「技術者とコンサル、やっていることは実は同じ」メーカーエンジニアから戦略コンサルへの転職を叶える3つのポイントとは?
2020/10/05
#戦略コンサルのケース面接対策
#日系メーカーから脱出する
#戦略コンサルへの転職体験記

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「ファーストキャリアがメーカー、しかも技術職となると戦略コンサルタントなどへの転職は難しい」。そう思い込んでいる人も多いのではないでしょうか。しかし実は、メーカーのエンジニアから戦略コンサルへの転職に成功している人は少なくありません。

木戸隆さん(仮名)もその1人。今回は日系メーカーのメカニカルエンジニアから外資系戦略コンサルファームへの転職に成功した木戸さんにご協力いただき「メーカーエンジニアから戦略コンサルへの転職成功のポイント」をはじめ、「メーカーエンジニアと戦略コンサルの意外な共通点」についてお聞きしました。

〈Profile〉
木戸 隆(仮名)
外資系戦略コンサルファーム アソシエイト
都内有名私立大学の工学部を卒業したのち、日系メーカーに入社。9年間メカニカルエンジニアとして製品部品の設計のほか、工場での製品管理などに携わる。2019年に外資系戦略コンサルに転職。製造業担当チームでアソシエイトとして活躍中。現在35歳。

【目次】
・「技術者とコンサルがやっていることは実は同じ」35歳メーカーエンジニアが戦略コンサルになれた理由
・戦略コンサルの選考で大事なのは「結果ではなく思考プロセス」「自分のキャリアをもう一段掘り下げて話すこと」
・「現状満足度は80%。もっと全社戦略の案件がしたい。だから40歳までにもう1社コンサルを経験したい」

「技術者とコンサルがやっていることは実は同じ」35歳メーカーエンジニアが戦略コンサルになれた理由

――実際に戦略コンサルに転職してみて、メーカー出身者はどれくらいいますか?

木戸:私が所属しているのが製造業部隊ということもありますが、ほぼ全員がメーカー出身者です。

一般的なイメージからすれば、私のようなずっと技術畑でやってきた人間が戦略コンサルに……というのは珍しく感じるかもしれません。しかし、実はエンジニアの仕事とコンサルの仕事は共通する部分が意外と多いんですよ。

――どういった共通点があるのでしょうか?

木戸:ずばり「問題解決のプロセス」が一緒です。メカ二カルエンジニアは機械に何か不具合が起きると、何が原因かを推定して、どうすれば直るかという仮説を立てます。そして仮説の検証を通じて原因を特定して、不具合を解消します。

――確かにコンサルタントの問題解決によく似ています。

木戸:全く同じです。だから技術者が戦略コンサルになるというのは、そこまで現実味のない話ではないのです。

――転職活動はどれくらいの期間行っていましたか。

木戸:エージェントに登録したのは、実際に転職する1年半前くらいです。そこから情報収集や求人のリサーチ、職務経歴書の作成などを1年くらいゆっくりとやったあと、半年ほどの期間を使って選考を受けていきました。

ーーそもそもどうして日系メーカーから戦略コンサルに転職しようと思ったのですか?

木戸:より経営に近いビジネスサイドに行きたかったからです。メーカーにいながらにしてキャリアチェンジする選択肢もあったのですが、業界の縮小に伴って社内で人余りが発生して、転向が難しくなったため外に目を向けました。

――ビジネスサイドに行きたいと思い始めたのはいつ頃からでしょうか。

木戸実は入社してからずっと思っていました。「技術×経営」というキャリアを築きたかったからです。

確かに良い製品を「作る能力」も大切なのです。しかし、それだけでは売れない。作る力と同じくらい「売る能力」も大切です。その能力を身につけるために、プロジェクトマネジメントや経営企画の領域での経験は必須でした。

――エンジニアを続けていても「売る能力」を身につけることは難しい、と。

木戸:その通りです。少しだけは経験できたんですけどね。OEM(相手先ブランドによる生産)先の工場に同行して、マーケティング活動を手伝わせてもらうなど、その手の仕事には積極的に手を挙げていました。

ただあくまでも私の本業はエンジニアだったので、スポット的な限られた仕事に物足りなさは禁じ得ませんでした。もっと本格的に経験を積みたいと思っていましたね。

戦略コンサルの選考で大事なのは「結果ではなく思考プロセス」「自分のキャリアをもう一段掘り下げて話すこと」

――メーカーエンジニアから戦略コンサルへの転職活動をするうえで、「ここは注意した方がいい」というポイントは?

木戸:3つあります。

1つ目に面接では結果よりプロセスを話すことを大切にすることです。例えば面接で過去の実績について話すときは「どんな結果を出したか」より、何をどう考えてその結論に至ったことの方が見られます。

ケース面接でも同じです。正しい回答を出せるかよりも、答えにたどりついたプロセスや、面接官とのディスカッションの中でより良い回答を見出していこうという姿勢の方が重要視されます。

2つ目にキャリアの棚卸しは「相手にどう伝えるか」をしっかり考えることです。

――ただ振り返るだけではない、ということでしょうか?

木戸:おっしゃる通りです。ただ自分のやってきた仕事を振り返るだけでは、「だからコンサルとしてこういう場面で役に立てます」という話ができません。

先ほど申し上げたところで言えば、「エンジニアはこうやって不具合を解決します」で終わってはダメで、「これはコンサルの思考プロセスと同じだから、自分は役に立つ」という話まで掘り下げる必要があるのです。

3つ目のポイントは多角的に情報収集をして「そこで働いている自分」をシミュレーションしておくことですね。複数のエージェントに業界全体から個別の企業までの話を聞き、それらを総合して、転職後のシナリオをいくつか考えておくのです。

――木戸さんはどんなシナリオをシミュレーションしていたのですか?

木戸:戦略コンサルはハードな業界だということを知ったので「最悪の場合は睡眠時間が4時間くらいになるかも」といったシミュレーションをしていました。

――一方で転職活動を通じて「これはやっておいてよかった」ということはありますか。

木戸前職にエンジニアをしていた時でも、主体的にキャリアを「作る」姿勢を持ち続けていたのは正解でしたね。「こういうスキルを身につけたいから、今の会社でこういう仕事に手を挙げよう」と動いていたおかげで、職務経歴書のネタにもなりましたし、キャリアの説明もしやすかったです。

――木戸さんの場合、具体的にはどんな行動をしましたか?

木戸:先ほどのOEM先への同行もマーケティングの経験をしたいと思ったので、参加しました。英語も勉強しましたね。ジェネラリストになるために色んなチームに参加するようにしていました。面接でも反応が良かったですね。

「現状満足度は80%。もっと全社戦略の案件がしたい。だから40歳までにもう1社コンサルを経験したい」

――実際に戦略コンサルに転職してみて、期待していた通りの仕事はできていますか?

木戸:満足度としては80%といったところですね。戦略に近いところで、計画の実行から改善までに関わる仕事は本当にやりがいがあります。市場分析や競合分析をする過程で、自身の視点が広くなるのも感じます。

――残りの20%は?

木戸:「もう少し全社戦略的な仕事もやりたい」という不満があるからです。今私がいるファームは戦術寄り、オペレーションに近い仕事が多いのです。

例えば「工場のオペレーションをどうするか」「原価改善をどうやるか」といった仕事です。個人的にはより上流の仕事にも関わりたいので、その点は不満がありますね。

あとはデジタルトランスフォーメーションなどの領域も今後は大事になってくると考えていますが、今の会社では現状この種の案件は多くはありません。そこも期待と違った点です。

――今後のキャリアプランについて教えてください。

木戸:ゆくゆくは事業会社の経営企画室や戦略室で仕事がしたいです。それが大企業でなのか、ベンチャー企業でなのかはまだわかりませんが、会社全体を動かす仕事に携わりたいですね。

そのためにはよりピュアな戦略や財務の経験が必要ですし、デジタル領域での経験も必要です。だから40歳になるまでには、もう1社くらいコンサルを経験したいと考えています。

――メーカーエンジニアから戦略コンサルへの転職を目指す人にアドバイスはありますか。

木戸:迷っているなら行動した方がいいですね。まずはエージェントに登録して職務経歴書を書きましょう。書くことで自分の強みややりたいことが見えてきますし、そうすれば自分にあった求人も見つけやすくなります。

といっても、こんなことを言っている私もなかなかエージェントに登録するところまで踏み出せませんでした……。

――それはどうしてですか?

木戸「登録しない理由」がたくさんあったからです。会社が潰れそうなわけでもない、職場で評価されていないわけでもない、転職しなくてもそれはそれで良い人生だし……みたいな。

あといざ初めて職務経歴書に向かったときは手が止まってしまいました。

――なぜ手が止まったのですか?

木戸先ほど申し上げたコンサルに必要な「もう一段掘り下げる」ができなかったからです。最初の職務経歴書は「CADができます」と書いてフリーズしてしまいました(笑)。

でも私が、自分がやってきた思考プロセスとコンサルの思考プロセスに共通点を見出せたように、ちゃんと棚卸ししていけばきっとアピールポイントは見つかります。だからぜひ、迷いを行動に移してほしいですね。

コラム作成者
Liiga編集部
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