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ハーバードMBA留学記(1):世界一ハードな経営幹部養成学校の内幕

date_range 2019-08-19

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ボストンを流れるチャールズ川。ボートを漕ぐ学生達や、散歩をする夫婦やカップルの長閑な風景が部屋の窓から見える。それとは対照的だった私の怒涛の1年間を振り返りながら、残す1年間のあいだに何回かの連載をさせていただこうと思います。知名度こそあるハーバード・ビジネス・スクール(以下、HBS)、しかしその実態はなかなか知られていないのではないでしょうか。今回頂きました機会をお借りして、実体験を基に学校のこと、学生のこと、キャリアのこと、などなど私なりの目線と言葉でお伝えしていければと筆を執った次第です。どうぞお付き合いください。

〈Profile〉
才木貞治(さいき・さだはる)
京都大学卒。大手広告会社の東京本社に入社後、6年間営業を担当。その後、3年間インド・バンガロールに赴任を経験。現在はHBSにてMBA取得を目指し奮闘中。ソーシャルインパクトとアフリカビジネスに想いを馳せる、おっさん思春期真っ只中の30代。

インドでMBA受験。停電・ノーエアコンで獲得した、HBSへの切符

10年ほど前、私はクリエーティブな仕事に関心があり広告代理店へ新卒で入社しました。そして社会人5年目のある時 、本当にやりたかったことはなにかを自分自身に問い直す機会を得ます。たどり着いたのは、ビジネスで世界を舞台に「ソーシャルインパクトのために闘っていきたい」という強い思いであり覚悟でした。広告やコミュニケーションの枠を越えビジネス全般の「体系的知識と実力」をつけたいと考えた私は、MBA留学を決意します。

固い決意を胸に受験勉強をはじめて数か月後、インド赴任の話が舞い込みます。インドは21世紀において、絶対に無視できない大国であり、今後世界経済やビジネスの中心となっていく国であろう、という認識のもと、インドに行ってからもMBA留学受験は続けることを誓いつつ、転勤を受け入れました。インドでは多くの素晴らしいインド人や日本人の友人との出会いが待っていました。

今でこそ「インドに行ってよかった」と思えますが、正直インドでのMBA受験には苦しめられました。例えばGMAT試験途中の停電、そしてクーラーがないTOEFL会場。日本での受験では、カウンセラーや塾を通じて周りに鼓舞し合える受験仲間がいることが支えにもなるようですが、私の場合はかなり孤独な闘いでした。幸い、結果的には3校から合格の通知を受け取り、悩んだ末にHBSを選びました。

迷っていた時、各校の在校生や卒業生何人かに話を聞きました。HBS在校生や卒業生の感想はいずれも、「世界で一番キツいかもしれない。でも、入って後悔はしない」など、強烈な体験を期待させるものばかりでした。そして、卒業後も「HBS MBAという肩書」や「現在の自分」に満足せず常にチャレンジし成長し続けている彼らの姿が印象的だったことから、「自分もそうなりたい」と思い決断を下しました。 description

HBSの図書館「Baker Library」(筆者提供画像)

スマホ・PCは一切禁止?!自らの思考体力の限界に挑み続けるケースメソッド

HBSは、ボストンにあるハーバード大学附属のビジネススクールです。1908年に世界初のMBAプログラムとして設立されました。1学年の人数は、たとえば私の所属するClass of 2020で930人。2年制のため、計1800人以上がハーバード大学の学部キャンパスとチャールズ川を隔てたHBS専用キャンパスで学んでいます。

1年目はRC(Required Curriculum)、つまり「必修課程」で行われ、2セメスターにわたり全930人が同じ科目、同じ授業内容を履修します。授業は「Section」と呼ばれる90人前後のクラスに分かれて行われます。同じSectionに所属する「Section mates」たちとは、1年間毎日顔を合わせ、日々議論を戦わせるいわば「同じ釜の飯を食う」仲間のような存在になります。敢えて「日々学ぶ」ではなく「日々議論を戦わせる」とした理由は、HBSにとっての誇りであり最大の特色でもある「ケースメソッド」という授業形式にあります。

ケースメソッドは、「ケース」と言われる特定企業が実際に直面した課題が10ページ前後(付帯する図表(Exhibits)も含めると20-30ページになる場合も)と、それに付随する設問が授業ごとにあてがわれ、学生はその「ケース」を事前に読み設問への自分なりの回答を用意した上で、基本的にディスカッション形式で多様なバックグラウンドを持つSection mates90人前後がそれぞれ自分なりの意見を戦わせつつ授業を進めるものです。

したがって、教授の役割は学生からの「学び合い」を引き出していくファシリテーションが主となります。他のMBAでは、レクチャー形式やグループでのプロジェクト形式とケースメソッドが併存する混成カリキュラムが多いのですが、HBSのRCではFIELDというグループプロジェクトで行う一科目を除き、すべてケースメソッドになります。

2年生にあたるEC(Elective Curriculum)に進級し、選択科目を自分で選べるようになると、グループプロジェクト形式の授業や教授と直接行う日本でいうゼミ形式のような科目も増えますが、それでもそれら一部の科目以外は基本的にケースメソッドです。

ケースメソッドを主軸とするHBSは、そのルールや評価方法も特徴的です。まず、パソコンや携帯電話の授業中の使用は一切禁止。授業中は、筆記用具とケース冊子、自分で事前に用意したメモなどのハードコピーのみが使用可とされます。また、成績はたいていの科目が「Class Participation」と「Exam」が半々でスコアされ、所属するSection内で相対評価されます。

「Class Participation」とはつまり、授業中の発言頻度と内容です。各授業では「Scribe」と言われる職員がラップトップを開いて「誰がどんな発言をしたか」ということを書記していきます。教授はそれを参考に、誰がどのぐらいの頻度でどんなクオリティの発言をしたかを把握し、成績をつけていきます。

一方、もう半分を占める「Exam」もケースメソッドがあるHBSならではの「その場で出されたケースを読み、回答を論文形式で書く」という形をとることが多くあります。すなわち、今までセメスターを通じて日々繰り返し行ってきた、「ケースを読み、自分のポジションを取り、論理立てて発言をする」という作業のアウトプットの部分が「発言」ではなく「エッセイライティング」として問われるわけです。 description

キャンパス内の広場(筆者提供画像)

得られるのは「精神的筋力」と「未来のリーダー人脈」

HBSでの2年間は「Transformative(自らに変化・変革をもたらす)」な2年間になると謳われています。ビジネススクールには大きく、Academic(お勉強)とSocial(社交・ネットワーキング)の2つのメリットがあります。

Academicの面では、HBSは前述の通り、1年間2セメスターにわたる長い必修課程、ケースメソッドで行われる学生の発言をベースにした授業、Class Participationが比重を占める相対評価式の成績評価などといった特色から、「実際のビジネスと同様で決まった答えのない教材を与えられ、それでも常に自分ならどうするかを考え、ポジションを取り、それを世界各国から集まった仲間の前で発言せねば卒業できない」というまさに「体育会系ビジネススクール」です。

英語がネイティブではないInternational Studentsは言うまでもなく、英語がネイティブの学生にとっても、約90名の前で自分の考えを発信するという、まるで国際会議のような「非日常」が「日常」となるため、国際的に活躍するビジネスパーソンとして必要な「精神的筋力」のようなものを鍛え活性化できるという意味で、Transformationが期待できます。

一方で、HBSは前述の通り1学年900人を超えるマンモス校なので、世界中から集まる様々な未来のビジネスリーダー達と繋がることができ、「Social」としても大変魅力的な学校です。また、卒業すれば世界最古のビジネススクールの広大なAlumniネットワークへのアクセスも得ることができます。

もし読者の方がバイリンガルで、大学時代に経済学や経営学を専攻し、現在外資系コンサルや投資銀行で慣らしている方ならば、Academic面での新たな学びは少ないかもしれません。それでも、Social面だけでも得られるものは非常に大きいと思います(当然、高額の学費や2年間というOpportunity Costも考慮して考える必要がありますが)。 description

Baker Libraryの内部(筆者提供画像)

純ジャパこそMBA!!多様性の時代を作るビジネスリーダーを目指して

私は、英語が母国語でなく、職歴も学生のマジョリティを占めるいわゆるTraditionalなものではないような「今までのマイノリティ」にこそ、MBAにトライしてほしいと思っています。それはHBSのみならず多くのMBAプログラムが昨今謳っている「Diversity」は本当の意味でまだまだ実現できていないと思うからです。

アメリカを中心にトップビジネススクールの卒業生たちは、世界のビジネス界のStatus Quoの一翼を担ってきました。しかし、特に2007年-2008年の世界金融危機以降、そのStatus Quoは揺らいできています。

私はこれからの時代のキーワードは、「Converge(収束)よりもDiverge(発散)」の時代だと考えております。ビジネスは本来、さまざまな制約と責任の前提の上で、「やったもん勝ち」であり、とても自由でとてもインパクトフルなものだと理解しております。なので、本来ビジネスに「個性」や「違い」はあれど、「優劣」はあるべきでないと考えております。

したがって、「従来的なビジネスエリートのレールのようなもの」からいかに離れ、優秀な人材の、仕事やビジネスとの関わり方をいかにDiversifyさせていくかが重要であり、それこそがビジネススクールの使命の一つだと思っています。私がMBA留学を志した一番大きな理由はビジネスを通じてSocial Impactを生み出したいからなのですが、昨今のトレンドとして見られる事業や投資におけるFinancial Impact志向からSocial Impact志向へのシフトもこのDiversificationの流れの一例だと思っています。

HBSのMissionは“educate leaders who make a difference in the world”。意志ある人は、どんなバックグラウンドでも、HBSで学ぶ権利があるはず。そんなマイノリティHBS生の綴る本連載で、少しでも読者の方々の仕事や人生がユニークで個性豊かなものとなり、この世界が本当の意味でDiversity溢れるものになることを願って、精一杯書かせて頂きます。

次回は初年度最も苦労した言語とバックグラウンドの壁について書こうと思います。


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