半年~1年かけるのは当然!? 転職成功者に学ぶ万全の準備とは【キャリア転換の“深層” Vol.4 事前準備編】

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転職。良いキャリアを築く手段の1つとして、多くの人が当たり前のように選択肢に入れる時代になった。無論、一般化したとはいえ、人生を左右する転機であることに変わりはない。ゆえに目的意識を持ち職を変える人の多くは、その「準備」にかける時間や労力を惜しまない。名門プロフェッショナルファームなど、人気企業に「選ばれる」ためにはシビアな選考への対策が求められ、また新天地を「選ぶ」立場ならば、決断に先立ち自分に合うかなどを慎重に見極める必要がある。

Liigaコラムの登場人物の行動や思考に学ぶ連載「キャリア転換の“深層”」。第4回では、転職で成功するための準備を考える。

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転職活動は“情報戦”。エージェント、書籍、“実戦”などあらゆるインプットで難関選考に備える

「政府系機関に在籍中、海外勤務を2年しましたが、後半の1年は現地で転職活動をしていました。平日はしっかり働きたかったので、土日に転職エージェントの方とオンラインで面談をしました」。

こう語るのは、新卒で政府系機関に入り約4年働いた後、外資系ファームに移った20代の戦略コンサルタントである。時間をかけ入念に準備をした上で希望するファームの選考に臨み、狙い通り内定を得た。

選考対策で心掛けたのは、「“実戦”を通じて上達すること」。志望度の高い企業に応募する前に、海外にいながら他のさまざまな企業の選考に臨み、経験値を高めた。

「面接を受けて、その改善点を次の面接に反映させることを何度か繰り返しました。(前職を)必ず辞めると決めていたわけではなかったので、焦っておらず、質重視でマイペースに行いました」と、振り返る。

この方のように未経験でプロフェッショナルファームへの転職を目指す場合、ケース面接などのハードルがあるだけに、選考対策の重要度は高い。別の戦略コンサル転職経験者は、「『ケース面接に実際に行く瞬間には、落ちる可能性が1ミリもないという状態』にすることが必要だと思います」と、言い切る。

だからこそ、準備にはそれなりの期間を要することになる。「新卒で事業会社に入って、すぐにプロフェッショナルファーム向けの転職準備を始める人もいますね」(転職支援サービス企業幹部)といった声もある。

「『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』と『現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』のみ読んで基本を叩き込んだ上で、エージェントとの模擬ケース面接で感覚をつかんでいきました」。

こちらはメガバンクからの転職活動でマッキンゼー・アンド・カンパニーと、ボストン コンサルティング グループの内定を勝ち取った方の談。冒頭の例と同様にエージェントのサービスをフル活用し、難関ファームへの切符を手にした。

「エージェントがコンサル系雑誌からプロジェクトの実例を100記事ほど抜き出して印刷してくれたので、それを熟読してフレームワークなどの引き出しを増やしていきました。この資料の質が非常に高く、本当に役立ちました」という。

新卒ほどではないが、転職でも企業と候補者が持つ情報量には非対称性が存在する。エージェントの活用は、こうした“情報戦”を有利に進める上で、有効なアプローチの1つといえる。

2年半をかけてPEファンドに転職。時にはキャリアそのものが「準備」になる

エージェントについては、こんな体験談もある。

「ネットで調べて、まずは3社ほど(のエージェント)に話を聞きに行きました。そのうちの2社では『あなたの経歴で戦略ファームは厳しいから、別のキャリアを考えた方がいい』と言われました。しかし最後に話を聞きに行った1社は、コンサル専門ということもあってか、最初から『戦略ファームで行きましょう』と言ってくれたのです」。

転職エージェントは参入障壁が低いこともあり、無数に存在し、かつ候補者側の志向性、経験、スキルなどによって相性も存在する。「エージェント選びがうまくいかなかった」という失敗談は数限りない。自分に合ったエージェントに出会うため、時に時間と労力をかけることも必要なのかもしれない。 description

他方、一定期間のキャリアそのものを転職準備と位置付ける例もある。

「実はもともと投資銀行に入った目的が、『PEファンドへキャリアアップすること』だったのです。だから投資銀行に入社し、いくつかトラックレコード(実績)を積んだ後に転職活動をスタートしました」。

こちらは、外資系FAS(財務助言サービス)系ファームや外資系ブティック型投資銀行などを渡り歩いた後、20代後半でPEファンドに移った方である。

この方は投資銀行へ入社していくつか実績を積んだ後、迷わず転職活動を開始。計2年半近くをかけてじっくりと選考対策などを進めた結果、希望通りPEファンドへの転職を成し遂げた。

PEファンドはポテンシャルを持つさまざまなタイプの人材を受け入れてはいるが、実際に採用された人の経歴で目立つのは、「多い順にあげると、投資銀行のM&A部門、戦略コンサルティングファーム、MBA取得者、総合商社」(ファンド転職支援で実績を持つスタート・プランニング・ジャパンの山崎正社長)なのだという。ゆえにファンドへの“手堅いルート”に乗るため投資銀行や戦略コンサルに入ろうとする若手が多いのも、事実である。

若ければ「3年くらいかけてもいい」。企業を「選ぶ」際に不可欠な入社前の情報収集

ここまで、転職先に「選ばれる」という観点から、主に選考対策面の準備を紹介してきた。ただキャリアチェンジにおいては、転職先を「選ぶ」という側面も少なからず存在する。その上での準備にも触れておく必要があるだろう。

「入社後のギャップをなくすために、民間企業についての情報収集は徹底的にしましたね。数十人にヒアリングしたと思います」。

こう語るのは、元官僚で現在は外資系投資銀行に勤務する30代。所属していた官庁の出身者やビジネススクールで知り合った人たちなどからの話を基に、熟考を重ねた上で転職に踏み切った。

「おかげで投資銀行に入ってからも、入社後のギャップはほとんどありませんでした」という。

ギャップという意味では、コンサル、金融、ファンドといったプロフェッショナルファーム系の人材がベンチャー企業へ移るケースでも、環境などの違いが浮き彫りになることが多い。「ベンチャーに転職してうまくいかず、プロフェッショナルファームに戻ってくる人も多いですね」と、ある大手コンサルティングファームのパートナーは明かす。

新天地の内情やポテンシャルなどを転職前に見定める“眼”が、他の転職パターン以上に求められるのかもしれない。

元PEファンドで現在ベンチャー企業の役員を務める30代の方は、2018年に現職の創業者と出会い、その後面談を重ねた結果、翌年夏に参画した。「(創業者と)毎週のように会い、いろいろな話をするうちに『参画すべきだ』と確信に至り、入社を決めました」という。

ベンチャーは創業者の個性や想いが企業文化に色濃く反映されるため、転職者との相性の良し悪しも明確に出やすい。加えて事業そのものの先行きについては、不確定要素が多分にある。外資系金融からベンチャー企業のCFOポジションに移った別の方もその点を慎重に捉え、「半年くらいかけてDD(デューデリジェンス)しました」と、転職当時を振り返る。

こうしたベンチャーCxO転職などの支援で多数の実績を持つキープレイヤーズの高野秀敏代表は、転職先のベンチャーを見定める上でのポイントについて、こんなコメントを残している。

「転職の場合、入社先の足りないものを持っている凹凸関係の方がうまくいきます。こういった観点をどれくらい持てるかは重要ですね」「自分のような人がまだいない会社のほうがバリューを出せて、役割もあるはずです。そういう意味で、転職先選びはすごく考えて戦略的にやった方が良いと思います」。

新天地に足りないものを自分が持っているか、つまり介在価値が重要ということだろうか。 description

「休日の夜とかだけでも、副業的にベンチャーの仕事を手伝うのが一番お勧めです。そうすると、いろいろなことが見えてきます」。

こちらは、独立系VC(ベンチャーキャピタル)・ANRIの代表として数々のベンチャーを支援している佐俣アンリ氏の意見。実際、創業期のベンチャーに役員ポジションで参画するにあたり、助言役として一定期間副業で協力してから入社し、役職に就くケースが増えているのだという。

「若ければ、3年くらいかけて自分に合っているか見極めるくらいの心持ちでも良いと思います」と、同氏は副業機会などを活用しながら時間をかけて新天地を探すことを勧める。

2階級上の思考が育む長期視点。現職の業務においても、転職への「備え」はできる

選考対策や新天地候補の情報収集など、いくつかの側面がある転職準備だが、最後に現職においてできる「備え」の例にも触れておきたい。

以下は前出の山崎スタート・プランニング・ジャパン社長による、PEファンド転職を志望する投資銀行在籍者への助言である。

「先輩が作成したモデルをそのまま使うのは、やめたほうがいいかと思います。クライアントの状況に応じて、モデルを一から作成するスキルを習得できないからです」。

投資銀行で無数の案件に対応する中、既成のモデルを流用すれば効率は良いかもしれない。しかし、「クライアントにとっても見やすく分かりやすいモデルを作成する力がないと、PEではやっていけないと思います」と同社長は断じる。

「自分の専門領域を深めるのは当然で、それだけではダメです。まず、『横に理解を広げること』が大切です。そしてそれを実現するために『1つでも上の目線を常に追いかけること』。この2つがすごく重要かなと思います」。

こちらはゴールドマン・サックス、A.T. カーニーと渡り歩き、現在はWACULのCFOを務める竹本祐也氏による、ベンチャーCxO転職で成功するため日ごろから心掛けるべき点である。

同氏が引き合いに出すのは、ディー・エヌ・エーが社内で推奨する「2ランクアップ」という考え。現職において常に2階級くらい上の目線で業務にあたることで、「横」、つまり自分の担当外の仕事にも目が向くようになり、CxOに求められる経営視点が自然と身につくのだという。

よくよく考えれば、本質的にはCxO転職志望者以外にとっても、有益な心構えといえるかもしれない。本記事で紹介したように、さまざまな転職パターンにおける準備に関して、共通する重要要素は長期視点と情報の質と量。目線を上げ俯瞰的な視座を持つことは、そうしたポイントを押さえる上でプラスに働きそうである。

《最終回「起業編」に続く》

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