ゆうです。
2013年に日本のIT系メガベンチャーの駐在員としてサンフランシスコに赴任し、その後紆余曲折あって、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。
前回:米国企業の「電話面接」を侮るなは、電話面接(フォンスクリーニング)の攻略法について説明しました。
電話面接を無事突破すると、そこに待ち受けているのはいよいよ現地での対面の面接(オンサイトインタビュー)です(その前に宿題が出ることもありますが、ここでは割愛)。
純ジャパにとっては、おそらく海外就活における最大のヤマ場ではないでしょうか。
今回は、オンサイトインタビューの攻略法について書いていきます。
・オンサイトインタビューとは?
・オンサイトインタビュー攻略法:徹底的な準備が全て
・オンサイトインタビューのちょっとしたコツ
・まとめ:オンサイトインタビューは決して乗り越えられない壁ではない
オンサイトインタビューとは?
オンサイトインタビューとは、日本で「採用面接」と言ったときに一般的に想像されるものとほぼ同義です。
志望先の企業のオフィスに出向き、面接官に対面であれやこれやと質問されるアレですね。
海外就職の場合には、対面での面接の他に電話面接(フォンスクリーニング)があるので、それと区別するためにここではオンサイトインタビューと呼びます。
オンサイトインタビューは多くの場合、平日の日中に数時間かけて行われます。
面接官と1対1(まれに面接官が複数のケースもあります)で、1人につき30分〜1時間程度の面接を、複数人の面接官(だいたい5〜6人の場合が多いです)と連続して行います。
日本の場合だと、1人目の面接官は現場レベルの担当者で、その人をパスしたら次はちょっと偉い人が出てきて、最終的にはマネージャーが・・・みたいなパターンが多いですが、アメリカではいきなり一番偉い人が出てくることも往々にしてあります。
たぶん面接官のスケジュール優先で順番を決めてますね。
採用候補者を途中で帰すようなことはせず、とりあえず予定している面接官全員が面接をします。
その後、面接官がそれぞれのフィードバックを持ち寄って採否を決めることが多いです。
オンサイトインタビュー攻略法:徹底的な準備が全て
さて、オンサイトインタビューの攻略法ですが、我々純ジャパがすべきことは「徹底的な準備」、これに尽きます。
僕はAmazonを受ける前、実は数十社の企業を受けて全て落ちまくっているのですが、これは準備不足が原因でした。
実際、Amazonのオンサイトインタビューの準備を行ったあとに受けた企業からはオファーをゲットできたので、おそらくここで紹介する準備はAmazonだけに通じるものではなく、ある程度汎用性があるものだと思います。
下準備:エピソードの洗い出しをしよう
各社個別の対策に入る前に、まずは下準備としてエピソードの洗い出しをしておきましょう。
僕が面接で落ちた原因は、主に
●質問に対して適切な回答やエピソードがぱっと思いつかない ●エピソードを思い出せても、その場で素早くロジカルな英文に構成できない
という点にありました。
面接では、過去のエピソードが求められることが多いです。
「こんな問題が発生したとしたら、あなたはどうしますか?」
といった「仮定」に基づいた質問も無いわけではないですが、僕が面接を受けた中で多かったのは、
「あなたがこんな問題に直面したときの話を教えて下さい」
といった、候補者の過去の経験を詳細に深掘りする「行動」ベースの質問でした。
また、「仮定」に基づいた質問だったとしても、自らが実際に経験したエピソードを交えながら回答した方がより説得力が増します。
いずれにせよ、エピソードの洗い出しはしておいて損は無いということです。
エピソードを洗い出すときのポイントは以下の3点です。
1.成功体験だけでなく、苦労した経験や失敗した経験も全て洗い出す 2.それぞれのエピソードはSTARフォーマットで整理する 3.各エピソードは英訳し、全て丸暗記する
1.成功体験だけでなく、苦労した経験や失敗した経験も全て洗い出す
成功体験はもちろん素晴らしいことなので是非アピールすべきですが、面接官はときとして、あなたの成功体験と同等かそれ以上に「あなたが困難をどのように乗り越えたか」や、「過去の失敗から何を学んだか」を聞きたがります。
エピソードを洗い出す際には、成功体験と併せて、非常に苦労した(でも、自分なりに工夫して乗り越えた)経験や、手痛い失敗をした(でも、それを学びとして次の成功に活かした)経験なども含めるようにしましょう。
そもそも成功体験しか無い人なんてそうそういないと思いますし・・・。
目安として、成功体験、苦労体験、失敗体験のエピソードを、それぞれ5〜10程度は持っておきたいです。
2.それぞれのエピソードはSTARフォーマットで整理する
STARフォーマットって聞いたことある人もいるかと思いますが、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字を取ったもので、エピソードをまとめる際にこれに従うと分かりやすくなります。
初めにそのときの状況や課題について説明し、それに対してあなたがどのような行動を取ったかを具体的に述べ、最後にそれによってどのような結果が導かれたかで締めくくります。
Amazonの面接では、回答者はSTARフォーマットに沿った回答が求められ、STARのうちどれか1つでも不明確だと、面接官が鋭く突っ込んできます。
例えば、
「私は〇〇プロジェクトのリーダーとしてプロジェクトを成功に導きました」
のようなざっくりとした回答をすると、
「あなたの組織ではなく、あなた個人としてはどのようなことをしたのですか?あなたが独自に工夫して行ったことは何ですか?それはあなたでなければできなかったことですか?」
といった追加質問が大量に飛んできます。
3.各エピソードは英訳し、全て丸暗記する
STARフォーマットでまとめたエピソードは、きっちり英訳して全て丸暗記しておきましょう。
エピソードを日本語で覚えておいてその場で英訳するなんてリスクは犯さないほうがいいです(それをやって失敗した経験があります・・・)。
洗い出したエピソードが面接でそのまま使えることは稀で、質問の意図に沿ってアレンジしたりといった作業はどうしても必要になります。
事前に準備できることは全てしておいて、少しでもその場での負荷を下げた方がいいです。
各社個別の対策:過去の面接の質問を調べて、想定問答集を作成、全て丸暗記
下準備ができたら各社(各ポジション)個別の対策に移ります。
対策方法は、ざっくり言うと 1.各社の過去の面接で聞かれた質問の内容を調べる 2.想定問答集を作成し、全て丸暗記する
1.過去の質問を調べる:GlassdoorやGoogleで検索
まずは以前も紹介したGlassdoorをチェックしましょう。
ここでは、実際に面接を受けた人たちが、どんな質問をされたかをシェアしています。
自分が受ける会社名と職種で検索してみましょう。
もしGlassdoorで見つからなかったとしても、Googleで「{会社名} {職種} interview questions」などと検索すると、他のサイトや個人のブログなどで、面接で聞かれた質問が公開されていることがあります。
2.想定問答集を作成して丸暗記する:そのポジションで必要な資質の有無を判断できる質問を作ろう
過去の質問から応募先の面接の傾向がつかめたら、想定問答集を作成しましょう。
ここでのポイントは、Glassdoorなどで見つけた過去の質問は、あくまで傾向をつかむためだけのものであるということです。
いくら同じ会社の同じ職種でも、チームやプロジェクトが異なれば求められる資質も異なるので、当然聞かれる質問も違います。
連載第8回:日本の“履歴書風”はNG。アメリカで職を得るためのレジュメの書き方でも説明したレジュメの書き方同様に、ジョブディスクリプションを参考にそのポジションで求められる資質を見極め、その資質の有無を判断するための質問を、上で調べた過去の質問の傾向を参考にしつつ作成します。
そして、各想定質問に対する回答を、下準備で洗い出したエピソードを絡めつつ作成します。
もちろん全て英語で作成し、全て丸暗記します。
僕がAmazonを受けた際には、42問の想定問答を全て丸暗記して臨みました。
さすがにここまですると、例え想定通りの質問がされなかったとしても、たいていどれかの想定問答を応用して回答することができました。
オンサイトインタビューでは、上で述べたような候補者の過去の「行動」を問う質問以外に、職種によってはテクニカルな質問もされます。
例えばプロダクトマネージャーであれば「製品A(実在の製品)の価格をどのように決定したと思いますか?」とか、「あるサービスのユーザー数が先月から著しく減少しています。この問題に対してどのようなアプローチで臨みますか?」とかですね。
こういった質問への対策は、ちょっと専門的過ぎてこの記事の対象範囲を逸脱してしまうので、各種書籍等で対策してください。
オンサイトインタビューのちょっとしたコツ
最後に、オンサイトインタビューのちょっとしたコツについて書いておきます。
面接官のバックグラウンドを調べる:質問を想定できる可能性も
先方からオンサイトインタビューのスケジュールを知らせてもらう際、面接官の名前を教えてもらえることがあります。
そんなときにはすかさずLinkedInでその面接官のバックグラウンドを調べましょう。
どんな質問が来るのかアタリをつけるのに使えるし、共通の知人がいればそれで盛り上がることもできるかも知れません。
ホワイトボードを使う:コミュニケーションスキルとして評価
ちょっと込み入った概念を説明したいときなど、英語だけで説明するのは辛そうだなと思ったら、面接官に断りを入れた上でホワイトボードを使って説明しましょう。
英語だけで全て説明する必要はありません。
これは入社してからも同じで、自分の考えを他人に伝えるために必ずしも英語だけにこだわる必要は無いわけで、面接官はそこも含めてあなたのコミュニケーションスキルとして評価してくれます。
面接後、その日のうちにお礼のメールを書く:面接官の印象に残りやすく
面接後、できるだけその日のうちに、簡単でも構わないので面接官にお礼のメールを書いておきましょう。
面接でこういった内容の話が聞けて非常に参考になった、おかげでますますその会社で働きたくなったなど、ポジティブな内容を書いておきます。
実際にこれをやってくる候補者って多くはないので、その分面接官の印象に残りやすいです。
お礼のメールを書けるように面接中にメールアドレスを聞いておきましょう(名刺はたぶん誰も持ってきません)。
まとめ:オンサイトインタビューは決して乗り越えられない壁ではない
以上、オンサイトインタビューの攻略法を見てきました。
簡単にまとめると以下のとおりです。 ●オンサイトインタビューは、徹底的な準備が全て ●成功体験、苦労した経験、失敗した経験などのエピソードをSTARフォーマットで洗い出して丸暗記しよう ●Glassdoorなどで志望先の過去の面接の質問を調べて傾向を把握しよう ●ジョブディスクリプションからそのポジションに求められる資質を理解し、想定質問を作成しよう ●想定質問に対する回答をエピソード含めつつ英語で作成し、全て丸暗記しよう
純ジャパにとって、オンサイトインタビューは確かに高い壁ですが、徹底的な準備をしていけばけっして乗り越えられないものではありません。
さて、オンサイトインタビューを攻略して、無事オファー(内定)がもらえたら、いよいよこちらのターンです!
次回は「給与交渉の仕方」について書いていきます!