「上場企業の社長と対峙しながら、株価を上げる」。アドバンテッジアドバイザーズで求められる経営スキルと覚悟
2020/03/10
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アドバンテッジアドバイザーズは、日本のプライベート・エクイティ(PE)投資の黎明期から市場を創出してきたアドバンテッジパートナーズのグループ会社だ。発行株式のマジョリティを獲得して経営改善や再生をおこなった上で売却するPEとは異なり、上場企業へのマイノリティ投資を専門としている。上場企業の中でも、さらなる成長に向けた資金ニーズを持つ企業を探し出して投資を実行。経営トップを相手に成長に向けた支援をおこない、株式の評価額を高めた上でエグジットするビジネスモデルだ。大きな成長可能性を秘めた投資先企業を見極める力、上場企業のマネジメント層とともに会社を変化・発展させていく力。非常に幅広く、高度なスキルを求められるアドバンテッジアドバイザーズでは、どのような人材を求めているのか。同社取締役・プリンシパルの古川徳厚氏と、2018年入社のシニアアソシエイト金子昌史氏に話を聞いた。

〈Profile〉
写真右/古川徳厚(ふるかわ・のりあつ)取締役/プリンシパル
東京大学理学部地球惑星物理学科および同大学情報理工学系研究科創造情報学専攻修士課程修了。(Best Manipulation Paper Award, 2006 IEEE Int. Conf. on Robotics and Automation)大学院修了後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、製薬、小売、プライベートエクイティ、銀行、生命保険、半導体業界を中心に全社戦略、海外戦略の構築、生産性改善、SCM、買収対象企業の事業精査などの業務に携わる。2010年7月にアドバンテッジアドバイザーズに参加。フジオフードシステム、アークランドサービスホールディングス、エスエルディー、ひらまつ、エムピーキッチン、おいしいプロモーション、ヴィレッジヴァンガード、ウェルネット、ピクセラ、アプリックス、Eストアー、メタップス、メイコー、日本パワーファスニング、キャンバスなどの投資案件を担当。外食、IT、製造など幅広い業種において、成長戦略の策定、追加買収、海外展開、新規事業拡大、オペレーション改善、コスト削減、経営管理の高度化などを支援。フジオフードシステムの案件では、中期経営計画の立案、追加買収、海外展開、コスト削減などを通じて、外食業界の日常食領域におけるリーディングカンパニーの1社へと成長させた。

同左/金子昌史(かねこ・まさし)シニアアソシエイト 東京大学経済学部経営学科卒業後、JPモルガン証券株式調査部に入社し、食品・化学業界を株式アナリストとして担当。その後、京都大学経営管理大学院(MBA取得)を経て、株式会社ストライプインターナショナルに入社。社長室長として事業開発、経営企画、事業成長、生産性改善などの業務に従事しながら、株式会社スマービーを買収後に取締役として参画しPMIを主導。2018年6月、アドバンテッジアドバイザーズに参画。アプリックス、アークランドサービスホールディングス、Eストアー、ひらまつ、メタップス等を担当し、M&Aや営業協力、人材採用など様々な側面から経営協力に従事。


企業経営全般に携われる場所を求め、アドバンテッジアドバイザーズに入社

――まず、お二人のキャリアを教えていただけますか?

古川:理系の大学を出ていまして、大学院ではロボットの研究を行っていました。研究は好きだったのですが、最終的にはファーストキャリアにマッキンゼーを選んでいます。将来研究の道に戻ることがあったとしても、問題解決スキルをつけておきたいと思ったことが理由です。

3年半で十数社ほどのコンサルティング業務に携わりました。クライアントと一緒になって問題解決してバリューを出していく仕事は非常に面白かったですね。企業経営という複雑で高度な課題に向き合う時間は充実していたと感じます。

ただ、当時のマッキンゼーは3、4年働いた後に外部での新たな経験にチャレンジすることを奨励していました。同期もかなりの人数が出向したり、MBAを取得するために留学したりしていまして、私もそのタイミングで転職することを決めました。

――転職先にアドバンテッジアドバイザーズを選んだのはなぜだったのですか?

古川:1社目は正直言って若干あいまいなまま選んだのですが、セカンドキャリアは明確にファンドに行こうと思っていました。コンサルティングの仕事は、ほとんどは、クライアントの収益改善がゴールなんですね。トップラインの引き上げか、コストの削減が最終目標。でもそれは会社経営という複雑な業務の中ではほんの一部です。総合的な経営スキルを身につけるために、ファンドを志しました。当社にはマッキンゼーの先輩も何名かいましたし、日系ファンドはディール数が多いと聞いたこともあり、迷うことなく参画しました。

金子:私は新卒でJ.P.モルガン証券の株式調査部に入社しています。上場企業の業績や将来性などに関するレポートを作成して投資家の方に向けて発表する。その仕事自体には面白みを感じていましたが、カバレッジ対象が大企業で手触り感が少ないこと、またコンサルタントよりも更に外部からしか企業を見られず、現場の実態に迫れないことにもどかしさを感じていました。

その後、京都大学のMBAコースにて、ストライプインターナショナルというアパレル企業の社長とご縁があり、一緒に働かないかとお声がけいただきました。ちょうど企業経営のコアな部分に携わりたいと思っていましたので、転職を決意しました。3年ほど経営企画やM&A、新規事業を担当させていただいて、非常に貴重な経験を重ねることができました。しかし、1社に限定せず色々な会社の経営に関与したいという思いが募るなかで、高校の先輩である古川の紹介もあり、2018年の6月に当社に参画することになりました。

――現在はどのような仕事を担当されているのでしょうか。

古川:まずは投資家の方からお金を集めるファンドレイジング。海外に行ってプレゼンとQ&A対応を実施することも多いです。もう一つ大きいのは、投資案件発掘のための企業との面談です。可能性のある企業にはこちらからコンタクトを取りますし、金融機関等からの紹介を受けてご提案することもあります。あとは採用活動や投資先企業の役員会への出席もありますし、担当業務は非常に幅広いですね。

金子:古川は、本当にすべての業務に目を配っている印象です。私は実際に案件になりそうな企業のデューデリジェンスや契約書のチェック、契約締結後は各投資先企業の社長と議論しながら経営協力実務を担当しています。

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コンサルティング会社や外資系投資銀行との相違に困惑、多様なメンバーから学ぶ日々

――今の仕事に、これまでの経験は活かされていますか?

古川:投資後の経営改善については強みを活かせた部分もあります。ただ、コンサルティングはいただいたフィーに対して自らの労働力で価値を提供していくのですが、我々は外部リソース、例えば、不動産やPR、採用など様々な協力企業をプロデューサー的に活用するのも手段のひとつです。入社当初はすべてを自分でやろうとしてしまい、業務の幅が広がらなかったり、時間がかかりすぎたりしまうという壁にぶつかりました。

時間という観点で言えば、資料作成に対する姿勢もコンサルとファンドでは異なります。コンサルティング会社は資料の作り込みにかなりの時間を費やすのですが、当社では伝われば簡易的な資料でも問題ない、意思決定が進めばそれでいいというスタンスです。資料を美しくする時間があれば、もっと他の部分に力を注ぐべきだという考え方ですね。

金子:私は古川と逆で、ファーストキャリアのJ.P.モルガンや事業会社の経験もあり、財務三表の分析や契約書チェック等の領域はわりとスムーズに対応できました。しかし、経営協力の部分は今もチャレンジしている最中です。途中で事業会社での経営企画も経験しましたが、コンサルティングファームほどしっかりした分析はできていなかったと痛感しています。

コンサルティング出身のメンバーとプロジェクトを進める中で、こんな風に整理するのか、こういう軸で切り分ければいいのか、と学ばせてもらっているところです。様々なバックグラウンドを持った人が揃っているのは、当社の強みだと思います。

――マジョリティ投資からのバイアウトを前提としたアドバンテッジパートナーズと、上場企業へのマイノリティ投資をおこなっているアドバンテッジアドバイザーズとの違いを教えてください。

古川:必要な資金と経営支援の両方を提供するという点では同じです。大きな違いは、新たな経営者を送り込むのか、元々の経営陣とともに株主として経営をサポートするのかというところですね。うまく経営陣を確定できず1、2年停滞するようなリスクはありませんが、一方で創業者として10年以上の時間をかけて会社を大きくしてこられた方と対峙することが多いので、浅はかなアドバイスをすると一瞬で信頼を失ってしまうという緊張感は常につきまといます。

過半数の株式を持っているかどうかは、実はそこまで大きなファクターではないと考えています。マジョリティでもマイノリティでも、こちらが提案した内容に納得して動いてもらうためには、論理性やファクト、ストーリーの確からしさに加え、人として信頼される人間性が不可欠です。

金子:付け加えるなら、リターンの源泉が違うこともポイントですね。バイアウトは利益の増大やレバレッジの利かせ方も重要ですが、我々は株価をいかに上昇させるかが肝になります。利益が増えたからといって株価が上がるとは限らないので、株価にインパクトを与える施策も重要となります。

たとえば、数年赤字が続いていても期待値が大きく、株価が高止まりしている企業もありますし、個社の事情だけでなくマクロの影響で株価が変動することもあります。もちろん各社の経営環境を深く分析することが最重要ではありますが、より広い目線で世の中全体を見極める力が求められますね。

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簡単に極められる仕事ではないからこそ、飽きることもない

――これまで担当したプロジェクトの中で、印象的な案件があればお聞かせください

古川:2012年からスタートしたレストランチェーンですね。大阪本社で全国に900店舗ほど展開されている企業なのですが、データ分析やシステム導入、コスト削減プロジェクト、海外展開、M&Aのデューデリジェンスなど非常に多岐にわたる支援をさせていただきました。

プロジェクトそのものもやりがいを感じていましたが、先方の取締役管理本部長の方から得た学びが私にとっては本当に大きかった。取締役会でどのような意思決定をするのか、組織をどう動かしていくのか、1つ1つの動きを見ながら多くのものを学ばせていただいたと感じています。

その方は意思決定が非常に早いんですね。限られた情報でも、大切なところをピンポイントに掴んだ上で進めていく、もしくは撤退を決める決断もできる。本質を見極める早さと鋭さに大きな影響を受けました。

――素早く本質を掴むためには何が必要なのでしょうか?

古川:色々ありますが、外食の案件であれば、私はまず実際に食べに行きますね。味をチェックするだけでなく、来ているお客さんを見渡して、ここに来る人はどこのお店と比較して訪問する店舗を決めているのかをまず考えます。たとえばかつ丼チェーンだとすると、このエリアで1人の来店が多いということは、実は牛丼屋も近い分野だなと見えてくるわけです。

実質的な競合を見定めた上で、競合先より優れているのはどこだろうと思いを巡らせていく。どうすればより多くの人から長く愛されるかを考えるためにも、競合先のジャッジは重要だと思います。

金子:今古川がお話したのは定性的な側面ですが、もちろん定量的な分析も行います。現在のシェアはどれぐらいか、今後店舗数はどれだけ伸ばせるか、1店舗当たりの売り上げはどうか、原価率や従業員の人件費率をどう捉えるか。それぞれの業界や企業ステージによって肝となる数字が異なるので、どこを重点的に分析すれば良いかを肌で理解しておくことが、迅速な経営判断につながるのではないでしょうか。

――金子さんの印象的なプロジェクトはどのようなものがありますか?

金子:まさに今進めているIT企業のプロジェクトです。投資先の創業社長と長い時間ディスカッションしてM&A案件を決定したり、各事業の伸ばし方を考えたりしています。経営者の視点は非常に勉強になりますね。

ただ、当然こちらが勉強しているだけでは価値を提供することはできないので、彼らとはまた違う視点で提案することが重要です。彼らの方が業界経験は豊富ですが、我々は投資家という立場で様々な企業に会いに行くことができる。極端な話、競合にも会えるわけです。そうやって多くの情報を入手して、整理した上で次の一手を考える。まだまだ勉強中ですが、少なからず気づきを得ていただけることはあると思っています。

――アドバンテッジアドバイザーズで求められるスキルや人物像を教えてください

古川:まずはプロ意識を持っていることですね。先ほど金子が言った通り、我々の仕事は創業者で上場まで持っていった方とも対峙するわけですから、そのプレッシャーは並大抵ではありません。マーケティングやファイナンス、会計、リーガル・・・。経営の総合格闘技と言われる領域ですし、多岐にわたるスキルを柔軟性をもって学び、トップクラスの企業経営者と伍していく実力を身につけるという覚悟を持って来ていただければ嬉しいですね。縁のあった会社を心からよくしたいと思えることも大切です。

金子:投資先企業の経営の意思決定に非常に深く関わっていく。まさにここが、この仕事の大きな魅力です。提案しても実行してもらえなければ意味がないので、コンサルティング企業と比較しても、やりがいも責任も大きいと思います。

そうした環境に興味を持っていただけるなら、そこまで不安に思う必要はありません。私自身、経営コンサルティングによるバリューアップは未経験だったので、入社後に全力で学ばなければいけないと自覚をしていました。一方で財務諸表の分析やリーガル面は最初からある程度バリューを発揮できる自信もありました。現在はコンサルティング出身の先輩方から経営協力の領域について学んでいる最中です。多様なメンバーが在籍していますので、チームとしてお互いの強みを活かしつつ、弱点を補完しあいながらノウハウやスキルを共有していくこともできます。

古川:確かに入社してから学ぶことの方が多いので、何か一つご自身の強みを持っている方であれば、強みを発揮しつつ成長していくことはできるでしょう。私もある程度全体的にできるようになったかなと実感したのは、入社後5年ほど経ってからだと思います。

もちろんまだ完璧ではないので、さらに一段上のステージに上がれるよう全力で日々の仕事に向き合っています。この仕事は、簡単に極めることはできませんので、その分飽きることもありません。さらに成長を求めて、幅広いスキルを身につけて活躍したいという方は、ぜひ一度会いに来てください。

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コラム作成者
Liiga編集部
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