sponsored by ダッソー・システムズ
全世界に181の拠点を持ち、日本法人も社員の国籍が日本を含め18カ国以上に上るフランス発のグローバルIT企業、ダッソー・システムズ。日常業務でも海外と連携することが多い中、対応し得るグローバル人材をどのように採用・育成しているのか、また活躍するためにはどんな力が求められるのか。社員教育などに携わるベテラン社員の千葉隆之氏に聞いた。
多国籍な環境で培われる、ビジネス会話の“翻訳”力
――ダッソー・システムズの人材育成の特徴はどんなところにありますか。
千葉:研修についていうと、一方的に講師が説明するものは少なく、ロールプレイングやディスカッションを通じて現場で活用できる学びを得るスタイルが中心です。
日本法人の1割以上が海外出身者で国際色豊かなため、ロールプレイングなどでは彼らの発言や議論、顧客対応から、ビジネス文脈での文化や考え方の違いを学ぶことができます。
――国際色といえば、日常の業務でも海外と連携することが多いそうですね。
千葉:はい。フランス本社や他の海外拠点と頻繁に情報交換しながら顧客対応などをしています。そうした中、例えばお客様の要望を本社に伝える場合、ただ英訳するだけではうまく伝わらないことがあります。逆も同じで、本社から言われたことをそのまま和訳しても、お客様には理解してもらえません。
こうした場合に知っておくべきビジネスコミュニケーションの違いを、多国籍の社員が参加する研修から学ぶことができるのです。
「これはこのまま伝えても理解してもらえないだろうから、背景を丁寧に説明しよう」「本社はこんなふうに言っているが、これをお客様にそのまま伝えると誤解を生むだろう。異なる言い方をした方が真意が伝わりそうだ」などと判断し、“翻訳”する。「この人はなぜこう言っているのか」「どんな文脈で言っているのか」といったことを理解してコミュニケーションする姿勢を学ぶ中で、一人一人が国際水準の「プロ」に育つわけです。
指示待ちはNG、大事なのは海外情報などを「集めにいく」姿勢
――業務にあたる中では、どんな成長機会がありますか。
千葉:ダッソー・システムズは1981年に3D CAD(3次元製品設計)ソフトウエア「CATIA(キャティア)」を掲げて設立されました。設計から製造、サプライチェーン、PLM(製品ライフサイクル管理)など、対応領域は大きく広がり、今では医療やインフラなどの業界にも進出しています。もはや単なるCADの会社ではありません。製品も業界も幅広いため、専門性を広げようと思えばどんどん広げられます。変革を続ける会社なので、チャレンジもしやすいですね。
――注意すべきことは。
千葉:誰かが教えてくれるのを待つ受け身のスタンスでは、この会社の良さを享受しきれないように思います。
例えば、お客様から他業界の事例や先進的なソリューションの情報を求められることが多いのですが、そうした情報はフランス本社など海外にあることが多い。自分から求めないと、情報は集まりません。「この情報があれば、お客様に喜んでもらえるのではないか」と仮説を立て、自分から集めにいく。そうした姿勢があれば、年齢や国籍などに関係なく活躍できます。
英語に苦手意識があると「もったいない」ことになる
――採用にも関わっているそうですが、面接ではどんなところを見ていますか。
千葉:「前の会社の、ここがイヤだったから」など、ネガティブな動機で来る人はあまり採用していません。
先ほど述べたように、ダッソー・システムズは「待っていたら何か与えられる」という会社ではありません。興味や意欲を持ち、能動的に行動する姿勢が求められます。そのためには「これがやりたい」「これに興味がある」といった、ポジティブな意思が必要です。
「製品そのものに興味がある」「自動車が大好きで、自動車に関わる仕事がしたい」といったものでもいいんです。こうした興味が、新しい技術を学び、お客様を知ろうというモチベーションになります。
――どんな能力が求められるのでしょうか。
千葉:まずは「聞く力」です。それも、漫然と話を聞くのではなく、適切な質問や情報提供をしながら相手の意図を引き出す力です。
例えば営業の場合、相手の話を聞かず、一方的に自社の製品やサービスを売り込んでしまう人もいますよね。機能やスペック、価格などのアピールばかりに終始するような。しかしそれでは、お腹が痛い人に塗り薬を処方するようなミスマッチが起こり得ます。
ダッソー・システムズの場合は特に、対応領域が広いので、つい「あれもあります」「これもあります」と、扱う製品について話したくなってしまいます。そこで踏みとどまり、お客様の話を聞いて、何が課題か、何がニーズか、俯瞰(ふかん)して分析することが大事です。課題を聞き出して整理、分析し、それに合わせて情報を集めて提案する。そうした力を持つ人を、求めています。
――英語力は必須でしょうか。
千葉:必須とまではいかないかもしれませんが、英語ができないと機会を損失することが多くなるでしょうね。
英語に苦手意識があると、最新の情報があっても、それが英語だというだけで読むのが面倒になったりします。また、良い情報を持っている人がいたとして、それが外国人だからと連絡をちゅうちょしてしまっては、もったいないですよね。お客様を本社に連れていく場合も、英語ができれば自分でアテンドして説明できますが、できなければほかの誰かに任せざるを得ません。せっかく信頼関係を築く機会なのに逸してしまうわけです。
米国企業はトップダウン、欧州企業は「現地の意思が尊重される」
――前職も外資系だったそうですが、違いは感じますか。
千葉:以前は7年ほど米国系の会社にいたのですが、まず本社と日本法人の関係性が異なるように感じます。前職では、いわゆるトップダウンが徹底されていました。ダッソー・システムズの場合、本社からオーダーが来る際、一方的に指示され「黙って遂行しろ」といった感じではありません。目標や方向性は示されますが、そのための戦略やプロセスは現地の意思が尊重されるので、一方通行ではないんです。
――仕事の進め方についてはいかがでしょうか。
千葉:これもかなり違うので、初めはとまどいました。前の会社では、ゴールやそこに至るまでのプロセスが明確に決まっていました。ダッソー・システムズでは、もちろん基準はあるものの、ある程度違ったやり方を試してみることは許されるような気がしますね。
議論の進め方も違います。入社して初めてフランス人たちと会議に臨んだ時、1時間議論をして、結局結論が出ないまま終わったのには驚きました。モヤモヤが残り、当時は「結論が出ないミーティングはムダなのではないか」と思ってしまいました。
しかしそれは、「この場合はどうなるのか」「ここで問題が発生するのではないか」など、さまざまな可能性を考慮しつつ、議論を尽くした上で結論を出すためのものだと後で分かりました。前の会社とは課題に対するアプローチが異なるだけで、どちらのやり方が正しい、間違っているというものではないとは思いますけどね。
コンサルとの違いは、ソリューションを開発していること
――社内でのキャリア転換も可能だと聞いています。
千葉:そうですね。「この部門でこんな人を募集している」といった情報が、常に社内でオープンになっており、希望者は自由に応募できます。海外拠点への応募も可能で、実際、フランス本社のポストに応募して希望が通り、何年か働いてから日本に戻ってきた人もいます。
通常の異動や担当変更も、本人の意向を踏まえた上で「次はこういった仕事をしてみたらいいのでは」などと、キャリアパスに配慮した決定がなされることが多いですね。
――Liigaのユーザーはコンサルティング業界の在籍者が多いのですが、ダッソー・システムズの仕事とコンサルは、どのように違いますか。
千葉:我々はソリューションを自ら開発している、というところが最大の違いですね。戦略や計画の策定、提案だけでなく、ソリューションの提供、立ち上げまでを担います。その分大変ですが、達成感は大きいと思います。
――主要顧客であるメーカーとの違いはどうでしょうか。
千葉:社内にはメーカー出身者が多くいますが、それぞれ出身業界の知識や経験を生かせるのは間違いありません。そして、そこからさらに知識や経験を広げることができます。
製造業は分業化が進んでいるので、「自分が担当する工程は分かるが、前後の工程は分からない」「同じ会社の製品でも自分の担当ではないから全く知らない」ということも少なくありません。なので、メーカーから転職してきて「視野が広がった」「俯瞰してものを見られるようになった」と言う人も多いですね。
――継続的に働いている人が多いそうですね。
千葉:事業の拡大にともない採用を増やしているので平均の勤務年数は5年弱くらいにとどまりますが、勤続年数が長い人は多いですね。
離職率は1ケタ台です。外資系のIT企業は2ケタのところも多いので、かなり低い方だと思います。
――ご自身も入社して18年です。長く勤めている理由は何でしょうか。
千葉:前職は約7年でしたし、これまで勤めた会社の中ではダッソー・システムズが一番長くなりました。入社以来、絶えず会社が変化してきたので、退屈しないというのも大きいかもしれませんね。