「コンサルタントにはもう戻れない」。投資先の皆さんとともに汗を流し、成長する喜びと充実感
2019/12/02
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1997年、日本初のバイアウト専用ファンドへのサービスをスタート。日本のプライベートエクイティ(PE)投資の黎明期から市場を創出してきたアドバンテッジパートナーズ(以下、AP)。今回は、ベイン・アンド・カンパニーで戦略コンサルタントとしての力を磨いた後にAPに参画した花房恵美子さんに、コンサルティング業界とPEファンドの違いや、APならではの強み、成長について語っていただいた。

〈Profile〉
花房 恵美子 (はなふさ・えみこ)シニア アソシエイト
慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科および同大学理工学研究科総合デザイン工学専攻修士課程修了。卒業後、ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッドに入社。食品、小売、通信、製造業、製薬、プライベートエクイティ、金融、商社等の企業に対し、全社戦略、事業戦略、買収対象企業の事業精査などの業務に携わる。2017年にAPに参加。ICI石井スポーツ、日本ポップコーン、日本銘菓総本舗(第一号案件庫や)等を担当。

自分の意思決定すべてが投資先に影響を与える重責、信念と経験で乗り越えるしかない

――ベイン・アンド・カンパニーからAPに転職されて3年ほどとお聞きしています。この3年を振り返ってみていかがですか?

花房:やっと最近楽しいと思えるようになってきたというのが、正直なところです。つらいとか辞めたいと感じたことはありませんが、今思えば、入社してしばらくは常にこれでいいのだろうか、という精神的なストレスが非常に大きかったように感じます。

働く時間に限って言えば、コンサルタント時代より短くなったと思います。コンサルタント時代、特に戦略プロジェクトに関しては、クライアントに“あるべき姿”を提案するところまでが主に私たちの責任の範疇でした。しかしAPでは、自分自身及びチームが意思決定することで、リアルタイムに投資先の会社が動いていくわけです。その責任感の重みに自問自答し、ストレスを感じていたのだと思います。

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――コンサルタントも、クライアントの未来を左右するという点では大きな責任を伴う仕事だと思うのですが、APの仕事とは異なるのでしょうか。

花房:もちろんおっしゃる通りです。ただし、戦略コンサルタントという存在は組織のしがらみやそれまでの経緯には必ずしも囚われず、論理的に考えたあるべき姿を論じることがバリューであるように思います。純粋に論理的に正しい解を導き出すことがコンサルタントの責任で、組織としてそのプランをどう実行するかは、そのサポートまでが求められるプロジェクトもありますが、基本的にはクライアントの判断に委ねられます。

ところがAPは投資した企業の経営に深くかかわるハンズオン型のファンドですから、自分自身が事業を進めていく意思決定者になります。論理的に正しいことを黙々と遂行しようと突き進むのか、あるいは中長期的に組織が向かうべき姿を考えて、打ち手や順序を変更したり、場合によっては少し回り道をしたりするのか。何をやるか、どのリソースでいかに進めるのか、それを決めるのも私自身。この違いは大きかったですね。

――その壁はどうやって乗り越えていったのでしょうか。

花房:意外と何に対してストレスを感じているのかは自覚があり、これは経験を通して乗り越えるしかないと思っていました。自分が意思決定者になることの重責へのストレスについては、謙虚に捉えるべきで、変に麻痺して横柄になってもいけないところですが、物事は決めないと何も先には進みません。

もちろん独断で決めるわけではなく投資先の皆さんやAPのチームと議論するのは当たり前で、上司の判断を仰ぐこともあります。ただ、投資先企業の皆さんとの接点が最も多く、事業のKPIを始めとする数字の一次情報に最も触れているのは私自身をはじめとするチームの若手です。

すべてを自分事として捉えて、決断すべきところで的確に判断を下す。状況は刻刻と変わりますので、その時最善と思われる判断を下した場合でも、結果としてうまくいくこともそうでないケースもありますが、長く関わっていくからこそリカバーすることも可能になります。一つ一つの判断の結果に一喜一憂することなく、中長期的に企業をより良い方向に変えていくというプロセスを、ようやく楽しめるようになってきたのだと感じています。

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コンサルティング業界にいたからこそ「論理的な最適解→現実的にベストな道」の順で考えられる

――ベインからAPへの転職を決めたのはどういった理由だったのでしょうか?

花房:繰り返しにはなりますが、コンサルタントが関われるのは、2、3か月のプロジェクトで経営戦略を策定し、クライアントに提案するところまで。その後どうなるかはクライアント企業に委ねられますし、実際に提案に基づいて実行いただいた場合でも、結果や利益貢献は、良くも悪くも自分に直接的に返ってくることはない。そこに物足りなさを感じていました。

仮にコンサルタントとしてのキャリアを積むとしても、自分がクライアントの立場であったら実際の事業を動かした経験が全くない人に相談したいと思うだろうか、という悩みもありました。戦略コンサルタントという職を突き詰めた人、突き詰めようとする人はもちろんすごいと思います。一方で、私はもっと組織の問題や業界毎の規制に伴うビジネス環境に応じた対策など、泥臭いところに携わっていきたいと考えるようになりました。

――事業会社に行くことは考えなかったのですか?

花房:実際にどのような人材が求められているかということは別にして、私自身は事業会社やベンチャー企業にその事業を担う一員として入社するには、そこで一生やり遂げるぞという覚悟があるべきだと思っていました。自分自身が捉えている性格上そこまでの覚悟を持ったコミットもできず、当時転職活動をした際はそう思える会社には出会えなかったので、PEファンドが最適だと考えました。

その中でもAPを選んだのは、案件規模が大きすぎず、且つ案件数も多いので、若くても複数のディールやポートフォリオに深く携われると確信できたことが大きかったですね。あとは純粋に、面接で会った方々に対し、この人たちと一緒に働きたいと感じたこと。コンサルタント出身の方も金融出身の方もいて、様々なバックグラウンドを持つ人と働くのは面白そうだなと思って入社を決めました。今振り返って当時感じたことは間違っていなかったと思います。

――コンサルタント時代に学んだことで、今の仕事に活きている部分はあるのでしょうか。

花房:もちろん沢山あります。先ほどお話しした通り、コンサルタントはゼロベースで純粋に「あるべき論」を突き詰めることが求められます。社会人としての新人時代にその能力を鍛えられたことは非常に大きかったと思います。組織の論理やリソース、加えて人の感情を考えることも必要だと申し上げましたが、大切なのは考える順番だと思っています。

しがらみに囚われて最適解が見えていないのが最も良くない状態で、論理的に正しい道筋を描いた上で、組織の現状も冷静に見極めて現実的にベストな道を選ぶことが重要です。そういった頭の使い方をできるようになったのは、コンサルタントを経験したおかげです。

私はPEという業界をきちんと知ったのが社会人になってからで、新卒の就職活動時にPE業界への転職を前提としてコンサルタントになることを決めた訳ではないので結果論ですが、社会人人生をベインでスタートできて本当に良かったと考えていますし、新人のうちから色々なことにチャレンジさせてくれたベインには感謝の気持ちしかありません。

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永続的な企業成長のために、長期的な視野と、人を動かす力を磨く

――コンサルタントとしての力と、実際にビジネスを動かす力。両方を磨いてきた花房さんですが、今まだ足りていない点があるとすればどのようなところだとお考えですか?

花房:まだまだ足りないところだらけです。コンサルタント時代にも少しデューデリジェンスを担当した経験はあったのですが、やはりディールに関するテクニカルなスキルは大きく不足しています。案件を通して、金融バックグラウンドの先輩方から学ばせていただいている最中です。

それと、やはり中長期的な視点を持って意思決定することは非常に難しいですね。投資時の計画や予算もありますし、一つずつ解決していかなくてはいけない足元の課題もたくさんある。どうしてもそういうところに目がいきがちなのですが、エグジットした先の企業成長まで見据えた上で、やるべきことの優先順位をどう決めていくか。ここが現在の課題だと感じています。

――短期的な結果に結びつかないとしても、未来のためにやるべきことがある、ということですね。

花房:本当にその通りで、先輩方を見ていると判断力もさることながら、そこに向かって人を動かすことにまで繋げ、実際に会社と事業を動かしていく、その手腕は一枚も二枚も上手だと感じることが多いです。たとえば私が長期視点でこれに取り組みましょうと提案したとしても、「それは必ずしも今の数字につながらないじゃないか」と言われると、あるべき論を語るに留まってしまいそこで一旦議論が止まってしまいそうになることもあります。

お互いに納得して進んでいくためには一定の議論は必要ですが、一定期間に数値的結果を出すための活動のみならず、永続的に企業が成長していくための打ち手に対する優先順位付け、そしてそれを皆さんと一緒に納得感をもって、より効率的に遂行できる力をつけたいですね。

投資先企業の皆様から学ぶことも本当に多いです。事業の現場で最前線に立たれているのも、組織を本当の意味で支えてらっしゃるのもその企業の皆様です。我々も常に本気で会社のことを考え抜いているつもりではありますが、投資先企業の皆様のお考えにハッとさせられることも多いですし、逆に支えていただいていると感じます。

話が少し逸れましたが、APは、3年5年という長いスパンで企業経営に携わりますし、エグジットした後にも投資先であった企業及びその社員の皆様とも何らかの形でお付き合いが続いていくことも少なくありません。それが面白さでもあり、自分自身が着実に成長していける環境であると確信しています。

――その他にも今後の目標があれば教えてください。

花房:10年後どうしているかと聞かれるとまだ分かりませんが、今携わっている案件を途中で投げ出すことは想像ができません。そういう意味では、結果的に少なくとも5年以上はこの場所で力をつけて価値を発揮していきたいと思っています。APは本当に様々なタイプのスキルセットを持った先輩がいらっしゃるので、近いところまで到達したいですし、やりたいこともまだまだあります。APに限らずこの業界はフロントに女性の方が少ないのですが、家庭を大切にしている男性社員も多いと感じますし、今のところ公私ともに大きな心配はありません。

――――最後に、APに合う人材・合わない人材についてご自身の考えをお聞かせください。

花房:ある一つのスキルだけを突き詰めていきたいという方は合わないと思います。PEファンドの中でもAPは特に、一つの案件に対し、ディールからエグジットまで関わっていくスタイルですので。逆に、提案して終わりではなくもっと入り込んでマネジメントするところまでチャレンジしたい方であれば、きっと楽しめると思います。

私自身の話で言えば、ビジネスパーソンとしての基礎を学んだベインには非常に感謝していますが、コンサルタントに戻りたいかと聞かれると、今は考えられません。ただし、将来的に自分が総合的にアドバイスをできるような経験を積むことができ、またコンサルタントとしての価値提供を突き詰めたいと思うようになったらあり得るかもしれません。

投資先の皆様と一緒に汗をかいて、成長し、その結果が自分の金銭面を含めて大きなリターンとなって返ってくる。人生をかけてお付き合いする方々との出会いやつながりという意味でも、仕事を超えた充実感を覚えています。

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コラム作成者
Liiga編集部
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