戦略コンサル現役社員に聞く!「コンサルティングファームでパートナーになるまでのロードマップ」
2019/09/03
#戦略コンサルの仕事内容
#戦略コンサルで最速マネージャーになる

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はじめに

Liigaの読者の中には、若手戦略コンサルタントの方や、現在戦略コンサルタントを目指している方も多いと思います。

入社年次に関わらず、実力次第でスピーディーにポジションが上がる戦略コンサルティング業界に期待する一方で、「生き残ることができるのか?」「昇進できるのか?」と不安を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、大手メーカーから外資系戦略コンサルティングファームに転職したBさんに、「戦略コンサルタントの職位ごとの役割・仕事の違い」や、「プリンシパルやパートナーへの昇進プロセス・評価ポイント」を伺いました。

マネージャーとプリンシパルの違いは、担当するケース数

ーーまず、今までの御経歴をお聞かせください。

新卒で大手メーカーに入社し、その後半年間海外留学を経験し、帰国後に外資系戦略コンサルティングファームに中途入社しました。現在入社して3~4年になります。大手メーカーから戦略コンサルに転職した理由は色々ありますが、キャリアの幅を広げたいと考えて転職しました。また、ビジネスの上流に携わることができる点も、戦略コンサルタントに魅力を感じた理由の一つです。

ーー現在はどのような案件に従事されているのでしょうか。

前半は幅広く様々な業界を担当していましたが、後半からは自動車業界をメインに担当しています。案件としては、私は業務効率化やコスト改善のテーマが多いです。

具体例を挙げると、全社的なホワイトカラーの業務改革などのプロジェクトを推進しています。プロジェクトについてもう少し詳細をお話しすると、まず企画・人事・財務・広報などのバックオフィスの人員数を10%削減する、というような目標数を設定します。そして削減した人員は、新規事業などプロフィットサイドに配置転換を行うのです。このようなことを企図したプロジェクトを推進しています。

ーー戦略ファームの場合、職位やキャリアパスは一般的にどのようなものがありますでしょうか。

一般的には下記のように数段階あります。

アナリスト

アソシエイト

コンサルタント

マネージャー

プリンシパル

パートナー

シニアパートナー

上記の職位を一つ一つ出世していくキャリアパスが一般的だと思います。新卒の場合はアナリストから入社し、中途の場合は通常アソシエイトに入社することになります。私は中途入社でアソシエイトから入社し、現在の職位はコンサルタントになります。

ーー各プロジェクトにおいて、アサインされたコンサルタントはどのように役割分担をしているか教えていただけないでしょうか。

各自の役割はアサインされたプロジェクトの中で決定されます。プロジェクトにアサインされるメンバーの組み合わせとしては、

  • パートナー:1名
  • マネージャー~プリンシパル:1名
  • コンサルタント~アソシエイト:3~4名

という組み合わせが一般的です。

ーー各ポジションごとに役割や仕事は、どのように違うのでしょうか。

まずパートナーは、プロジェクトの最終責任者として、全体の管轄を担います。同時にいわゆる「営業」が仕事です。営業をかけ3~5個のプロジェクトを獲得しつつ、獲得したプロジェクトの最終責任者として推進することが仕事です。

そしてマネージャーかプリンシパルが、プロジェクトを実際に運営する「ケースリーダー」の役割を担います。マネージャーとプリンシパルの違いは、「担当するケース(案件)の数」です。マネージャーは1個のケースを担当しているのに対して、プリンシパルは通常2~3個のケースを担当しています。

1つのプロジェクトには、ケースリーダーの下に3~4人のメンバーがアサインされるのですが、ポジションによって担当するモジュール(課題)が分かれます。

つまり、コンサルタントとアソシエイトの違いは、仕事内容のモジュールの大きさです。アソシエイトはコンサルタントよりも、比較的小さなモジュールを担当していきます。

例えば、2人のコンサルタントと2人のアソシエイトがいて、30グループのヒアリングを主導するようなモジュールがあったとします。その場合の役割分担は、アソシエイトの役割はヒアリングを1件1件全て行うこと、コンサルタントの役割はアソシエイトのヒアリング結果をとりまとめ、顧客の課題ととるべき戦略を導出することです。このように、職位により仕事内容が変わります。

マネージャー以上で、「勤務時間リミッター」が外れてしまう!

ーーファームによってはマネージャーより上の職位への昇進が難関と耳にしたことがあります。プリンシパルには何%の人がなるでしょうか。

プリンシパルまでは、なろうとしてなれなかった人よりも、自ら出世の道を選ばなかった人の方がとても多いと思います。

なぜなら、職位が上がるほど業務量が多くなり忙しくなるからです。プリンシパルまで上がらなかった理由の80%は、プリンシパルになる前に、単純に疲れて辞めてしまったり、別にやりたいことが生まれて転職してしまうからではないでしょうか。残り20%だけが実力不足だと思います。

ーー実力不足が理由でなれなかった人はむしろ少ないのですね。どのような要件を満たすとプリンシパルに昇進できるのでしょうか。

様々なタイプのプリンシパルがいますが、やはりインテレクチュアル(知性)が優れているのは当然ですね。その上で「クライアントにフォーカス」できるかがプリンシパルになるためのポイントです。つまり、頭が良いだけではなく、人として顧客をマネジメントができる。そして、クライアントとのインタラクションを成功させている人がプリンシパルに多いと思います。

昇進プロセスについては、実はリアルな話でいうとパートナーが出世させるかの権利を持っています。パートナー全員でケースごとにマネージャーを評価する会議を行い、昇進を決定しているのです。つまり、「パートナーに与えられたケースロールを果たせるかどうか」「いかにプロジェクトで結果を出すか」、が昇進に重要だということですね。

ーー自分の上司となるパートナーによって出世の違いはありますか。

多少はあるかもしれませんが、大きな違いはないと思います。共通して「パートナーと円滑に仕事が出来る人」が出世していくと思います。逆に手がかかる人は出世できません。パートナーが案件を回したいときに真っ先に呼ばれるコンサルタントになれば、出世しやすくなります。

ーー通常新卒で入社してからプリンシパルになるまでには、どれぐらいの期間が必要でしょうか。最短では何年程度でなれますか。

新卒入社の場合、入社3年程度でコンサルタント、入社6年程度でマネージャー、入社9~10年程度でプリンシパルになるのではないでしょうか。

一番早い人だと、入社4年程度でマネージャー、入社6~7年程度でプリンシパルですね。これは本当に最速の場合です。会社に1人いるかどうかのレベルです。

ーー先ほど、「昇進するほど忙しい」という話がありましたが、プリンシパルの日々の業務はどのような感じなのでしょうか。

基本、マネージャー以上の職位の方は土日も仕事をすることが前提の業務になります。なぜなら働き方改革の影響で、現在はコンサルタント以下の職位の方は夜遅くまで働くことは控えているからです。一方でマネージャー以上の職位になると管理監督者になるので、勤務時間に実質制限が無くなります。だから、マネージャー以上になるほど忙しいのです。

そのような理由から、「プリンシパルになる前に疲れて転職」をする方が多いのです。転職は引く手あまたですし。マネージャーからの転職先として多いのは、他の外資系企業の部長や、スタートアップや上場を控えている企業のCXO・幹部クラスですね。

パートナーはプリンシパルから4ー5年。経営層と昵懇になれるかがキー

ーーパートナーになれる人の特徴はありますか。

プリンシパルの中でも、「直接経営者に対して、経営層レベルの課題を議論をできる人」ですね。

つまり、自力でケースを回し、かつ経営層とのコミュニケ―ション能力が高く、顧客に「この人になら、我が社を任せられる」と思っていただける人がパートナーに出世します。

パートナーへの昇進の会議は半年に一度あり、最終的にはグローバル本社がこの人をパートナーにあげてよいか確認しジャッジします。パートナーは会社の顔となる人です。そのため、話し合いで複合的に評価しているのです。

ーープリンシパルからパートナーになるにはどれぐらいかかりますか。

実は、パートナーになるのに早い遅いはありません。

パートナーはなれる人自体が相当少なく、なれたとしてもプリンシパルから4~5年はかかります。なぜなら、パートナーは求められるスキルレベルが高く、多くの経験を積む必要があるからです。

パートナーは特定の業界の営業担当になります。全く知らない企業に営業をかけるよりも、経営層との関係性が近いと売り込みをかけやすくなりますよね。だから、パートナーになるためには、事前に特定業界の経営層と深い関係性を構築してある必要があります。だから、通常はプリンシパルからパートナーに昇進するには少し時間がかかるのです。

ーーパートナーの人数は各ファームに何人ぐらいいるものでしょうか。

仮に100人規模のファームがあった場合、下記のような人数構成になると思います。

  • パートナー:6~7人
  • プリンシパル/マネージャー:15~20人
  • コンサルタント以下:73~79人

つまり、ファームの中で15人に1人位がパートナーになる計算ですね。また、パートナーの中で、新卒入社からストレートに昇進しパートナーになった方は1~2人位になるのではないでしょうか。約80%のパートナーの方は中途入社組だと思います。

なぜなら、パートナーになると自分のクライアントを持っているかどうかが重要だからです。例えば、自社がヘルスケア業界の案件はまだ少なかった場合、他社でヘルスケア業界の案件を持っている人がいたから、その人をパートナーとして引き抜いた、という事例は少なくありません。「この人をパートナーにすれば受注できる」という力学が働くからです。

ーーちなみに、パートナーとシニアパートナーは何が違うのでしょうか。

パートナーとシニアパートナーの違いは「終身雇用」であること、つまり「経営陣になること」です。外資の場合、シニアパートナーはグローバル本社のパートナーにも同時になります。日本支社だともう「アガリ」のポジションですね。

パートナーからシニアパートナーに昇進するには、売上が評価ウェイトの大半です。パートナーの評価をするのはシニアパートナーですね。シニアパートナーになると、パートナーを評価する側になります。

ーーパートナーになるためには、若手コンサルタントはどのような努力をすべきでしょうか。

「一つの専門業界とパートナーにコミットすること」が最短距離です。

なぜなら、バラバラの業界でケースを経験してもナレッジが溜まりません。一方で、同じ業界内で様々なケースを経験すると、経験も広がり、その業界特有の文化も覚えやすく、業界理解が進みます。そして、出世を決める権限を持つパートナーとの関係も深まりやすいと思います。

私も最初は色々な業界のケースをやっていたのですが、業界が変わると理解も遅れ、人も違うのでやりにくさを感じました。一方で、担当業界が同じになってからは、すぐに成果が出て効率が良かったですね。

といっても、私は元々自動車業界に興味があった訳ではありません。結果として自動車業界にケースが絞られていきました。たまたまでしたが、それが良かったと思います。

コラム作成者
Liiga編集部
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