AI革命の旗手HEROZがAI×コンサル型課題解決で“リアルに”産業を変える
2019/12/27
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国内外でAI(人工知能)ベンチャーが急増する中、ひときわ異彩を放つ企業がある。将棋アプリ「将棋ウォーズ」で知られ、2019年12月25日に東証マザーズから東証一部への昇格を果たしたHEROZだ。同社が現在力を入れているのが、将棋AI開発で培った機械学習関連の手法を他分野へ応用するBtoB事業。建設や金融など“リアル”な産業分野の有力企業に認められ、業界そのものを変え得る新たなAIシステムを作ろうとしている。共同創業者で代表取締役COOの高橋知裕氏にBtoB事業の進捗、そしてコンサル人材を重用する採用戦略などを聞いた。

〈Profile〉
高橋 知裕(たかはし・ともひろ)
HEROZ株式会社 代表取締役COO
1976年生まれ。千葉県出身。1999年に早稲田大学理工学部を卒業後、日本電気株式会社(NEC)に入社。BIGLOBE、経営企画部に在籍。2009年4月、NEC入社同期の林隆弘と共にHEROZ株式会社を設立、代表取締役COOに就任。

設計を変え、あらゆる産業を変える―。巨大なインパクトを生む「AI革命」

――BtoBのAIサービスで実績が出ていますね。実際どういった産業に導入されているのでしょうか。

高橋:重点領域としているのが、建設、金融、エンターテインメントです。建設業界では竹中工務店と連携し、既存物件の設計情報等を用い構造設計業務を支援するAIシステムを開発しています。

もともと巨大建造物の構造設計のシミュレーションは、一級建築士らが何カ月もかけて行っていました。作業が膨大なのに、ミスが許されない過酷な業務です。しかも習熟するまでに10年以上かかるとも言われ、慢性的な人不足に陥っていました。そこをAIがサポートすると、属人化を防ぎつつスピードを高め、より正確に、より安定した精度の設計ができるようになります。人間が単純作業ではなく、創造的な仕事に時間を使えるようにすることを目指しています。

――さまざまな産業がある中で、建設に着目した理由は。

高橋:NECにいるときから、日本の建設業の技術レベルは高いと感じていました。また、国土強靭化が推進されている通り日本は自然災害が多いので、安全性の高い建物や老朽化が進む社会インフラの補修・整備などの需要も多い。日本の社会資本を支えている建設の分野にAIを導入すれば、「AI革命」とも言うべき大きなインパクトを出せると考えたわけです。

竹中工務店とは「建設業における課題は何か、AIで解決できることは何か」という根本から協議し、設計領域から始めることになりました。設計は、ものづくりに関わるあらゆる産業で発生する業務です。成功すれば、波及効果は絶大でしょうね。

照準を定め、特化した業界標準を創りGAFAと差別化。真の社会インパクトを目指した“実戦”的戦略

――他にはどんなプロジェクトが進んでいるのでしょうか。

高橋:SMBC日興証券のAIを用いた金融サービスに我々の機械学習技術が採用されています。既にリリースされているサービスとしては、投資情報サービスの「AI株式ポートフォリオ診断」と「AI株価見守りサービス」があります。

株式投資のアドバイスは、これまで専門家が高額なフィーを対価に提供していたものです。AIを利用することで、もっと気軽に、個人のデータを基に的確なアドバイスを受けられるようになります。自分では気づかなかった優良銘柄を提案されたら、新たな投資のきっかけになるかもしれません。それは、滞留している資金を市場に流し、経済を活性化することにつながります。

――汎用的なプロダクトを提供するのではなく、顧客と組んでプロジェクトを進めているのには、どういった意図があるのでしょう。

高橋:理由の1つが、学習データを手に入れやすいことです。また、我々は社会に価値を生み出すことを最重要視しています。我々の仮説だけで需要のないサービスを作り出すことには意味がありません。しかも、その程度のレベルのプロダクトはすぐにキャッチアップされてしまいます。広く世に使われる高品質ものを作るためには、各業界の大手と組みニーズや課題を把握することが不可欠だと考えています。

また我々はどう頑張っても、例えばですが同じくAIファーストでビジネスを拡大しようとしているGoogleに資金力では勝てません。あれだけ資本を投下すれば、自社プロダクトとして汎用的なプラットフォームを構築できますが、我々はそうもいきません。そうすると、自分たちが“勝てる”産業に1つずつフォーカスする方が、社会を変えていける可能性があると考えています。

AI導入は問題設計が“肝”。ビジネスで勝つためコンサル人材も増やしたい

――AIを手掛けるベンチャーも年々増加しています。その中で、貴社が認められている理由とは。

高橋:「実戦」を大事にしているのが当社の特徴です。実際に戦って、勝つ。将棋AIを開発していることもあり、こうした考え方は根付いています。ビジネスの現場で「勝つ」、すなわち市場でシェアを獲得し社会に対して価値を生むことのお手伝いをしています。勝つために、あえて機能をライトにして使いやすくすることもあります。

一般にAIベンチャーは、研究が主体であるところが多いように見えます。一方、HEROZはテクノロジーファーストで研究開発を大事にしつつも、テクノロジーをどうビジネスにするかを重点的に考えています。エンジニアの採用でも、「うちはビジネスを大事にしている」ということを明確に伝えます。日本は、テクノロジーをビジネスに変える、つまり研究を産業に結びつける部分が弱い気がします。でも、HEROZはそれができる集団です。だからこそ、さまざまな企業から声を掛けてもらえるのだと思います。

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――ビジネスを大事にするということは、エンジニアだけでなくビジネスサイドの人材も重要になってきますね。

高橋:そうですね。なので、現在はプロフェッショナルファーム出身の人を積極的に採用しています。既に元ゴールドマン・サックス証券の浅原CFOのほか、コンサル出身のメンバーも複数いるのですが、まだ足りない状況です。職種でいうと、ビジネスコンサルタント(BC)職とプロジェクトマネージャー(PM)職で募集しています。BCは、顧客が抱える課題の発見や解決アプローチの策定などを担い、PMは実際のAIシステムの開発をマネジメントして価値を創り上げる職種です。どちらも、とても重要な役割を担っています。

どんなにAIシステムを磨き上げても、そもそもの問題設計が間違っていたら意味がありません。だからこそ顧客と密に話し合い、適格にニーズ・課題を把握し、適切な提案をすることが必要になります。そうしたコンサルティング的な知見やノウハウのある人を求めています。

――それらの職種に、コンピュータサイエンスの知識は必要でしょうか。

高橋:AI関連プロジェクトの経験者であれば、円滑に業務に入れると思いますが、なくても勉強する意欲があれば大丈夫です。これからは、ビジネスサイドの人材にとっても、AIの知識は必須になってくると思います。HEROZで、日本の宝とも言えるトップエンジニアたちと新たなAI市場を作っていく経験は、本人のキャリアにとってものすごい価値になるでしょう。

これまで全く違う業界でやってきたとしても、その専門性とAIを組み合わせて新しいサービスを作れるかもしれません。AIに特化してソリューションを考えるのは、実はとてもおもしろいことです。しかも提案を考えるだけでなく、実際にAIシステムを作り顧客の現場を変えていくことができることは、アドバイザリーでは味わえない醍醐味です。

将棋界に革命が起きたように、AIはあらゆる産業に変化をもたらす

――そもそもAIを手掛けるようになったのは、どういったきっかけからだったのでしょう。

高橋:共同創業者の林隆弘(CEO)が幼少期から打ち込んでいる将棋の経験に由来しています。彼は「全国高校将棋選手権」で優勝、その後アマチュア全国大会でも最年少で優勝するなど将棋の世界ではとんでもない実力者です。将棋を勉強する際は、将棋のソフトも使っていたようです。ソフトが教えてくれる「手」がヒントになり力を伸ばせたため、テクノロジーが人を強力にサポートできるという実感をその頃から持っていたわけです。

当社は2012年に将棋アプリ「将棋ウォーズ」をリリースしましたが、AIにフォーカスするようになったのは、その辺りからです。開発の過程で、プロ棋士に勝つような強いプログラムを作れるエンジニアが入社し、以後AI技術が強化されていきました。

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将棋AIが強くなったことで、将棋界には明確な変化が起きました。すなわち、棋士の勉強方法の変化です。人間同士で過去の棋譜を学ぶだけでなく、多くの棋士がAIを使い最善な手を見つけ、それを基に考えるようになりました。こうしたAIのサポートによる変化は、そのうち社会全体で起きてくると考え、他分野に展開するBtoB事業を始めたわけです。

――BtoBが拡大している今、将棋ウォーズはどういった位置づけになるのでしょうか。

高橋:将棋ウォーズは累計500万回以上ダウンロードされており、1日25万局以上のオンライン対局が行われています。有料アクティブユーザー数は増加傾向にあり、安定した収益の柱となっています。BtoB事業の収益が伸びている中にあっても、引き続き会社を支えてくれる重要な存在です。

また、将棋ウォーズは自社で企画・開発・運営しているので、AIに対するフィードバックを直接得られるという利点があります。研究開発のノウハウ蓄積に寄与し、同時にビジネスとしても成り立っている将棋ウォーズは、他のAIベンチャーにない当社の強みだと思います。

加えて、将棋ウォーズには「棋神(きしん)」というAIが5手だけプレイヤーに代わり対局してくれる機能があります。1回120円で利用できるのですが、これは今世の中で最も手軽にAIの力を実感できる機能なのではないかと思っています。パートナーとなる企業の方とお話している時、棋神を試しに使ってもらうこともあります。AIが人間をサポートし、パワーアップさせてくれることをわかりやすく体感してもらえるからです。

「AIは原始時代でいう火や棍棒」“最強の武器”が日本再興を促す

――事業拡大に向けた課題はどんなことでしょうか。

高橋:社会におけるAIへの理解度を高める必要があります。さまざまな企業と話す中、企業間でも、また企業の部署間でも理解にバラつきがあると感じます。

特に大事なのは、経営層の理解度を高めることです。我々はプロジェクトを始める際に経営層とお話しすることが多く、この層に理解があると変化のスピードが非常に速くなります。この先、AIは当たり前のように経営に取り入れられるようになるでしょう。全てがAIありきで考えられるようになり、社会が根本的に再定義されるフェーズがやってくるはずです。

現代においてAIは、人間が手にできる最強の武器だと考えています。人類は道具や武器を使うことで進化してきました。原始時代の火や棍棒(こんぼう)にあたるのが、今はAIです。AIを使うことで、既存の発想や制約から抜け出し、全く新しい価値を生み出すことができます。その生み出す過程で得られるデータを学習して、またAIが進化するため、人とAIが共に進化していくことも可能です。

AIの重要性に気づけなかった企業は、導入がどんどん遅れ取り残されていく恐れがあります。今のタイミングが、さまざまな面で海外勢に遅れを取っている日本企業が変わる最後のチャンスです。日本がこの先再浮上するか、このまま沈没するかの分岐点とも言えます。だからこそ「我々がAI革命の旗手になる」という使命感を持って、目の前の仕事に取り組んでいます。

次回:「戦略コンサル出身が語る、STEM人材とコラボして新しい価値を社会実装しビジネス化する仕事とは」

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コラム作成者
Liiga編集部
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