「あなたの経歴では難しい」とエージェントに言われた30歳元メーカー営業が、外資系戦略コンサルへの転職を勝ち取った秘訣
2020/06/04
#日系メーカーから脱出する
#戦略コンサルへの転職体験記

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新卒で入社してからずっと大手企業でキャリアを積んできたものの「このままでいいのか」と漠然と将来のキャリアに不安を感じている人は、少なくないのではないでしょうか。

その中には様々な企業の課題解決をサポートするコンサルティング業界に、新しい可能性を見出す人もいるかもしれません。

東山達也さん(仮名)は、大学卒業後に大手メーカーに入社。営業マンとしてキャリアを積んだのち、30歳で外資系の戦略コンサルファームへの転職に成功しました。

今回は東山さんに、メーカー営業から戦略コンサルへの転職が成功した理由をお聞きするとともに、「実際に入ってみて知った戦略コンサル業界の厳しさ」「キャリアの可能性を広げるための働き方」について語っていただきました。

〈Profile〉
東山 達也(仮名・30歳)
戦略コンサルファーム コンサルタント 大学卒業後、大手メーカーにて営業職に従事。7年目に差し掛かった頃、将来のキャリアへの不安を感じ、戦略ファームへの転職を決意。現職に至る。
※記事の内容は全て個人の見解であり、所属する組織・部門等を代表するものではありません。


【目次】
・日系大手メーカー営業にマンネリを感じ、外資系戦略ファームへの転職を決意
・エージェントは比較検討した上でフル活用。選考対策に3カ月かけたワケとその内容とは?
・戦略コンサルに入れても、主体的に動かなければ「思い描いたキャリア」は手に入らない
・転職を意識したのはビジネススクールで会った同年代の存在。まずは社外へ行動せよ

日系大手メーカー営業にマンネリを感じ、外資系戦略ファームへの転職を決意

ーー現職に至るまでの経歴を教えてください。

東山:日系大手メーカーで関西圏の法人営業を担当していました。営業といっても、会社が作ったものをお客様のところへ売り込むだけではありません。お客様と相談しながら企画立案、予算策定をしたうえで、社内調整から納品までを一貫して担当するような幅の広い仕事でした。

ーープロジェクトマネジャーに近い仕事ですね。

東山:最初の頃は刺激的な仕事でしたが、慣れてくると同じことの繰り返しになり、7年目を迎える頃にはマンネリ化していました。プロジェクトマネージャーに近い職務内容とはいえ、自身でコンテンツを作り込むわけではないため「交渉力」と「人脈」以外に自身の強みを見出せません。営業として一定の評価を得ていたこともあり、このまま続けるとキャリアの広がりは営業以外ほぼ無いことが見えてきて、「マズい」と感じたことから、転職をすることに決めたのです。

ーー現職ではどのようなお仕事をされているのですか?

東山:戦略コンサルファームにコンサルタントとして入社して、今も同じ職位で働いています。プロジェクト全体を管理するマネージャーの下で、特定の領域でオーナーシップを持ってクライアントの課題解決する仕事です。アサインされるプロジェクトによってクライアントの業態はまちまちなので、特定の領域に特化しているわけではありません。

エージェントは比較検討した上でフル活用。選考対策に3カ月かけたワケとその内容とは?

ーー戦略ファームを転職先に選ばれた理由は?

東山:丸々6年間を営業マンとして働いてきた人間にとって、キャリアを広げるための選択肢はコンサルしかないと思ったからです。企画寄りの仕事をしてきた自負や実績もありましたが、転職エージェントと相談した結果、企画職の門戸は閉ざされていることが分かりました。

ーー準備期間と、転職活動期間はどれくらいですか?

東山:まず準備として、選考対策などに3カ月かけました。そのあと2カ月かけて転職活動をしました。

準備期間の3カ月はコンサル専門の転職エージェントに相談に乗ってもらって、ケース面接の対策と自分のキャリアの棚卸しを徹底的に行いました。

新卒の就職活動ではケース面接を行うような会社は受けなかったので、ゼロからコンサル的な考え方や、立ち居振る舞いをインプットするところから始めました。

キャリアの棚卸しについては、3カ月とたっぷり時間があったので、エージェントに話を聞いてもらいながら、自分の経歴がどんな市場価値を持つのかをじっくり考えることができました。

ーーエージェントはどのように選びましたか?

東山:ネットで調べて、まずは3社ほどに話を聞きに行きました。そのうちの2社では「あなたの経歴で戦略ファームは厳しいから、別のキャリアを考えた方がいい」と言われました。

しかし最後に話を聞きに行った1社は、コンサル専門ということもあってか、最初から「戦略ファームで行きましょう」と言ってくれたのです。

ーーエージェントを利用せず、市販の書籍などで対策をする人もいますが、やはりエージェントは利用した方がいいと思われますか?

東山:私は利用した方がいいと思います。エージェントにもよりますが、情報をたくさん持っていますし、給与交渉や日程調整なども請け負ってくれます。

私の場合は「東山さんなら大丈夫です」と背中を押してもらえたのも、精神面で大きな支えになりました。ただエージェントによっては「このキャリアで、この転職先は難しい」と言われる場合もあるので、エージェント選びの時は比較検討することが必要だと思います。

ーー3カ月の準備期間で「やらなかったこと」はありますか?

東山:英語対策です。もともと英語が得意でなかったというのもありますが、「自分が希望する戦略ファームの採用試験では英語が必要ない」ということがわかっていたからです。採用試験についての正しい情報が得られるのも、エージェントを利用するメリットかもしれません。

ーー転職活動中は面接などで有給休暇を取る必要もあったと思いますが、業務に支障はなかったですか。

東山:実際の転職期間に入るまでの間に、定期的に有休を取るようにしていたので、転職活動に気づかれることはありませんでした。内定をもらってから「転職を考えている」と上司に話したあとは、怒鳴られたり、慰留されたりと色々ありました。しかし、そこから残るという選択をしてもお互いのためにならないと思ったので、割り切って転職の手続きを進めました。

ーー最終的にどのようなところから内定をもらいましたか?

東山:国内の大手戦略ファーム2社と、今いる外資系の戦略ファームの合計3社です。今の外資系戦略ファームを選んだ理由は、国内のファームに行くよりも幅広い経験が積めそうだと考えたからです。

戦略コンサルに入れても、主体的に動かなければ「思い描いたキャリア」は手に入らない

ーー戦略ファームに入ってみて初めて感じたことはありますか?

東山:大きく3つあります。1つ目は想像以上に、エクセルやパワーポイントなどの「ハードスキル」よりも、理解力や思考力などの「ソフトスキル」の方が求められることです。新卒から入社している人たちやマネージャーになっている人たちと、自分のソフトスキルを比べると、毎日のように勉強不足を痛感します。

ーーそこはある程度時間がかかりそうですね。

東山:2つ目は、前職に比べて「仕事に求められる精度が非常に高い」ことです。しかし今の職場では資料の誤字脱字は論外ですし、立ち振る舞いや日常の言葉遣いといった部分までハイクオリティーな仕事が要求されます。

ーー3つ目はなんですか。

東山:3つ目が一番大きいのですが、「主体的に動かなければ、入社前に思い描いたようなキャリアは描けない」ことです。配属先はマネジャーたちの意向で全て決められます。与えられた仕事だけを受け入れていたら、思い描いたキャリアとは違う仕事ばかりになってしまいます。私は、日々の仕事に食らいついていくのが精いっぱいで、「自分はどんな仕事がやりたいのか」を考えずに2年目を迎えてしまいました。

ーーどうすれば、そうした状況から抜け出せるのでしょうか?

東山:渦中にいるので何とも言えませんが、「自分はこういう仕事がやりたいんだ」ということを社内でしっかりアピールすることと、マネジャーたちからその仕事に値する人材だという評価を受けることだと思っています。だからこれからはスキルを磨きつつ、社内営業もしっかり意識していきたいです。

転職を意識したのはビジネススクールで会った同年代の存在。まずは社外へ向けて行動せよ

ーーかつての東山さんのように、仕事のマンネリ化などで悩んでいる人はどうすればいいですか。

東山:漠然と悩んでいるのではなく、まずは一歩を踏み出してみてほしいと思います。旧態依然とした日系の大手企業にいると何の根拠もなく「今の職場にいれば、なんとなくずっと働き続けられる」と考えてしまいがちですが、現実はそんなに甘くありません。

望むキャリアを手に入れるためには、自分の将来を具体的に考えていくしかありません。転職や社内でのジョブチェンジなども含めて、10年先20年先の自分の働き方を考えるのです。

考えるだけではイメージできる将来像に限界があります。だからビジネススクールなどのコミュニティーに参加したり、転職エージェントに相談したりと、実際に社外に向けて行動していくことも大切です。

私自身、最初に転職を意識したのは、国内のビジネススクールに通って、他の業界の同年代のビジネスパーソンと接するようになってからでした。

とにかく、まずは行動すること。小さくても一歩を踏み出せば、どうすれば良いかが見えてくると思います。

コラム作成者
Liiga編集部
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