製造業をDXで救いたい―。元日系メーカー社員がグローバルIT企業の仕事に懸ける思い
2021/01/22

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日本のモノづくりを何とかしたい―。そんな思いで大手メーカーから、製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促す欧州発IT企業、ダッソー・システムズに移る人たちがいる。岩田智文氏も、その一人だ。転職の決め手は何か。そしてメーカーとダッソー・システムズの違い、欧州系企業ならではの特徴などをどう受け止めているのか。岩田氏に聞いた。

〈Profile〉
岩田 智文(いわた・ともふみ)
ダッソー・システムズ株式会社 パートナーセールススペシャリスト
立教大学を卒業後、2009年4月に日系半導体製造装置メーカーに入社。米国系半導体メーカー向けの海外営業、IoT関連製品の北米新市場開拓に従事した後、2019年11月にダッソー・システムズ入社。産業機械、ハイテク産業向けソリューションのパートナー営業を担当。

メーカーを出たのは、エンジニアを負担から解放して製造業を「変える」ため

――これまでの経歴を教えてください。

岩田:大学時代に英国に留学したのですが、そこで日本製品を愛用している人が多いことに気づき、感銘を受けたんです。それがきっかけで「日本の製品をもっと海外に紹介したい」という思いを持つようになりました。

そこで大学卒業後、海外売り上げが約8割を占める日系の半導体製造装置メーカーに入社しました。2年間国内営業を担当した後、北米の現地法人を通じた海外営業を担うようになりました。

――なぜダッソー・システムズに転職したのでしょうか。

岩田:半導体分野は商品サイクルが短いうえ、半導体メーカーの寡占化が進んでいます。ですから、設備を提供する半導体製造装置業界は、1社でも取引を落とすとその年の会社全体のビジネスに影響があるほど、競争がシビアです。

顧客、製番ごとに仕様が異なり、時に受注後も変更が繰り返されるカスタマイズ仕様の対応は現場の設計者、製造のエンジニアに大きな負荷となっていました。時間とコストがかかるだけではなく、時に社内対立も生じ、結果として顧客目線が薄れていってしまう製造業の危うさを目の当たりにしていました。

そうした現場の負担を軽くできないだろうか、という課題感を持っていたときに知ったのがダッソー・システムズでした。

ダッソー・システムズの製品はどれも、現場の情報を共通のITプラットフォームでつなげてDXやコラボレーションを促すものです。1つのプラットフォーム上で3D データを基に、ステークホルダーとなるエンジニアたちがプロジェクトをリアルタイムに共有できるため、例えば「これはあの人に聞かないと分からない」と、人探しをする手間などを省けたりします。エンジニアの悩みを解消し、日本の製造業を変える可能性があると感じました。

ハードからソフトへの転身。機能やスペックに頼らず、顧客課題を「見極める」力が問われる

――メーカー時代と仕事の内容はどう違いますか。

岩田:まず、ターゲットの市場が変わりました。以前は海外市場でしたが、今は日本市場がターゲットです。一方、「人を介して拡販する」という部分は同じです。前職では現地法人を介した営業で、現在はパートナー(代理店)を介しています。

――ターゲットが海外から国内になることで、グローバルな仕事の機会は減っていませんか。

岩田:減っていないですね。今の方がグローバルを感じながら仕事をしているように思います。フランスの本社や世界各地の拠点から集めた海外の事例をお客様に紹介することも多いです。世界中で多くの事例を持っていることは、ダッソー・システムズの強みの一つです。多様な人たちとコミュニケーションし、協力していく力が求められるように思いますね。

――パートナー営業の面白さは、どんなところにありますか。

岩田:パートナーを増やすことで、これまでリーチできなかった市場を開拓できます。広がりが無限にあるという点が面白いですね。前の会社では、北米の新規開拓も行ったのですが、対象が広いので現地法人の社員だけだと限界があり、あきらめざるを得ない地域もありました。今はそうした限界がありません。

――難しいところは。

岩田:コミュニケーションですね。いかにゴールやスケジュール感をパートナーと共有して、同じ方向に進むことができるか。そのための方法を学んでいるところです。

パートナーは基本的には当社側の立場でエンドユーザーに対応してくれるのですが、時にエンドユーザー側の希望を優先せざるを得ず、当社に対して厳しい要求をしてくることもあります。こうした状況をいかにハンドルし、ダッソー・システムズとしての価値を最大化していくかを、日々苦戦しながら学んでいます。

パートナーにはインセンティブを用意していますが、そうした“仕掛け”だけで我々の製品を拡販してもらえるわけではありません。パートナーにとって我々のソリューションを売るとどんなメリットがあるのか、しっかりと理解してもらうことが重要です。

――他に大きく変わったところはありますか。

岩田:扱う製品が、ハードウエアからソフトウエアに変わったのは、大きな変化です。アプローチが全く異なります。今思えば、以前は製品の機能やスペック、価格の力で売れていた部分がありましたが、今はそれだけでは売れません。どれだけお客様の課題を解決に導けるかが、問われます。

お客様の課題は、最初は全く見えません。見えないものを見極めようとする作業は、今までの仕事にはあまりなかったので、非常にチャレンジングです。ヒアリング、その他の情報収集、段取りをする力など、自分の全てが試されます。 description

こうした変化は、自身の強みや弱みの発見にもなりました。前職では、比較的良い成績を挙げていましたし、北米で新しい市場を作ることができたという自負もありましたが、今思えば少しおごっていたところがあったように思います。実はそうした実績は、100%自分の力によるものではなく、製品の力のおかげだったところも大きかったことが、よく分かりました。

一方、モノづくりの現場の悩みを見て来たので、メーカーにいた経験はこれから大きな強みになると思います。先ほどもお話ししましたが、設計、シミュレーション、製造、サプライチェーンだけではなくセールス、マーケティングなど、あらゆる工程を1つのプラットフォームで可視化し情報共有できるダッソー・システムズのソリューションは、日本の製造業に大きな貢献ができると信じています。

ファストフードのようなマニュアルはない。豊富な素材を使い“レシピ”を自作するのがフランス流

――ダッソー・システムズに入社して驚いたことはありますか。

岩田:事例などの資料が豊富なことですね。「これだけを読んでおけば大丈夫」といったマニュアルが用意されているわけではなく、数多くの事例を自発的に吸収して学んでいく感じです。たくさんありすぎて、最初は「とても全部は読み切れない」と途方に暮れました。

そんな時、ある先輩にこう言われたんです。「フランス料理と米国系のファストフードは全然違うだろ? ファストフードは、効率的な作り方を追求して、どの店でも毎回できるだけ同じ味になるようマニュアル化されている。一方フランス料理は、同じオムレツでもレストランによってレシピが違うし、違っていい。どの素材を使い、レシピをどう組み立てるかはシェフ次第だから、材料(事例)はたくさんあっていいんだ」

情報はたくさんあるけれど、全部を使う必要はなく、自分で選択していけばいい。どれを選べばいいのか分からなければ、周りの人に相談すればいいんです。

ダッソー・システムズには誰でも書き込めるグローバルな社内交流プラットフォームがあり、ここで質問すると世界各地の拠点からたくさん回答が来ます。いろいろな人の考え方が分かりますし、気付きも多い。こうした仕事の進め方は、前職とはまったく違いますし、「おもしろい世界に来たな」と思います。

――その他、社風の違いについて感じることはありますか。

岩田:外資系というと、ドライなイメージがありますが、ダッソー・システムズは違いますね。少し意外でした。マラソン、写真、ゴルフ、ヨガなどのサークル活動も活発です。悩みを聞いてくれたり励ましてくれる人が多いですし、優しい言葉をかけてくれる人もたくさんいます。こうした文化は、フランスと日本で似ているかもしれません。 description

前にいた会社も、日系ではありましたが売り上げの約8割を海外が占めていたので、雰囲気は典型的な日本企業という感じではなく、年齢に関係なく実績を挙げた人が評価されていました。ダッソー・システムズはよりその傾向が強く、入社してから年齢の上下は全く意識することなく仕事をしています。

それに、自分が「やりたい」と手を挙げれば、希望する仕事をどんどん任せてもらえます。だからこそ責任も生まれます。私は今、ハイテク業界を担当していますが、それも入社時の希望が通ったものです。

求められるのはコミュニケーション、エモーション、クリエーティビティー

――どんな人が向いていると思いますか。

岩田:人と話すのが好きな人は良いと思います。入社してみて、「ITの会社なのにこんなにコミュニケーションがあるんだ」と驚きました。毎年進化するソフトウエアを売っているので、フランスの本社も日本市場のニーズや事例を知りたがっていますし、我々も他国での先進事例を知りたい。お客様との会話からしか始まらないビジネスだと感じます。

感動できる人、人を感動させるのが好きな人も合っていると思います。ダッソー・システムズは技術の会社なので、社員はみな非常にロジカルなのですが、一方でとても感覚的、エモーショナルな面も持っていると感じます。人を感動させることが好きな人が多いんです。

また、先ほど先輩に言われたフランス料理の例を出しましたが、たくさんの素材の中から自分で選び取りレシピを作るには、クリエーティビティーも必要です。

――今後の目標を聞かせてください。

岩田:これからは日本と海外の垣根がさらになくなっていくと思います。将来、もしチャンスがあれば、ダッソー・システムズの海外拠点でも働いてみたいですね。そして、世界中のモノづくりの現場で、エンジニアが楽しく働くための環境づくりをお手伝いしたいんです。 description

コラム作成者
Liiga編集部
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