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PEファンドはどうリターンを生むか―。企業価値と株式価値を理解しよう|連載:PEファンドを語る(2)

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Negotogatariです。

前回はPEファンドの仕事の全体像を記しました。今回はその中でも特に重要な投資先の企業価値および株式価値とは何か、そしてPEファンドはどのような仕組みでリターンを得るのかについて、語らせていただければと思います。

少し難しい話も混じりますが、できる限り分かりやすく解説したいと思います。

〈Profile〉
Negotogatari
慶應義塾大学経済学部卒、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にてMBA取得。新卒入社先では不良債権投資、PE投資、不動産関連投資などに携わり、転職を経た現在はPEファンドにてPE投資に従事。PEファンド、MBA、過去には投資銀行の面接官やセミナー講師も担当している。また本業のかたわら、PEファンド・MBA留学に関する情報発信や、キャリア相談なども行う。
▶Twitter:@negotogatari
▶Blog:寝言



【目次】
・「企業価値=株式価値」にあらず。収益力、資産、負債などとの関係性とは
・PEファンドは「EV/EBITDAマルチプル」で企業価値を語る
・キャピタルゲインをどう生むか。PEファンドが生むリターンの3つの源泉
・主役はあくまで投資先。「プロデューサー」役に徹するのがPEファンド

「企業価値=株式価値」にあらず。収益力、資産、負債などとの関係性とは

金融や経営の世界ではよく「企業価値(EV:Enterprise Value)」という単語が用いられます。PEファンドの仕事を説明する上でも、不可欠な単語です。その名の通り「企業の価値」を指しますが、そもそも「企業の価値」とは何でしょうか?

資産価値? 純資産? 株式の価値? 時価総額? 世の中の評価?

色々な考え方があると思います。ただ、企業の買収とExit(売却)を生業としているPEファンドにとって、企業価値は「投資先企業の買収時の価値」であり、投資実行後はExitに向けて、その価値を高めていくことでリターンを創出していきます。

このリターンの仕組みを紹介する前にまず知っておいていただいきたいのが、 「企業価値 = 株式価値」ではないということです。

そもそも企業の価値は、主にその企業の収益力または資産の価値によって評価されます。

では、その収益力とは何でしょうか?

企業は保有する資産に加え、従業員のスキルやネットワークなど目に見えない力も駆使して収益を生んでいます。頭の中にB/S(Balance Sheet、貸借対照表)を思い浮かべてください。 description

その左側に計上されている資産、そして計上されていない「無形の資産」を使って収益を生んでいるわけです。そのため概念としては、企業価値はB/Sの左側を評価したものです(B/Sの簿価と企業価値評価の差はのれんや営業権に該当する概念となります)。

そして、それらの資産を獲得し保有し活用するために調達している資金が、負債と株式に当たります。B/Sの右側ですね。よって、この企業価値は、負債と株式の出し手がそれぞれ分け合って享受すべき価値と言えます。

負債の場合、貸し手は一定の金利を受け取るものの最終的な返済額が固定されているので、企業価値が上がっても恩恵はあまり受けず、限定的な価値が割り振られることになります。

なお企業は保有している現預金分であれば、すぐに負債削減に充てることができるため、有利子負債から現預金を控除したNet Debt(純有利子負債)を企業価値から差し引いたものが、株主に回る株式価値となります。

よって、「企業価値(EV)– Net Debt = 株式価値」となります。

なお、上場企業ならば、株式価値が時価総額という形で世の中に評価されています。この時価総額を前提に企業価値を算出する場合は、「時価総額 + Net Debt = 企業価値(EV)」となります。

Point:企業価値(EV)と株式価値の関係は?

■ 企業価値(EV)– Net Debt = 株式価値

■ Net Debt = 有利子負債 – 現預金

■ 上場企業の場合は、「時価総額 + Net Debt = 企業価値(EV)」でもある

PEファンドは「EV/EBITDAマルチプル」で企業価値を語る

さて、 企業価値と株式価値の関係性はこれまで解説してきた通りですが、そもそも企業価値とはどうやって評価するものなのか?

上場企業であれば、上に述べた通り時価総額とNet Debtから企業価値を算出できます。しかし、評価対象が非上場企業の場合や、上場企業でも株式市場での評価とは別に企業価値を評価したい場合はどうするのか?

いくつかの手法がありますが、ここでは、PEファンドの世界で最も普遍的に用いられている「EV/EBITDAマルチプル」による評価手法を説明したいと思います。

マルチプルとは「倍率」を指し、「EBITDA × EV/EBITDAマルチプル = 企業価値(EV)」といった形で価値が評価されます。

EBITDAとは、「営業利益 + 減価償却費・のれん償却費(Earnings before Interest, Tax, Depreciation & Amortization)」であり、企業が事業そのものから稼ぎだしている収益を表す指標の一つです。これに含まれない営業外損益や特別損益は、定常的な企業の収益力ではなく、企業価値評価に織り込むべきではない、という考え方ですね。

では、EV/EBITDAマルチプル(以下、マルチプル)はどうやって決まるのか。一般的な方法は、上場している同業他社の企業価値を既に説明した「時価総額 + Net Debt」で算出し、それをEBITDAで割る、つまり「企業価値(EV)÷ EBITDA」によってその業界の平均的なマルチプルを確認します。

評価対象企業が、同業他社と同様の評価をされるべき会社なのであれば、その平均的なマルチプルを使って評価し、著しい成長が見込める、何らかの競争優位性があるなどの理由があれば、それより高いマルチプルを使って評価することになります。言い方を変えれば、対象企業の“魅力度”をマルチプルによって企業価値に反映させるわけです。

Point:企業価値(EV)の評価方法は?

■ EBITDA(営業利益+減価償却費・のれん償却費)x EV/EBITDAマルチプル = 企業価値(EV)

■ EV/EBITDAマルチプルは、上場同業他社の平均値を参考に、対象企業の成長可能性や戦略的な価値、つまり“魅力度”に応じて調整

キャピタルゲインをどう生むか。PEファンドが生むリターンの3つの源泉

企業価値の評価方法まで説明しました。ではそれに基づき、PEファンドはどのようにリターンを作り出すのでしょうか?

PEファンドが得るリターンは、買収時に出資した額とExit時に回収する額の差であるキャピタルゲインです。

このキャピタルゲインを得るために企業価値の向上を目指すわけですが、ここで注意すべきなのは、「企業価値の向上 = キャピタルゲイン」ではないということです。

PEファンドは基本的には株式を通じて企業を買収し、その株式を売却することでリターンを得ます。つまりPEファンドのリターンは、株式価値の向上から生じるのです。

企業価値と株式価値の違いは既に述べましたね。

PEファンドが企業を買収するときには、その買収資金を自らのエクイティ出資と金融機関からのLBO(Leveraged Buyout)ローン調達でまかない、買収SPC(特別目的会社)に資金を集め、その買収SPCが投資対象の株式を取得します。買収後は買収SPCと対象企業が合併することによって、LBOローンの借入人は対象企業そのものとなります。

よって、買収完了直後は「対象企業のNet Debt = LBOローン金額 – 買収時の手元現預金」の関係性が成り立つことになります。

ここまで述べれば、PEファンドのリターンである「株式価値の向上」は何により生まれるのか、既にご理解いただけているかもしれません。

PEファンドのリターンの源泉は、

(1) EBITDA成長

(2) Deleverage(Net Debtの減少)

(3) Multiple Expansion(マルチプルの上昇)

の3つです。

このため、どれだけEBITDAを伸ばせるか、レバレッジ(有利子負債)を落としキャッシュフローを改善できるか、Exit時に魅力的なマルチプルを買い手に見込んでもらえる会社になれるのか、が投資戦略の最重要論点となります。

簡単な例で説明しましょう。

【投資先の買収時の指標】

EBITDA 10億円
マルチプル 8.0x
Net Debt 0円
株式価値 10億円 x 8.0 – 0円 = 80億円

この企業に対して、買収のため銀行からLBOローンで40億円を調達できたとすると、PEファンドの出資額は40億円となります。

この企業を5年間の投資期間で成長させEBITDAが15億円になり、より魅力的な会社になったのでマルチプル10.0xで売却でき、かつ投資期間中のキャッシュフローでLBOローンを20億円返済できていたとすると…

「売却時の株式価値 = EBITDA:15億円 × Multiple:10.0-Net Debt:20億円* = 130億円」 (*計算簡略化のために現預金の存在を無視し、LBOローンの残債額とNet Debtを同額としています)

となり、当初PEファンドが投資した40億円は5年で3倍以上の130億円となります。

Point:PEファンドのリターンの源泉 description

主役はあくまで投資先。「プロデューサー」役に徹するのがPEファンド

PEファンドがどうやってリターンを作り出しているのか、その概要を理論的に説明してきました。まとめてしまえば、我々が目指しているのは

①EBITDAを成長させ、

②キャッシュを創出して負債を減らし、

③マルチプルという評価を高める、

という三つに集約されます。

では誰がこれを成し遂げるのか?

それはPEファンドの人間ではなく、投資先の経営陣であり従業員の方々です。

我々PEファンドの人間は、現場で収益を生むわけでもなく、それを毎日管理することもできません。日々生まれた収益からコストを抑えながら適切な設備投資を行い、借入を返済する… これも投資先企業の方々でしかできません。

そして、マルチプルという名の評価は紛れもなくその投資先に対する評価であり、Exitと同時にいなくなるPEファンドを評価するものではありません。

では、投資実行後のPEファンドの仕事は何か。それはこれらを全てプロデュースし、経営陣・従業員をサポートすることです。

投資時に描いた事業戦略を経営陣とともにあらためて練り直し、経営リソースに不足があれば追加の経営人材や外部アドバイザーを招き、必要な資金の手当てもします。 description

投資期間中、想定と異なることは多々発生しますが、その都度経営陣とともに頭を悩ませながら、戦略の見直しとリソースの再配分を行い、ガバナンス機能を通じて戦略の実行と成果のチェックも進めます。

そして前回記したように、PEファンドには時限性があります。一般的には5年程度とされる有限の投資期間の中で、リターンの最大化を目指していく存在です。その時限性を経営改革・改善の規律とし、PDCAを高速で回していく、そんなプロデューサーの役割を担うのが、PEファンドなのです。

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