入社したのは、ファーム自体が出来たてで半年で昇格のタイミングがあったことが魅力でした。ここであれば「早く上に昇進できるかもな」と思って就職したのです。
- なるほど。PEファンドへ行くために入社されたコンサルティングファームですが、どのような案件に携わられていたのでしょうか。
最初にアサインされたのはシステム関連の案件でした。具体的には、通販会社のECサイトの要件定義からシステムの開発まで行うという案件です。大規模なプロジェクトだったので2年ほど同じ案件を担当することになりましたね。
転職のきっかけは「気に入られてしまった」から
- 実際に総合コンサルティングファームへ入社されて、戦略を実行する経験は得られたのでしょうか。
クライアントと近い距離で仕事をできていたので「実際に描かれた戦略を実行する」という想いも実現できていたのですが、当時のクライアントやチームのメンバーに気に入られてしまってなかなか他の案件を担当することができなかったんですよね。
本当は、色々な案件に携わりたいと思っていて、何度か他のプロジェクトへのアサインをお願いしたのですが、希望もかないませんでした。「これは転職するしかないな」と思い、システムの導入が終了するタイミングで転職を決意したのです。
- なるほど。ご自身のケースのように1つの案件に長く携わることは多いのでしょうか。
いえ、それは人によると思います。
私が在籍していたファームの場合、若手はプールというユニットに配属され、特定の領域に限定せず、幅広い領域のプロジェクトを担当することになりますが、一旦そのチームの方々に気に入られて、結局その方々に引き留められてしまいました。
やはり他の若手を連れてくるより、私が継続して案件を担当した方が、ノウハウも知っているし1から育てなくてもいい、かつだいたい使えることはわかっている、、というような理由でアサインされてしまったのです。
M&Aのディールの一連の業務に携われる仕事へ
- 転職活動は、どのように進めていかれたのでしょうか。
当時も、PEファンドへ転職することから逆算して、M&Aなどの経営戦略を担えること、そしてその戦略の実行まで担えるコンサルティングファームに転職したいと思っていました。
特に前職ではシステム系の案件しか携わることができなかったため、やはり経営戦略の策定を担える環境に転職することへのこだわりはありましたね。
現在は他の総合系コンサルティングファームに転職し、M&Aのアドバイザリーを主とするユニットで働いています。そこではM&Aに係る戦略策定から、実際のディールの実行までを支援しています。
- なるほど。M&A関連のコンサルティングであれば、ファイナンシャリーアドバイザリーサービス(FAS)なども検討できるかと思ったのですが。
おっしゃる通りです。ただ、私はM&Aのディールの一連の業務を担いたいと思っていたことから現在のファームへ転職することを決意しました。
FAS系のコンサルティングファームはM&Aのディールの中で、ポイントポイントで仕事の依頼が来るのですが、一気通貫してそのディールに携われるケースはあまり多くはありません。
一方、現職のコンサルティングファームは一気通貫してM&Aのプロジェクトに携わることができると思ったのです。
- 前職ではシステム系の案件に携われていらしたということですが、今回の転職活動において、選考でM&Aの知識や経験は問われなかったのでしょうか。
意外にもあまり問われることはありませんでした。
基本的には人間的におかしくないか、という点を見られていのではないでしょうか。その他は地頭の良さなどを見られていましたね。
- コンサルタントとしての働き方を理解されているのも大きかったのですね。
そうですね。M&Aは非常に忙しい仕事なので、そこにもついていけるメンタルや働き方を知っているか、という点は見られていたと思います。
- 面接ではどのようなことを質問されましたか。
今までどのような仕事に携わってきたか、M&Aの部署で何をやりたいのか、などの過去の経験と自分が取り組みたいことなどのベーシックな質問があり、その後はケース面接でした。
ケース面接に関しては、「今まで携わったクライアントがM&Aを実行するとしたら、どういう会社にどういうアプローチを行うと思いますか」というM&Aに絡めた質問をされましたね。
正直、前職に経験していたプロジェクトは1つしかないので、どうしようかな、、と思っていましたが(笑)。
ただ、今回のケース面接の問題を含めて想定される質問の内容はある程度人材エージェントから聞いていたので、事前に対策は行っていました。ほとんどが想定の範囲内の質問だったため、特徴的な質問も特になかったと記憶しています。
ITコンサルタントもM&Aコンサルタントも求められるマインドセットは同じ
- 現在はどのような仕事をご担当されているのでしょうか。
今は日系企業の子会社の売却の戦略策定と実行を行っています。現職に転職してきてから1年程度になりますが、担当したプロジェクトは現在の案件で4つ目になります。
- M&Aのアドバイザリー業務に求められると言われるバリュエーションなどは前職では経験されていらっしゃらないかと思います。専門的な知識は研修などで習得されるのでしょうか。
そうですね。研修などで勉強することも可能ですし、独学で勉強することもできなくはありません。私は大学時代に財務関係のゼミに所属していたので、当時のベースもあり、理解することができました。
- 必要な知識は研修などを通じて習得されるのですね。前職のシステム系の案件を担当されていた際と現在のM&Aの案件を担当されている時では、働き方に違いはありますか。
拘束時間は変わらないのですが、働き方は前職と全く違いますね。
具体的にはシステム系の案件を担当していた際はコーディングや要件定義の仕事を担当していましたが、現在のM&Aの案件では、数値を見ながら、全体の売上に対してどれくらいのインパクトがあるのか、ということを考えます。その上で実際に買収側、もしくは売却側との交渉があるので仕事の内容としては全然異なってくる印象です。
- 働き方が変われば、求められるスキルやマインドセットも変わってくるのでしょうか。
求められるマインドセットについては前職と変わらないと思います。
結局は「今仕事を進める上で、何が必要で、何をしなければならないのか、それに対してどういうアプロ―チがあって、どのように解決しなければならないのか」というコンサルタントとしての基本的な考え方のアプローチが求められるからです。
しかし、求められるスキルは全く異なります。現職のM&Aの案件はファイナンスの知識が求められる上、取引先の方々とうまく関係を構築しなければいけません。例えば現在は売却の案件を担当していますが、売られる側の会社の方々とうまく関係を構築していかなければディールが全く進まなくなることを実感しています。
- 関係性によってディールが進まなくなる、ということですね。具体的にどのような状況なのでしょう。