外銀1年目の本音「外資ならではの楽しさはあるが、希望が通らなければ2~3年で辞めるつもり」「内定期間中に勉強しなかったことをみじんも後悔していない」
2020/11/15
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Liigaでは、現在内定者向けの連載記事「社会人1年目インタビュー」をスタート。内定を勝ち取って、残されたこの期間にどんな過ごし方をするべきか知りたいという人は少なくないはずです。

そこで今回は外資系投資銀行で新卒1年目として働く片山塔子さん(仮名)にインタビューを行い、実際の働き方をお聞きするとともに、内定期間中をどう過ごしたのかについてお話しいただきました。

※本連載の他の記事についてはこちらをご覧ください。

 

〈Profile〉
片山 塔子(仮名)
外資系投資銀行 法人営業 大学1年のころから就職活動を意識し始め、2年の冬には国内大手企業から内定を獲得。活動を本格化させた3年の秋から、いくつかの外資系金融機関・大手商社のインターンを経験したのち、3月末に第一志望群の外資系投資銀行から内定を獲得。2020年4月に入行し、現在に至る。


【目次】
・「早ければ定時あがり、遅くても午後10時まで」意外とホワイトな投資銀行新卒1年目の働き方
・コロナ禍のワークスタイルは?「オンラインの方が気楽で好き」
・内定期間中は10カ国に海外旅行!「この期間は社会人になったら出来ない遊びをすべき」
・「海外駐在できないなら、2〜3年で辞めるつもり」外銀1年目の本音

「早ければ定時あがり、遅くても午後10時まで」意外とホワイトな投資銀行新卒1年目の働き方

――率直に言って、今の仕事は楽しいですか?

片山:総じて楽しいです。というのも、今やっている仕事が自分の将来の可能性を広げていることを実感できているからです。

――なぜそう思うのですか?

片山法人顧客に対する商品を、包括的に担当できるポジションだからです。私のいる会社の法人営業は一般的な投資銀行とは違い、実にさまざまな商品を扱います。M&Aや債券発行だけでなく、融資や為替ヘッジなども幅広く提案します。

そのため将来事業会社に転職しても、資金繰りに関してのノウハウが全般的に身についた状態で転職できるため、金融出身ならでのバリューが買われると信じています。

あとは、日本ではすぐに手に入らない、市場やプロダクトの情報を得ることができるのも、今の会社で働く楽しさだと思います。

――外資系だからこその強みですね。

片山:はい。海外本社や支社からのメールを通じて、日本にはまだ知られていない最先端の商品情報を知ることができるので、それをお客様に話すと「そんな話、他の投資銀行の人は言ってなかったよ!」と驚かれます。

そういうときは「ああ、この会社でこの仕事をしていて本当によかったな」と思いますね。

――外資系投資銀行はハードワークなイメージがありますが、実際はどうですか?

片山:私の会社に関してはホワイトな方だと思います。早ければ定時(5時過ぎ)にあがり、遅くても午後10時までには退社できます。日をまたいだり、土日も仕事に費やしたりすることはありません。

――新人研修はどうでしたか?

片山:そこまでハードではありませんでした。オフィシャルな研修は最初の1週間だけ。ビジネスマナーやビジネス英語など、人事部主催のものでした。

ただそれが終わってから現在(2020年10月当時)も続いているOJTはなかなかハードですね。雑務ばかりだし、誰も金融知識については教えてくれません。

――どうやってキャッチアップしているのですか?

片山:基本的には土日に自分で勉強します。あるいは仕事中にわからないことに直面したら、その場で辞書などを使って調べるようにしています。

――先輩や上司は教えてくれないのですか?

片山:教えてくれることもありますが、「まず自分で調べてみた?何でもかんでも聞けばいいってもんじゃない」と言われることも多いです。入社前は「新卒への教育に熱心で、優しく教えてくれる人が多い」と聞いていたので甘んじていたのかもしれません(笑)。

――他に入社前後で「聞いていた話と違う」ということはありましたか?

片山:業務内容です。聞いていた話だと、もっとM&Aや債券発行にも携われるかと思っていたのですが、実際には融資や外国為替、FX、コモディティがメインでした。

コロナ禍のワークスタイルは?「オンラインの方が気楽で好き」

――働くうえで新型コロナウイルスの影響を感じることはありますか?

片山:たくさんあります。研修もオンラインでしたし、入社して半年が経ちましたが、そのうち出社したのは1カ月半だけです。

日々の仕事もオンラインミーティングを軸に進んでいますし、お客様とのやりとりもほぼ全てオンラインで行っています。

――リモートワークならではの難しさはありますか?

片山:大きく2つあります。1つは任される仕事が雑務ばかりになりがちだという点です。というのもオンラインでは仕事を教えにくいので、先輩たちが任せてくれる業務も、簡単でこまごまとしたものばかりになってしまうからです。

リモートワークでなければ、お客様とのミーティングに黒子で参加させてもらったりできたはずなんですが、今の状況では難しいですね。

もう一つは他の社員とのコミュニケーションの問題です。

――どういった点で問題を感じますか?

片山:業務面のコミュニケーションミスの多さと、関係性の面でのコミュニケーション量の少なさです。

仕事の指示をもらうときは電話でやりとりすることが多いのですが、相手と自分が思っているレベル感が違ったり、お互いの言葉が意図したこととは違う受け取り方をされたりと、何かとすれ違いが多くて困っています。

――関係性の面でのコミュニケーション量の少なさというのは?

片山:リモートワークがメインなので、単純に顔を合わせる機会がないんですよね。食事も飲み会も今までほとんど行ったことがないので、プライベートなコミュニケーションを取れる機会が極端に少ない。

だから同じチームの中にも、まだ人柄がよくわかっていない人がいるという状況です。もっとコミュニケーション量を確保できていれば、仕事もよりスムーズになると思うんですけどね。

――逆にオンラインの良さを感じることはありますか?

片山:朝起きるのが遅くて良いという点は助かっています。特に女性は身だしなみを整えるのが何かと面倒なうえに、新卒は早めに出なければならないので、今の状況はすごくありがたいです。

――出社の時は何時に起きて、何時に家を出るのですか?

片山:午前6時に起きて、7時には家を出ていました。オンライン時は7時に起きて、8時過ぎにパソコンの前に座っていればいいですからね。

――オンラインと出社、どちらが好きですか?

片山:オンラインの方が気が楽で好きです。最初の方は出社の方がいいなと思っていたんですが、出社すると誰かに見られているという緊張感で、息をつく暇もなくて心身共に疲れるんです。仕事にある程度慣れた今となっては断然オンラインの方がいいですね。

内定期間中は10カ国に海外旅行!「この期間は社会人になったら出来ない遊びをすべき」

――内定期間中の過ごし方について、現役内定者にアドバイスするとしたら、どんなことを伝えますか?

片山:とにかく遊んでください(笑)。正直、勉強しなくてもいいと思うんですよね。今意識して必死になって勉強しても、「入ってみたら必要なかった」なんてことはザラにありますし、社会に出たら嫌でも仕事漬けでコンスタントなインプットは不可欠になります。

それなら学生時代にしかできないこと、例えば海外旅行に行ったり、変わったバイトをしてみたり、異なる業界・業種の企業でのインターンに行ってみたりした方がいいと思います。

――片山さんはどんな内定期間を過ごしましたか?

片山:大学3年の2018年3月末に内定が出てからは、10カ国に海外旅行に行っていたので、ほとんど日本にはいませんでした。

去年の5月は丸々ニューヨークにいましたし、6月はロサンゼルス、ラスベガス、シアトルを回っていました。あとはヨーロッパを7カ国、中近東を2カ国回りましたね。

――ということはほとんど入社後のための勉強はしていない?

片山全然真面目にやっていませんでしたね(笑)。家には教材が色々と送られてきていましたし、やるようには言われていましたが、やったのはせいぜい証券外務員試験の勉強くらいです。

――内定期間中の過ごし方で、後悔していることはありますか?

片山:みじんも後悔はしていません。どうせやる勉強を内定期間にやるより、絶対に学生時代にしかできないことをやるべきです!

「海外駐在できないなら、2〜3年で辞めるつもり」外銀1年目の本音

――最後にライフプランとキャリアプランについて教えてください。

片山:出産すると仕事に色々と支障が出てくるとは思うんですが、結婚は早い方がいいかなと思っているので、だいたい25歳までに結婚をして、28歳くらいには出産というのが直近のライフプランですね。

キャリアプランでいえば、28歳までには海外駐在を経験したいと思っています。

――将来転職する可能性はありますか?

片山:実は2〜3年後に海外駐在に行けないなら、今の会社を辞めようと思っています。転職して、他の会社から海外に行きたいと思っていて。

――どうしてそんなに海外駐在を急ぐのですか?

片山:これはあくまで私の個人的な価値観なんですが、「仕事はあくまでちゃんと子育てができたうえで続けるべき」と考えているからです。だから出産後にバリバリ働く気はありません。場合によっては専業主婦になるという選択肢も視野に入れています。

――しかし、そこまで急ぐとパートナーとの兼ね合いが難しそうですが……。

片山:そこは絶対に相手に合わせてもらいます。交際している彼は商社勤務で今ポルトガルにいるのですが、「来年どこにいるかもわからない」なんてことを言う人なので、「じゃあ私は私で、今はやりたいようにやろう」と考えています。

コラム作成者
Liiga編集部
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