「社会をより便利に、そのためだけに行動する」。キャッシュレス化が変える“お金以外のこと”とは
2020/08/12
#ポスト戦略コンサルの研究
#コンサルを出てやりたいことを見つける

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インフキュリオンは、キャッシュレス決済における豊富な知見とテクノロジーを強みとする事業開発カンパニーだ。コンサルティングと自社サービスの両輪で、着実に成長を続けている。

キャッシュレス化を促進することで、企業のビジネスモデルや消費者の生活はどう変わるのか。社会を新たなステージへと押し上げていくインフキュリオンでは、どのような経験・成長を得ることができるのか。同社代表であり、一般社団法人Fintech協会代表理事会長でもある丸山氏に話を聞いた。

〈Profile〉
丸山弘毅(まるやま・ひろき)株式会社インフキュリオン 代表取締役社長
慶應義塾大学商学部卒業後、株式会社ジェーシービー入社。信用管理部門・マーケティング部門を経て、新規事業開発・M&A部門の設立メンバーとして参画。2006年インフキュリオンを創業し、グループの経営戦略、新規事業を担当。2015年一般社団法人Fintech協会の代表理事会長に、2018年には一般社団法人キャッシュレス推進協議会の理事に就任する。

1999年から確信していたお金の電子化。この先も加速度的に社会は変革する

――丸山さんがキャッシュレス化の領域に身を投じた理由をお聞かせください。

丸山:私が社会に出た1999年はまさにインターネットが伸び盛りのころで、ポータルサイトやプロバイダーなどが脚光を浴びていた時期でした。情報の流れが新聞やテレビからネットに移り、ECの普及によって小売りや物流の在り方も変わる。そうなれば間違いなくお金の電子化も本格化すると考えました。

この先50年で“お金”という概念に大きな変革が起こるはず。もっと言うなら50年後には「現金なんて使っていた時代もあったね」と振り返るようになるだろうと考えて、電子決済の世界に進むことを決めました。

――この20年は、当時思い描いた通りに進んでいますか?

丸山:正直に言うと、思っていたよりはるかにスローペースであることは事実です。50年予測のうち40%が過ぎた状態で、日本のキャッシュレス比率はまだ20数%にしか到達していません。ずっともどかしさを感じていましたが、スマートフォンの登場は大きな転機となっています。

ユーザーがカードの代わりにスマホを使うようになり、お店側も高価な端末を用意しなくてもスマホやタブレットで決済できるようになりました。この数年でキャッシュレス化はぐっと進みましたし、これから先も加速度的に社会が変革していくでしょう。

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――なぜ当初の予測よりもキャッシュレス化が進んでこなかったのでしょうか。

丸山:日本では、他国と比較して「現金が安心」という感覚が一般的です。クレジットカードは使わないという方も一定数いらっしゃいますが、グローバルだと現金を使うほうが珍しくなりつつあります。キャッシュレス社会を実現するには、テクノロジーの革新よりもこうしたユーザーの一般的なマインドを変えるのが最も難しいと痛感しました。

ここに変化をもたらすには、単純に現金をデジタル化するだけでは不十分です。生活様式そのものを変革することが重要です。たとえば今、Uber Eatsで注文したら事前決済が当たり前ですよね。ファストフード店でも、事前オーダーして待ち時間を減らす工夫がなされている。その時に必要なのがキャッシュレス決済です。

デジタル生活が当たり前になってくれば、現金でしか決済できないことに不便さを感じるという意識に変わっていきます。ビジネスモデルそのものを革新して、その中にキャッシュレスを埋め込んでいくようなイメージです。

コンサルのみに甘んずることなく、リスクを取って自社でサービス開発も

――貴社が手掛けたプロジェクトで、紹介できる事例はありますか?

丸山:たとえばある大手携帯キャリアさんとは長くお付き合いしています。

キャリアの専用サイトから買い物をすると毎月の通信料金と合わせて引き落とされる仕組みをお持ちだったのですが、これを発展させれば日常の買い物も携帯電話の支払いとまとめられるのではないかと。「ケータイの中にカード機能を組み込んでもいいかもしれません」とご提案し、決済ビジネスの企画・立ち上げをサポートしました。

――各プロジェクトはどういった流れで進めていくのでしょうか。

丸山:まずは先ほどのビジネスモデルの議論や企画と並行して、必要なライセンスを検討したり、金融系システムのコストを計算したり。そこが見えなければそもそも実行できるかどうかも分からないので、精緻なリサーチを実施します。

ある程度方向性が固まってきたら、具体的なビジネスプランを考えて、人員配置や収益構造も固めていきます。システムのアーキテクトを理解した上で要件定義をおこなって、開発ベンダーに連携するのも重要な役割です。場合によっては新会社の設立やM&A、社員研修までサポートすることもあります。

当社は、いわゆる戦略コンサルファームやITコンサルファームではありません。戦略を描いて終わり、ではなく実際にサービスを立ち上げて広げることがミッションなので、企画から落とし込み、運用まですべてを担当します。

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――ホームページなどでも、自社を「事業開発カンパニー」と定義されていますね。

丸山:おっしゃる通りです。2010年ごろからは、コンサルティングだけでなく、自社サービスの開発も手掛けています。コンサルとしてかかわっているプロジェクトの中にはどうしても、クライアント側の事情でスムーズに進まないケースも出てきます。

だったら自分たちでリスクをとってサービス化しようと考えたのです。クライアントにも「我々が作ってみるので完成したら御社でも使いますか?」と提案したところ、その方が助かる、と。最初にアイデアを出した社員がリーダーとなる方式で、この10年で数多くの自社サービスを開発してきました。

うちのメンバーは、仕事に飽きることはないでしょう。次から次へと新しいビジネスの種が、自分の中からも湧いてきますし、クライアントからも相談が来ます。ただ仕事を依頼されて実行するのではなく、相互に意見やアイデアを出し合って、相乗効果でより良いサービスや新しい世の中を作っていく。それがインフキュリオンのスタイルです。

お店の商品陳列が「店員ファースト」に?! キャッシュレスを入り口にビジネスモデル自体を変える

――キャッシュレス化の促進によって、世の中はこれからどのように変わっていくのでしょうか。

丸山:先日ある流通企業さんと、スーパーマーケットの在り方が大きく変わるだろうと話していました。新型コロナウイルスの影響もあり、多くの人が商品やカゴを手で触る今の方式は変化せざるを得ません。ネットスーパーはデリバリーをどうするかという問題があるので、ピックアップ式のスーパーが増加していくと考えています。

事前にネット経由でオーダーと決済を済ませ、店員さんが梱包してくれた商品をユーザーがピックアップしに行く。そうすると、陳列の方式が大幅に変わります。

これまではユーザー視点で陳列されていましたが、店員ファースト、つまり梱包する人ファーストになるでしょう。もはや業態そのものが変化するわけです。

――まさに生活様式の変革ですね。

丸山:我々が「キャッシュレスを入り口に」と言っているのはそういうことです。お金をデジタル化するのと同時に、ビジネスモデル自体を根本から変えていく。

病院の仕組みも変わっていくでしょうね。長い待ち時間はストレスですし、感染リスクも高くなってしまいます。アプリから予約できるようにするのと合わせて、会計の待ち時間も減らしたいところです。

アプリで自動的に会計ができて、処方箋もアプリに表示される。お薬の代金もアカウントに結びつけていけば、ロッカーでの無人受け取りも可能になるでしょう。患者さんも医療従事者も楽になり、非常に便利な世の中を実現することができます。

新しいアイデアは無理だと決めつけて思考停止せず、フラットに考える

――新しいアイデアを生み出す際のポイントなどはありますか?

丸山:まずはやはりテクノロジーの進化を読むこと。時代はテクノロジーによって変わるので、少し先の技術から逆算するようなアプローチです。

そしてもう1つ忘れてはいけないのが、「ありそうだけどなかったモノ」を考えること。当社ではいくつかのアイデアで特許も取得していますが、作ってみると「なんで今までなかったんだろう」と感じるケースも多いんですね。

たとえば我々の業界でよく言われるのが、クレジットカードは支払い日が1カ月後なので使い過ぎが怖いという意見。海外で多く使われているデビットカードは即日引き落としされますが、1カ月後か今すぐかという2択しかなかったわけです。

そこでインフキュリオンでは、週払い制や使った後にいつ支払うかを決められるサービスを検討し、すでに一部機能を開始しました。ユーザーインタビューによると、これが非常に評価が高い。土日に金額を計算できるので週払いはちょうどいい、といった声が寄せられています。

――なぜこれまで中間の支払い方法がなかったのでしょうか。

丸山:法律の問題などもありますが、多くの場合は単純に思考停止してしまっているからです。前例にとらわれて、他の方法は無理だと決めつけている。そこをいかに取り払ってフラットに考えられるかが重要です。

「これがあったら便利だよね」と思えば、実現のために何ができるかを考えてまい進する。インフキュリオンの社員には、そうした気概を持っていてほしいですね。

社員に求めるのは「これ面白そう」と思ったら行動に移せる好奇心

――その他に、求める素養はありますか?

丸山:最も重要なのは、新しいことに興味があるかどうかです。私自身の行動原理も、新しいサービスを創り出して社会に広がれば面白いし便利になる、それだけなんですよ。

業界No.1になりたいとかうちのサービスで日本を席巻したいとか、そういった気持ちはまったくありません。インフキュリオンという社名の由来はInfinite Curiosity、無限の好奇心です。「これ面白そう」と純粋に考えて、行動に移せることが必須条件ですが、それさえあればあとはなんとかなります(笑)。

経験としてあった方がベターなのは、自分で何かを企画して成し遂げた実績。小さなことでも構いません。新しいことをやろうとすると必ず「それは本当にやる必要があるのか」「いくらコストがかかるんだ」と周囲からの指摘が入ります。そうした意見と正面からぶつかって、責任感を持ってやり切った経験があることは大きな強みになるでしょう。

――そうした人材が貴社で学べることや身につけられる能力についてお聞かせください。

丸山:新しい事業を生み出す力は確実に身につくでしょうね。当社では、起業家ではなく事業家になれと常に話しています。もちろん社内にはコンサルのプロフェッショナルとして極めたいという人もいますが、インフキュリオンにおいてコンサルタントと事業家は相反する存在ではありません。

当社のコンサルタントは、何かの専門家として知らない人に教える立場ではなく、クライアントの事業を一緒に立ち上げて成功させるという思想で向き合っています。だから、みんなクライアントのことを「うち」って呼ぶんですよ。「うちはこんな事業をやっているよ」って。

お客さんからの評価もそこがポイントになっていると思います。「普通のコンサル会社さんと違って踏み込んでくるね」とよく言われます。

もちろんアイデアだけでは聞いてもらえないので、裏ではコンサルタントとして緻密な調査や設計をおこないますが、表では「僕だったらこうします」と、思いを全面に出していくのが私たちの特徴です。

――アイデアや思いと、論理性の両方が鍛えられるということですね。

丸山:もう1つ付け加えると、システム開発の場面で「アジャイル」という言葉がよく使われますが、僕は事業開発こそアジャイルが重要だと思っています。プランニングと実行を行き来しながらトライ&エラーを繰り返すことで、スピード感をもって新規事業の精度を高めることができる。インフキュリオンで経験を積めば、経営とITを同時に考えて進める力は間違いなく伸びるでしょう。知的好奇心にあふれた人なら、事業家への道は限りなく広がっています。

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コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。