アドバイザリー業務では得られなかった、実際に人を動かし、経営管理体制を構築する経験
2021/03/23

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監査法人で公認会計士としてアドバイザリー業務を経験し、マネージャーを務めた後、当時従業員が50人規模のイングリウッドに転職したのが、成田海氏だ。大規模監査法人で順調にキャリアを積み、成果を上げてきた成田氏は、これまでとまったく環境が異なるイングリウッドに何を求めて転職したのか。その思いに迫る。

〈Profile〉
成田海(なりた・かい)株式会社イングリウッド 取締役 経営管理室
公認会計士。2011年一橋大学卒業後、あらた監査法人(現PwCあらた有限責任監査法人)入社。財務報告アドバイザリー部マネージャーを務めた。2019年1月、イングリウッド常勤監査役として入社。同年12月、同社取締役。予算統制、基幹システムの整備・運用改善、内部監査システムの運用支援などを担当。

「人とは違うキャリアが必要」。監査法人では、アドバイザリー部門に所属

――成田さんは公認会計士です。なぜ、公認会計士になろうと考えたのでしょうか。

成田:学生時代は、趣味でやっていた音楽活動に熱中しており、インターンシップや会社説明会には一切参加していませんでした。とはいえ、音楽で生計を立てていくというつもりは全くなく、いつかは社会に出て働かなければならないんだなーくらいに漠然と思っていました。学生時代はあっという間に過ぎるもので、気付けば同級生は進路が決まっており、私には取りこぼした単位が残っていました。

大学4年生の終わりごろから真剣に将来のことを考えるようになり、何社か事業会社の説明会にも参加してみましたが、実際にそこで自分がどんな価値を創造できるのか、何の役に立てるのか、全くイメージが湧きませんでした。大学4年間音楽活動しかやってこなかったんだからそれはそうですよね。

また、大手企業で既に活躍している同級生の後を追って、周回遅れで社会人1年生になるのもなんとなくいやだなーという気持ちもありました。大学時代何も勉強してこなかった自分が彼ら以上に活躍できるとも思えないですし。そこで、資格という武器を持って、専門性の高い職業に就くことを考えるようになりました。

公認会計士を目指したのは、学生時代、所属していた音楽サークルの先輩が、公認会計士として活躍しており、業務内容について詳しく聞くことで、仕事が具体的にイメージできたことが大きいと思います。両親が弁護士であったこともあり、司法試験も考えましたが、公認会計士業務の広さや可能性に魅力を感じ、目指すことに決めました。

あらた監査法人(現PwCあらた有限責任監査法人)を選択したのは、Big4と呼ばれる4大監査法人の中では比較的規模が小さく、かつアドバイザリー部門への配属を約束してくれたからです。私が就職活動をしたのは、公認会計士が余っているといわれていた時代でした。公認会計士間の競争が激しくなることが容易に想像できました。ですので、人と違ったキャリアを歩む必要性を強く感じていました。

――公認会計士として務めていた監査法人では、主に監査業務に携わっていたのでしょうか。

成田:私は監査部門ではなく、財務報告アドバイザリー部に所属していました。「CFO(最高財務責任者)のTrusted Advisorになる」を部門の目標として掲げ、財務報告の高度化、IFRS(国際会計基準)導入支援、M&A支援などの会計アドバイザリー業務を行う部門です。なので、アドバイザリー業務が主でしたが、監査業務についてもキャリア形成における必要性を感じており、自ら希望して監査チームにアサインしてもらっていました。

――印象に残っているプロジェクトについて教えてください。

成田:最初のキャリアとして、日本を代表する大企業のIFRS導入のプロジェクトに参画できたことがとてもいい経験になりました。IFRS導入プロジェクトとは、会計基準を旧来の日本基準から国際会計基準に変更するプロジェクトで、会計基準の検討だけでなく、業務プロセスの変更や、システム影響まで、管理すべきタスクは膨大です。最初は、ついていくのに必死でしたが、詳細な業務内容を一つ一つ理解するにつれて、プロジェクトの全体像が見えてくるようになりました。

プロジェクト全体を管理する業務にも携わる機会を得たため、プロジェクトマネジメントのノウハウを学ぶことができました。

会計、プロジェクトマネジメント、監査業務など、さまざまな業務にかかわり、ノウハウや知識を得ました。それらを駆使して、クライアントの課題解決への寄与度が高まったことで、会社からも評価してもらえるようになりました。実際、同期入社の中では最速でマネージャーに昇進することができましたが、程なく転職を考えるようになりました。

――評価されていたにもかかわらず、なぜ転職をしたのでしょうか。

成田:昇進していくキャリアは想像できました。ですが、もともとスタートアップなど小規模な企業に興味がありました。ボードメンバーとして、会社の意思決定に直接参加したかったのです。

大企業がクライアントである場合、監査法人がアドバイザーとしてかかわるのは、経理や財務、IR(投資家向け広報)などです。しかし、それでは意思決定の部分にまでかかわることはできません。

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「この人たちならやってくれるだろう」。イングリウッドの経営陣に感じた思い

――では、なぜ、イングリウッドを選んだのでしょうか。

成田:私が入社したころのイングリウッドは50人規模の企業で、これから体制を整備していくという段階でした。人数が少なかっただけに、会計や財務以外の領域において、意思決定をしたり、法務や情報システム、コンプライアンスなどさまざまな業務を関連付けて体験したりすることに魅力を感じました。

――監査法人での経験と何が違うのでしょうか。

成田:私たちイングリウッドは、IPO(新規株式公開)に向けて準備を進めています。もちろん、監査法人にも上場準備を進めている企業を支援するチームがあります。ですが、あくまで支援なので、事業自体に責任を負うわけではありません。

また、監査法人時代、私は財務会計や予算などのファイナンス系アドバイザーとして、クライアントと向き合ってきましたが、これも、企業組織をゼロから作ったり、主体的に事業を推進したりしてきたわけではありません。

――入社後はどのような経験をされてきたのでしょうか。

成田:監査役という立場で入社しました。当時の経理チームはわずか2人体制で、月次決算を締めることもできていないような状況でした。スタートアップの経理部門とは、こういうものかと驚きながら、経理担当者を補充して、体制を整えていきました。

それは会社から指示されたわけではなく、自らが立案してミッションを課し、推進していきました。社長の黒川隆介には、ビジネスでお金を稼ぐことに専念してもらい、私は経理や財務に関わる体制の構築を担当しました。IPOという目標達成に向けて、会社の意思決定に有用となる数字を適時に経営陣に伝えられるような体制づくりを強く意識しました。

――会社の状況を数字で把握しているということは、潜在能力もよく理解していると思います。

成田:数字で見た会社の潜在能力という観点では、正直、未知数だと思います。ただ、経営陣を見ていると、根拠はありませんが、「この人たちなら、やってくれるだろう」と思ってしまいます。さまざまな事業を立ち上げて、軌道に乗せてきた社長をはじめとする経営陣の「才覚」に懸けている、と言ってもいいかもしれません。

私が魅力に感じるのは、新しく何かをすることに対して、とてもポジティブだということです。会社が新しいことをどんどんやっていくと、法務リスクを回避したり、新領域の専門的な知識が必要になってきたりと、コーポレート部門がやることが増えます。ですが、スピード感を持って事業を進めてほしいので、こちらとしては、できる限りサポートしています。

とはいえ、堅実なところは堅実です。何かが起きたら吹っ飛んでしまうような会社ではなく、さまざまな事業を展開し、リスクを分散させています。小売事業者のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するAI・データテクノロジー事業は、新型コロナウイルスの感染が拡大するなかでも、好調に推移しています。

コンサルができても、事業を推進できるわけではない

――今のイングリウッドに参画することで、どのような成長や経験が得られると思いますか。

成田:このタイミングでチームの一員となれば、会社の中で主体的、かつ横断的に動く業務ができます。この会社の中はもちろん、他社を含めてどんな場所でもやっていけるようなノウハウを蓄積できます。

私たちの会社の経理組織も軌道に乗ってきてはいますが、今後は今以上にタイムリーな財務分析やIR資料作成、予実分析を可能とする経営管理体制を構築する必要性を感じています。また、事業展開を増やしていけば、子会社化も必要となるので、そこでも新しいポジションが生まれてきますし、やるべきことは山ほどあります。

イングリウッドは新しいことにチャレンジする人間に対して寛容です。背中を押して応援してくれます。この会社で、実際に人を動かし、仕組み化や事業を作っていく難しさを感覚的にでも理解できれば、もはや怖いものなしですね。自信が付きます。

――コンサルファームでも、顧客の仕組みづくりにかかわることはできます。何が違うのですか。

成田:コンサルティングができるからといって、実際に事業を推進できるわけではありません。実際に人を動かす経験がなかったり、事業の「芯」の部分を理解していなかったりすれば、事業を前に進めることはできません。

コンサルティングファームでも多種多様な経験を積むことができます。しかし私自身は、大きな組織の中の1人のマネージャーとしてのキャリアではなく、1つの有望な会社の中で責任を負い、会社の仕組みを作り上げ、成長させていくことに大きな魅力を感じました。

――今後、どんな方に入社してほしいですか。

成田:重要なのはスキルよりもマインドです。「常に成長したい」と考え、「将来像を持っている」ことが求められます。また、「人がいい」ことも条件です。弊社の人間関係は良好で、それが業績にも反映しています。

悪口を言わないということが最低条件です。「人と仲良くできないなら辞めろ」という組織風土があるので、自分の力だけではなく、チームとして仕事を進めていけるかが重要です。メンバーが互いに尊敬しあい、影響を与え合っているから新しいことにチャレンジできる風土も生まれていると思います。

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コラム作成者
Liiga編集部
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