インタビュー「日系メガバンクという安定のキャリアを捨て、外資系戦略コンサルを選んだ理由」
2020/11/20
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安定した人生を歩めるキャリアを築いていても「キャリアの幅を広げるために今とは違う道を選ぶべきかどうか……」と悩んでいる女性の方は少なくないかと思います。特に結婚や出産を意識している方ならなおさらでしょう。

今回取材した浅井真美さん(仮名)は現在26歳。私立大学を卒業して、日系メガバンクに法人営業として入社。その後間もなく外資系戦略コンサルのトップファームに転職し、昨年からアソシエイトとして働いています。

今回は浅井さんに「日系メガバンクという安定のキャリアを捨て、外資系戦略コンサルを次のキャリアに選んだ理由」「メガバンクと戦略コンサルの女性の働き方の違い」について伺いました。

〈Profile〉
浅井 真美(仮名)
トップ外資系戦略コンサルファーム アソシエイト 私立大学卒業後、日系メガバンクに法人営業として入社する。とある案件での経験をきっかけにM&Aに興味を持ち、投資銀行部門に異動。その後戦略コンサルへの転職を志し、1年後に外資系戦略コンサルにキャリアチェンジを果たす。


【目次】
・「結婚もしたいし、出産や子育てもしたい。だから出産後のキャリアを自由に選べる戦略コンサルタントを選んだ」
・「戦略コンサルに産休・育休はあるが、そもそも女性が少ない」戦略コンサルとメガバンク、それぞれの産休・育休事情
・女性のコンサルタントが仕事も家庭も安定させる鍵は「最初のアップ・オア・アウト」を乗り越えること

「結婚もしたいし、出産や子育てもしたい。だから出産後のキャリアを自由に選べる戦略コンサルタントを選んだ」

――希望していた投資銀行部門への異動が実現したにもかかわらず、たった1年ほどで戦略コンサルに転職されています。なぜこのような決断をされたのですか?

浅井:「今動かないと後悔する」と思ったからです。

投資銀行部門でのキャリアパスは、簡単に予想がついてしまいました。4年ほどバリュエーションやデューデリジェンスといったアナリストワークを経験したら、バイスプレジデントに昇格。

この職位で実績を積み上げたら、次はメリルリンチ日本証券やモルガン・スタンレーに転職するか、社内でディレクターになるかで道が分かれます。ディレクターとして結果を残せれば、ようやく部長クラスへの切符が手に入る、という流れです。

一方で、外資系戦略コンサルはたいていの人が3〜4年で転職します。転職先もファンドや事業会社など、色々な分野に散らばっている印象があります。転職した後のキャリアパスまで含めれば、文字通り百人百様かもしれません。

そういった「戦略コンサルのキャリアプランの自由度」に魅力に感じ、転職しました。

――女性の場合、仕事と結婚や子育ての兼ね合いは悩む人が多いと思いますが、どう考えましたか?

浅井:色々な人に相談しましたし自分でもたくさん考えましたが、最終的には「後からどうにでもなる」という結論にいきつきました。

産休・育休が確実に取得できること、そのあとも職場に復帰して働き続けられることを期待するのなら、100%メガバンクに残るべきだったでしょう。

しかし私にとっては、そうした働き方よりも自由に自分のキャリアパスを描ける外資系戦略コンサルの道の方が魅力的に思えました。

――それは結婚や子育てよりも、仕事を優先させたということでしょうか?

浅井:少し違います。むしろ外資系戦略コンサルタントのキャリアがあれば、万が一産休・育休がとれずに一度退職せざるを得なくなっても、子育て終了後のキャリアの選択肢はいくらでもあるからです。今の会社に戻ることもできるだろうし、他の会社のオファーも十分にある。

むしろ私は結婚もしたいですし、子供も欲しいと思っています。だからこそ、外資系戦略コンサルタントの道を選びました。

当然それは、コンサルタントとして今ちゃんとスキルを磨いておくことが大前提ですけどね。

「戦略コンサルに産休・育休はあるが、そもそも女性が少ない」戦略コンサルとメガバンク、それぞれの産休・育休事情

――外資系戦略コンサルでは、実際のところ女性はどのくらい働いていらっしゃいますか。

浅井:他のファームはわかりませんが、私のいるファームにはそもそも女性があまりいませんね(苦笑)。

私と同じアソシエイトの職位だと2割くらいが女性ですが、マネージャーやプリンシパル、パートナーになると1割未満です。

――コンサルタントは産休や育休はとりやすいですか?

浅井:制度として存在はしますが、そもそも取得したという話自体をあまり聞きませんね。

なぜならコンサルタントにとって、20代は相当頑張って成長しなければならない時期です。私は26歳ですが、これから30歳になるまでの4年間のうち1〜2年間を産休・育休に使えるかというと、取得は難しいというのが正直なところです。

30〜40歳になって仕事がひと段落すれば、休みやすくはなると思います。ただこの年齢層は職位でいえばプリンシパルやパートナーです。女性はますます少なくなるので事例が生まれにくくなるのでしょう。

――日系メガバンクの場合はどうでしたか?

浅井:外資系戦略コンサルとは対照的に、産休・育休を取るのが当たり前でした。

一般職の女性は5年目くらいで結婚をして、すぐに1人目の産休と育休に入り、そのまま2人目を妊娠して、合計で2〜3年休んでから現場に復帰するという人がほとんどでした。

みんなそうやって働いているので、休暇明けの人を受け入れる体制も整っていました。2〜3年休むとどういうところで苦労するのかがわかるので、周囲の経験者が的確にフォローできるんです。

これに対して、私のような総合職の場合は、支店で働いている女性で産休・育休をとっている人はいませんでした。ただ、本部に異動してから取得する人は多かったですね。

女性のコンサルタントが仕事も家庭も安定させる鍵は「最初のアップ・オア・アウト」を乗り越えること

――戦略コンサルタントになり、今後どのようなキャリアプランを考えていますか?

浅井:5年くらいは今の職場で働いて経験を積みたいと思っています。そのあとのことは、実はあまり具体的には考えていません。

1年戦略コンサルタントとして働いてみて思うのは、お金をもらって戦略を提供する今の仕事を突き詰めていくと、ファンドのように自分がお金を出して会社や事業を成長させる仕事に興味が出るのではないかということです。

あるいは事業会社への転職も有力な選択肢です。ファーストキャリアが銀行、セカンドキャリアがコンサルと、私は今まで自分でプロダクトをマネージしたことがありません。だから次はそういった仕事にも就いてみたいですね。

――先ほどおっしゃっていた、結婚や子育てとはどのように両立されるのですか?

浅井:「最初の3年が勝負」だと思っています。

なぜなら私のいるファームでは「アップ・オア・アウト(昇格するか、さもなければ辞めろ)」が採用されており、アソシエイトからコンサルタントに3年以内に昇格できなければ基本的に解雇されるからです。

コンサルタントに昇格すれば、社内でのポジションをある程度確保することができます。

そのタイミングでなら産休・育休を取得したとしても、復帰後のポジションも残っているのではないか、と考えています。あるいはバックオフィスに回るのもアリだと思います。実際私のいるファームには、家庭の都合でバックオフィスに異動し、コンサルタントのサポートや組織づくりのための活動に専念している人もいますしね。

――アップ・オア・アウトは中々リスクがありますね。

浅井:そうですね。でも何事もまずは「自分ならできる」という前提で考えることが重要です。

「できない」と思っていたら、本来できるものもできなくなってしまいます。しかし、「できる」という前提に立てば、実現するための方法を調べる、自分に足りないものを補う、といった行動につなげることができます。

家庭と仕事の両立についても「自分にならできる」と信じて、頑張っていきたいです。

コラム作成者
Liiga編集部
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