グローバル大手だが日本ではベンチャー、キャップジェミニが今面白い理由
2019/12/24
#総合コンサルの仕事内容
#事業会社からコンサルになる方法

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世界40カ国以上で事業展開するグローバルコンサルティング・ITサービス企業のキャップジェミニが、日本市場の開拓を加速している。日本法人の人員は2014年比約5倍の500人程度まで増え、今後さらに増員するという。日本で主要ターゲットの1つに据えるのが製造業。国内の製造&サービス部門を統括する藤澤貴啓氏に、市場戦略と今後の採用方針について聞いた。

〈Profile〉
藤澤 貴啓(ふじさわ・たかひろ)
キャップジェミニ株式会社 ヴァイスプレジデント
自動車、機械、医療機器、素材、消費財、金融など多分野の顧客を対象に、20年以上コンサルティングサービスに従事。キャップジェミニでは日本の製造&サービス部門の統括として、新規事業検討、中期経営計画策定、営業改革、サプライチェーン改革、IT戦略立案など数多くのプロジェクトを指揮する。

唯一無二のポジショニングとグローバルな組織力が強み。デジタル化の波で急成長

――増員を図っている製造&サービス部門は、業績が着実に伸びています。背景をどう分析していますか。

藤澤:日本法人設立の1年後に私が製造&サービス部門に参加してから、毎年30%近くの成長を記録しています。要因はいくつかありますが、第一に非常にハイプレッシャーな目標を自らに課し、それを達成するために多くの施策を打ってきました。

目標に対して効果的なアクションを取り続ければおのずと結果はついてきますが、それに加えて、キャップジェミニのグローバルな組織力や、総合系ファームならではの幅広い経験・知見も好調の要因として大きいと思います。海外拠点を持つ日系のお客様に対しては、我々の海外のチームやオフィスと連携し、世界各地でサービスを提供しています。

最も特徴的なことは、キャップジェミニが今のコンサルティング業界で唯一無二、Only Oneのポジションに位置していることです。我々はグローバルでは老舗で大規模な企業体ですが、日本市場ではアーリーステージにあります。そして、サービスを提供するクライアントは各業界の大手企業です。言わば「エンタープライズ向けベンチャー」という、成熟した企業でもVenture of Ventureでもない、独自のポジションにいるわけです。

成熟した企業だと提供するサービスは硬直化しやすいですし、本当のベンチャー企業では、大手企業の一部のニーズには応えられても全体に対応する事は困難です。大手企業に対して、価値あるサービスを柔軟かつ網羅的に提供できることが、成長要因の1つになっていると思います。そして、その独自のポジションを活用して競争に打ち勝っていく充実感は、弊社ならではだと思います。

また同じぐらい特徴的なのはグローバルコラボレーションです。他の外資系ファームもグローバルと連携しているとは思いますが、ある程度設計されたプログラムやスキームの中でのコラボレーションが多いはずです。弊社は、必要な機会があればマネジメントから担当者まで、すぐにコンタクトして率直にコミュニケーションができます。そうして連携していく様は、まるでグローバルに迅速に広がっていくアメーバのようです。

必要であれば、担当者からマネジメントまですぐに駆けつけてくれます。例えば国内メガバンクの重要案件に対して、グローバルのコアバンキングリードが翌週に日本に来て、そのメガバンクとのミーティングに参加してディスカッションするなんて、他の会社ではほぼあり得ないことでしょう。

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藤澤:IoTやインダストリー4.0(I4.0)に代表されるデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れも追い風です。製造業が新しいテクノロジーによって変わりつつある中、キャップジェミニのグローバルチームはその領域で大きな強みを持っています。マサチューセッツ工科大学(MIT)とキャップジェミニの共同研究がDXの先駆けであったことは、著名な外資系調査会社のレポートでも報告されている事実です。

そうした取り組みの中で蓄積されたケーススタディやフレームワークに、日本でも進めていた検討や研究が上手く融合し、日本のお客様に対する最適な支援が可能になっています。

コンサルティングだけでなく、製品開発も。独自の体制を武器に日本市場を開拓

――具体的にはどんなサービスを提供しているのでしょうか。

藤澤:例えば、製品に様々なログを収集する機器や機能をつけて情報を集め、分析し、サービスを提供することは各社が今や当然のように行っていますが、そこに更なる付加価値を加え、マネタイズもできるような仕組みの構築を支援しています。

ある精密機械メーカーの事案では各国のエンジニアリング拠点を活用し、そのメーカーのエンジニアが世界中に納入された製品から稼働データを収集・解析して、納入した機械のユーザーに様々な観点からアドバイスをしています。さらに、ビッグデータとして蓄積し、次に起こることを予測・提案するサービスも提供しています。

また弊社のユニークな点ではあるのですが、社内に製品開発を支援する部隊がおり、ファームウェアやIoTプラットフォームなどを生み出しています。コンサルティングを行いながら製品開発のお手伝いもできる会社は非常に希有な存在だと思います。他社は製品開発機能を持っていない、もしくはビジネスコンサルティング機能を持っていないかのどちらかでしょう。また両方あったとしても、組織が完全に分断されているのが普通です。

我々は、コンサルティング部門と製品開発部門が密に連携することで、機械、電気、ソフトウェア、光学、システムといった専門性の高い分野の知識を生かしたモデリングやフレームワークを提案できます。

――社内に製品開発チームがあるのは大きな強みですね。

藤澤:製品開発・R&Dのコンサルティングを行う中で、ユーザーの要望を要件化して機能に落とし込み、開発に反映させるところまで対応していきたいと思っています。部分的な対応だけでなく、様々なノウハウやアセットを活用しつつ、幅広いプロジェクトの実行ができる点において、同業他社と差別化できています。

我々はさらに成長していくため、こうした強みを他の分野でも磨き、総合力を前面に打ち出す「エンタープライズ向け総合サービスモデル」を実現しようとしています。現在、コンサルのほかアプリケーションの開発・導入・保守、製品開発、業務アウトソーシングなどさまざまなソリューションサービスがあるのですが、それらをもっと戦略的かつ有機的に連携させていきます。2019年度から意識的に取り組んでおり、製造領域では既に述べた製品開発と、SAPなどのソリューションを活用したグローバルオペレーションの標準化に力を入れています。

――グローバルオペレーションの標準化とは。

藤澤:近年、日本市場が縮小していく中、大半のビジネスは海外です。これまで日本企業は海外拠点のオペレーションに関して、現地に全て任せるか、日本ベースで考えたグローバルモデルを移植してきました。しかし、そのやり方ではうまく運営できないことに日本企業も気付き始めています。海外ベースの標準モデルを日本に逆輸入するケースが増えてきているのです。その際、グローバルと日本で一体となって取り組みを推進していく必要があります。このようなやり方において、キャップジェミニには確実に優位性があります。

グローバルオペレーションに詳しい海外メンバーと日本メンバーの混成チームで、グローバル標準のモデルやテンプレートをベースにしながら最適な形で導入していく。この辺りのスピード感や海外とのコラボレーションの密度は弊社でないと実現できないことだと思います。

若手は本人の意志を尊重し育成。大手顧客を納得させるコンサルタントへ

――採用を強化されていますが、若手の活躍機会や業務内容などについてお聞かせください。

藤澤:これまで、分析やロジカル思考に強い理系人材を中心に採用してきましたが、サービス領域や事業規模が拡大する中、グローバルのプロジェクトマネジメントなどを手掛ける新たなチームがいくつか立ち上がり、今では文系も理系も活躍できる場があります。個人の特性に応じた異動のチャンスもあり、多様な可能性を試すことができます。今後もそういった場や機会は増やしていき、若手人材がさまざまな形で自己実現できる組織にしていきたいと思っています。

異業種からの中途採用は20代後半から30歳前半が多いのですが、前の会社で実績を上げて来る人が多いですね。ただ、それでもスキルギャップやレベルの高さの壁にぶつかることがあります。相違点などを素直に受け入れ、「新しい環境にどう適応し成長していくか」と謙虚に考えることが必要です。

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藤澤:若手に対しては、できる仕事は任せるようにしています。逆に、できないのに任せてしまうのは、その人にとっても会社にとっても良いことではありません。ある程度やってもらってから、チャレンジするかどうか本人の意思確認を行い、ハードルを上げていくようなやり方です。

また我々はVenture of Ventureではないので、大手のお客様に納得してもらえる品質を出すためには、地味に見える作業を経験して基礎スキルを身につけてもらう必要があります。その辺りは注意が必要かと思います。本当のベンチャー的な働き方を求めるのであれば、弊社は最適ではないかも知れません。

日本法人はアーリーステージ。冒険できる環境がここにある

――採用したい若手のタイプとは。

藤澤:モチベーションが高いことはもちろんですが、さらに言えばチャレンジ精神が旺盛な人ですね。2013年に設立したばかりの日本法人はまだアーリーステージなので、これからも様々なチャレンジを続けていく予定です。そうした環境下では、特定領域を深く掘り下げ専門性を身につけたい人よりも、それなりの深さを求めつつ、色々な形で冒険したい人の方が向いています。

また、戦略ファームでは個々が単独で結果を出し、それを持ち寄ってアウトプットにつなげる形が多く見受けられますが、弊社はそうではなく、社内や社外の有識者や専門家と連携しながら仕事を進めることが多くあります。したがって、優れたコミュニケーション能力や文脈を読む力がなければ難しいでしょう。

もう1点、先ほど述べたように日本法人はアーリーステージにあり、正直、会社の制度が整っているとは言い難い状況にあります。会社が成長するためのインフラを整えている段階なので、それに対して建設的かつポジティブな意見を出しつつ、一緒になって組織を作っていく意識を持てる人だと良いですね。絶対必要な要件ではありませんが、それも日本でキャップジェミニに参画する面白みの1つだと思います。

――日本市場における今後の戦略を教えてください。

藤澤:従業員20数万人、売上高2兆円弱の規模にあるグローバル企業でありながら、日本においてはアーリーステージであるという特徴を活かしたスピード感や柔軟性が、我々の強みです。中堅・大企業が主なターゲットなのですが、一般的にそういった層の顧客を持つ会社は、日本だと何十年もの実績がある成熟企業が中心です。この領域で、アーリーステージであるがゆえの特徴を武器に対応できるファームは、当社以外にないと思っています。

そして繰り返しになりますが、他サービスとの連携による「エンタープライズ向け総合サービスモデル」の実現が重要です。製品開発やグローバルオペレーションの標準化などを進める上では、それぞれの領域においてプランニング領域と実行領域をつなげること、つまり要件定義やプロセス設計による“橋渡し”が大切になります。そのために必要なチームや機能を強化したいと思っています。

さらに、グローバルでは複数のチームから人が参加し、戦略、テクノロジー、データサイエンス、そして創造的なデザインを組み合わせ顧客の次のビジネス課題「what’s next?」に応える「Invent」というチームが立ち上がっています。キャップジェミニの多分野にわたる強みを生かし、複合的なイノベーションを起こすために作られたチームであり、将来日本もこの流れに参加していくでしょう。

複雑さを増す製造業。環境変化を読み解き、生き残っていく

――製造業の変化をどう見ていますか。

藤澤:従来の技術やビジネスをベースに新しい要素がどんどん継ぎ足されています。例えば自動車でいえば、昔はエンジンやメカ機構の話が中心でしたが、CASE時代に向けソフトウェア領域の比重が非常に大きくなっています。制御も単純制御ではなく車両運動統合制御のようなシステム型になり、さらにバーチャル、AI、自動運転といった要素も加わることで、ますます複雑になっています。

もはやメーカー1社だけでは対応できなくなってしまいました。しかも主導権は巨大IT企業が持ち、その方針に自動車メーカーや部品メーカーが従わざるを得ないという状況です。

――そうした中でキャップジェミニの勝ち筋とは。

藤澤:コントロールが難しい部品を組み合わせた上で、製品をどうしていくのかを考えなければならないのですが、複雑さが増しているため“誰にもよく分からない状況”になるリスクが生じています。そのような難しい状況下でどうやってマネジメントしながらサービス提供していくのか。我々はそういった複雑な状況の舵取りを得意としており、お客様の事情に合わせたサービスを提供できます。

また、環境の変化も注意深く見ておく必要があります。例えば今は、人間がAIをうまく使いこなせているとは言い難い状況ですが、今後改良や経験が蓄積されていくと一気にビジネスの文脈などが変わる可能性があります。新たな可能性に投資し、先んじて手を打ち続けることがグローバルで生き残る秘訣だと思います。

キャップジェミニは2019年6月に、Altran Technologiesというフランス企業の買収を発表しました。AltranはIoTやエンジニアリングの領域で非常に強い存在です。これは会社として、こうした領域を強化しようという姿勢の現れと言えます。

元々、キャップジェミニは様々な特性を持つ会社と一緒になりながら成長してきたという経緯があります。例えば、商品・製品企画に強みを持つ会社を買収して、商品コンセプトや概要設計、デザインパッケージなどのノウハウを獲得しました。それにより製品の企画から開発、サプライチェーン管理、マーケティングまで包括的に支援できる体制を構築できています。製品ライフサイクルの初めから終わりまでをOne Stopで、しかもグローバルサイズで支援できることは、キャップジェミニの永続的発展を可能にする大きな強みだと捉えています。

――読者にどんなことを伝えたいですか。

藤澤:我々は先に述べた独自のポジションで競争に打ち勝ち、成長していきます。売上高や従業員数は他社と近くなっていったとしても、あくまでキャップジェミニのカルチャーやポジションをある程度維持した形での成長になります。そのため、純粋に他社と比較されるものでもなく、相性はあると思いますが、価値観や環境がある程度フィットするのであれば非常に良いWorkplaceだと感じていただけると思います。

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コラム作成者
Liiga編集部
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