エージェント相手に壁打ちをしろ! トップ層向け転職エージェントの見極め方 #02
2016/04/16
#良いエージェントの選び方

はじめに

前回は、良いエージェントと出会い転職を成功させた、Kwellwer氏より、転職において必要不可欠な存在となっている転職エージェントにはどういった種類があるのかを説明していただきました。今回は、実際の活用方法についてお話しいただきます。転職をせずとも相談や情報交換などの付き合いをしている方も多いので、みなさまのご参考になると思います。

前回のコラム:良い転職エージェントに出会うには、タイプを理解しておけ|トップ層向け転職エージェントの見極め方(前編)

description

エージェントにはとにかく会って、壁打ちをして考えを整理しろ

前回挙げたようなエージェントをどのように活用すれば良いのかについて述べたい。まず、初めて転職を検討している場合についてはどうだろうか。

転職先を極端に絞っていない、さらに、すぐに転職が必要な状況ではないことが前提だが、「手当たり次第に会う」ということをお勧めしたい。エージェントなんてみんな同じに見えるときもあれば、意外と違って見えたりするときもあるが、実際は十人十色である。

業界での知名度、本人のキャリア、専門性の有無、話の進め方等々によって、紙面上で紹介される案件が同じであったとしても、エージェントによっては全く違うものに見えるものだ。

まずは様々なエージェントに会い、話の2、3割くらいはエージェントの会社のことや本人のキャリアについて聞いてみると良い。また、色々と逆質問することでエージェントの知識度や話の巧みさが伝わってくるので、説得力や安心感があるかがわかってくる。

そういう感覚は、結局採用企業側の人間も抱くはずなので、そういった意味でもやはり“イケてる”エージェントを選別すべきなのだ。 description

また、手当たり次第会うことには他にもメリットがある。 それは「色々な人と話しているうちに、自分の考えが整理されてくる」ということだ。最初の転職となると、勝手がわからないし、自分自身の希望や考えについても曖昧な部分が多いと思う。

しかし、エージェントと“壁打ち”を重ねることで、どういう経緯で転職を考えていて、どういうところに行きたいと思っているか、という毎回必ず聞かれる質問について、どんどん無駄な部分が削がれて、簡潔かつ明朗になってくる。これは結局のところ、その後に受ける企業との面談の対策にもなるので、まさに一石二鳥だ。

転職後もエージェントとはコンタクトを取り続けよ

さらに、転職を経験した後のエージェントとの付き合い方について述べたい。転職先にもよるが、一度転職をすると転職以前とは比べ物にならないくらいコンタクトが来るようになる。これらのエージェントたちとも、積極的にコンタクトを取り続けることをおすすめしたい。

何に興味がありどういうところなら行きたいのかがハッキリしている人であれば、一般的に、返信するかどうかの判断は早いが、そうでない人は一体誰と会えば良いのか判断することさえ難しいだろう。

もし可能なら一定の目線を設けて対応したいところだ。「提案してくる内容と希望とのマッチ度合い」「給与等の条件面と希望とのマッチ度合い」「エージェントの経験値や実績」等々、どういう目線かは人によって異なってくるだろう。

しかし、これらも数を捌いているうちに整理されてくるので、まずは暇なタイミングにランチ相手を探すつもりで話を聞いてみるのが良いのではないだろうか。中には思いがけない面白い話ができる人がいるかも知れない。

転職後にエージェントに会う大きな理由は、再度転職する可能性が高いからだ。外資系等で働いていれば、本社の意向等の抗えない理由で昇進できるポストがなくなるため、社外に出ざるを得ない環境が多々ある。

また、よい転職エージェントに出会えれば転職に限らず社内の仕事の進め方等、ビジネスマンとして有用なアドバイスをいただけるので、転職後も会っておくことをすすめる。最も、向こうから連絡をとってくることも多いが。

description

さきほど、転職後には飛躍的に多くのスカウティングを受けることになると述べたが、何故そうなるかという背景と、その恩恵について述べたいと思う。まず何故増えるのか。理由は大きく三つだ。

一つ目は「転職経験がある」から。転職したことがあるということは、転職に抵抗がないので、再度転職する可能性が転職経験のない人に比べて相当高い。自分の周りを見渡して想像してみて欲しい。転職サイトに登録し始めるのは何となく先行きに不安を感じている入社2-5年目の時期だ(実際に転職の話はしないかもしれないが少なくとも私の周りはそうであった)。

この時期は、実際に転職する同僚も出始め、業務に慣れつつも、社内での次のステップが不明瞭な人が増える。そんな中、とりあえず転職活動を始めてみるが、いざ面接あるいはオファーが出るタイミングで思い留まる人は多い。

漠然とした不安か、急に現職に愛着が湧いたのか、理由は様々だろう。だが、一回転職した人にはそんなものはない。その人が転職しようかと思えば転職するのである。エージェントのビジネスは候補者に実際に転職してもらわないと成り立たないので、当然、より転職意欲の高い人に接触したいわけだ。

二つ目は、「他社が欲しがる」から。業界や職種には拠るものの、転職先としてポピュラーな「金融」「コンサル」「外資メーカー」であれば、財務や経営企画、新規事業等のポジションには事欠かないし、投資銀行やコンサルであればもはや「顔パス」みたいなところがある。

求人要項をいくつか眺めればわかると思うが、直接的にそれほど関係のなさそうな業務だとしても、結構「投資銀行」「コンサルティング」出身者を名指しで欲している会社が多い。

「コンサルや投資銀行は、もう終わり」という言説を聞くが、少なくとも私はそのようには感じなかった。周りを見ていても、投資銀行、コンサル出身者だと比較的に容易に決まっていた印象だ。3年後には状況は変わってくるかもしれないので要注意だが。

投資銀行やコンサルでなくても、外資系メーカーやIT企業におけるリーダー経験者、エンジニアについても、引く手数多であるし給与水準も上昇トレンドにあると聞いている。一つ目で述べたように、本人の転職意欲がまず重要だが、そもそも受け入れ先がなければ話にならない。

割とどこでも採ってくれそうなバックグラウンドを持っている人は、それだけ内定確率も高いというわけだ。 description

三つ目は、「給料が高い」から。表面的な給与面でいけば、外資系企業と言うだけで総じて高い。エージェントは転職が決まった人の新たな年収水準に応じてその2-3割程度を報酬として受け取る場合がほとんどなので、本来であればもっとシニアな層を扱いたいところだが、全体の需要と供給の多さで言うとジュニア層の方が数は見込める。

そんな中、給与水準が高い上に人の出入りが激しい外資系企業希望者及びその求人にマッチするスペックの持ち主は、エージェントからすると比較的割の良い商材というわけだ。そのため、とにかく転職させようとするエージェントがいないわけではないので、この点には注意してほしい。

スカウトの数が増えればおもしろい案件の数も増えてくる

以上が、一度転職した後の人、特に投資銀行やコンサル、その他外資系企業に転職した人にひっきりなしにスカウティングが来る理由だ。裏を返せば、1回目の転職以降どんどん市場価値を高め、面白いポジションに巡りあえるチャンスを得たりできるわけだ。

その点においても、日系大手や中堅企業から「金融」や「コンサル」「外資系メーカー」等のいわゆるハイレベル企業への転職挑戦は意味があると言えよう。

いかがだっただろうか。前回の冒頭で触れたように、今回ご紹介した内容は筆者個人の経験に基づく部分が多いので、もしかすると読者の方々のご経験とは乖離する部分もあるかも知れないが、ある程度“場数を踏んでいる”という自負はあるので、相応に信憑性のある話と思ってもらって差し支えないと思う。

本内容が少しでも皆様が自らのキャリアを考える一助になれば幸甚だ。ご質問がある場合は下記のアドレスから質問を受け付けている。「Kweller宛て」と書いていただければメールマガジン上で回答させていただく。 contact@liiga.me

KWELLER

おわりに

いかがでしたでしょうか。転職エージェントに候補者側として数多く会い、精通しているKweller氏の言葉は説得力があったのではないでしょうか。転職はあくまでキャリアアップの一つの手段であるということを念頭に置いたうえで、今後のことを考えていただくとよいのではないでしょうか。転職を希望される方は、ご自身が望まれる形で転職がうまくいくことを祈っております。

コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。