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ニュース閲覧アプリで知られるスマートニュースに、ハイレベルな経歴を持つ人材が続々と参画している。その代表格が、2019年7月に入社し、経営企画と財務を統括する松本哲哉氏。欧州系投資銀行のUBSで約5年半、PEファンドのユニゾン・キャピタルで約8年勤めた後、スマートニュースに身を移した。外銀や投資ファンドでの経験を、スタートアップではどう生かすか-。松本氏に新天地での意気込みや転職理由を聞いた。
バイアウトファンドから日本発ユニコーン企業へ。デジタル分野は今が一番面白い
――現職ではどんな役割を担っているのでしょうか。
松本:正式な肩書きはVice President of Corporate Planning & Finance。経営企画と財務の執行役員を兼務しています。経営企画では事業の戦略や計画を策定したり、関連する組織や人事の戦略を立てたりと、経営に関するあらゆる施策を担います。
財務は、主に資本調達です。2019年8月に当社は新たな調達により、企業価値が1200億円を超えるユニコーン企業になりましたが、まさしくそうしたことを担当しています。
――スマートニュースとの出会いについて、お聞かせください。
松本:知人で信頼できる投資家から、「投資先の企業で人を探しているから話を聞いてほしい」と相談されたことがきっかけです。それから半年くらいCEOの鈴木健と毎週のように会い、いろいろな話をするうちに「参画すべきだ」と確信に至り、入社を決めました。
背中を押したキーワードが、「デジタル」です。個人的に、デジタルと「アセットマネジメント」の2分野が、2020年前後から急速に面白くなると思っています。アセットマネジメントについては、前職のPEファンドで約8年間、最前線でエンジョイさせてもらいました。
一方のデジタルについては、前職で投資対象として接するうちに、自分も業界の真ん中に身を置き働いてみたいという思いが募りました。デジタルに身を投じるなら、業界が変化の只中にある今が一番面白いだろうと考えました。
――デジタルといっても、IT企業は無数に存在します。その中でスマートニュースを選んだ理由は何でしょう。
松本:確かに、前職でIT企業の投資案件を多く扱ってきたので、当社以外でも複数のIT系スタートアップからCFOになってほしいと誘いを受けました。外資のテック企業から、日本進出に向けカントリーマネージャーをやらないかという話もありましたが、全て辞退しました。
スマートニュースを選んだ理由は大きく3つあります。1つ目はポテンシャルの高さです。当社は創設当初からグローバル展開を念頭に置いていますが、客観的に見て、絵空事ではなく「初めての日本発グローバルデジタルサービス」になり得ると思っています。
まだ全く知られていなかった2014年当時に米国オフィスを設け、日米で同時にサービスを開始しました。日本国内で使われているスマートニュースのアプリは、ユーザーが設定を変えればすぐに完全なアメリカ版に切り替わります。つまり真の意味で、「グローバルワンプロダクト」ということです。それほど、最初からグローバルを意識してきた企業です。
2つ目は、私のバックグラウンドやスキルを生かせることです。社内にはエンジニアやプロダクト関連の人材が多く、私のような金融出身者はまだあまりいません。一般的にスタートアップはすぐにCFOや経営企画の経験者を雇いコーポレート面を強化するケースが多いですが、スマートニュースでは完全にエンジニアの強化が先行しました。
また、実は私もテックな人間です。小学生の頃にプログラミングを学び、大学では理工学部に進みました。在学中だった20歳の時にITベンチャーを立ち上げた経験もあります。そういう意味では、よく知っている世界に戻ってきたという感覚ですね。理解度が高い分、エンジニアへのリスペクトもあります。
3つ目の理由は、CEOの鈴木健です。スタートアップの世界には滅多にいないタイプで、むしろ学者、思想家、哲学者みたいな感じですね。私も哲学は好きなのですが、まさかテック業界の経営者とチョムスキー(ノーム・チョムスキー氏、米国の哲学者)について議論できるとは思っていませんでした。「こういう面白い人がいるのか!」と、とても驚かされましたね。
ファンドで身についた経営感覚。企業の課題解決は「パターン化できる」
――前職での経験をどう生かせるとお考えですか。
松本:私の強みは、経営×財務にあると思っています。単なる財務であれば、投資銀行を10年以上経験した人の方が強いでしょう。一方のPEファンドは、戦略コンサルとIBDを足して2で割ったような世界です。投資先のトップと一緒に、経営をしなければなりません。
そして、PEファンドの中でも私のいたバイアウトファームでは、ベンチャーキャピタル(VC)とは異なり経営権を取るので、より重い責任を負います。事業計画や戦略も、自ら主体的に作るわけです。まさにハンズオンという感じですね。私はキャリアをIBDから始めましたが、経験・スキルは財務にかたよっているわけではありません。スマートニュースでも、私にとってメインは経営企画であり、財務はそれに次ぐ位置づけです。
前職では、自動車関連からeコマースまで多種多様な企業を買収し、成長を支援しました。単にM&Aを実行するのではなく、買収先のCEOやCFOと一緒に成長戦略を作る仕事です。様々な企業において財務視点を絡めながら経営をするという意味で、非常に貴重な経験だったと思います。
また、幅広い業種・企業に関わったことで、「これくらいの規模で、こういう経営方針だと、こういう課題にぶつかるから、採るべき戦略はこれ」というような一定のパターンが見えてきました。このパターンを確立できれば、あらゆる企業が抱える課題の解決策を、素早く見いだせるようになります。
例えば数千人を抱えるグローバル企業と社員が数十人の中小企業では、当然あるべき戦略が違います。経営戦略、財務戦略、組織構築など、多様なケースに接してそれぞれの最適解を苦労して見つけ出してきたことが、大きな財産になっています。そうやって身につけたたくさんの引き出しが、当社で生かせるはずです。
コンサルや外銀と、PEファンドは全く別物
――アドバイザリー業務から事業会社に身を移すことで、ギャップはないのでしょうか。
松本:前々職はアドバイザリーですが、前職はどちらかというとプレーヤーに近いですね。自ら責任を負って投資・経営していたわけですから。なので、前職と今は感覚として変化はあまりありません。
実は、コンサルやIBDなど代表的なアドバイザリービジネスとPEファンドとの間には大きな隔たりがあり、全く違うスキルが必要です。前者で実績を残すには優れたプレゼン力などが求められます。他方、PEファンドではリターンであるお金を“つくる”ことが必要になります。PEファンドで名を成すのは、案件を創出し、リターンを生み出せる人。両者は全く別のキャリアだといえるでしょう。
現在の業務内容は前職の延長戦上にあると考えています。PEファンドの業務では、事業戦略、人事および組織、財務の3要素が軸になります。現職でも、経営企画と財務の執行役員として同じようなことをやるわけです。
――具体的にスマートニュースにおいて過去の経験が生きる場面とは。
松本:当社は日本で盤石の地位を築きつつ、今後は米国市場で勝とうとしています。その際、どういうビジョンを描き、資金をはじめ限られたリソースをどのような配分・順番で投じるべきかを、冷静に分析して判断することが不可欠です。勝ち切るための青写真を作る仕事ですね。投資の世界に身を置いてきた私にとっては、腕の見せ所です。
また、多くのスタートアップのCEOと同様、鈴木健はきわめて優れた先見性を持っているのですが、そのビジョンを具現化していく上でも、プロフェッショナルファームで培ってきた私の力が役に立つはずです。
加えて、組織面でも財務面でもスタートアップでは常に「何かが足りない不完全な状態」であるのが当たり前なので、経験に基づき課題解決策を提案していけば、会社はどんどん良くなっていきます。スタートアップは一般的な事業会社と比べ一人一人の業務範囲が広いため、1つの課題を解決することによってもたらされるインパクトも、大きくなります。
つまり、培ってきた能力を生かす機会はたくさんあるということです。手探りの中で頑張って伸びてきた企業を、さらに一段高いフェーズに押し上げるという意味で大きな責任とやりがいを感じています。
一流タレントを世界中で採用。目指すは「レアル・マドリードみたいな集団」
――松本さんが考えるスマートニュースの強みとは。
松本:当社のコアバリューの1つに「For The Common Good」というものがあります。私利私欲のためではなく社会のために働きましょうという理念です。社員たちは、「ニュースが社会を変える」「情報の流れをスムーズにすることで社会はもっと良くなる」といったことを真剣に考えています。
多くの企業におけるCSRとは、売り上げの一部を公益事業に使うというものですが、スマートニュースでは、メインプロダクトであるニュースアプリを使って世の中を良くするという独特の考えが根幹にあります。世界的に見ても、きわめてユニークな企業です。
それに、当社は創業者2人がトップ層の人材を集めることに並々ならぬこだわりを持っています。鈴木は常々、「レアル・マドリードみたいな集団を作りたい」と語っており、中途半端な人では納得しません。今、彼は主に米国に滞在し、自ら現地の一流タレントを採用すべく奮闘しています。CEOがそういう高い目線を持っていることは、企業にとって大きな強みではないでしょうか。
――経営企画部門ではどんな人材を求めていますか。
松本:大きく分けて2パターンの人の採用を想定しています。1つは私のようにプロフェッショナルファームでトレーニングを積んできた人。つまり戦略コンサルや、投資銀行のIBD、PEファンドなどで企業の戦略や経営を扱ってきた人材ですね。5-10年程度を経験した人だと良いでしょう。
中でも「アドバイザリー」という立場に違和感を抱いている人なら最適です。つまり、収益責任や事業責任を持って、もっと“ヒリヒリ”する環境で1つの事業にどっぷり浸かってみたいと思っている人ですね。
もう1つは、事業会社で経営に近いことをやってきた人です。会社を経営していた人はもちろんですが、子会社や海外支店の経営に関わっていた人や、経営企画、事業企画、事業投資、事業管理などに携わってきた人は歓迎したいです。
スキル面では、高レベルの論理的思考力、数字を扱うセンス、それに高いコミュニケーション能力は不可欠です。言語能力としては日本語と英語がビジネスレベルであることが理想ですが、日本語は必須ではありません。できれば、1人は英語のネイティブスピーカーがほしいですね。それとは別に、データ分析の経験者も採用したいと思っています。
――スキル以外では。
松本:プロフェッショナリズムにこだわっていること。私はこの点をきわめて重要視しています。過去のキャリアにおいても、プロとは何かを自問自答し続けてきましたから。日本では特殊なスキルで稼ぐ人がプロだと思われていますが、それだけではないはずです。己を律する力や、アウトプットへのこだわり、常に研さんを怠らないことなどですね。そういう部分を突き詰めて考えている人と、一緒に働きたいと思っています。