3D技術でコロナに挑む―。医療分野を切り拓く欧州IT大手の挑戦

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製造業向けの3D設計ソフトウェアなどで知られるフランス発のグローバルIT企業、ダッソー・システムズが、新型コロナウイルス感染対策で注目を集めている。ウイルスを含む空気が、どのように広がるのかをコンピューター上でシミュレーションする技術を提供し、感染拡大予防に一役買っているのだ。このシミュレーション技術に詳しく、実際にコロナ対策支援に携わる岩本康栄テクニカルディレクターの言葉を基に、取り組みの内容をひもとく。

〈Profile〉
岩本 康栄(いわもと こうえい)
ダッソー・システムズ株式会社 技術部 SIMULIA テクニカルディレクター
学生時代に機械システムエンジニアリングを学んだ後、国内エンジニアリング企業で構造、機構、熱流体、樹脂流動などのシミュレーションを使った顧客提案、コンサルティング業務に従事。その後、外資系PLMベンダー、シミュレーションツールベンダーを経て、2014年にダッソー・システムズに入社。3Dシミュレーション「SIMULIA」ブランドの技術プロジェクトをマネージメントする。

中国とフランスの病院で感染対策を支援。コロナを機に「グローバル連携がさらに活性化した」

世界で最初に新型コロナウイルスの感染拡大が起こった中国・湖北省武漢市。ダッソー・システムズのコロナ対策支援は、ここから始まった。急増する感染者に対応するため、2020年初めに大規模な仮設病棟として建設された雷神山医院。この建設プロジェクトで力を発揮したのが、同社の流体シミュレーション技術だ。

「中国チームに課せられた条件は、極めて厳しいものであったと聞いています」。日本法人でシミュレーション製品の技術プロジェクトを統括する岩本氏は、当時の状況をこう解説する。一刻を争う中で、設計や建設に時間をかけてはいられない。さらには、患者と医療従事者の相互感染を防ぎ、かつウイルスで汚染された空気が周辺に漏れないようレイアウトを設計する必要もあった。

こうした難局を乗り越えるために活用されたのが、ダッソー・システムズの流体シミュレーションツール「SIMULIA XFlow」だ。ウイルスで汚染された空気が建物内でどう流れるのか、レイアウトや換気システムの調整によって、それらをどのように制御できるのかを詳細にシミュレーションし、ベストな設計を短期間で割り出すことを可能にした。

SIMULIA XFlowの利用により、雷神山医院は約2週間という短工期で完成。2020年2月8日には最初の患者を迎えた。


この案件は、ダッソー・システムズに1つの「気付き」をもたらした。従来は主に製造業で利用されてきたテクノロジーが、コロナ対策にも役立つかもしれない―。「それまでも世界各国のメンバーが活発にコミュニケーションを取りながら事業を進めていましたが、コロナ対策ではさらにグローバル連携が活性化しました。武漢の病棟建設プロジェクトの後は迅速に事例が共有され、『他にも貢献できることがないか』という議論が始まったんです」と、岩本氏は振り返る。

そうした議論を経て、同社は中国に続きフランスでも病院への感染対策支援を実施。対象となったのが、患者が急増していたマランジュ=シルヴァンジュ地域のサン・フランソワ病院だ。ここではまず、病棟の平面図をベースに、3Dのバーチャルモデルを作成。病棟内のレイアウトにSIMULIAの流体シミュレーションを適用し、「どの窓を開ければコロナ患者の入院エリアから汚染された空気が拡散しないのか」(岩本氏)など、空気の流れを検証した。

自動車、航空機に不可欠な3Dシミュレーション。東京五輪の感染対策で需要はさらに膨らむ

コロナの脅威が続く中、「空調や換気のシミュレーションをしてほしい」といったダッソー・システムズへの問い合わせは世界中で増えているという。日本では、2020年4月ごろから引き合いが増加。特に2021年に延期された東京五輪・パラリンピック開催を視野に、大型施設のシミュレーションについて問い合わせる自治体や総合建設業者が目立つという。

さらに、2020年夏以降は一般的なオフィスでの安全対策に、3D流体シミュレーション技術が利用されるケースも増えてきた。既に同社のいくつかのオフィスでも、SIMULIAの流体シミュレーションツールを活用した対策を実施。感染者がいた場合、どのようにウイルスが伝播するかをシミュレーションし、換気の仕組み、デスクとデスクの間隔、パーテーションの高さなどを検討した。「特に日本のオフィスは小さく、デスクの間隔も狭いことが多いので、こうしたシミュレーションのニーズも高いのでは」と、岩本氏は期待を込める。 description

今回、コロナ対策でさらに注目を集めるようになった流体シミュレーション技術。ダッソー・システムズはこれまで、製造業のさまざまな場面にこの技術を適用し、経験を積んできていた。

1981年に設立された同社の原点は、自動車や航空機などの設計で使われる3D CAD(3次元製品設計)ソフト。コンピューター上での製品設計を支援するCADの技術を基に、同じくコンピューター上で構造物が要求性能を満たすかを検証するSIMULIAの製品群が生まれたわけである。

岩本氏によると、SIMULIAの流体シミュレーションは車体設計に不可欠な風洞実験や、ジェットエンジンが発する騒音の検証など、自動車や航空宇宙の分野を中心に幅広い用途で使われてきたという。「走行・飛行中の風の流れ、振動、音など、シミュレーションにもさまざまな対象がありますが、外的影響を受けやすい空気や液体などのシミュレーションは特に難しい領域ですね」と、同氏は明かす。

製品開発以外でも、SIMULIAの流体シミュレーションは、工場の空調効率や火災時の煙の拡散などを検証するツールとして、数多くの実績を持つ。

技術だけではない、コンサルタントらの存在が最適なコロナ対策を促す

こうしたシミュレーション技術を提供するダッソー・システムズ側の体制は、どうなっているのだろうか。

SIMULIAのチームは主に、機械工学、物理、数学といった分野の専門家で構成されており、多くは各専門分野の工学博士号や修士号を持つ。他方、ここで注目したいのは、こうした専門家たちを顧客とつなぐビジネス系人材の存在だ。

同社では案件の内容によって、社内のビジネスコンサルタント、プロジェクトマネージャー、ソリューションアーキテクト、さらには必要に応じ外部のパートナーも参加する形でチームを組み、課題の洗い出し、ソリューションの組み立てからデリバリーまでを一気通貫型で進める。

特にコロナ対策の場合、感染者の動きや気流、気温、同じ空間にいる人数など、考慮すべき要素は無数にある。また、シミュレーション結果を受けて、換気設備やレイアウトをどの程度変更できるのかなども、顧客側の事情によってさまざまだ。

ビジネスコンサルタントらはこれらを丁寧にヒアリングし、提案しながら顧客の期待値や条件に合わせたソリューションを組み上げていく。「技術力“だけ”では、お客さまの満足するソリューションは提供できません。課題分析能力の高い人材が集まっていることも、ダッソー・システムズの強みです」と岩本氏は強調する。 description

家族や周囲の「安全な生活」に貢献するテクノロジーが、新たなやりがいを生む

コロナ対策など、人命救出に直結する新たな用途で活用されるようになったSIMULIAのソリューション。それはダッソー・システムズの社員にとっても、自社の可能性をあらためて見つめなおす契機となったようだ。「我々も、これまでとは異なるタイプの『やりがい』を感じています。家族や周りの人びとが、少しでも安全な生活を送ることにつながるテクノロジーを、自分たちの会社が提供しているわけですから」と、岩本氏はほほ笑む。

実は医療分野への展開は、コロナの流行前から始まっていた。2014年に、FDA(米国食品医薬品局)、循環器専門医、研究者、医療機器メーカーなどと連携し、人間の心臓を模した3Dデジタルモデルを作り心疾患の治療、診断、予防に役立てようという取り組み「リビング・ハート・プロジェクト」を発足。心臓の構造、冠動脈、電気信号、心筋などを正確にモデリングし、物理実験ができない心臓の動きをコンピューター上でシミュレーションできるようにした。人工心臓弁、ペースメーカー、ステントといった医療機器の開発にも寄与している。

「3Dシミュレーションは、幅広い可能性を持つテクノロジー。他にもまだまだ適用できる用途があるはずです。ダッソー・システムズは『企業と人に3DEXPERIENCE(*)の世界を提供し、製品、自然、生活が調和する持続可能なイノベーションを描く』というビジョンを掲げており、その実現に向けたポテンシャルは計り知れないと思います」と、岩本氏は言い切る。 *ダッソー・システムズが提供する、企業がユーザーに豊かな「体験価値」を届けるためのプラットフォーム description


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