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ソフトバンクグループ株式会社(以下SBG)。資本金2,387億72百万円(2020年3月末現在)、グループ企業約2,000社を統括する純粋持ち株会社だ。今回話を聞いたのは、キャピタルマーケット部ディレクターの樫村定治氏。キャピタルマーケット部は、わずか数人のチームで毎年兆円単位の資金調達を実現し、グループ全体の急成長を支えている。最大手の証券会社である野村證券から2017年に転職してきた樫村氏が語る「絶対に他では得られない経験」とは一体何か。財務・金融領域で高みを目指す方にはぜひ目を通してほしい。
金融の力で、通常なら成し遂げられないことを実現したい
――樫村さんは学生時代から金融領域の研究をしていたそうですが、この領域に興味を持ったのはいつからですか?
樫村:きっかけは、小学生の頃に祖母から株をもらったことです。おそらくバブル崩壊で塩漬けになっていた株だと思うのですが、その時から毎日、新聞で株価をチェックするようになり、なんとなく面白いなと。大学入学後は自分で口座を開いて実際の運用も始めました。投資を通じて経営やマーケットの動きを知ることができるので、知識が広がっていく喜びも感じていましたね。
大学院の修了後は野村證券に入社したのですが、運用のプロを目指すのではなくIB(インベストメントバンキング)に進んだ要因の一つがソフトバンクの存在です。現ソフトバンク株式会社の前身であるボーダフォンを買収した時の事業証券化のストラクチャーが雑誌に掲載されていて、「こんなことができるのか!」と衝撃を受けました。
金融の技術を駆使しながら、通常であれば難しいことを成し遂げる。そうした行為に大きな意義を感じて、IBの世界に身を投じることを決めました。
――その後SBGに転職したのはどういった理由からでしょうか。
樫村:前職では債券引受業務や債券シンジケーション、転換社債、売出債のアレンジなど幅広く経験させてもらい、非常に感謝しています。ただ、30歳を過ぎた頃からずっとこのままでいいのだろうかと疑問を抱くようになりました。今申し上げた通り、金融の知識で本来できなかったことを実現させていく役割を担いたかったのですが、取り扱うプロダクトがほとんど定型のものだったんですね。
日本のキャピタルマーケット自体がコモディティー化しているともいえますが、自由度の高いオリジナリティーがあるファイナンスに携われないことにストレスを感じるようになりました。もちろん野村證券に残ってもいずれそうしたチャンスはあったと思います。SBGに転職するかこのまま残るかの二者択一で、時間をかけて検討しました。最終的に転職を決断したのは、一度発行体(債券を発行する主体)の中に飛び込んで、経営者やCFOの意思決定プロセスを間近で学びたいと思ったことが決め手です。
――転職するならSBG一択だったわけですね?
樫村:転職を検討し始めた時はエージェントにも登録して、事業会社の財務という切り口でいくつかの企業を調べたのですが、いまいちピンと来ませんでした。ポイントは、キャピタルマーケットをどれだけ活用しているかということです。多くの事業会社にとって、資金調達はローンや間接金融が中心になります。M&Aなどの際にキャピタルマーケットを使うことはあるでしょうが、極論すれば間接金融だけで経営が成り立ってしまうわけです。
一方でSBGは、キャピタルマーケットがなければ生きていけない会社です。だからこそさまざまな工夫もしているし、新しい手法にも果敢にチャレンジしています。おっしゃる通り、発行体サイドに転職するならSBG一択でした。
まだ日本にはないプロダクトにも携われることが、ここで働く大きな価値
――実際に転職してみて、印象が変わった点などはありますか?
樫村:野村證券勤務時代にもお客さんとして付き合いがあり、SBGのマインドやスタンスは分かっていたのでギャップはあまりなかったですね。1つ良かったのは、改めて当社のCFOの話を聞けたことです。デットの世界にいると、どうしても不確実性の高いイベントには拒否感を持ってしまいます。少しでも信用力に影響のあるイベントは避けるというのが当然だと思っていました。
しかしSBGの考え方はそうではありません。我々の考える財務の役割は、守り役として経営陣にブレーキをかけるのではなく、トップが描く戦略の実現に向けて攻めのファイナンスを実現すること。そのために健全な財務体質を維持することが重要だというCFOの考え方を聞いて、非常に新鮮な感覚になったことを覚えています。
――SBGに入社してから、どのような案件を手掛けてきたのでしょうか。
樫村:2017年3月に参画して、それ以来デット関連のディールにはすべて関わっています。入社した年の7月にはドル建ての永久劣後債を日本企業として初めて発行。IFRS(国際会計基準)上の資本計上を実現するため、会計士や弁護士、証券会社と密にディスカッションしながら実行していきました。
その後も海外でのシニア債発行、国内ではあまり例のない外債でのエクスチェンジオファー、外債・国内債のバイバックなどオリジナリティーの高い案件に数多く携わっています。過去案件のコピーのようなケースはほとんどないので、それは転職して良かったと思う点ですね。
新しいストラクチャーをゼロからすべて自分で考えることは難しいので、外部の証券会社などの知見も借りながら作り上げていきます。もちろん、証券会社の言いなりでは意味がありません。SBGのやりたいことをどうやって実現できるのか、幅広く意見を聞きながら意思決定していく経験は、他ではなかなか味わえないのではないでしょうか。
――SBGは少数精鋭の組織だと聞いています。大変なことはありませんか?
樫村:物量が多いだけであれば効率性を上げる施策などで対応できると思いますが、多くの仕事がオリジナルですから、たしかに大変ではあります。ただ、これだけ変化の激しい会社の財務が大変じゃないというのは本来あり得ないですし、オリジナリティーの高い案件を手掛けたくて転職しているので、日々充実しています。
――転職したことでどういった成長を得られたのでしょうか。
樫村:視野が広がったことが最大の成長だと感じています。証券会社にいると、対峙するのはやはり日本のマーケット。これは国内証券でも外資でも変わらないでしょう。発行体が日本企業である以上は、提案するプロダクトもある程度限定されてしまいます。
一方当社では、昨年はアリババ株式を使ったデリバティブで資金調達をおこなったのですが、これは今まで日本企業では見られなかった手法です。私自身もデリバティブの基礎知識はありましたが、エクイティデリバティブをどう組成するのか、どんなプロダクトがあるのかまでは知りませんでした。もちろん、この案件に限らずほとんどのディールが新しいチャレンジです。そういった仕事に携われることが、SBGで働くことの大きな価値だと思います。
大切なのは、どれほど難しい課題でも対応してみせるという“プロ意識”
――入社してからの4年間で調達した金額はどれぐらいになりますか?
樫村:総額を数えたことはありませんが、おそらく3兆円は超えているでしょう。ただ、金額はあまり気にしていません。ディール1本が100億円でも5,000億円でも、やることはあまり変わらないんですよ。責任感は重くなりますが、そろえるドキュメントが違うかというと同じですし、粛々とやるべきことをやっていくスタンスです。経営陣が実現したいビジョンや戦略に合わせて適切な資金調達プランを提案することが、財務担当のミッションだと捉えています。
――やはり、経営ビジョンへの共感が必要なのでしょうか。
樫村:あった方がいいですが、共感が強すぎると、経営陣と同質化してしまいます。財務担当は、社債権者や株主、銀行などさまざまなステークホルダーの声を代弁することも役割ですし、同質化はリスクが高い。異質な存在であり続けるべきだと考えています。ビジョンを実行する能力を持っていることが最も重要なのではないでしょうか。
――財務領域のプロフェッショナルとしてここにいる、ということですね。
樫村:まさにその通りで、財務メンバーに限らず法務も経理も同じだと思います。非常に遠大なビジョンの達成に向けて、日々新しい変化や課題が発生する。それに対し、自らの知識やスキルをいかして解決していくことにやりがいや意義を感じているわけです。SBGには、どれほど難しい課題でも対応してみせるという気概を持ったプロフェッショナルが集まっています。
――SBGの財務チームにはどんな人が向いているのでしょうか。
樫村:純粋にファイナンスが好きな人にはお勧めですね。間違いなく、知的好奇心は満たされます。一般的な金融機関では取り扱っていないプロダクトに触れることもできますし、外部の方も含めたあらゆる知見にアクセスすることも可能です。金融領域に関心を持っている方にとっては非常に良い環境なのではないでしょうか。
また、未経験の方が財務や金融を学ぶ場としても活用できると思います。あらゆる案件でスピードが求められるので、自分一人で考えるのではなく世界中の金融機関から提案を集めて、それを自分なりに消化していくというプロセスをとっています。つまり、事前の知識はそれほど重要ではありません。
もちろん、誰でも簡単にできる仕事ではないことも事実です。ときに知らないことを3日後に理論立ててレポートしてくれと言われる世界ですから。ただ、そうした覚悟を持っている方であれば飛躍的に成長していくことができるでしょう。
SBGについては、事業会社と考えるよりも、金融と事業会社のハイブリッドと捉えてもらう方が実態に近いと思います。今まで以上に広い世界を見てみたいと思っている方は、ぜひ挑戦してみてください。