「女性でも、仕事も家庭もコミットしたかった」私が転職と離婚を経てUSCPAを獲得した理由
2020/10/20
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「仕事にしっかり打ち込みたい。でも結婚や子育ても大事にしたい」

キャリア女性の中には、こういった悩みを抱えている人は少なくないと思います。

今回取材した五十嵐亜希子さん(仮名)は、2回の転職活動を経てUSCPA(米国公認会計士)の資格を取得し、現在は外資系会計監査法人で活躍されています。

しかし、その晴れやかなキャリアの裏にはライフイベントに伴う苦悩や紆余(うよ)曲折があったそうです。

今回は五十嵐さんに、「2回の転職を経てUSCPAを取得した理由」「女性が結婚する際に気を付けるべきこと」について伺いました。

〈Profile〉
五十嵐 亜希子(仮名)
外資系会計監査法人 アソシエイト
大学卒業後、日系金融機関に債券投資のアナリストとして入社する。ライフイベントの変化に応じて、日系メーカーの経理、外資系監査法人と渡り歩き、現在に至る。多忙な仕事にもかかわらず、本業の傍らでオンライン大学院の受講やプロボノ活動に精を出している。


【目次】
・「USCPAを取得したのは離婚がきっかけ」。専門性を磨くため監査法人へ
・「家庭にコミットすると決めて転職したが、仕事に想像以上にブレーキがかかり後悔した」
・再婚で重要なポイントは「家が近いこと」。「”仕事と家庭のバランス”への今の気持ちを常に知っておくことが必要」

「USCPAを取得したのは離婚がきっかけ」。専門性を磨くため監査法人へ

――まず五十嵐さんの現職について教えてください。

五十嵐:現在は外資系会計監査法人にアソシエイトとして務めて1年になります。主にM&Aのためのバリュエーション(企業価値の評価)に携わっています。

分野としては一般的な事業会社のほか、都市開発や途上国開発の分野にも関わってきました。前職に比べて、圧倒的に広く深い専門性が磨かれていると感じています。

本業のためにUSCPAの資格も取得しました。

――なぜUSCPAを取得したのですか。

五十嵐:端的に言うと、パートナーとの離婚がきっかけです。

私は新卒で東京の金融機関に入社したのですが、パートナーとの結婚にあたりワークライフバランスを重視して、彼の勤める企業がある名古屋の会社に転職したんです。しかし、パートナーとの別れを経験しました。

その時に「どんなライフイベントがあっても柔軟に対応でき、自分の力で稼いでいけるスキルがなければならない」と思うようになったんですよね。

――そこで、目に留まったのがUSCPAだったんですね。

五十嵐:その通りです。新卒で入社した金融機関では債券投資アナリストとして企業の財務や事業計画分析をしていました。2社目でも経理を担当していたので、会計を軸にして幅を広げるのが自分に合っていると思ったんです。

専門職である公認会計士は試験自体は大変ですが、独占職のためキャリアが立てやすいと思うので、個人的にもおすすめです。

「家庭にコミットすると決めて転職したが、仕事に想像以上にブレーキがかかり後悔した」

――新卒では金融機関を選んだのですね。

五十嵐:はい。フロント業務なので体力勝負でしたね(苦笑)。いろんな案件に携われるため経験値を稼ぐことができます。「バリバリ働きたい」という気持ちが大きかった私にとって良い選択だったと思います。

しかし、ライフイベントに柔軟に対応できないというのがネックでした。総合職なので転勤もあることから住まいも選びにくいです。そのため、結婚を機に「家庭にコミットしたい」という気持ちが大きくなり、環境を変えました。

だから結婚により名古屋に転職することになった際は、緩やかに仕事に取り組めそうなメーカーの経理職を選びました。

――世の中の女性には結婚するときに、転職ではなく退職してしまう方もいます。五十嵐さんは転職を選ばれました。

五十嵐:はい。これは私の「社会にインパクトを出し続けたい」という思いからです。

私が思う「仕事」というのは、社会に価値を提供し、その一環で人間関係が広がる。そしてその広がりから自分が社会に与えられる価値がさらに大きくなる。こういうプロセスだと思っています。これがたまらなく好きなんですよね(笑)。

いくら「家庭にコミットしたい」という気持ちが大きくなったとしても、仕事を愛する気持ちに勝ることはありませんでした。だから、転職を決意したのです。

――2社目ではどのような働き方をしていましたか?

五十嵐:メーカーの経理なので、バックオフィスですね。前職の経験も生かしながら比較的負担の軽い業務を引き受けました。

しかし、この選択は色々後悔しました。

――どんなことを後悔しましたか?

五十嵐:家庭にコミットする以上、仕事にかなりブレーキをかけなければいけなかったことです。

もともと仕事好きということもあって、想像以上に多くの時間が余ってしまったように感じました。「こんなはずではなかった……」と思うことも多々ありました。

仕事と家庭の間での自分のやりたいことのバランスについて見極め切れていなかったんだと思います。この点について私は後悔しているので、女性の方はそのような選択を迫られたときにはよくよく考えてほしいです。

再婚で重要なポイントは「家が近いこと」。「”仕事と家庭のバランス”への今の気持ちを常に知っておくことが必要」

――キャリア女性がワークライフバランスを保つためにはどんなことが必要だと思いますか?

五十嵐:今の自分における、「バリバリ働きたい気持ち」と「家庭にコミットしたい気持ち」のバランスを常に知っておくことですね。

私の場合、大体5年くらいのスパンで自分の気持ちが変わり、人生のテーマも変化しました。

――ファーストキャリアの日系金融機関時代の人生のテーマは何でしたか?

五十嵐:その時は「仕事と資格試験を頑張ること」でした。だからがむしゃらに仕事に打ち込みましたね。

ところが入社して3年ほど経って結婚することになったとき、自分の中で「妻として、母として家庭にコミットしたい」と思うようになり、転職したのです。

――現在は監査法人でご活躍され、人生のテーマは「自分の力で稼いでいけるスキルを身につけること」と伺っています。今後はどのようなキャリアをお考えですか?

五十嵐:パブリックセクターや国際機関など社会に大きなインパクトを出せる環境に行きたいですね。

特に、国際機関は修士号が必須の世界です。なので、今は新型コロナウイルスの影響で自由に扱える時間が増えたので、オンラインの大学院に通い始めて修士号の取得を目指しています。

――ということは、今後も人生のテーマは変わっていきそうですね。

五十嵐:その通りです。でもやっぱり、再婚もしたいですし子供も欲しいです。いまは婚活中なのですが、日本にいるいまの段階で家族を作って基盤を固めていきたいです。

――次に結婚する際に何を重視していますか?

五十嵐:ズバリ「家が近いこと」ですね。

――「家が近い」ですか。

五十嵐:家は会社に近い方が絶対良いですよ。なぜなら通勤時間が短ければ短いほど家事に割ける時間が増えるからです。

これは私の性格的な問題ですが、相手の方が先に帰ってしまうと申し訳なくなってしまうんですよね。心の余裕もなくなってきます。

育児するようになると一層そうだと思います。男女雇用機会が平等に向かっているとはいえやはりフルタイムで働いた方が職場ではチャンスが巡ってきやすいのが現状です。なので、育児をしても仕事は頑張りたいです。

だから家庭と仕事のパフォーマンスを維持するためにも勤務先と自宅の距離は軽視できませんね。

コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。