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「地頭」は大きく4種類。一流を目指すなら、最も希少な“発想力”を磨け

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「地頭」とは、どのような能力のことを示しているのだろうか。株式会社人材研究所の代表取締役社長・曽和利光氏によれば、多くの企業が「自社に必要な知的基礎能力」を表すために「地頭」を用いている。すなわちこれは多義的な言葉で、大きく4種類に分類できるという。

その上で曽和氏は、「トップティアを目指す人材が鍛えるべき『地頭』は、4種類の中で希少性の最も高い“発想力”だ」と断言する。

特集「『地頭がいい』とは何か」第2回では、多様な文脈で語られる「地頭」の解像度を上げ、自らの人材価値を高めるヒントを提示したい。【橘菫、丸山紀一朗】

〈Profile〉
曽和利光(そわ・としみつ)
株式会社人材研究所 代表取締役社長。
1995年、京都大学教育学部卒。株式会社リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命保険株式会社総務部長などを経て、2011年に人事・採用に関わるコンサルティング事業などを行う人材研究所を設立。著書に『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)、『「できる人事」と「ダメ人事」の習慣』(明日香出版社)、『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)などがある。また、日本経済新聞に連載した就職活動生向けコラムが『早期内定のトリセツ 就活探偵団が突撃取材』(日本経済新聞出版)に収録されている。

 

相手の使う「地頭」の意味を確かめよう。2大派閥は“現状把握力”と“論理的思考力”

――曽和さんは、「地頭がいい」とはどういう状態だと思いますか。

曽和:まず、僕自身は「地頭」という言葉は使わないようにしています。これは曖昧で多義的ですから。

僕は企業の人事制度設計や採用を支援しています。その中で出合う多くの会社が、「自社に必要な知的基礎能力」を、「地頭」と表現しているんです。でも、その言葉が表す能力やスキルは、業界によってばらばらです。

――具体的にはどういう業界で、どういう能力が「地頭」と表現されているのでしょう。

曽和:よく耳にするものから順に4タイプ挙げましょう。

まず商社、不動産など営業系の会社では、「現状把握力」系のスキルが「地頭」と表現されがちです。言い換えれば、空気が読める、一を聞いて十を知る、あうんの呼吸ができる、といったところ。説明しなくても適切な現状把握ができて、相手の気持ちをおもんぱかる高い感受性です。これを(1)としましょう。

次に、コンサルティングファームや、会社の経営企画部などでは、「地頭」は「論理的思考力」に近い言葉として使われています。ある概念から結論まで論理とファクトを積み上げる、数学の証明問題を解くような力ですよね。この力を(2)としたとき、(1)と(2)が「地頭」の“2大派閥”です。

次に(3)「表現力」。広告や映像の制作会社など、クリエーティブ系の業界で使われています。自分のイメージをきちんと他者に伝えるための力ですね。語彙(ごい)の豊富さや、適切に例示、図示するスキルともいえるでしょう。

最後に、研究者・経営者などの世界では、(4)「発想力」が「地頭」と呼ばれます。これは、AとBという全く異なるものから共通項を見出したり、止揚(※)したりする能力。また、論理の連続ではたどり着けない飛躍、すなわち「クオンタムリープ」といったイメージです。
※アウフヘーベン。矛盾する論をより高次の段階で統合する意味の哲学用語

――4つもタイプがあるのですね。

曽和:これで全てではないですが、多いのはこの4タイプですね。だからこそ、「地頭」について会話するときは、相手がどの能力を「地頭」と呼んでいるかの確認が必要です。

「地頭」の意味として出合う頻度は、最初に紹介したものから順に高いといいましたが、それぞれを能力として見たとき、希少価値は最後に紹介したものから順に高いですね。

ただ、いずれのタイプにせよ、社会一般に言われる知的基礎能力の重要性は高まり続けている印象です。

僕が働き始めたころは、「仕事は努力と根性でやっていけ」なんていう風潮がありました。しかし現在は、例えば、飛び込み営業からマーケティング重視へ、人事分野でも「肌感覚」から統計学や心理学を使ったピープルアナリティクスへ、といった具合に、仕事全体が“知性化”してきています。

コンサルで論理的思考力は“ぺーぺー”のマスト条件。昇進するにはプラスアルファが必要

――例えば、コンサル業界で(2)の論理的思考力が「地頭」とされているのは、それがコンサル業界に重要なスキルだから、ということでしょうか。

曽和:そうですね、“ぺーぺー”のマスト条件という意味ではYESです。

でも、コンサル業界で必要なスキルがそれだけかというと、もちろん違います。論理的思考力があっても、前提が誤っていれば、人は「きれいに間違える」。悪い言い方をすれば「賢いばか」になることがありますから。

――「きれいに間違える」「賢いばか」とは、具体的にどういう状態でしょう。

曽和:論理的思考力はあるのですが、正しい結論に導けない状態です。

ファクトからロジックを展開し、結論に導く。そういうスキルが論理的思考力だとすると、仮に、先入観に基づく間違ったファクトからスタートすれば、ロジックを適切に積み上げても、正しい結論に至りませんよね。

だから、上司が認識を共有し、前提条件を与えてくれるジュニアのうちは、論理的思考力だけでもいいのです。実際、巨大ファームの中には、「多産多死」的な人事戦略で、入り口では論理的思考力という意味での「地頭」があればOK、とするところもあります。しかし、昇進していくのはプラスアルファを持っている人です。

――上位の職階では、論理的思考力以外の「地頭」も必要になるということですね。

曽和:はい。例えば、論理的思考の土台となる、正しいファクトを認識するためには、(1)の現状把握力、言い換えれば認識能力や感受性が必要です。

それに加えて、ボストン コンサルティング グループやマッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナーだと、(4)の発想力が優れています。例えば、現状を分析し、問題と原因を理解するところまでは、現状把握力と論理的思考力でできるかもしれません。しかし、その次の段階で、問題を解決する画期的な施策を生み出すためには、発想力が必要です。これは戦略策定のほか、商品開発など、選択肢が無数にあるような類の仕事に共通しています。

「学校的な頭のよさ」へのアンチテーゼが“地頭”の起源か

――(1)の現状把握力が「地頭」とされる例が一番多いというのは、なぜでしょうか。

曽和:文化的な背景があると思います。

僕が「地頭」という言葉を耳にするようになったのは、ここ四半世紀という印象です。おそらく「頭がいい」という言葉へのアンチテーゼとして出てきたのでしょう。「学校的な頭のよさなんていらない。“地頭”が必要なんだ」という感じで。そこで意味されているのは、(1)の空気を読む力といったことだと思います。

日本は他の国と比べてハイコンテクストな社会です。言葉にしなくてもあうんの呼吸で分かる。そうしてコミュニケーションコストを下げチームワークで勝つ、というのが日本の組織の強みだったわけです。

そのような組織文化で必要とされるのは(1)の現状把握力ですから、はじめに日系企業で「地頭」として、この意味合いが広まったのでしょう。だから今でも営業系の会社を中心に、(1)を「地頭」とするところが多いのだと思います。

――(1)の現状把握力として使われ始めた「地頭」も、時代を経て定義が広がってきたのでしょうか。

曽和:そうですね。高度経済成長期の日本のように、アメリカのようなお手本をまねして頑張ればいい時代だと、あうんの呼吸ができていればよかった。ある程度論理を飛ばしても、会話が成り立っていたのでしょう。

しかしバブル崩壊以降など、価値が多様化するにつれ、以心伝心に頼っていては認識に齟齬(そご)が出るようになってきました。すると、物事を適切な因果関係で接続していける論理的思考力の付加価値が上がり、「地頭」といわれるようになった。

今はもはや、その論理的思考力も、コモディティー化して価値が下がっています。その力だけあっても、いわゆる「高級計算機」ですからね。AI(人工知能)でできる仕事も増えています。

発想力の源泉は教養。特定分野に偏らず、異質で多様な知識を蓄積しよう

――自分が進みたい業界における「地頭」の定義を踏まえて、求められる能力を鍛えていくのがよいのでしょうか。

曽和:得意な部分を伸ばし、武器にして、それを生かせる業界に行くのもいい。ただ、1つの能力しか持っていないと、組織の中で「部品」として扱われてしまいます。だから、20代のような、脳の可塑性(かそせい)(※)が高い時期は、苦手な部分を埋めて総合的に伸ばすのがいいでしょう。
※脳が必要に応じ柔軟に変容していく性質

しかし、あえていうなら、高みを目指す人には、(4)の発想力を鍛えてほしいですね。「最高の地頭」ですから。

――なぜ発想力が「最高の地頭」だと思うのですか。

曽和:発想力は一番難しい。簡単には鍛えられなくて、ゆえに希少価値が高いからです。

発想力の源泉は、一言でいうと知識の蓄積です。蓄積は、一朝一夕ではできませんよね。ゼロからイチを生むなんていいますが、全く何もないところからは、何も生まれません。“Standing on the shoulders of giants”(巨人の肩の上に乗る)といわれるように、過去の偉人たちが積み上げた知識の土台があって初めて、新たな発想が生まれるのです。

――知識の蓄積といっても、受験テクニック的な知識とは違うものですよね。

曽和:そうです。受験テクニックは、「あ、これ見たことあるな」という例を増やしていくもの。こうしたパターン認知に必要な知識は、特定の領域でしか使えない固有のものです。

心理学では、言葉はネットワークでつながっているとされています。意味のネットワークだけでなく、「ワニ」と「カニ」のように音が似ているというような「音韻的ネットワーク」、ひらがなの「ぬ」と「ね」が似ているというような「形態的ネットワーク」などがある。

発想力の源となるのは、こうした異なるネットワーク間のつながりの濃さや深さだと想定されています。このつながりを濃く深くするには、リベラルアーツ、つまり教養を高めることが大切です。

――特定分野の勉強ではなく、様々な知識に触れる機会が必要なのですね。

曽和:その通りです。例えば今、インターネットで情報収集すると、自分の知りたい情報だけが提示され、同質性の高い情報だけに囲まれることがありますよね。その状態に気づけないと、情報収集が偏ってバイアスがかかったものとなり、論理的な思考を阻害する先入観を作ってしまいます。

勉強をするときは、この「フィルターバブル」を壊すよう意識しましょう。乱読という言葉がありますが、異質で多様な知識を蓄積する必要があるんです。色々な本を何千冊、何万冊とインプットすることなどで発想力が鍛えられ、希少な人材になれるでしょう。


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