ゆうです。
2013年に日本のIT系メガベンチャーの駐在員としてサンフランシスコに赴任し、その後紆余曲折あって、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。
前回: アメリカのビジネスパーソンはみんな使っている、LinkedInは海外就職の必須ツール は、海外就職の必須ツール、LinkedInの活用方法を紹介しました。
今回は、「これからLinkedInを使い始めたい」あるいは「以前登録だけはしたものの、あまり使っていない」という人たちのために、LinkedInをどのように始めるのが正しいのか、説明していきます。
具体的には、前回「LinkedInが最も真価を発揮する」とご紹介した就職活動で活用するため、リクルーターが検索して、スカウトをしやすい、効果的なプロフィールページの作り方について説明します!
・プロフィール作成の前に:狙っている業界や業種の募集要項からキーワードを抽出しよう
・プロフィールページの作成:All-Star=満点を取得する条件とは?
・ちょっとした小ワザ:URLなどのカスタマイズで専門性や強みを表現
・まとめ:LinkedInを正しく使って、リクルーターの目に留まる確率を上げよう
プロフィール作成の前に:狙っている業界や業種の募集要項からキーワードを抽出しよう
LinkedInのプロフィールページは、あなたという商品を売り込む販促資料みたいなものです(連載第8回: 日本の“履歴書風”はNG。アメリカで職を得るためのレジュメの書き方 のレジュメの書き方でもこんな話をしましたね)。
効果的なプロフィールページを作成するためには、まずは市場をよく理解し、それに合わせてプロフィールをチューニングする必要があります。
ここでいう市場とは、あなたが狙っている業界や職種であり、更に言えば、そこで採用を担当しているリクルーターですね。
そのリクルーターたちが、どんなキーワードを使ってLinkedIn上で日々人材を検索しているかを理解し、それらのキーワードをプロフィールに散りばめることが重要です。
方法は簡単で、まずはindeed.comなどの就活サイトで、あなたが狙っている業界や職種の募集要項を集めます。
できるだけ多く集めた方がいいので、がんばって10個以上は集めましょうか。
で、集めた募集要項を集約して、1つの巨大なテキストファイルを作ります。
その中から、よく使われている言葉をキーワードとして抽出するわけです。
全ての募集要項に目を通してもいいのですが、それはあまりに辛いので、ちょっとテクノロジーの力を借りましょう。
世の中には、tagcrowd.comのような、ワードクラウドを無料で作成してくれるサービスがたくさんあるので、集めた大量の募集要項をそのワードクラウドに読み込ませます。
すると・・・
何ということでしょう!
募集要項で頻繁に登場する言葉が、自動的に抽出されて表示されるではありませんか!
最初は、募集要項なら必ず含まれていそうな、非常に一般的な単語(workとかyearsとか)がたくさん出てきます。
そういった単語をどんどん除外していきましょう(例えばtagcrowd.comだと、"Don't show these words"欄に除外したい単語をリストアップできます)。
すると、その業界・職種の募集要項で頻繁に用いられるキーワードが洗い出されていきます。
これらは、おそらくリクルーターがLinkedInで検索する際に頻繁に用いるキーワードだと推測されるので、プロフィールページを作成する際にできるだけ頻繁に用いるようにしましょう。
ちなみに下図は僕の職種の募集要項を適当に見繕って作成したワードクラウドです。
プロフィールにどういった要素を盛り込むべきか、なんとなく見えてくると思います。
プロフィールページの作成:All-Star=満点を取得する条件とは?
LinkedInのプロフィールページには、Profile strength(プロフィールの強さ)という欄があります。
これは、そのプロフィールページの内容がどれだけ充実しているかを示しています。
まずはここでAll-Star(満点)を取ることを目指しましょう。
LinkedInによると、All-Starを獲得しているプロフィールは、そうでないプロフィールよりも27倍、リクルーターが検索をして、見つけてもらいやすいそうです。
以下に、All-Starを取るための条件と、それぞれのポイントを説明していきます。
①プロフィール写真を設定しよう
プロフィール写真を設定していない人をたまに見かけますが、是非設定しましょう。
LinkedInによると、写真が設定されているプロフィールは、そうでないプロフィールよりも7倍、検索結果画面でクリックされやすいそうです。
また、Facebookか何かと勘違いしているのか、あまりにもくだけすぎた写真や、大勢が写っていてどれが本人か分からない写真を設定している人もいます。
「人は見た目が9割」というように、写真というのは、やはりその人に対する印象を大きく左右します。
LinkedInはビジネスのためのSNSなので、それにふさわしい写真を設定するようにしましょう。
具体的には
・バストアップの写真を使う
・影がない鮮明な写真を使う
・あまりにカジュアルな服装は避ける
・ごちゃごちゃした背景は避ける
といった点に気をつけて選びましょう。
ついでに背景写真も設定しておきましょう。
自身のブランドイメージが伝わるような写真をフリー素材から選んで設定しておけばとりあえずOKです。
「LinkedIn background」などで検索すればたくさん出てきます。
②インダストリーとロケーションを設定しよう
リクルーターはインダストリーとロケーションでフィルターをかけてくることがあるので、適切な設定をしておくことは非常に重要です。
インダストリーは自分が所属する、あるいはこれから就職を希望するインダストリーに最も近いものを選択肢から選べばOKです。
もしピッタリのものが見つからなかったり、どれにすればいいか迷ったら、同じ会社の同僚や、あるいはその業界の有名人が選択しているインダストリーを真似しましょう。
また、ロケーションについては、現在のロケーションではなく、自分が就職を希望しているロケーションを設定しましょう。
③サマリーを設定しよう
サマリーはプロフィールのトップに表示されます。
もしかしたら、リクルーターはプロフィールの中でサマリーしか読まないかもしれません。
ここで、あなたの魅力やリクルーターに知っておいて欲しいことを、120%伝えられるようにしましょう。
具体的には、これまでの業績のハイライトを載せたり、得意分野や専門スキルを箇条書きにしたり、資格やリーダーシップ経験を述べたりなどなどです。
マーケットリサーチで洗い出したキーワードを散りばめることをお忘れなく。
ちなみにレジュメと違って、LinkedInのサマリー欄では一人称で文章を書くことが許されているみたいです。
そうそう、差し支えなければ、連絡用のEメールアドレスを入れておくのもいいと思います。
プロフィールページであなたの連絡先を見られるのは、あなたとつながっている人だけなので、サマリー欄にEメールアドレスを入れておいた方が、リクルーターから連絡が来る可能性が高まります。
④現在のポジションを入力しよう
現在勤めている会社名と職種・職位を入力します。
海外と違い、日本の会社だと職種名が明確に決まっていないことも多いですね。
例えば「〇〇課のXXさん」みたいに。
海外だと、全社員が必ず何らかの職種(Security AnalystやProduct Managerなど)についているので、もし会社で決まった職種が無ければ、LinkedIn上の同業界の人たちによく使われている職種を参考に、自分で勝手につけてしまいましょう。
正直に生きることよりも、海外のリクルーターがパッと見てその業務内容やレベルを理解できることが大事です。
Description欄では、そのポジションの業務内容を説明し、その下にいくつかの業績を箇条書きします。
業績はできれば数字で示せるとベターです。
また、最初のリサーチで洗い出したキーワードをできるだけ入れるとともに、そのキーワードと関連のある業績を入れられるとなおいいです。
⑤過去の2つのポジションを入力しよう
LinkedInでは、All-Starを取るためには現在のポジションを含めて最低3つのポジションを入力することが求められます。
「でも、今までに転職なんてしたことないよ」という人、大丈夫です。
同じ会社内でも、昇進して職位が変わったり(例えばAnalyst IからAnalyst IIとか)、異動で部署が変われば、異なるポジションとみなします。
「まだ新卒で入ったばかりで、昇進も異動もしてないよ」という人も大丈夫。
学生時代にアルバイトやインターン等で就労経験があれば、それもポジションとして登録しましょう。
日本人の感覚だとちょっと変な感じするかもしれませんが、海外ではアルバイトやインターンであっても、立派な職務履歴とみなされます。
というか、海外では新卒と中途といった区別はなく、みんな一律の基準で判断されるので、アルバイトやインターンも職歴として認めてもらえないと、新卒が仕事を獲得するなんて無理ですよね・・・。
⑥スキルを最低5つ設定しよう
ここでも、洗い出したキーワードをカバーしつつ、あなたが構築したい自分のブランドイメージに必要なスキルを挙げていきましょう。
たくさん挙げるよりは、本当に大事なスキル5個ぐらいに絞ったほうがいいです。
⑦学歴を入力しよう
学歴は最終学歴から入力していきます。
卒業年は必須ではないです。レジュメでも卒業年を書いていないのであれば、「-」を選んでおきましょう。
また、「未来創造学部」のような、ぱっと見て内容がよく分からない学部・学科名の場合には、分かりやすいように書き換えるか、説明をかっこ書きで補足しておいた方がいいです。
⑧最低50人とつながろう
LinkedInはSNSなので、人とつながってナンボです。
より多くの人とつながることで、彼らのネットワークにいる人達ともつながりやすくなります。
All-Starをとるための条件は50人ですが、250人以上とつながっていると、リクルーターの検索結果で上位に表示されやすいそうなので、250人以上とつながることを目指しましょう。
ただし、全く面識もなく、所属する業界や職種も違う人とつながっても、メリットが無いどころか、タイムラインが汚れて有益な情報を見落としてしまいやすくなります。
できるだけ実際の知り合いや、知り合いの知り合いとだけつながるようにしておいた方がいいと思います。
ちょっとした小ワザ:URLなどのカスタマイズで専門性や強みを表現
最後にちょっとした、でもけっこう重要な小ワザを紹介しておきます。
①プロフィールページのURLをカスタマイズしよう
LinkedInのプロフィールページのURLは、デフォルトでは
https://www.linkedin.com/in/taro-yamada-12345678
のように、末尾に変な英数字が入っています。
LinkedInのURLはレジュメにも記入するので、これでは見栄えが悪すぎですよね。
プロフィールページの「Edit Public Profile & URL」というリンクから変更可能なので、よりシンプルなものに変更しておきましょう。
②Headlineをカスタマイズしよう
プロフィールページで氏名のすぐ後に表示される欄はHeadlineと呼ばれます。
ここにはデフォルトでは現在のポジションが表示されるのですが、せっかくこんな目を引く場所にあるのにそれだけではもったいないです。
この欄は実は変更可能なので、より有益な、あなたの専門性や強みを表現できるように書き換えてしまいましょう。
例えば、単に
Software Development Engineer at Amazon
とする代わりに、
Software Development Engineer at Amazon | Leverage Project Management Experience
とか、
Software Development Engineer at Amazon | Deliver Artificial Intelligence Solutions
とした方が、より魅力が伝わりますよね。
③名前の後に専門学位や資格を入れよう
氏名のラストネーム欄には最大40文字まで入力可能です。
もし持っていれば、PhDやCPAなどの学位や資格を入れるのもありですね。
これをやってる人、よく見かけます。
まとめ:LinkedInを正しく使って、リクルーターの目に留まる確率を上げよう
以上、LinkedInをどのように始めるのが正しいかを説明してきました。
簡単にまとめると、以下のとおりです。
・プロフィールAll-Starを目指そう
・プロフィール写真は、爽やか、かつプロフェッショナルらしく見えるものを選ぼう
・インダストリーやロケーションは未来志向で、現在よりも次に就きたいポジションに基づいて選ぼう
・サマリーで自分の魅力を120%伝えよう。洗い出したキーワードを散りばめるのを忘れずに
・過去の経歴にもキーワードを散りばめよう
・実際の知り合いを中心に、できるだけ多くの人とつながろう
今回の記事で説明した点を押さえておけば、リクルーターの目に留まる確率は格段に上がるはずです。
LinkedInには今回紹介しきれなかった機能もたくさんあるので、是非使い倒してみてください!
次回は、海外就職を語る上ではどうしても外せない、「レイオフ」について書いていきます!