sponsored by ダッソー・システムズ
トヨタ自動車、テスラ、ゼネラル・エレクトリック(GE)など世界的メーカーを支える“実力派”企業―。ダッソー・システムズは、自動車や航空機などの開発・製造現場で圧倒的なシェアを誇る、フランス発のグローバルIT企業だ。
製造業では既に知られた存在だが、今、新型コロナウイルス対策のサービスや建設・都市開発など新分野への展開で、より幅広い層から注目され始めている。コロナの影響やデジタルトランスフォーメーション(DX)などで社会・経済が大きく変わる中、同社の強みである3D技術はどう生きるのか、またその中でどんな人材を求めているのか。2019年12月から日本代表を務めるフィリップ・ゴドブ氏に聞いた。
CADソフトから「顧客体験」を変えるプラットフォームまで、多様な製品群で世界的メーカーを支える
――自動車や航空機の設計・開発を支えるソフトウェア製品が知られています。
ゴドブ:ダッソー・システムズは、フランスの航空機メーカー、ダッソー・アビアシオンの設計部門が1981年に独立して生まれました。この年に開発した世界初の3D CAD(3次元製品設計)ソフト「CATIA(キャティア)」は、初めてコンピューター上で設計された民間航空機のボーイング777に採用されましたし、今や世界的な自動車メーカーのほとんどがCATIAなど我々の製品を導入しているので、そういったイメージが強いのかもしれませんね。
しかし現在は、製造業向けの3D CADソフトにとどまらない、幅広い製品群を提供しています。自動車や航空・宇宙のほか産業機械、ハイテク、消費財、建設・都市、エネルギー、ライフサイエンスなど多様な分野に展開しており、本社はフランスですが、全世界に約27万社の顧客を抱えるグローバル企業です。
――日本市場の位置づけはどのようなものでしょうか。
ゴドブ:日本は設立当初から重点市場の一つです。長く日本企業がグローバルでプレゼンスを高めるための支援をしてきており、例えば私もかつて担当していたホンダは、1980年代から我々のソリューションを導入しています。他にもトヨタやソニーなど、日本のモノづくりをけん引する多くの企業が、我々のお客様です。
――3D CADソフトにとどまらない幅広い製品群とは。
ゴドブ:我々のポートフォリオは、原点であるCADを核に、どんどん拡大してきました。1999年には、製品のコンセプト作りからデザイン、設計、製造、販売、保守などのあらゆるプロセスをつないで管理するPLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント=製品ライフサイクル管理)ソリューションを発表し、好評を得ています。
その後もカバーする領域を広げ続ける中、2012年に発表したのが「3DEXPERIENCEプラットフォーム」戦略です。メーカーがユーザーにどのような「体験」(エクスペリエンス)を届けるかを念頭に置きながら製品・サービスを作るためのプラットフォームです。設計や製造の部門だけでなく、マーケティングや営業、サプライヤー、時には消費者までをも巻き込み、多くのコラボレーションを実現しながら豊かな「顧客体験」を生むことを可能にしています。
進化は次のフェーズに移っています。製造業以外でも、我々が得意とする3D技術やシミュレーション技術の活用が進んでいるのです。
中国・武漢での成果を基にグローバル展開する、コロナ対策ソリューション
――コロナ対策でもダッソー・システムズの技術が生きているそうですね。
ゴドブ:はい。コロナによって多くの業界が苦戦を強いられ、弊社でもいくつかのプロジェクトが一時的に中断したりしているのですが、一方で我々の製品が対策に活用される場面が増えてきました。
世界で最初に新型コロナウイルスの感染が報告された中国・武漢では、患者の急増に対応するため、2週間という短期間で大型の仮設病棟が建設されました。ウイルス拡散を抑えられる病棟の設計にあたり、空気の流れを予測するダッソー・システムズの3Dシミュレーション技術が使われ、早期完工に貢献しました。
こうした流体力学に基づくシミュレーション技術は、オフィスなどでも活用されています。感染者がいた場合にウイルスを含む空気がどう流れるかをシミュレーションして、安全対策に反映できるのです。ダッソー・システムズのオフィスでも活用しています。
――開発したテクノロジーを自分たちで利用しているんですね。
ゴドブ:ええ。お客様が体験することを、私たち自身も体験していますから、より深くきめ細かい提案などが可能です。
また、コロナの問題が始まった当初は世界195カ所にあるダッソー・システムズの拠点の多くが一時閉鎖となりましたが、通常はサプライチェーン最適化に使われる自社のソリューションを活用し、適切なリソース配置やスケジュールを割り出して業務を円滑に再開できました。
DXで広がる「バーチャルツイン」の可能性。3D技術は「人の命をも救う」
――コロナなどによって世の中は大きく変わりつつあります。どのようなビジネスの成長を見込んでいますか。
ゴドブ:コロナの感染が急拡大した時期は、モノや人の動きが一気に止まりました。これは特に製造業にとっては大変な状況で、どの部品が世界のどこで生産され、どのようなルートで運ばれているのかを察知し、サプライヤーやルートを変更することが求められました。こうした非常時にモノづくりのエコシステムを維持・管理する上で、サプライチェーンの最適化は必須です。そこで我々のソリューションが役に立ちます。
また、コロナ危機は産業のDXを後押しすることにもなっています。ダッソー・システムズはまさにそうした変革を推し進めるためのIT製品群を持っていますから、ここは大きな成長の柱になると考えています。
さらには、モノや人の動きが制限される中、今後ますますコンピューター上に現実世界の複製を作る「バーチャルツイン」の活用が加速するでしょう。我々はこれまで主に製造業でバーチャルツインの活用を促してきましたが、役に立てる場面はより増えると見ています。
――例えばどんな場面でしょうか。
ゴドブ:1つが建設・建築分野です。日本には古いインフラがたくさんありますが、バーチャルツインを使ったシミュレーションにより不具合を予測し、早めにメンテナンスを行う予防保全の試みが始まっています。
また、ダッソー・システムズの技術で東京・銀座を3Dで再現したバーチャルシティを作り、都市計画に生かそうとする取り組みもあるんです。
――その他で有望な分野はありますか。
ゴドブ:ライフサイエンスは、注目領域の1つです。2019年にダッソー・システムズが買収した米国のメディデータは、臨床試験で使われる治験ソリューションのリーディングカンパニーです。新型コロナウイルスのワクチン開発現場でも50%以上のシェアを有しており、開発の大きな力になると確信しています。
また、医療でもバーチャルツインの活用は広がっています。人体のバーチャルツインを作って、治療の効果などをシミュレーションするわけです。
象徴的な取り組みが、ダッソー・システムズが2014年から進めている「リビング・ハート・プロジェクト」です。世界中の医療研究者や機器メーカー、規制当局などが連携し、臓器を模した3Dシミュレーションモデルを作成し、病気の治療や診断、予防に役立てています。
テクノロジーを活用して、人の命をも救うことができる―。そんな夢を描ける企業なんですよ。
米国系企業とは一線を画す長期視点が、未来への投資を生む
――建設・都市、ライフサイエンスなど、新しい分野に事業を拡大する中、どんな人材を求めているのでしょうか。
ゴドブ:さまざまな企業とコラボレーションしながら事業を進めるので、多様なバックグランドを持つ人材が必要です。
事業分野は広がっていますが、「お客様の変化のお手伝いをすること」は変わりません。企業の変革の力になれる人を求めています。現状に満足せず、好奇心を持って、常にチャレンジしようとする姿勢を持っている人は大歓迎です。
さらに、我々はグローバル企業なので、働く人のジェンダーはもちろん国籍もさまざまです。オープンなマインドや、多様な人たちと働くことができる柔軟性、コミュニケーション力などが求められます。
――フランスに本社を置く企業ですが、それゆえの特徴はありますか。
ゴドブ:フランス系企業というよりも、ダッソー・システムズの特徴なのかもしれませんが、いくつかありますね。
米国系の企業に多い、株主の意向を最優先し短期的利益を求める経営とは一線を画しています。長期的利益を重視し、次世代のテクノロジーに投資してきました。だからこそ設立以来30年以上、成長し続けてきたのだと思います。
――若手として入社した場合、どのような成長機会を得られるでしょうか。
ゴドブ:扱っている製品の領域もお客様の業界も非常に幅広く多岐にわたっているので、さまざまな機会が得られると思います。
また、グローバルな経験もたくさん積むことができます。世界各地に拠点があり、情報や人の行き来がさかんです。日本の社員がフランスの本社で研修を受け、新しい技術やグローバルな経験を得られる仕組みもあります。
現在はコロナの影響で一旦中断していますが、状況が落ち着けば、研修などの人材交流も再開させたいと思います。
――Liigaの読者である20~30代のビジネスパーソンに伝えたいことはありますか。
ゴドブ: 多くの業界でDXが進み、新しいテクノロジーも次々と生まれています。私たちの世代よりも、若い世代の方がよく知っていることも多い。もちろん、知識や経験は大切ですが、”Be confident in what you can.” 遠慮せず、自信を持って積極的に行動し、失敗を恐れずチャレンジしてほしいですね。