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「サマースクール」に参加した学生が、協力者として帰ってくる。コミュニティーの力で“回す”教育事業

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高校生が、国内外の大学生と寝食を共に1週間を過ごす『サマースクール』や、大学生や若手社会人が居住・交流する教育寮『レジデンシャル・カレッジ』の運営など、営利・非営利の両軸で多彩な教育事業を展開するHLAB,Inc.(以下HLAB[エイチラボ])。共同創設者の高田修太氏は「事業で得た収益をもとに学生側の負担額を下げていく」という。それを可能にしているのは、彼らの作るコミュニティーだ。

HLABでは、サマースクールなどに参加した学生がコミュニティーに魅力を感じ、大学生、社会人になってからも事業の運営に協力する“エコシステム”が成立しているそうだ。

特集「社会貢献は“稼げる”か」第6回では、ボストン コンサルティング グループ(以下BCG)出身の高田氏と、国際協力機構(以下JICA)、WeWork出身のHLABコミュニティーデザイナー、水上友理恵氏に、HLAB流の教育事業の“回し方”を聞いた。【橘菫、丸山紀一朗】

〈Profile〉
写真左/高田修太(たかだ・しゅうた)
HLAB 共同創設者。
非営利部門を担う「一般社団法人HLAB」理事、「株式会社エイチラボ」取締役COO。東京大学工学部在学中の2011年にHLABを設立、以降各地サマースクールの立ち上げに携わる。2015年に同大学工学系研究科を修了し、BCGに新卒入社。主に通信・デジタル関連、ビッグデータ関連の経営戦略策定を支援。2017年にHLABに復帰し、2019年より現職。
 
写真右/水上友理恵(みずかみ・ゆりえ)
HLAB プログラム&渉外担当ディレクター/コミュニティーデザイナー。
慶應義塾大学法学部在学中の2013年にHLABに参加し、サマースクールを運営。2015年、ロンドンスクール・オブ・エコノミクス大学院社会学科を修了後、JICAにて、南部アフリカのインフラ開発に携わる。その後WeWorkに転職、コミュニティーマネジメントに従事し、2019年4月よりHLABへ再度参画し現職。

 

学生時代にはじめたプロジェクトを独立させて社団法人に。創設者は「自分の給料を出すことに葛藤があった」

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現在は一般社団法人と株式会社を併せ持つHLABですが、もともとは学生として取り組まれていたプロジェクトだったのですね。

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<figcaption class= 高田

はい。大学在学中の2011年、代表理事の小林亮介らとともに、海外名門大のような学寮生活を起点としたリベラルアーツ教育を再現しようと、サマースクール事業を始めました。水上とも、そのころからの付き合いですね。

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<figcaption class= 水上

私がHLABに参加したのは2013年ですから、もう10年近くになりますね。2013年には、ボードという意思決定機関を立ち上げ、高田とともにボードメンバーを務めていました。

背景には「長期的な視点で運営を考えねば」という思いがありました。当時は「この夏を成功させる」を目標に、単年度でサマースクールを実施して終わればチームが解散する、“打ち上げ花火”のような運営だったためです。

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2014年に「一般社団法人HLAB」として法人化したきっかけはなんだったのでしょうか。

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<figcaption class= 高田

その年に徳島でサマースクールを立ち上げたときの経験がきっかけです。水上さんはその時、「委員長」として運営の中心にいましたよね。

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<figcaption class= 水上

はい。当時サマースクール実施に向け、行政と契約を結ぶ必要がありました。そのサマースクールを継続するにあたり、信頼性などの観点から、独立した法人格があった方が公的機関との契約がスムーズだし、信頼も増すのでは、と感じたのです。


学生時代のサマースクール運営の思い出を織り交ぜながら、法人化の経緯などを説明する水上氏

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独立して法人化したことのメリットはどのような点でしたか。

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<figcaption class= 水上

共同創設者の小林が大学卒業とともに、法人化に取り組みフルタイムで働いたことで、公的機関などとの中長期的な事業の見込みが立つようになりました。会計面でも数年先までが見通せ、経営が安定しました。

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<figcaption class= 高田

事業の拡大性という点で、フルタイムでコミットできる人の存在は重要です。しかし経営が安定していないと、それは難しいですよね。

こうしてフルタイム勤務の代表理事となった小林ですが、当初は自分の給料の出し方やその金額の決め方に苦労したとのこと。

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<figcaption class= 水上

給料については、手探りの状態だったことに加え、葛藤もあったようです。

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「葛藤」とは、自分が給料をもらうことへの葛藤でしょうか。

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<figcaption class= 水上

その通りです。もともとは学生によるプロジェクトですから、当初より、小林も含めた全員が学業の傍ら運営していました。給料を受け取るという感覚がなかったんです。卒業後、フルタイムで取り組むとなると給料が必要ですが、周りには引き続き学生の協力者がいる中で、自分だけに給料を出すイメージがなかなかつかなかったと。

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<figcaption class= 高田

しかし給料は、自分が生きていく上でも重要ですし、優秀な人たちを集める上でもとても大切です。事業として運営する以上は、本来は営利も非営利も全く同じです。アメリカではNPO法人のトップが数千万円から数億円といった給料をもらっている例があります。

社会に対していいことを行っている人はきちんと対価をもらうべきですし、給料を受け取る人が事業を成長させてそれ以上の収益に貢献することで、初めて事業が持続可能なものになるのです。今HLABでも、給料水準を上げ、収益を増やしていきたいと話しています。

BCGやWeWorkを経て再度の参画。給与が下がっても「時間の面で人生の幸福度は上がった」

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高田さんは新卒でBCGに、水上さんはJICAに就職しているのですね。

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<figcaption class= 高田

はい。詳細はnoteに書いていますが、就職活動中も、教育への情熱は捨てきれていないことを自覚していました。だから面接でも、教育分野に戻る意思があることを伝えていましたが、BCGは「それでも一緒にやりましょう」と言ってくれた。感謝しています。

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<figcaption class= 水上

私もこちらのnoteに記載していますが、20歳の時にケニアを訪れたことをきっかけにコミュニティーや教育に関心を持ちました。国際協力への思いもあり、新卒でJICAに就職しますが、その後はコミュニティーづくりにより直接的にかかわろうと、コワーキングスペースを運営する外資系のWeWorkに転職しました。

一からコミュニティーを作る仕事を楽しんでいた時に、HLABに再び誘ってもらって。半年以上悩みましたが、HLABがレジデンシャル・カレッジを設立する機運を感じ、面白そうだという直感を信じて飛び込みました。

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それぞれの経験は、現在の仕事にどう役立っていますか。

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<figcaption class= 水上

前職でトライしていた「不動産の定石を超える」というチャレンジは今の業務に生きています。レジデンシャル・カレッジは、一般的には不動産事業に分類されます。不動産事業の“定石”は、居住者の家賃を上げ、運営コストを下げることで利益を出す仕組みです。

しかし、家賃を上げれば上げるほど、住める方の属性が限定されていきます。HLABが大切にしている「住んでいる方の多様性」を担保できるよう、パートナー企業を募り、奨学金を含めたさまざまなモデルをワークさせて、“定石”とは違うビジネスモデルを構築したいと考えています。


HLABが小田急電鉄株式会社、UDS株式会社と協働し、下北沢に開業したレジデンシャル・カレッジの第一号「SHIMOKITA COLLEGE」。2021年4月現在約70人の大学生と若手社会人が寝食を共にし、互いに学び合っている

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<figcaption class= 高田

私は、BCGでクライアントとの関わりを通して、組織において意思決定権のある方の物の見方を学べたことが役立っています。おかげで、今、HLABでクライアントやパートナー企業の高いポジションの人と話すとき、近しい視座で会話ができています。

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2人とも、外資系企業からの転職ですが、給与水準は変わったのでしょうか。

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<figcaption class= 高田

給与は下がりました。20代のうちにチャレンジをしたかったので、事業を拡大していくために扱えるお金の額は重要視していますが、自分自身は失うものも特になかったですし、あまり気になりませんでした。中長期的には給与を会社全体で伸ばしていくモチベーションにもなります。

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<figcaption class= 水上

私も給与は下がりました。しかし、時間という観点では、人生の幸福度は上がっているように感じています。前職は非常に充実していましたが、日本の拠点を立ち上げるタイミングだったため、忙しい日々を送っていました。それと比べると、今は裁量をもって自由に時間を使えています。

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<figcaption class= 高田

ワークライフバランスというか、ワークライフミックスというか。人によって幸せの基準は違うと思いますが、ここに集まるメンバーは楽しくやっていますね。

事業部門として株式会社を切り出し。各事業の持続可能性を重視

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現在のHLABを構成している、一般社団法人と株式会社の関係を教えてください。

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<figcaption class= 高田

一般社団法人に加え、2017年に株式会社を設立しました。事業構造が複雑なので非営利部門の事業を切り出した、というイメージです。しかし、両者に資本関係はなく、独立した運営をしています。

例えば、不動産とサマースクールの2つの事業を運営しており、前者が黒字、後者が赤字だったとしましょう。複数の事業をミックスして考えると「不動産で少し利益があるからサマースクールの赤字を補填(ほてん)する」といった発想になるかもしれません。でも本来、それは後者が非営利といえど「持続可能な事業ではない」とみなし、持続可能にするための経営判断をすべきですよね。そうした意味でしっかりと切り分けた今の形はやりやすいです。


HLABの事業形態や経営などを語る高田氏。現在は主に新規開拓系の事業に従事する。マジシャンとして活躍する一面もある

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特に非営利事業について、資金的な課題はどのようなものがありますか。

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<figcaption class= 高田

サマースクール事業においては、財政基盤の不安定さが課題ですね。現在の資金源は、高校生の参加費、地方自治体の助成金、各種財団の助成金、個人や企業からいただく協賛金が、それぞれ4分の1ずつというような構成になっています。私たちとしては、このうちの参加費を下げたく思っています。

この中で助成金は、単年度で予算が見直されて助成金額が減り、突然当該年度の採算がとれなくなる可能性をはらんでいます。その不安定さを解消し、参加費を下げるため、新たな寄付やプロジェクト、クライアントを開拓するなど色々な挑戦をしています。

プロフェッショナルとなったアラムナイが運営を支援。「新しい働き方」にもマッチするジョブ型の関わり方

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サマースクールの資金源で、参加者の負担額を4分の1に抑えることができている背景には、苦労も多いのではないでしょうか。

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<figcaption class= 高田

難しさはありますが、HLABでは、利益が出たら参加者である学生に還元していきたいと思っています。幅広い学生に機会を与えたいという思いがありますし、僕たちはそれ自体、コミュニティーに対する長期的な投資と考えていますから。

例えば、HLABでは、自分を投影しやすい、年齢の近い先輩と交流して互いに刺激を受ける「ピア・メンターシップ」を大切にしています。サマースクールに参加した高校生が「HLABでいい体験をしたな」と感じると、大学生になってから運営側として参加したり、社会人になってからメンター役をしてくれたりして、ピア・メンターシップが維持できるのです。

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<figcaption class= 水上

アラムナイ(卒業生)も含め互いに受益者となるこのエコシステムを「人材還流モデル」と呼んでいます。これで、2016年にグッドデザイン賞も受賞することができました。

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「優秀な人材」となった卒業生の力が運営を下支えしていると。

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<figcaption class= 水上

その通りです。例えば、実際にこのレジデンシャル・カレッジの財務モデルを組むタイミングで、投資銀行出身者のアラムナイが、転職の合間の数カ月を利用して手伝いに来てくれました。

私たちのような少人数での新規事業開発は、フェーズによって必要な人材像が異なります。他方で、かけられるコストは限定的なので、一領域の専門人材をフルタイムで雇用し続けるのは難しい。だから、必要なタイミングで、プロフェッショナルスキルを持ったアラムナイが協力してくれるのは助かりますね。

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<figcaption class= 高田

以前別の教育寮の提案をしていた際には、大手建築事務所勤務のアラムナイが協力して模型やプレゼン資料を一緒に作ってくれました。このような運営が成立しているのも、投資してきたコミュニティーがあり、仲間がいるからです。

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<figcaption class= 水上

ジョブ型人材マネジメントとでもいうのでしょうか。副業的な関わり方も含めて、「新しい働き方」にマッチしていると感じています。


サマースクールなどのHLAB事業の卒業生による、運営協力の例(取材やHLABアニュアルレポートをもとに作成)。高校生・大学生に多様な出会い・交流の機会を作り、「いい体験」をしてもらえることで、中長期的にコミュニティーに対しリターンをもたらしてくれる可能性が高まるという

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<figcaption class= 水上

また、「多様性を学びに変える場」を大切にしてきたことで、卒業生以外にも、ミッションに共感して協力してくれる人がいます。例えば、理事の竹内弘髙はハーバード・ビジネス・スクールの教授であり、創業時からアドバイスをもらっています。ミッションに共感してくれる多様な世代、バックグラウンドの方々が関わり続けてくれることで「場」を作り続けることができるのです。

給与もマインドもプロフェッショナル水準に。日本のソーシャルセクターへの課題観

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日本のソーシャルセクターは、アメリカなどに比べ発展が難しい印象を受けます。このハードルになっているものは何だと考えますか。

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<figcaption class= 高田

ソーシャル分野の資金源は、(1)寄付金の場合(2)政府などの助成を受けつつ事業をする場合(3)自分たちの事業収益の場合、の3つに分かれると考えます。私たちはこの3つの中間のような運営をしていますが、このうち(1)の寄付というところで、日本は寄付文化があまりなくて、難しいのかなと思います。

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<figcaption class= 水上

そうですね。私は(1)の寄付型の国際NGO(非政府組織)「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(以下HRW)」の東京・ロンドン事務所でインターンをしていました。その当時のことですが、日本では寄付してくださるコミュニティーの拡大に奮闘しているという印象でした。

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他の観点はありますか。

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<figcaption class= 水上

マインドセットについてもいえるかもしれません。特に国際NGOであるHRWでは、弁護士やプロフェッショナルファーム出身者が集まり、非常に高いアウトプットの質が求められていました。

これは私自身も気を付けていくべきところです。私の経験では、非営利事業の場合、ボランティアとの境界線があいまいだと思われてしまうこともありました。しかし、自己満足にならないよう、投資いただいた分のアウトプットが出せているのか、常に自問していかなければならないと感じています。

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<figcaption class= 高田

そうした観点でも、お金は重要なポイントです。ソーシャルセクターは、解かなければならない課題がより難しく、必要なスキルも高度になります。でもそれに見合った給料がなかなか出せないというのが、日本だけでなく世界的な課題です。

寄付文化が根付き、プロフェッショナルが集まるところにちゃんと投資されて、適切な給料が払われている状態になるといいですよね。

環境・社会・企業統治を考慮するESG投資や、社会課題を解決する企業に投資するインパクト投資といった言葉も、少しずつ日本に広まってきています。いい流れが来ていますから、このまま社会貢献活動、いわゆる“フィランソロピー”が、もっと日本に広まればいいな、と思っています。


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