脱アドバイザー? 同業移籍で次のステップ? 若手コンサルに多い4つの転職パターン【キャリア転換の“深層” Vol.1 コンサル編】

description

若手のキャリアチェンジが“普通”の時代-。ある調査では、対象となった20代社会人の6割以上が、「転職経験あり」と答えたという(*)。だが当たり前になったからといって、キャリアチェンジを決めるのが簡単かといえば、そうでもない。グローバル化の加速、AIなど技術革新による産業構造の転換、そして「コロナ禍」で曲がり角を迎えた世界経済…。不確実性が高まる中、人生を決める選択はむしろ難易度が増しているのかもしれない。

Liigaでは2019年8月のサイトリニューアル以降、200件以上のコラムを制作し、自己実現やキャリアアップを果たすべく転職した若手人材を紹介してきた。彼らの思考や意思決定、そして並行して取材してきた起業家や有識者らの見解を基に、不確実性の中を生き抜くキャリアチェンジの“勘所”を全5回にわたり考察する。初回はLiigaユーザーで特に多いコンサルタント職に考察の対象を絞り、彼らが「なぜ転職するのか」に迫る。 *エン・ジャパンによる調査(https://mid-tenshoku.com/enquete/report-98/

連載「キャリア転換の“深層”」記事一覧はこちら

自らビジネスを動かしたい…「意思決定者」になるべくファンドや事業会社に移る若手コンサルタントたち

「自分としては自信を持って提案した内容も、クライアント側で現場の反発があったり、意思決定プロセスが長くてタイミングを逸してしまったりと、結果につながらないプロジェクトもあり、むなしさを感じていたことも事実です」。

こうコンサル時代を振り返るのは、MBBと称される有力戦略ファーム(マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ、ベイン・アンド・カンパニーの3社)の1つから、PEファンドへ転職した方である。

「最後まで責任を持って動かしていきたい、自ら意思決定してリスクをとってでも前進させていきたい」。

そんな想いに駆り立てられ、活躍の場を移したという。

要は、「意思決定者」になるための“脱アドバイザー”転職。戦略コンサルからファンドや事業会社への転職では、このパターンが多い。

別のMBBからPEファンドへの転職者は、「自分がクライアントの立場であったら実際の事業を動かした経験が全くない人に相談したいと思うだろうか、という悩みもありました。戦略コンサルタントという職を突き詰めた人、突き詰めようとする人はもちろんすごいと思います。一方で、私はもっと組織の問題や業界ごとの規制に伴うビジネス環境に応じた対策など、泥臭いところに携わっていきたいと考えるようになりました」と、明かす。

「事業を動かした経験がない」。新卒でコンサルティングファームに入った人の多くが、入社数年後に感じる課題なのかもしれない。特にMBBなど名門とされる戦略ファームの場合、支援対象は主に有力企業の経営層。トップクラスの経営者らに刺激を受け、「自分も経営に携わってみたい」とネクストキャリアを見据える若手は多いようである。

一方、こんな理由でコンサルを離れる例もある。

「昔はコンサルティングファーム特有のフレームワークや独自の知見は希少でしたが、今は世の中に浸透しコモディティ化しているのです」。

総合コンサルからPEファンドに移った方の談である。

「コンサルティングファームの仕事は、戦略策定などのいわゆる上流工程の案件が減ってきており、代わりに、既にやると決めた事の仕組みを作る仕事、例えば『システム導入の実行支援』のような案件が大半を占めてきているのです。最近では高級文房具や高級派遣業と揶揄されたりもしています」と、この方は続ける。 description

以下は、別の方の回想の一部。

「ビジネスに明確なパラダイムシフトが起きているのにその現場・最前線にいないのが、もどかしかったわけです」「現状だとコンサルは技術を用いた先進事例を分かりやすく解説するくらいの役割しか果たせていないと思います」。

語り手は、大手ファームの戦略部門からAIベンチャーに移った30代のコンサルタント。新天地では顧客課題の分析に基づきAI導入を支援するなど、前職より「Tech」に寄ったコンサルティングで活躍する。

これら2つの例は、伝統的なコンサルティングファームのあり方に疑問を感じ転職に動くパターンだろうか。本当にコモディティ化しているか、などについては議論の余地がありそうだが、とはいえ同様の「モヤモヤ」を抱える現役コンサルタントは一定数いそうである。

規模を変えるか、それとも専門性を追求か。コンサルtoコンサルで目立つ転職理由

コンサルを離れるいくつかのパターンを紹介してきたが、同じコンサルタントの転職でも、同業他社へ移る場合はどうか。

「1社のクライアントに5、6チーム(かつ、1チームの人数も5、6人と多数)が同時にアサインされているケースも見られ、自分のタスクが『1つのエクセル資料を作成する』『パワーポイント2枚を作成する』など、非常に細かくなることもありました」。

こちらは、MBBの中の1社から新興コンサルティングファームに移った方の転職理由。裁量を求め、「小規模なファーム」を条件に新天地を探したのだという。

他方、同じく同業種で「規模」を変える転職でも、よりレベルの高い仕事やステータス、高報酬などを求め、MBBなどメジャーなファームへの転職を目指す人も多い。

あるMBBのパートナーは「CEOの相談者として圧倒的地位を築いています」と、MBBならではの強みを強調した上で、結果として「社会インパクトが極めて大きい仕事が多いですね」と胸を張る。

またコンサル業界内での転職でも、ファームの規模やブランドが主要因ではないパターンもある。

「研究者の経験を生かして戦略コンサルができるとなれば、私にとっては最適の環境です。『ここしかない』と思いましたね」。

こう転職当時を振り返るのは、次世代コンピューティング周りの知識を生かすべく、先端技術に強い外資系ファームに他ファームから移った大学院卒の理系人材。

同じコンサルティング業界の中でも得意分野や戦略的に伸ばす領域はファームごとに異なり、それらと各自のスキルやバックグラウンドが合うかは、コンサルtoコンサル転職の決め手になりやすい。 description

「製造業のバックグラウンドをもっと生かせるコンサルティングファームに行きたいと思うようになったのです。製造業なら開発もビジネスもある程度理解しているし、法規制やリスクマネジメントなど、日本のメーカーが海外に出ていこうとしたときに苦労する点も分かります」。

こう語るのは日系メーカー、日系ファーム、外資系ファームと渡り歩く30代のコンサルタント。コンサルtoコンサル転職により、前職よりもメーカー時代の経験を生かせる環境を手にしているという。

意思決定はロジックだけでは通らない。“脱コンサル”転職者の多くがぶつかる壁

ここまで、転職時の思考を基に、Liigaコラムで目立つコンサルタントのキャリアチェンジパターンを複数挙げてみた。では、そうした思考に基づき転職した後には、どのような経験が待ち受けているのだろうか。

「コンサルタント時代に楽しいと感じていたことは今もやれていますし、楽しいことがさらに増えたという印象です」。

こちらは、最初に紹介したMBBからPEファンドへの転職者。元コンサルならではの課題解決力や分析力などを生かしつつ、自ら投資先に経営陣として入り込むことで、希望通り意思決定に関わる仕事をできているという。

他方、投資先においては「ロジックだけで動く人は少ないことも事実です」と、コンサル時代にはあまりなかった苦労もあるのだとか。

「意思決定者」として戦略を実行まで移す上では、その施策に関係するさまざまな人の協力が欠かせない。

上のファンド在籍者は、「今はロジックだけでは十分ではないと実感しているので、相手の気持ちを汲み取ったり、自分という人間自体をよく知ってもらえるようコミュニケーションを図ったりすることで、信頼を得て、ロジック以外の部分で提案を受け入れてもらう力を身につけているところです」と語る。

事業会社やファンドに移った際、こうした“ロジカル度”の違いに直面する元コンサルタントは多いのかもしれない。

「ロジックの世界では正しくても、実際に意思決定をする際には、ロジック以外の要素も絡んできます。そして、ロジック上は正しい戦略だとしても意外な要因で大失敗に終わることもあります。ロジックはあくまで予測精度を高めているだけだと痛感しました」。

外資戦略コンサルからIT大手に移った別の方は、こう打ち明ける。

大規模ファームは「便利屋」になるリスクも…コンサルtoコンサルで注意すべきこと

コンサルからコンサルへ移る場合は、転職後に何が待ち受けているのだろうか。

「最初の3カ月くらいは危機感を抱いていましたね。『ヤバいな』と(笑)。この優秀な人たちの中で自分は一体どうやって違いを生み出せばいいのか、自分がここにきた意味って何だっけ? と自問自答を繰り返しました」と話すのは、大手ファームを経験した後に新興ファームへ移った30代のコンサルタント。小規模な組織へ移る場合、このように少数精鋭の環境下で厳しい競争にさらされることもある。

また、日系の大手ファームから日本では小規模な外資系ファームに移った別の方は、「(現職は)『前に前に』と出ていかないとチャンスを得にくいので、『依頼されたからやります』という受け身の姿勢の人には厳しいのかもしれません」と、“若い”組織ならではの難しさを指摘する。 description

片や小規模ファームから大手に移る場合、既に述べた元MBB在籍者の例のように、大型プロジェクトの“部品”になってしまうリスクは否定しきれない。

ある大手戦略ファームのマネージャーは、「(そのファームだと)何も考えずに待っているだけで仕事は降ってきます。しかし何も考えずただ働き続けていると、いつの間にか『社内の便利屋』になってしまう。自分で仕事を作ったり、見つけたりできない主体性のない人材になっていきます」と、確立された組織で働く上での注意点を挙げる。

若手コンサルに多い転職理由4種。「なぜ転職するのか」を明確化しよう

以上、過去のLiigaコラムを基にコンサルタントたちのキャリアチェンジを考察した。特に目立つ転職理由としては、“脱コンサル”ならば「アドバイザーからの脱却」と「コンサルビジネスへの疑問」、コンサルtoコンサルでは「規模を変える」と「専門領域を変える」の2つずつ、計4パターンに整理できるだろうか。

いずれにせよ、大事なのはこうしたキャリアチェンジの狙いが明確になっているか、そしてその目的に見合う環境はどこにあるのか。それらを見定める上で、ここに挙げたハイキャリア人材たちの決断と新天地での経験は、ヒントになるかもしれない。

《第2回「金融編」に続く》

連載「キャリア転換の“深層”」記事一覧はこちら

このコラムに関連したおすすめ求人はこちら
このコラムに関連した人気エージェントはこちら
date_range 2020-10-20

会員登録のお願い

限定募集情報に応募するためには、会員登録の後プロフィールを入力いただく必要があります。

追加記入のお願い

限定募集情報に応募するためには、追加でプロフィールを入力いただく必要があります。

プロフィールを入力
審査をお待ち下さい

現在、ご入力いただいたプロフィールを審査しております。申し訳ございませんが今しばらくお待ち下さい。