GAFA現役社員なのに副業2社経営中!?大事なことは「ステータスありきで会社を選ばない」 ーGAFA現役社員Makotoが語るキャリア論(後編)
2020/01/20
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#年収1500万以上のリアル
#起業する
#ハイクラス人材の副業

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前編では、外資系メーカーで海外駐在を経験後、GAFAに転職されたMakotoさんに、外資系メーカー在籍中の「アフリカ勤務の経験談」や、転職したからこそ感じる「外資メーカーとGAFAの違い」について伺いました。

後編の今回は、「GAFA社員のキャリア・副業事情」「外資メーカーとGAFAの年収・働き方の違い」に迫ります。

前編はこちら:「アフリカ駐在で見た世界が、私にGAFAへの転職を決意させた」 GAFA現役社員Makotoが語るキャリア論(前編)

〈Profile〉
Makoto
大手外資系メーカーに新卒入社し、海外勤務を経て、GAFAに転職。現在GAFAのマネージャーで、採用も担当。500人弱の面接経験あり。年収は前職の2倍。現在2,000万円超。副業で起業した2社が本業になりつつある3児のお父ちゃん。
▶外資就活相談室:Makoto
▶Twitter:@Makoto12251055


【目次】
・GAFA転職後5年間で年収1700万円アップ!成功要因は自社株(SKU)
・外資系メーカーでは7年連続A評価。しかしマネージャー以上の昇進は困難
・副業で2社起業した理由は「サラリーマンに限界が見えたから」
・会社名や肩書といったステータスありきで転職先は選ぶな

GAFA転職後5年間で年収1,700万円アップ!成功要因は自社株(SKU)

ーー外資系メーカーでは年収はどれぐらいでしたか。

Makoto:外資系メーカーでもらっていた年収は、初年度は450万円程度でした。また、転職する時点の年収は、社会人8~10年目で残業代を含めて年収900万円程度でした。待遇はとても良かったです。

ーー残業は多かったのですか。

Makoto:当時は毎月100時間ほど残業していましたね。といっても残業代が欲しかったから残業していたわけではなく、成長するために自ら仕事を取りにいったからでした。 この時身に付いた「自ら仕事を取りにいく積極的な姿勢」が、GAFAへの転職成功につながったのではないかと思います。

ーーGAFAに転職されてからの年収を教えてください。

Makoto:GAFA入社時に提示された額面上の年収は、転職前とあまり変わらず900万円程度でした。ただその後の年収は、

【1年目】  900万円
【2年目】 1,200万円
【3年目】 1,400万円
【4年目】 1,800万円
【5年目】 2,600万円

と飛躍的に上がりました。

年収が跳ね上がった理由は、GAFAならではの給与形態にあります。GAFAの給料は「基本給」と「株(SKU)の付与」という2種類の収入源で構成されています。

入社時の契約は、基本給+複数年分の配布株数で契約を結びます。複数年分の配布株数は、当時の株価予想を基に配布株数の価値を算出し決定しています。そのため、もし入社後に株価が大きく増減すると、当然株の価値も大きく増減します。また、毎年追加の配布株数が昇給に合わせて決まります。

もし昇給すると、基本給だけでなく配布株数も増えることになります。だから株価が上昇するほど、予想以上に多くの収入を得ることができるのです。

ーー収入の内、株はどのくらいの割合を占めますか。

Makoto:GAFA転職後の年収の内訳は、基本給+株=合計の順で並べると以下の通りです。

【1年目】 基本給 900万円 + 株 0万円 = 合計 900万円
【2年目】 基本給 900万円 + 株 300万円 = 合計1,200万円
【3年目】 基本給1,000万円 + 株 500万円 = 合計1,400万円
【4年目】 基本給1,100万円 + 株 700万円 = 合計1,800万円
【5年目】 基本給1,200万円 + 株1,400万円 = 合計2,600万円

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私の場合は、基本給も上がってるのですが、株での収入増加による影響が特に大きいですね。 私が入社した後、自社の株価は右肩上がりで毎年伸びました。その結果、株での収入が跳ね上がりました。 仮に転職をせずに前職の外資系メーカーにとどまっていたとしたら、ディレクタークラスに昇進したとしても、年収は1,200万円くらいが限界だったと思いますね。

外資系メーカーでは7年連続A評価。しかしマネージャー以上の昇進は困難

ーー年収はGAFAに転職した理由の1つでしたか。

Makoto:いいえ、違います。私は年収は後から付いてくるものだと思っています。むしろ、私は「年収は最低限あればいい」と考えていました。それよりも未来の自分に向かって成長していける場所に身を置きたいと思い、その結果GAFAに転職しました。

とはいっても、年収が上がった分だけ税金も多くなってしまうため、実は手取りの総和は外資系メーカーとGAFAではそこまで差がありません。実際に、転職して5年経ちましたが生活の質はあまり変わっていません。それどころか、配布された株はまだ換金していないので、むしろ手元のキャッシュは減っていると思います。

ーー外資系メーカー時代は、人事評価はどのように決まっていましたか。

Makoto:外資系メーカーではA〜Eの5段階評価で社員を査定し、A評価は成績が上位5%の社員に与えられます。私は入社してから7年間連続でA評価でした。自分が優秀だったから、というよりも、とにかく難しいと思える仕事を手を挙げて取りに行き、失敗してもいいからとやり続けたのでこの評価をもらえたのだと思います。そのおかげか毎年昇進していましたね。

ーーそのまま外資系メーカーで部長や役員を目指すこともできたのですか。

Makoto:残念ながらマネージャーより先の昇進は望めなかったと思います。転職を考えた当時は次期マネージャー候補と見なされていたと思いますが、マネージャーより上のポジションは席の数が決まっているのです。だから昇進するためには上司が辞めるか、引きずり下ろすしか手段がなかったと思いますね。

ーーGAFAに転職してからはスムーズに昇進しましたか。

Makoto:GAFAは評価が開示されていないため具体的にはわかりませんが、入社2年目の時点で昇進したので評価はそこまで低くなかったと思います。 もし評価が低かった場合、上司に呼ばれてキャリアプランを考え直すよう指示を受けますが、私は呼び出されませんでしたね。

副業で2社起業した理由は「サラリーマンに限界が見えたから」

ーー副業として会社を2社経営されているそうですが、どんな事業を手がけているのですか。

Makoto:不動産事業とコンサルタント事業の2つを展開しています。不動産事業は管理業務などを外注してしまい、自分がいなくても自走する仕組みを作ってしまったので従業員はいません。一方でコンサルタント事業はGAFAの同僚と一緒に立ち上げて運営していますね。

ーー2社経営されていて、本業に支障はないのですか。

Makoto:基本的には本業とバランスが保てる範囲で副業をしているから大丈夫です。主に副業をしている時間は、お昼休み・出勤前・出勤後ですね。GAFAはフレックスなので、副業の会議があればそちらを優先することもできてしまいます。

ーー副業の収入はどれくらいですか。

Makoto不動産事業は既に年間で利益300万円ほど出ています。コンサル事業の方は今は投資フェーズなので、利益はあるのですが私の役員報酬はゼロで運営しています。だから「こんなに時間を使っているのに給料ゼロかよ!」と、妻に毎日すごく文句を言われます(笑)。 もっとも、役員報酬をもらってしまうと税金を払わなければいけないので、投資に回した方が良いんですけどね。

ーーなぜ、副業を始めたのですか。

Makoto:二つ理由があります。まず一つ目は、社内政治を含めてGAFAでの昇進に必要なスキルを考えると、自身の限界が見えたためです。優秀なライバルも多い中、競争の激しい社内の昇進が、本当に自分がやりたいことなのか疑問を持ちました。

もう一つは、将来もサラリーマンとして限界近くまで働き続けるよりも、リスクを取ってでも自分で事業を起こした方が、自由度が高く楽しく働くことができると考えたからです。私は周りを取り繕うような政治的な振る舞いはあまり得意ではありません。だから、起業しました。

ーーMakotoさんの起業が順調な理由は、どこにあると思いますか。

Makoto:アドバイスを聞くときは、「実際に取り組んだ経験がある人に聞く」ということを徹底しているからです。

よく、やったこともないのに「やらない方がいいよ」と言う人がいますが、そういう人の話は無視した方がよいです。そういう人の話をよくよく聞いてみると、「誰かが言っていた」とか、「何かで見た」という理由が多いのです。経験に裏打ちされていない発言なので参考になりません。一方で、経験があり失敗したことがある人の話は、ものすごく聞く価値があると思います。

新しいことに挑戦するには、ひとまず「自分の力」で戦ってみることが重要です。私は副業でも本業でも、まず最初は自分の力でやってみます。最初から外注できることもまずは自分で取り組み、システムを理解した上で外注します。

会社名や肩書といったステータスありきで転職先は選ぶな

ーーキャリアを決める上で重要なことはなんですか。

Makotoまず最初に考えるべきことは「自分の強み」「自分の願望」です。この二つを明確にした上で、自分の強みと願望を満たす会社を探す。この順番が重要ですね。

逆に言うと、会社名や肩書といったステータスで転職先は選ばないことです。「どうすればGAFAに入れますか?」という質問をよく受けますが、「この会社に入るために、どのような強みを磨けばいいのか」という考え方では失敗します。「自分には○○という強みがあり、○○の仕事をしたい。だからこの会社を選ぶ」という考え方をするべきです。

ーー自分の願望については、普段どのように整理していますか。

Makoto:キャリアプランについては、大体5年先まで立てるようにしています。

横軸に線を引いてグラフを作り、私だけでなく家族の年齢やライフステージも入れて「ここまでにこうなりたいから、今こうしておく必要がある」とキャリアプランに落とし込んでいます。半年に1回、このキャリアプランをアップデートすることで、自分の願望や状況を客観的に見ています。

例えば外資系メーカー時代は、「5年以内に1年間海外に行く」とキャリアプランに明確に記載し、常に意識していました。だから海外のポストが空いた時に、すぐに「手を挙げる」というアクションを起こせました。会社員なので多少の時期の前後は仕方がないと考えてよいでしょう。配属や昇進など、ある程度自分でコントロールできないこともあります。

ーー転職を考えている方に向けて一番伝えたいことはなんですか。

Makoto転職を考える際は、「これからどうしたいのか」と考えることが特に大切です。

転職するということは、今より厳しい環境に身を置かざるを得ません。だからこそキャリアプランを自分で作り、そして自分の意思で決めないと、転職先で仕事が続かないと思います。自分のキャリアを自分の意思で決めることが、仕事をやり遂げる動機になるということを心にとどめておいてもらえればと思います。

そして転職の理由は、「自分がしたい事」「やっていて楽しい事」と異なっていてもいいと思います。どんな仕事も実際にやってみないとわかりません。

コラム作成者
Liiga編集部
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