「人事経験が長い人はコンサルに転職すべき」人事コンサルに転職するメリットとは
2021/02/14
#総合コンサルの仕事内容
#総合コンサルタントへの転職体験記

description

企業で人事担当としてキャリアを積んできたものの、転職を考えるようになった――歴史のある日系企業ほど、あるいは規模の大きな会社ほど、こうした悩みを抱える人事パーソンは多いはず。

「長期間人事としてキャリアを積んできた人は一度人事コンサルタントになるのがおすすめ」。そう語るのは、自身も5年間企業人事として活躍したのち、人事コンサルに転職した佐藤輝(仮名)さん。

今回はそんな佐藤さんに人事転職のリアルを語ってもらうとともに、なぜ企業の人事担当から人事コンサルへの転職をすすめるのかについてお聞きしました。

〈Profile〉
佐藤 輝(仮名)
大学卒業後、日系IT企業に入社。1年目から人事部で採用担当に従事する。並行して社内人事改革などにも関わったのち、6年目で総合コンサルファームに人事コンサルとして転職。現在に至る。


【目次】
・「6割が人事コンサルへ、4割が別ジャンルの人事へ」経験者が語る人事転職のリアル
・「ウエットな人が多かった」人事コンサルになって感じたこと
・「人事でキャリアを積んできた人は一度コンサルになるのがおすすめ」人事転職で後悔しないために大切なこと

「6割が人事コンサルへ、4割が別ジャンルの人事へ」経験者が語る人事転職のリアル

――佐藤さんは、社会人6年目で人事コンサルに転職されていますが、いつごろから転職を考え始めたのでしょうか?

佐藤:入社5年目の夏ごろです。

――転職を決意したのはなぜですか?

佐藤:理由は2つあります。1つは自分の仕事をスムーズに推進できるようになってきて、物足りなさを感じ始めたから。もう1つは、人事の仕事が面白くなってきて、1つの会社だけでなくもっと色々な会社を見て、人事パーソンとしての可能性を広げたいと思ったからです。

――どんな軸で転職活動を進めましたか?

佐藤:社会に出てからずっと日系企業の人事をやっていたので、新しいフィールドで活躍したいと思い、ベンチャー企業の人事と、人事コンサルに絞り込んで転職活動を進めました。

――その2つに絞り込んだのはどうしてですか?

佐藤:ベンチャー企業なら一から制度を作るところに携われますし、人事コンサルなら色々な会社に関われると考えたからです。

――働きながら転職活動の時間を捻出するのは大変ではありませんでしたか?

佐藤:転職活動に関しては思ったよりもスムーズで、人事業務が比較的落ち着く10月〜12月の間に活動できたことが大きかったです。

――エージェントなどは活用しましたか?

佐藤:はい。転職サービスに登録したら、すぐにキャリアコンサルやエージェントの方から声をかけていただいて。その中から人事コンサルを専門としているエージェントさんにお願いして、面倒を見てもらいました。

――エージェントにはどのようなサポートをしてもらいましたか?

佐藤:ずっと人事をやってきた人間にどういうキャリアパスがあるのかを最初に伺い、そのあと今までの経歴を踏まえて自分の市場価値について客観的な意見をもらったという感じです。

「それなら、総合コンサル系をいくつか受けてみるのがいい」と言われ、選考に進んでいきました。

――ずっと人事をやってきた人のキャリアパスはどういったものがあるという話でしたか?

佐藤:人にもよると思いますが、6割前後が人事コンサルに転職をして、残りの4割が業種や分野を変えて人事を続けていくケースが多いと伺いました。例えば新卒採用をやっていた人が、給与関係や制度作りに方向転換する、といった具合ですね。

――佐藤さんは見事人事コンサルへの転職に成功したわけですが、自分のどんなところが評価されたと思いますか?

佐藤:2つあると思っています。1つは会社のカラーや価値観と私がフィットしたからです。

コンサル業界の人たちはクールでサバサバしているのかと思っていたのですが、今いるファームの人たちは仲間を大事にしたり、ウィットに富んだジョークを言ったりと、私のキャラクターと近い人たちが多かった。それが評価されたのかなと思います。

もう一つは、面接での会話を楽しんでいたから。リラックスして話したことで、面接官から見て、実際に私と働いた時のイメージがしやすかったのではと思っています。

「予想に反し人間に対してウエットな人が多かった」元企業人事が人事コンサルになって感じたこと

――実際に人事コンサルとして働いてみてどんな感想を抱きましたか?

佐藤:予想に反してウエットな人が多かったです。「自分の仕事には自分で責任を持て」とか「UP or OUT」といったような殺伐とした空気は全くない。「お互いに高め合っていこう」という空気が社内全体に浸透しています。

――希望していたようなプロジェクトにはアサインしてもらえましたか?

佐藤:はい。希望通りの仕事ができていますし、思っていたよりも仕事の上流の内容を任せてもらえるので、やりがいも感じています。

――具体的にはどのようなプロジェクトを担当されたのですか?

佐藤:詳しくは話せないのですが、最初にアサインされたのは、日系大手企業の人事制度における新しい仕組みづくりでした。

――佐藤さんはそのときどんな仕事を任せてもらったのですか?

佐藤:メインはマネージャーやクライアントと直接ディスカッションをして企画を練る仕事でした。もちろん議事録やパワーポイントでの資料作成なども行いましたが、同時に上流の仕事もしっかり任せてもらえたんです。

チームのメンバーもいい人たちばかりで、本当に転職してよかったと思いました。

――具体的に、今のチームのどういうところが良いと感じていますか?

佐藤:フィードバックが徹底していること、あとはコミュニケーション量が多いことですね。

フィードバックに関しては、例えば私がミーティングのファシリテーターをやると、ミーティング後すぐに上司から良かったところと改善したほうがいいところがメールで送られてきました。

コミュニケーション量については、毎日ディスカッションタイムを設けてチームの意見交換をしやすくしています。今のチームでは業務開始前と業務終了間際にチーム全員でディスカッションをしています。

――どういったお話をするのですか?

佐藤:プロジェクトの課題や現状報告のほか、単なる雑談もしています。ただの仕事上の同僚というよりは、「仲間」という感じの連帯感がありますね。

――待遇面や労働時間はどのように変わりましたか?

佐藤:前職の住宅補助などの福利厚生を含めても、今の仕事のほうが150万〜200万円くらい年収が増えました。

裁量労働制なので、給料の中に毎月50時間分の残業代が含まれているんですが、そのくらい残業するときもあればしないときもあります。思っていたほど激務ではなくて、アベレージで午後7時退社、忙しい時で10時退社という程度です。場合によっては前職の方が忙しいくらいですね。

「人事でキャリアを積んできた人は一度コンサルになるのがおすすめ」人事転職で後悔しないために大切なこと

――企業の人事出身の人が人事コンサルになったときに発揮できる強みはありますか?

佐藤:クライアントの業務への理解の深さと速さですね。他職種から転職した人は、クライアントからその時抱えている課題の説明をされたときに「え、そこまで聞くの?」ということまで質問しがちです。

でも私はずっと企業で人事をやってきたので、軽く説明してもらえれば「ああ、そのことですね」とすぐに理解できます。

あとは、現場の立場に立った問題解決ができるのもアドバンテージですね。

――現場の立場に立った問題解決とは?

佐藤:現場での運用や、従業員の思いに考慮したうえで提案ができるということです。少し言い方が悪いのですが、ずっと人事コンサルとしてやってきた人は理想論を語ってしまう傾向が強いんです。

――具体的に教えてもらえますか?

佐藤:例えば「制度Aと制度Bは統合した方がいい。なぜなら……」という提案をするとき、その内容はたいてい正論です。特に人事コンサルが直接やりとりする経営層の視点からすれば、100%正しい。

でも、自分が人事として現場で運用することを考えると「それって大丈夫なの?」となるケースが少なくないんです。現場の実態に則してない施策は失敗しやすいので、人事コンサルとしてはやはり現場の事情も考慮する必要があるわけです。

そういった場面で企業での人事経験はかなりプラスに働いていますね。

――最後に企業の人事担当から転職を考えている人へ、アドバイスをお願いします。

佐藤:長期間人事として働いてきた人は一度人事コンサルになるのがおすすめです。なぜなら色々な会社の人事を見ることができるからです。

ずっと1つの会社にいると、その会社の常識が自分の常識になってしまいます。でも今人事コンサルとして色々な会社の人事制度を見ていると、本当に千差万別なんです。

――同じ業界でも違うものですか?

佐藤:全然違います。同じ業界でも先進性のあるところもあれば、かなり遅れているところもあります。

会社のカラーや社風などは、外部からでもある程度は見えます。でも人事として満足できる仕事があるかどうかは、1つの企業で人事をやっているだけでは見えてきません。

だからずっと同じ会社で人事をやってきたのであれば、一歩引いたポジションから人事コンサルとして関わることをおすすめします。実際私も働く中で「次に企業人事をやるならこういう会社で」というビジョンが見えてきましたし。

――人事として満足できる仕事があるかどうかはどうやって見極めるのですか?

佐藤:まずは詳しい人に相談して、情報を収集するのが手っ取り早いでしょうね。色々な企業の人事に詳しいエージェントや、それこそ人事コンサルの人です。

――他に判断要素はありますか?

佐藤:あとはメディアの露出具合も判断要素の一つです。先進的な企業はメディアやセミナー、書籍出版など、色々なところに顔を出しています。一方であまり人事に力を入れていない会社というのは、そこまで手が回りません。だから人事に力を入れているかどうかの指標になるんです。

「なんとなく」で転職をすると後悔する可能性も高くなります。転職するのであれば、しっかり見極めてから動くことをおすすめします。

コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。