「前職は興味がない。ベンチャーでもMBBは入れる」ー私はこうして戦略コンサルのトップティアに転職した
2019/07/11
#戦略コンサルへの転職体験記

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はじめに

転職に成功した方々に経験を語って頂く「転職体験記」シリーズ、今回は戦略コンサルティング業界です。社会人3,4年目に、事業会社からMBB(マッキンゼー・BCG・ベインの戦略コンサルトップ3社のどこか)に転職したAさんから、転職成功のポイントと、MBBに入社できる方の共通点や見られているポイントについてお聞きしました。 ぜひご覧ください。

 【目次】
・見ているのは地頭が全て。正しい解答を出せればいい
・「落ちる可能性が1ミリもない状態」までケース練習すべき
・MBBは想定以上にハイレベルなケースだった

見ているのは地頭が全て。正しい解答を出せればいい

ーー中途で戦略コンサルへの転職活動を行い、MBBに入社されたと伺いしました。なぜ戦略コンサルに転職したいと考えたのでしょうか?

経営の視座の解像度を高めたかったというのが理由です。当時は事業会社にいたのですが、経営の全体像が分かりませんでした。LinkedInやエージェントの話を聞きながら経営に入れるキャリアパスを色々比較検討してみましたが、戦略コンサルがベターだと考えました。

ーー各ファームはどのような採用ルートで受けたのでしょうか?

エージェント経由です。15社以上のエージェントの話を一通り聞きましたが、先輩が務めていた転職エージェントが一番信頼できたので、そのエージェントをメインにしていました。

ーー15社にお会いしたというのはすごいですね。

15社といっても、ほとんどの会社は電話で一度話すぐらいです。エージェントからは直接会ってほしいとよく言われますが、会ってもあまり変わりませんので(笑)。10分だけ電話で話して、求人案件だけもらうことがメインです。転職活動は求人案件リストの「ソーシング」が大事です。転職した後も、ソーシングは細々と続けていますよ。

ーーファームに中途入社で入った方の出身などには、傾向はありますか?

中途入社者の前職は、様々ですね。強いて言うと事業会社の経営企画出身の方が比較的多いでしょうか。なぜかというと、顧客として話す相手は経営陣や経営企画の担当役員などがメインなのですが、経営企画出身者は元々彼らと一緒に仕事をしていたので、業務に入るのがスムーズだからです。経営企画として、中長期計画や、会社全体のオペレーション企画や、M&Aなどの業務に従事していましたから、バリューも出やすいのだと思います。

ただ、経営企画出身だけでなく、会計士や、証券、ベンチャーなど、基本的に前職の出身は様々です。

ーー経営企画は理解できますが、ベンチャーからも入れるのですか。ベンチャーといっても創業メンバーや内部で出世されていた方でしょうか?

いえ、そういう訳ではありません。前職の経験は全く関係ありません。地頭が良いかどうかが全てであり、前職で何をしていたかは興味を持たれないんです。正しい回答を出せればいいだけなので。

ーーそうなんですね。他の戦略ファームでは、業界知識や専門知識が優位に働くファームもあると耳にしましたが。

確かに、例えばアクセンチュアなどインダストリー毎に担当が細分化されているファームや、ADLなどインダストリーに特化していることを強みにしているファームだと、選考に知識で勝負できるかもしれませんね。

ただ私たちの場合、そうではありません。よく私たちは「戦略コンサルティング」という呼ばれ方をされますが、社内では「マネジメントコンサルティング」という言い方をしています。この言葉の意味は、「経営陣(マネジメント)に対するアドバザイリー」、すなわち経営陣に対していかにバリューを出せるかがポイントなのです。

経営陣が解決したいトップマネジメントイシューに対して戦略的オプションを提示し、そして各戦略オプションのインパクトの数値的証明と、どの判断がよいと思うかという考えをセットで用意することで、経営陣が「意思決定できるよう」サポートする、というのが仕事になります。

そのため、採用判断において純粋に地頭がよいか否かが評価の比重としてとても大きくなります。

「落ちる可能性が一ミリもない状態」までケース練習すべき

ーーそれでは選考対策についてお伺いします。各ファームを受けるまでに、どのような準備をされましたか?

まず、新卒の時のレベルまでケース面接対策のレベルを戻すことを意識しましたな。なぜかというと、実は新卒の時にケース面接対策をしていて、その時に戦略コンサルのジョブに進めることができていたからです。つまり、今より新卒の時の方ができていたのです。

具体的な対策内容としては、まず新聞を読み、取り上げられている記事を題材にケースを設定し、どう分析し答えを導くか、毎日練習をしていました。

ケースの題材を決めた後、中でもどのプレイヤー(事業者)が直面しているケースとするか主語を決めます。そして、その企業が直面している経営課題において、分解するとどういうドライバーがあり、そのドライバーに対しどのような戦略オプションがあり、比較検討した結果どのオプションがベストと導かれるか、などと考えをまとめる作業を進めます。

色んな分野でやっていましたね。2か月くらい毎日行っていました。

他にもセミナーで会った人と、終了後や後日お茶をしながらケースを出し合い対策したり、あと友達と会ったときにケースを出してもらい議論したりしていました。

ーー2か月間毎日ケースを出して対策するとは、かなり準備されたのですね

むしろ、それくらいでないと厳しいと思います。ケース面接対策が肝ですので。「ケース面接に実際に行った瞬間は、落ちる可能性が1ミリもないという状態」にすることが必要だと思います。私は常に面接では、それぐらいの気持ちで準備するようにしています。

ーー筆記対策はされなかったのですか?

筆記対策はしていません。あの問題で対策が必要なレベルの方はまず入社できないです。そもそも受けるのをやめたほうがいいと思います。

ーーなるほど。転職活動本番では、どのファームを併願されたのですか。

まずサードティアあたりを練習に受けた後に、トップティア(MBB)を中心に受けました。かけられる時間の関係もあり、全ての戦略ファームを同時に受けることはできないため、絞って受けました。

実際、内定を得る方はトップティア(MBB)だけ受けたという人が多いのです。基本的に内定が出る人は、MBBの複数社からオファーをもらえるレベルの人です。入社者の半数はMBB複数社のオファーを受けているイメージです。

ーー内定を得たMBBの選考フローについて教えていただけますでしょうか?

私の場合は、筆記試験を終えたのちに、個人面接(ケース面接と通常面接)を6人と行いました。通常の場合でも、3~5回程度は個人面接があるのではないでしょうか。私の場合、英語のケース面接もあり驚きました。

ーー英語でケース面接ですか

はい、面接官の方は海外出身の方だったと思うのですが、ケースのレベルも高く、難易度がかなり高かったです。30分くらい受けたと思うのですが、かなり冷や汗をかきました。

MBBは想定以上にハイレベルなケースだった

ーーケース面接は、受ける前にイメージしていたものと比べて、実際はどうでしたか?

MBBでは想定より実践的なケースが出ましたね。ハイレベルなケースでした。

例えば私の場合のケースでは、「XXという業界があります。この業界の業界構造はXXで、主要プレイヤーはXXで、君の会社は業界2位のポジションにいて、こういう変革が求められている。このような状況に対して、どういう戦略オプションをとりますか?」といった内容が出ました。

ーーかなり実際の案件に近い内容ですね。初めて知ることになるケースも多いのではないかと思います。

そうです。そして私も面接官をしていたことがありますが、このようなケースに対しては、知っている知らないを問わず、答えを出すという姿勢を出すことが大事です。そして、筋の良い回答を出し続けられることも求められます。

ケース面接では、このようなケースに対し30~40分間、面接官と議論を共にして答えをだすことになります。一緒に問題解決を行っていく過程で、同じような思考スピードで効率よく進められそうか、と面接官にいかに思わせられるかがポイントだと思います。

面接におけるケースは、実は面接官は事前に用意されているテンプレートを使ってもいいですし、面接官の即興で出してもよいのですが、見られているポイントは一緒です。

ーーケース面接では他にもどのような要素が見られていると感じましたか。

加えて、計算精度の高さや計算スピードの速さもかなり求められていますね。戦略コンサルタントの仕事は数字を出す場面が多くある仕事なので、数字のセンスは、実際に採用基準として明確にあります。市場規模などを試算するときに桁が間違っているとまず話になりません。

実際の案件でも、例えば市場規模の試算において前後10%以上のズレは認められないのです。それくらいしかズレは許せない。なぜかというと、顧客に信頼されなくなるからです。私たちはとにかくフィーが高いのです。フィーに見合う価値を出すには、圧倒的に頭が良いと思わせないといけません。普通の人ができない計算スピードを示す必要があります。

そして計算精度も、かなりの粒度で求める姿勢・興味・速さが必要です。利益率が本当に5%なのか7%なのか9%なのか・・・。経営的な意思決定をする際には、各戦略オプションがMeasurableであることは不可欠です。だからこの能力は必要なのです。

ーー社員の方々はどなたも計算スピードが速そうですね。

私も計算の速さには自信がある方なのですが、入社してからこのファームでは誰もが圧倒的に速いなと感じましたね。後からこの速さは中々トレーニングできないです。癖みたいな感じがします。私立の中学受験だと計算力を問うような問題が出ると思うのですが、入るにはそういうものを経験していることがバックグラウンドで必要ではないかと思います。 戦略コンサルの中でもMBBを目指されている方は、計算力も含めた地頭力を鍛えられるとよいと思います。

コラム作成者
Liiga編集部
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