コロナ不況で海外スタートアップを即日解雇!しかし、解雇と同時に外資IT企業の内定獲得!?30代男性の「コロナ中の転職活動のコツ」とは?【解雇からのV字回復 Vol.3】
2020/07/07
#解雇からのV字回復

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新型コロナウイルスの、ビジネスへの影響はまだ続きそうです。解雇リスクへの不安にさいなまれている人や、すでに解雇の憂き目にあった人もいるのではないでしょうか。

山崎康太さん(仮名)は新卒で総合コンサルティングファームに入社。その後4大監査法人に転職したのち、海外スタートアップに籍を移します。折悪しくコロナ禍に見舞われ、ある日突然解雇を言い渡されました。ところがほぼ同時に外資系IT企業からのオファーを獲得。5月からは戦略本部で新たなキャリアをスタートさせています。

今回は即日解雇になりながらも心くじけずに次の働き口を素早く見つけた「コロナを乗り越える転職活動のコツ」「解雇された後のメンタルの保ち方」についてお聞きしました。

〈Profile〉
山崎康太(仮名) 外資系IT企業 戦略本部
国立大学卒業後、総合コンサルティングファームに入社。2年目で公共政策に携わるため4大監査法人に転職。1年半後に退職し、海外スタートアップに転職するが、コロナ不況により解雇。解雇とほぼ同時に外資系IT企業からのオファーが入り、2020年5月より現職。


【目次】
・転職した海外スタートアップを3カ月で解雇!理由は「新型コロナウイルス」
・解雇と同時に外資系IT企業からオファーを獲得!「Twitterで米国スタートアップの解雇増加を知り、予感していた」
・「実は解雇は2度目」度目の解雇で学んだ、解雇中のメンタルを最も支えるものとは?
・「知り合いから仕事の紹介を受けるのは恥ずかしいことじゃない」。解雇経験者が語る、解雇された時の心構え

転職した海外スタートアップを3カ月で解雇!理由は「新型コロナウイルス」

ーー解雇される前の、海外スタートアップでのポジションについてお聞かせください。

山崎:ITコンサルタントです。プロダクトの導入戦略の立案や、クライアントの経営課題をフリーディスカッションの中で抽出したり、そこから要件定義をしたりといった仕事に就いていました。

ファーストキャリアが総合コンサルティングファームだったこと、そしてディスカッションを通じたコンサルティングが自分自身の一番得意なスタイルだったことから、とても楽しんで仕事をしていました。

ーー解雇された時の様子はどんなものでしたか?

山崎:2020年の4月1日の朝、まずGmailを立ち上げようとすると「アカウントがない」というメッセージが表示されました。戸惑いながらDropboxのファイルにアクセスしようとすると「権限がありません」と表示されます。

「どういうことだ?」と途方に暮れていると、電話が鳴りました。ディスプレーを見るとアメリカ本社にいる社長でした。

ーー社長から直接解雇を通達されたのでしょうか。

山崎:はい、そうです。電話に出ると社長から「労働契約は4月15日付で終了といたします。そのため社内のドキュメントなどにはアクセスの権限がありませんので、ご注意ください。つきましては、先月の給与について請求書をお送りください」と、クビの宣告を受けました。

最初はその事務的な話し方に面食らったものの、よく聞くと社長の声も震えていて「大変な決断をされたのだな」と思い、「承知しました」と一言だけ言って電話を切りました。結局、この会社に勤務したのは2020年1月から3月の3カ月間だけでした。

ーーなぜ解雇されることになったのでしょうか?

山崎:「新型コロナウイルス」の影響です。

実は予兆は感じていました。解雇の半月前、3月半ばごろから営業先のリアクションが明らかに悪くなっていると感じていました。会社として抱えている案件はいくつかあったのですが、私がやっていたような案件導入業務がどんどん減っていました。

ある日、社長から「コンサル以外のセールスや電話営業を含む、事業拡大に関わる全てを1人でやってほしい」という話がありました。

もし、ここでYESと言っていれば4月1日の電話はなかったのかもしれません。 しかし、私としてはコンサル以外の仕事はやりたい領域ではなかったので、即答しませんでした。

結果、4月15日付で正式に解雇という形になりました。

解雇と同時に外資系IT企業からオファーを獲得!「Twitterで米国スタートアップの解雇増加を知り、予感していた」

ーー解雇と同時に再就職先が決まったとのことですが、転職活動はどのように進めましたか?

山崎:3月末に決まっていたので、正確には解雇前です。3月20日から転職活動をスタートさせて、外資系IT企業と中国系スタートアップを受け、そのうちの前者を選びました。なぜこんな動き方ができたのかというと、解雇を予感していたためです。

ーー解雇を予感した根拠は何でしたか?

山崎:大きく2つあります。一つは先ほど申し上げた社長とのやりとりがあったから。もう一つは今年の2月末頃からTwitterのタイムラインに「アメリカのスタートアップを解雇された」というtweetが増えていたからです。つまりは「自分もいつ解雇されてもおかしくない」という状況だったのです。

ーー現在の外資系IT企業との選考はどのように進みましたか?

山崎:先輩とチャットツールでやり取りをして、面接をセッティングしてもらいました。

最初の面接は本部長の人が担当され、内容は一般的なインタビューでした。その次がもう入社意思を確かめられるだけの役員面談でした。

ーーコロナ不況下の転職もあり、内定取り消しのリスクの心配はしませんでしたか?

山崎:私自身は心配していなかったのですが、外資系IT企業の採用枠を紹介してくれた大学時代の先輩がむしろ気にしていました。

「4月以降になったら採用されるかわからない。実際にグローバルでポジションのクローズが続いている。だから、3月末までに社長面談まで終わらせよう!」と先輩が言ってくれ、そのおかげで無事3月末にオファーを出していただきました。

その後の状況を見ると、先輩には本当に頭が上がりません。

「実は解雇は2度目」1度目の解雇で学んだ、解雇中のメンタルを最も支えるものとは?

ーーそんなに段取りよく転職できたのはなぜなのでしょうか?

山崎:実は解雇されたのは今回が初めてではないのです。以前勤めていた4大監査法人でも退職勧告、事実上の解雇を受けています。理由をざっくり言うとしたら「自分が活躍できるジョブがなかったから」です。

監査法人ではスタートアップをサポートするための資金調達や金融のハードスキルが欲しいと考え、自分で監査部門に手を上げてアサインしてもらいました。

ーー監査部門でのお仕事にミスマッチがあったのですか?

山崎:そうですね。いざ監査部門に入ると、私がやりたいと思える仕事はほとんどありませんでした。監査法人という場所は会計士資格が前提になっていて、資格のない私は主要業務に携わりにくかったのです。加えて、唯一任せてもらえた仕事である数値計算が、自分でも驚くほど苦手だったことも、想定外でした。

失敗したなと思いましたが、最も大きな痛手だったのはそうしたミスマッチが起きた時に、サポートしてもらえる体制を自分で構築していなかったことです。

ーーサポートがもらえる体制について詳しく教えてもらえますか。

山崎:一般的な会計士は、1年生や2年生といった年次の若いメンバーで友達になったり、サポートの先輩を見つけたりして、徐々に会計士の仕事に慣れていくものです。しかし会計士の世界を全く知らずに監査部門に入った私には、ネットワークらしいネットワークがありませんでした。

結果、誰からも助けてもらえず、自分でもどうしたらいいのかわからず、周囲の足を引っ張る羽目になったのです。

ーーその後、どういった経緯で退職勧告をされたのですか。

山崎:そんな状況だったので、上司との1on1ミーティングの際に「コンサルティングなら得意なので、なんとか仕事を見つけてもらえないか」と相談しました。

しかしその翌々日には、上司から「現段階では見つけられないから、一度人事と相談してみてくれ」と言われ、人事担当者と面談することになります。

その段階で「現段階で山崎さんに与えられるポジションはもうない。なるべく配慮もするから、退職の方向で考えてみないか」と言われました。

ーー最終的に退職勧告を受け入れるに至った理由は何だったのでしょう。

山崎:上司や人事と話をしていて、彼らが言うように社内で自分ができる仕事がないことがわかったので、監査法人を退職することになったのです。

本来1カ月しか有給が残っていなかったところを、2カ月に延長してもらっての退職だったので、十分な配慮をしてもらったと思っています。

ーーそのあと海外スタートアップに転職されるわけですが、転職活動はどのように進めましたか?

山崎:最初は落ち込んでしまって、転職活動が手につきませんでした。自分の中に「誰かがどこかの仕事を見つけてくれる」という甘えがあったので、実際に「そんなものはない」と言われたことがショックだったのです。

1カ月くらいは毎日どこか不安で、集中力も低下していました。本を読もうにも活字が頭に入ってこないし、履歴書の作成もなかなか進みませんでした。家事のような簡単な作業もゆっくりとしかこなせませんでした。

ーーおつらい状況の中、心の支えとなったのは何でしたか。

山崎:そんな中で支えになったのは、周囲からの評価でした。ゆっくりでも進めていた転職活動の中でちょこちょことオファーをもらったり、知り合いには「そんなスキルセットがあるなら、とっととウチに来てくれ」と誘ってもらえました。

一番大きかったのは、監査法人の先輩から言ってもらった「会社は能力だけでなく相性の問題もある。山崎さんはウチと相性が悪かっただけだから、他でもやっていける」という言葉でした。

ーー行動したからこそ、立ち直ることができたんですね。

山崎:あの時期を乗り越えられたのは、そうやって他人からほめられるループをうまく作ることで自分のメンタルケアができていたからだと思いますし、それができたからこそ、海外スタートアップに解雇されそうだとわかった時にも的確に行動できたのだと思います。

「知り合いから仕事の紹介を受けるのは恥ずかしいことじゃない」。解雇経験者が語る、解雇された時の心構え

ーー解雇された際に、1歩踏み出すためのアドバイスをいただけますか。

山崎:「使える手段を全て使えば、道は必ず開ける」と前向きに考えてください。

私自身、海外スタートアップに転職した際は20人のエージェントに会いました。英文履歴書に関しては、その中から2〜3人のエージェントに協力を仰いで内容をチェックしてもらいましたし、ネイティブの友人に頼んで英文法のチェックも受けました。

ーー知り合いにどんどん頼るのが大切ですね。

山崎:「知り合いに仕事を紹介してもらうのは恥ずかしい」という人もいるかもしれませんが、私の場合は今回の外資系IT企業を含め、多くの面接がリファラルです。仕事を紹介してもらうのは恥ずかしいことでも何でもなく、きちんと価値を提供できるのであれば立派なリクルーティングです。

「行きたい会社が採用募集をしていない」という場合も、とりあえず履歴書を送ってみることをおすすめします。事実、海外スタートアップにはこの方法で最初のアプローチをかけました。

あまり苦手意識を持たず、「使える手段は全部使って仕事を探す」という姿勢を持てば、必ず道は開けます。自分の可能性を信じて、くじけずに頑張って欲しいですね。

コラム作成者
Liiga編集部
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