「給与は2倍になった。でも労働時間は“青天井”」日系大手からGAFAMへの転職者が語る、GAFAMのタフな労働事情
2020/11/12
#GAFAエンジニアとして働く
#GAFAでの働き方

description

「GAFAMの給料って実際どれくらい高いの?」「GAFAMはやはりハードワーク?」

転職先として世界でもトップクラスの人気を誇るGAFAMに対して、このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。 給与、勤務時間、休日、福利厚生など、転職を希望する人が知りたいことはたくさんあると思います。性差別やセクハラ・パワハラの有無なども気になるところでしょう。

そこで、今回はIT系の国内大手企業からGAFAMに昨年転職したばかりの今中里奈(仮名)さんに、「GAFAMの給与や働き方」「GAFAM社内の雰囲気」についてお話をうかがいました。

〈Profile〉
今中里奈(仮名)
GAFAM エンジニア
2016年に新卒で国内のIT大手企業に就職。技術系の部署で3年間にわたって働いた後、GAFAMの一角に転職した。



【目次】
・「GAFAMへの転職で手取りは2倍になった」「日系と比べて圧倒的に給与が高い」GAFAMの給与事情
・「GAFAMのオフィスは家よりも快適。早く出社したい」コロナ禍におけるGAFAMの働き方の実情
・「労働時間は青天井」「忙しいと週6勤務」仕事とプライベートに垣根のない、GAFAMの労働時間
・「しがみついていないと取り残される」”個”の強いGAFAMの社員は個人事業主の集まり?
・「セクハラ・パワハラは即解雇」男女の不平等が一切ないGAFAMはキャリア女性にはメリットが大きい

「GAFAMへの転職で手取りは2倍になった」「日系と比べて圧倒的に給与が高い」GAFAMの給与事情

――GAFAMへ転職されたきっかけを教えてください。

今中:前職から、今私がいるGAFAMへ転職した先輩と知り合う機会があって、そこで意気投合してGAFAMへの転職を真剣に考えるようになりました。

――中の人から、入社前に話を聞けるのは良いですね。

今中:そうですね。特に外資系企業は割と外部から情報を得るのが難しいので、よりそれが重要な気がします。

会社は当然、採用したい人に対してはキラキラと見せますよね。でもいざ入ってみると、実はものすごく激務だったりする。実際、入社してみたらあまりに忙しくて続けられないと、すぐに辞めてしまう例も聞きます。

だから入社前から、実際に働いて実情を知っている人に話を聞くのはとても大事だと思います。

――GAFAMへ転職して、良かった点は何でしょうか。

今中:給与ですね。日系と比べてやはり圧倒的にGAFAMは給与が高いです。

前職の日系企業と比べて額面年収は1.8倍、手取り年収では約2倍になりました

――手取り年収が2倍とはすごいですね。

今中:日系だと、組合費とか、よくわからない拠出があるじゃないですか(笑)。でも外資系だとそういったものはないので、それも手取りが大きく伸びた理由の一つでした。

――外資だとやはりインセンティブの割合が大きいのでしょうか。

今中:部署によります。営業系はインセンティブの割合が大きく、ベースとインセンティブの比率は4:6くらいです。

対して、私のようなエンジニアだとベースの割合が大きいです。その分安定しているともいえますが、売り上げが増えたからといって給与が一気に上がることもありません。

「GAFAMのオフィスは家よりも快適。早く出社したい」コロナ禍におけるGAFAMの働き方の実情

――福利厚生について教えてください。

今中:非常に充実しています。特に休みを取りやすいのがいいですね。親などの介護が必要になった時や子供の急な発熱時など、家族のトラブルに対応するための休暇がちゃんと設けられています。

今回、新型コロナウイルスの感染予防で子供の通う学校が休みになった社員もいましたが、そういう場合には1~2週間休める制度もあります。

もともとあった制度らしいんですけど、コロナの影響もあって全社に「積極的に使うように」というアナウンスがありました。

――コロナ対策として、他にどんな施策が実施されていますか。

今中:基本リモートワークになっています。一応ローテーションで会社には行けるんですけど、そのためには事前に席を予約して、上司の承認を得る必要があります。

オフィスでは、対面しないよう机などの配置を変えて、パーティションも設置しています。さらに、出社して仕事をする場合には2メートル以上のソーシャルディスタンスをとるよう、ガイドラインで定められています。

――1回出社するだけでも、オフィスの環境がずいぶんものものしいのですね。

今中:今は仕方ないですよね(苦笑)。

ただGAFAMのオフィスって、いろいろな設備が整っていて、とても素晴らしいものなんです。特に弊社の場合、最近オフィスが新しくなったんですが、軽い遊具や健康器具があったり、小さなジムもあったりして、すごく面白いんですよ。

――早くコロナが収束して、新オフィスでリフレッシュしながら働けるといいですね。

今中:正直自宅よりオフィスの方が快適なので、早く出社したいです。

「労働時間は青天井」「忙しいと週6勤務」仕事とプライベートに垣根のない、GAFAMの労働時間

――労働時間についてはどうでしょうか。外資はオンとオフがきちんと分かれていることが多いと聞きますが。

今中:正直、労働時間は青天井です。その点は対外的なイメージとずいぶん違いますね。

リモートワークになってからは特にログをとらないので「残業し放題」というのが実態です。

――具体的にはどれくらい残業をするのですか。

今中:平常時で毎日2〜3時間、繁忙期になると1日に6時間くらいでしょうか。

就業規定では就業時間は午前9時~午後5時ですが、何もない時でも午後6時まではデスクに張り付いていなくてはいけません。そのため、午後7時から午後8時くらいに帰宅する日が大半です。

忙しい時期になると、午後11時くらいまで働きます。コロナであれこれ自粛がされていた4~7月はそのくらいまで働いていましたね。仕事量が多くて、どう頑張っても業務時間内に終わらないんです……。

ですから、帰宅後もほとんどの人が仕事をしています。しかも午後10時でも午前0時でも、メールはすぐに返ってくるんですよ。「いつ寝ているんだろう」って不思議に思える人が何人もいますね。

それに上司がいつ連絡をしてくるのかわからないんです。深夜にいきなり「今、電話いいか?」という連絡が来るのが日常茶飯事です。

――週末はきちんと休めますか?

今中:忙しい時期は、週6日勤務の人が多いですね。一方で対外的なPRでは有休が多いようなことを言っていますが、実際にはむしろ休日も働いている人が多いぐらいなんですよ。

忙しいとは聞いていましたが、ここまで仕事とプライベートの垣根がないとは思っていませんでした。

「しがみついていないと取り残される」”個”の強いGAFAMの社員は個人事業主の集まり?

――GAFAMの社風について、どのように感じていますか。

今中:とにかく、社内の体制やツールが日々変わるので、ついていくのがたいへんです。 しがみついてないと、置いていかれるイメージですね。

社風はけっこう固めで、社内MTGがすごく多いんです。1週間出席していないと、訳がわからなくなるのですが、それを言うと「なんで知らないの? メール見ていればわかるだろう」と言われてしまいます。

――周りの人の協力はないのでしょうか。

今中:基本は自分で何とかするのが暗黙の了解ですね。その点は個人事業主に近いです。社員はみんな「個」が強くて、チームワークというのはほぼありません。

特に営業部門の仲間の話だと、最近「チームワークを大事にしよう」と言い始めているようですが、ノルマや目標の達成率、評価を気にする「個」が集まっているので、なかなかうまくいってないと聞きました。

――中途採用だと、なじむのが大変そうですね。

今中:いえ、それが意外とそうでもないですよ。

先ほど弊社では自分で何とかするのが暗黙の了解だと言いましたが、実は会社として「他者貢献」を評価基準の一つにしているので、積極的に支援してくれる人も一部いるんです。「自分の知識を他者に教えた」というのも他者貢献に含まれるので、質問したら大抵の人は答えてくれます。

――社員にはどんな人が多いですか。

今中:真面目で探究心の強い人が多いですね。

「これってどうなっているのかな」と少しつぶやいただけなのに、いろいろと資料をそろえて「この間のことを調べてみたんだけど」と完成度の高い研究結果をくれたりします。

「わからないことはその時に理解しないとダメ」と考えている人も多いですね。

――具体的にどういった出来事からそう感じましたか。

今中:質問への回答スピードがめちゃくちゃ速いんです。明日の朝に答えてくれるだろう、と思って深夜にチャットへ質問を送ると、「どこがわからないんだ?」とすぐに返信をもらったことがあります。

結局、夜中の0時から1時間以上もかけて、技術的な疑問点に答えてくれました。「今じゃなくていいです」と言ったのですが、「寝ると忘れちゃうでしょ」と……(笑)。

――キャッチアップが大変そうですね。

今中:そうですね。社内の勉強会に参加したり、トレーニングプログラムのビデオを見たり……。

弊社は勉強することを非常に重視しているので、勉強する仕組みは用意されているんですが、なにせ量が多くて……(笑)。

――具体的にはどういった仕組みがあるのですか。

今中:週に一度、一日のうち3時間を勉強時間にあてようというキャンペーンがあります。

先ほども言ったトレーニングプログラムのビデオというのも、自分のポジションに合ったビデオを期限内に見なくてはいけないのですが、その期限が忙しい時期にあたったりすると、まず無理じゃないですか。だから毎週コツコツ見るようにしようね、と(笑)。

「セクハラ・パワハラは即解雇」男女の不平等が一切ないGAFAMはキャリア女性にはメリットが大きい

――女性としての働きやすさという面で、GAFAMはどうでしょうか。

今中:ものすごく働きやすいです。男女の不平等がないし、セクハラ・パワハラへの対処がしっかりしています。

実は前職では女性がかなり不利な扱いを受けていて、そのことが転職を決めた理由の一つでもありました。

――GAFAMでは具体的にどういった対処がとられるのですか。

今中:セクハラやパワハラの常習犯とみなされたら解雇になりますよ。制度としてそれが確立されています。

個人情報が守られているため、誰がどんな被害を受けたのかは通知されませんが、加害者がある日ひっそりといなくなるんです。そんなケースが毎年あります。

――前職では同様のセクハラやパワハラがあっても、放置されていたのでしょうか。

今中:前職は日系大手でしたが、ほぼ確実に解雇になることがない会社でした。せいぜい厳重注意で終わっていました。

だからそのせいで、加害者側の中には「どうせなにをしても解雇にはならない」と考えている人が一定数いたと思います。正直な話、女性でセクハラをされたことがない人の方が少ないような状態だったんです。

私は正義感が強い方なので、それが許せませんでした。

その点、GAFAMでは安心して働くことができています。ここまでお話ししてきた通り、GAFAMでの仕事は心身ともにタフですが、キャリア女性にとってはメリットの大きな環境だと感じています。

コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。