「職務経歴書は簡潔に見やすく。資料作成能力も見られている」。~エージェントが語る、PEに転職するのに必要なこと#3~
2020/09/20
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スタート・プランニング・ジャパンの山崎正社長に、プライベート・エクイティ(PE)に転職する方法などを教えていただく本コラム。これまで、PEに転職するための心構え、PEが求めている人物像や能力、それらをチェックする面接などについて、語っていただいた。第3回目の今回は、職務経歴書の書き方について、解説をしていただいた。

〈Profile〉
山崎正(やまざき・ただし)スタート・プランニング・ジャパン社長
早稲田大学理工学部卒業後、山一證券入社。以来、複数の金融機関で主に外国為替ディーリングに従事。2004年10月から、金融専門のエグゼクティブ・サーチビジネスを展開。投資銀行、PE、資産運用会社などと良好な関係を構築している。2010年スタート・プランニング・ジャパン設立。

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プロジェクトで果たした役割を明記して、自分を理解してもらう

あなたが在籍する企業が、投資銀行であろうと、戦略コンサルティングファームであろうと、職務経歴書の作成方法には大差はありません。まず、職務経歴書は、PEで採用に関わる方が見たときに、候補者がどんな人物か、大体想像がつくように書いていただければと思います。

これは、PEに限らず、どのような業界に転職するときも同じです。候補者が作成した職務経歴書を示しながら、お教えします。便宜上、加工をしている箇所があります。

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1.職務要約
2000年4月ABC証券株式会社入社。M&Aアドバイザリー部にてコンシュマーセクターにおけるM&Aアドバイザリー業務を担当。国内・クロスボーダー案件のExecutionを中心に複数の案件に携わる。2005年6月XYZ証券株式会社に入社、投資銀行本部General IndustriesグループにてコンシュマーセクターにおいてM&Aアドバイザリー業務を担当。現在に至る。
上記アドバイザリー業務を担当する中で、資料作成、モデリング(LBOモデル含む)、バリュエーション、DD、ドキュメンテーション、顧客・外部専門家等とのコミュニケーション、交渉等の各プロセスを主導するなど幅広い業務を担当。

  2.職務経歴
ABC証券株式会社投資銀行本部M&Aアドバイザリー部(2000/4-2005/5)
アナリスト/アソシエイト

主要案件

●xxxによるインドネシアのxxx社の株式取得
→配当割り当てモデル(DDM)を含む各種バリュエーション作業を担当

●xxxによる豪州xxxの権益譲渡
→データルームの管理を含むデューデリジェンスの運営を担当

●xxx、xxx、xxxによるxxx事業の統合
→配当割り当てモデル(DDM)を含む各種バリュエーション作業を担当

●xxxによるxxxの出資比率引き上げ
→TOBドキュメンテーションをメインで担当
→TOB関連分析作業を担当(プレミアム分析、応募状況分析等)

●xxxによる米国xxx社の株式取得
→国内/米国案件遂行のために、関係各社との調整業務を担当

XYZ証券株式会社投資銀行部門M&Aアドバイザリー部(2005/6-現在)
アソシエイト/ヴァイスプレジデント

主要案件

●xxxによるxxx株式の一部取得
→DD(海外拠点、クライアント、セラー側とのやりとりの窓口)及びバリュエーション作業を担当

●xxxびxxxによるxxxとのxxx事業JV設立
→データルームの管理を含むデューデリジェンスの運営を担当

●xxxによる豪州xxx社買収
→案件獲得のための事前入札時から資料作成などを担当

3.志望動機
大学卒業後、証券会社の投資銀行部門でM&Aに関する業務に携わってきました。もともと経営に深く関わり、クライアントの価値を高めるPEの業務に関心がありましたが、新卒では採用をしている企業がなく、投資銀行部門でスキルを磨こうと決意し、証券会社に入社しました。新卒のころに抱いたPE業務に携わりたいという思いは今も変わらず、転職を決意しました。PEでも、御社の経営方針に共感できる箇所が多いため、志望させていただきました。

4. 学歴
2000 年3 月 XXX大学理工学部卒業
1996 年3 月 XXX高校卒業

5. 資格その他
証券外務員一種及び二種
PCスキル(Word、Excel、PowerPoint)
日商簿記検定2級(20XX年XX月)
TOEIC950点(20XX年XX月)

経歴や志望動機、活かせる経験・知識・スキル、学歴、資格をまとめています。

時系列で書く方法もあります。ただ、PEに転職する方は、20歳代後半から30歳代前半の方が多く、複数社経験してないケースもあります。各ポジションで担当したプロジェクトを書き、どんな役割をこなしてきたかを書けばいいかと思います。

できる限り、簡潔にわかりやすく書くことが重要です。箇条書きとは言わないまでも、短い文章にすることを心掛けてみてください。PEには、たくさん職務経歴書が届きます。だらだら書いてある職務経歴書は、それだけで読みたくないはずです。わかりやすい資料を作成する能力が見られていると認識して、職務経歴書を作成してください。

ですが、簡潔すぎると、あなたがどんな人物か把握することができず、選考にとってはマイナスになる可能性もあります。

案件と果たした役割に加えて、その案件の状況、苦労したことや課題をどのように解決したか、などを書いてみてください。A4用紙だと2枚程度書いてもいいかと思います。これは、外国語による職務経歴書でも同じです。エージェント経由で応募する場合は、エージェントが職務経歴書を見ています。改善点などを指摘してもらってください。

日系証券の投資銀行部門出身者は、厳選して案件を掲載

案件ごとにまとめるのがいいと話しましたが、経験が浅く、成立した案件が少ないという投資銀行の方もいらっしゃるかと思います。職務経歴書に書いている案件が少ないと、経験不足と認識される可能性もあります。こういった場合は、経験が豊富であることを示すため、ブレイクした案件も書いてもいいと思います。

日系証券会社の投資銀行部門だと、比較的小規模な案件も数多く担当します。それらをすべて職務経歴書に書いていくと、簡潔にまとめることは難しいです。採用担当者にアピールしたい案件、自分が深く関わった案件を選択して書いてください。

コンサルティングファームの方、総合商社の方も、関わったプロジェクト、役割、プロジェクトの状況などポイントをおさえて書いてください。

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自身が思い描くキャリアとPEが合致するか、見極めて応募を

投資銀行や戦略コンサルティングファームにいらっしゃるような優秀な方でも、PEに入るのは極めて難しく、日ごろの業務の心がけなども含めて周到な準備が必要です。入ってからも、経営全般といった極めて高度で刺激的で、克服すべき課題が山積する業務を担当することになります。ご自分が思い描くキャリア像とPEの業務がマッチするかどうか見極めてから応募するのがいいかと思います。

コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。
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