ゆうです。
2013年に日本のIT系メガベンチャーの駐在員としてサンフランシスコに赴任し、その後紆余曲折あって、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。
この連載を読んでいただいているのは、きっと海外就職に多少なりとも興味を持っている人たちなんだろうなと勝手に思っています。
そんな皆さんなら、きっともうLinkedInをバリバリ使ってますよね。
え?聞いたことはあるけど使ってない?
え?何それ美味しいの?
それ、ハッキリ言ってかなり出遅れてます。
そんなわけで今回は、海外就職において、必須と言っても過言ではない、LinkedInの活用方法を紹介していきます!
・LinkedIn?何それ美味しいの?
・名刺代わりにLinkedIn:あまりに大きいオンライン化のメリット
・仕事探しにLinkedIn:企業の募集サイトを見る必要なし
・ネットワーキングにLinkedIn:志望先企業の社員に話が聞ける可能性も
・情報収集にLinkedIin:業界の最新情報やディープな情報を入手
・レジュメ作成時の参考にLinkedIn:プロフィールの書き方や英語表現を取り入れ、積極的にアピール
・まとめ:LinkedInの活用法
LinkedIn?何それ美味しいの?
LinkedInについて、全く聞いたことが無いという人はさすがにいないんじゃないかと思っていますが、念のために軽く説明しておきます。
LinkedInとは、簡単に言うと「ビジネスに特化したSNS(ソーシャルネットワークサービス)」です。
主に就職・転職・採用や、ビジネスのネットワークづくりのために使われています。
日本でも最近知名度がだいぶ上がっているようですが、世界200カ国で6億6千万人以上の登録ユーザー数と3億人以上の月間アクティブユーザー数を誇る、巨大SNSです。
ちなみに、これはツイッターの月間アクティブユーザー数とほぼ同じくらいです。
そしてアメリカに限れば、登録ユーザー数は1億8千万人にものぼるそうです(これ、アメリカの労働人口より多いんじゃ・・・?)。
Facebookをしていないアメリカ人はいても、LinkedInに登録していないアメリカ人ビジネスパーソンは本当に見たことがありません。これは誇張でも何でもありません。
それでは、なぜLinkedInが海外、特にアメリカのビジネスパーソンにそこまで浸透しているのでしょうか?
何のためにLinkedInを使っているのでしょう?
この記事では、LinkedInの典型的な活用法を5つ紹介します。
名刺代わりにLinkedIn:あまりに大きいオンライン化のメリット
アメリカ人は名刺というものを持ちません。
僕は一応、異動のたびに名刺を刷り直すのですが、アメリカで名刺を使う機会は文字通り全くありません。刷った名刺は毎回一時帰国時に日本で全てばら撒いています。
アメリカだと、ほぼ全てのビジネスパーソンがLinkedInを使っているので、名刺交換の代わりにLinkedInでつながることができるんですね。
QRコードを読み取ってつながることもできますし、大人数の場合にはBluetoothでその場にいる全員にコネクトリクエストを出すことも簡単にできます。
LinkedInが名刺より優れている点は何でしょうか?
名刺だと、以下のような欠点があります
・後で見ても誰だったか思い出せない
・異動等があると情報が古くなってしまう
・連絡先が変わってしまったら連絡できなくなってしまう
これがLinkedInだと
・写真や詳細なプロフィール情報が載っているので、思い出しやすい
・所属が変わっても問題ない(本人が更新していれば)
・LinkedIn上のダイレクトメッセージでいつでも連絡可能
これはもはや、名刺を使う理由が全く見当たらないですね・・・。
仕事探しにLinkedIn:企業の募集サイトを見る必要なし
恐らくこれが、LinkedInが最も真価を発揮する場面の1つだと思います。
LinkedInは、就職活動に非常によく効くんです。
たぶんこのためにLinkedInに登録してるんじゃないかなと思います。
LinkedInで仕事を探す方法は、大きく3つあります。
・知り合いからの採用情報の投稿
・リクルーターからのスカウト
1つずつ説明していきます。
ジョブサーチ機能
企業の公開求人情報のほとんどは、LinkedIn上に集約されています。
わざわざ各企業の採用サイトに行かなくても、LinkedIn上で
・場所
・公開日
・会社名
・経験レベル
など、複数企業の募集中のポジションを様々な条件を付けて検索でき、そのまま応募することも可能です。
そのポジションに対して、LinkedIn経由で応募した人数や、彼らのスペック(プレミアム会員のみ)などが見られるので、応募を検討する際の参考にできます。
その上、その企業で働くLinkedInユーザーの給与情報(匿名でシェアしたもの)に基づいた、そのポジションの推定給与まで表示されます。
一度使用した検索条件はもちろん保存できますし、お知らせ機能を設定しておくことで、その検索条件に該当するポジションが新たに追加されたときにはEメールで通知を受けることもできます。
LinkedInのサービス内容がここまで充実していると、もはや企業の採用サイトを見る必要性は無いと言っていいでしょう。
知り合いからの採用情報の投稿
LinkedInはSNSなので、各ユーザーがタイムラインに投稿をするのですが、他のSNSと異なり、採用に関する投稿がかなり多いです。
「現在弊社では〇〇というポジションを積極的に採用しています。興味ある方は私まで」みたいな。
知り合いからの投稿であるため、同じ業界や同じ職種など、自分に関連のある採用情報であることが多いですし、その知り合いに連絡して、より詳しい情報を教えてもらったり、リクルーターにつないでもらうこともできます。
連載第1回:国内就職した僕が、Amazonシアトル本社で働くようになった3つの理由でも書いたように、アメリカでは、採用において社員からのリファラル(紹介)というものを非常に重視しているので、知り合いからの情報であればリファラルをしてもらえる確率もかなり高いと思います。
リクルーターからのスカウト
プロフィールを適切に設定していると(プロフィールの作成方法については次回詳しく紹介します!)、かなり頻繁に企業のリクルーターからのスカウトメッセージが届きます。
「LinkedInであなたのプロフィールを拝見して、弊社の〇〇というポジションに最適な人材だと思いました。良かったらもう少し詳しいお話をさせていただけませんか?」と。
このスカウトメールはあくまで「このポジションを受けてみませんか?」というお誘いに過ぎず、即座にオファー(内定)がもらえるというわけではありません。しかし、少なくとも書類選考はパスしてフォンスクリーニング(電話選考)には進めるはずです。
少しでも興味があれば、話だけでも聞いてみるのがいいかと思います。
ネットワーキングにLinkedIn:志望先企業の社員に話が聞ける可能性も
LinkedInはネットワーキング(人脈構築)にも非常に有用です。
LinkedInでは、会社名やポジションで人を検索できるので、
・志望先企業の社員やOB・OGを探して話を聞きに行ってみる
・できればリファラルをお願いしてみる
みたいなことがよくあります。
僕も、海外就職に興味を持つ日本の大学生や、Amazonを志望しているアメリカの大学生やMBA取得を目指す学生などからダイレクトメッセージをもらい、何度かオフィスに招いて話をしたことがあります。
彼らによると、10人に1人くらいは話を聞かせてくれるのだとか。成功率10%ってかなり高くないですか?
こんなに会ってもらえるのは、LinkedInは、他のSNSよりも個人のバックグラウンドがしっかりと分かるため、信頼してもらいやすいからなんじゃないかと推測しています。
会社なんていくら外から眺めても実際に働いてみないと分からないことだらけですし、現在働いている社員にもし話を聞ける機会があるなら、絶対に聞いてみた方がいいですよね!
僕自身はまだこれほどまでには活用できていないのですが、LinkedInで昔の同僚を見つけ、メッセージを送ってみたことが、Amazonに入るきっかけになりました。
LinkedInが無ければ、Amazonで働いていなかった可能性が大きいです。
情報収集にLinkedIn:業界の最新情報やディープな情報を入手
上でも触れましたが、LinkedInはSNSなので、各ユーザーはタイムラインに様々な投稿をしています。
Facebookなど他のSNSとの大きな違いは、LinkedInはあくまでビジネス目的のSNSなので、投稿内容もビジネスに関連したものが多いことです。
(とは言え「今日食べたもの」とか「街で見かけたちょっといい話」みたいな投稿してる人もいますけどね。特に日本人。そういうのは是非FacebookやInstagramでやっていただきたい・・・)
自分の知り合いの投稿であれば、同業界や同じ職種に関連した内容やニュースであることが多く、一般のメディアではあまり触れられない、業界の最新情報やディープな情報が見つかることも多いです。
知り合いの子供の成長や結婚式の様子はFacebookから情報を得る一方、ビジネスのより有益な情報はLinkedInから得る、というのがスマートなビジネスパーソンかと思います。
レジュメ作成時の参考にLinkedIn:プロフィールの書き方や英語表現を取り入れ、積極的にアピール
最後に、これは主に日本人のための活用法なのですが・・・。
LinkedInは、レジュメを作成する際に非常に参考になります!
連載第8回: 日本の“履歴書風”はNG。アメリカで職を得るためのレジュメの書き方 のレジュメの書き方でも述べたように、レジュメでは自分で自分の魅力を積極的にアピールしていく必要があります。
日本の履歴書のように、経歴だけ並べてあとは相手が好意的に解釈してくれるのを期待する、みたいな待ちの姿勢ではダメなんです。
また、そのとき使われる英語表現も、受験英語やTOEICでは見慣れないものが多いですね。
そんな悩める日本人の救世主が、LinkedInです。
LinkedInでは各ユーザーがそれぞれの学歴・職歴を公開しています。
それはまさに生きたレジュメのサンプル達!
特に一緒に仕事をしたことのあるユーザーのプロフィールを見てみれば、
「あの仕事内容をよくここまで膨らませて書くなあ!」
と感心すること間違いないです。
特に、業界で活躍している人のプロフィールは必ず参考になるはずです!
業績のピックアップの仕方や、そこで使われている英語表現も含めて、どんどん自分のレジュメに取り入れていきましょう!
まとめ:LinkedInの活用法
以上、海外就職の必須ツール、LinkedInの活用方法を見てきました。
簡単にまとめると以下のとおりです。
・名刺の代わりにLinkedInでつながっておけば、いつでも連絡が取れるし、所属が変わっても大丈夫
・ジョブサーチ機能、知り合いからの採用情報、リクルーターからのスカウトメッセージなど、LinkedInでは仕事を見つけるための様々な手段が提供されている
・LinkedInで志望先の企業の社員を見つけて話を聞きに行こう
・LinkedInのタイムラインには業界に特化した濃い情報が多く流れてくる
・他のユーザーのプロフィールページを参照して、レジュメ作成の参考にしよう
LinkedInが海外で非常に多くの人々に使われている理由、なんとなく分かってもらえましたか?
「私もぜひLinkedInを始めてみたい!」「以前アカウントだけ作って放置していたけど、もう1回使ってみよう!」と思ってくれた人たちのために、次回は「LinkedInの正しい始め方」について書いていきます!