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ハーバードビジネススクールにデータサイエンス重視の流れ? 現役学生に聞く、授業内容の変化

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2021年1月、ハーバードビジネススクール(HBS)の新学長にSrikant Datar氏が就任した。Datar氏は経済学者で、データサイエンスにも造詣が深い。

HBSの現役学生である坂井華奈子さんによると、どのような人物が学長になるかは、今後のHBSの方針をある程度反映するものだ。実際、2020年9月に入学した1年生の授業から、これまでの必修科目に加えて、データサイエンスの授業を選択できるようになり、2年生の選択科目にもそういった授業が増えたという。

坂井さんに、HBS内のデータサイエンス重視の流れについて聞いた。さらに、プログラミングを習得し、女性向けメンターマッチングサービスを自ら立ち上げた体験談も話してもらった。【南部香織】

〈Profile〉
坂井華奈子(さかい・かなこ)
東京大学経済学部経営学科卒業。外資系コンサルティングファームの東京支社に入社後、主にヘルスケア・消費財関連のプロジェクトに従事。入社3年目に第1子を出産。その後2年間の育休中にMBAを受験し、夫とともにHBSに在学中。子持ち夫婦でのHBS学生は他にいない中、育児・勉学・キャリアについて日々思いを巡らせている。ビジネスにおける女性の活躍促進に関する熱い気持ちを発信中。2020年9月より、女性向けメンターマッチングサービスを開始。Liigaで「ママのMBA」シリーズを執筆。
(掲載内容や肩書は2021年4月の取材当時のものです)

選択できるデータサイエンス関連の授業が増えた。学生からの人気も

――学長がNitin Nohria氏からSrikant Datar氏に変わったそうですね。

坂井:2021年1月からDatar氏が学長になりました。私たち夫婦がHBSに入学した2019年秋ごろには、すでにNohria氏の次の学長候補を探しているというアナウンスがありました。

どのような人物が学長になるかは、HBSの今後の方針を反映するものです。例えば、女性ではないかという話も聞きましたし、デジタルやテックに強い人が就任するかもしれないという話もありました。

最終的に、データサイエンスに強いDatar氏が選ばれて、そういった人材を育てるという方針なのだと私は思いましたし、周囲の友人たちもそう感じていたでしょう。

――実際に決まったのはいつごろですか。

坂井:2020年秋ごろに次の学長がDatar氏になったと発表がありました。

――授業内容で変わったところはありますか。

坂井:1年生の授業は、必修科目10科目を受けることになっていましたが、今年からそれに加えて、「Introduction to Data Science」という授業を選択できるようになりました。

いろいろな経営課題をデータという視点から勉強する内容です。「Tableau(※1)」というツールと「R」というプログラミング言語を使って、基礎的なデータアナリティクスを学び、データから得た情報を使って経営判断につながるインサイトを見出す方法を身に付けるようです。
※1 データ分析や可視化に使われるBusiness Intelligenceツールの一つ

2年生では全て選択科目なのですが、その中にデータアナリティクスに関連したものが多く、昨年から比べてもおそらく増えています。学生の間でも人気がありますね。

例えば、「Applied Business Analytics」といって、Tableauの使い方や自然言語処理、回帰分析などの基礎的な知識を学んだ後、実際にそれを使ってアウトプットするといった授業があります。

今年始まった授業では、「AI in Marketing」というものもあります。これは言葉通りマーケティングでAIをどう使うかを学ぶものです。教授が選んだ企業とコラボし、AIを使った分析も行うようです。

――坂井さんも受講しているデータサイエンス関連の授業はありますか。

坂井:私が選択しているものですと「Leading with People Analytics」という授業があります。これはHR(人事)関連の業務にアナリティクスを活用するにはどうしたらいいかを学ぶものです。

ピープルアナリティクスは、HRテックの企業が離職率や昇進の確率についての予測モデルを作るなど、日本でも少しずつ導入されていると思います。実際の企業採用や評価のデータを、R言語を用いて分析したり、分析結果の意味を教えてくれたりします。

データサイエンスはあくまで経営に生かすため

――経営判断の手段として、データを使いこなすための授業が多い印象です。

坂井:そうですね。今申し上げた授業は、プログラミングが苦手な人でも付いてこられると思います。

HBSの意図としては、コードを書いて何かを作る人材になってほしいわけではないと思います。今後、経営判断をするときに、データアナリティクスが重視されるという前提で、例えば回帰分析した結果を理解できるように、基礎的な部分を教えたいということでしょう。

――プログラミングをさらに深く学びたい人向けの授業もあるのでしょうか。

坂井:あります。例えば、ハーバード大学の学部で行われているデータサイエンスの授業を、HBSの学生も受けることができます。その授業では、基礎的な知識を踏まえてコードを書き、データサイエンティストになれるくらいの技術を会得できるはずです。

他にも、2020年の夏にHBSとプログラミングスクールのFlatiron Schoolが提携し、8週間にわたってPythonを学ぶという授業がありました。この授業は人数制限があり、選考を通過しなければなりません。企業と一緒にPythonを使って分析をするものだったようです。

――HBSの同期の中に、コードを書ける人は何人くらいいますか。

坂井:先ほど申し上げた「Leading with People Analytics」は30人程度の授業ですが、そのうち4~5人ほどがコードを書けるといった印象です。ただこれはデータサイエンスを扱う授業なので元々プログラミングに関心の高い人が多く、HBS全体ではもっと割合は少ないでしょうね。

あくまでビジネススクールですから、エンジニアを目指すという文脈ではなく、経営に生かすために学んでいるという人たちがほとんどだと思います。

東大時代はプログラミングが全然分からなかった。良い機会だと思って自らウェブサイト作りに挑戦

――ご自身で「rolemy」というサービスを立ち上げたそうですが、どのようなサービスですか。

坂井:一言でいうと、女性が社外メンターを探せるマッチングプラットフォームです。女性の場合、キャリアを築くにあたって、結婚や子育てとの両立などといった「壁」にぶつかりやすいと思います。そんなときでも、私自身は誰かに相談するとヒントが見つかりやすいのではと感じていました。

でも、その相談相手を探すのが難しいんです。目指すキャリアや働き方はあるけれど、それを実現している人がなかなか周りにいない。そこで、同じような体験をした女性がたくさんいるのではないかと考えました。ですので、女性が求める相談相手を、簡単に探せる場所を設けたというわけです。

ユーザー間でリクエストを送ってマッチングしたら、ビデオ会議ツールなどでお話ししてもらうという仕組みです。AさんがBさんに相談に乗ってもらいたかったら、リクエストを送り、OKだったらマッチングが成立します。

基本的には無料ですが、私の人脈の中から有志で公式メンターを担ってくれている方々が20人ほどいまして、その方々とお話しされたい場合は45分で2500円を頂いています。

――rolemyのウェブサイトを、自分でプログラミングを学んで作ったそうですね。

坂井:はい。いわゆるフロントエンドと呼ばれるサイトの見た目の部分はHTMLとCSS、裏でシステムを動かすバックエンドと呼ばれる部分はPHPという言語を勉強して、自分で作りました。

――それまでにプログラミングを勉強したことはありましたか。

坂井:ほとんどありませんでした。東京大学1年生のときに「情報」という授業があって、そのときに少しだけプログラミングを学びました。でも、何をやっているか全然分からなくて、ギリギリ単位を取得したというレベルでした。その経験から、プログラミングやコーディングには抵抗感がありましたね。

――でしたら今回、外部に依頼して作ってもらうこともできたのでは。

坂井:HBSに来て、データを扱う重要性を以前より強く感じるようになり、プログラミングもできた方がいいのではと漠然と考えていました。実際に、ビジネスのことだけではなくデータやプログラミングについても分かる人材は希少性が高いと思います。

もちろんサイト開設は、HBSで学んでいるデータサイエンスとは全然違うものですが、プログラミングに対する抵抗感をなくすために挑戦することにしました。

また、ちょうど夏休みが始まるというタイミングで、明確に自分のサービスを提供するサイトを作りたいという目標もあったので、集中的に学ぶことにしたのです。

オンラインのプログラミングスクールで勉強。少しずつ出来上がっていくのが面白かった

――プログラミングを具体的にどのように勉強しましたか。

坂井:オンラインのプログラミングスクールを受講しました。私が提供するサービスは日本語話者を対象としているので、日本のスクールにしました。ただ、私はアメリカに住んでいるので、なるべくリアルタイムでサポートしてもらえるよう、チャットサポートがあって、かつその対応時間が長いスクールを選びました。

――実際に勉強してみていかがでしたか。

坂井:やってみると、自分が思っていたよりずっと楽しかったですし、分かりやすいと思いました。学ぶ前に漠然と思っていたのは、もっと複雑で難しいことをいろいろやって、いきなり成果物ができるといった状態です。

実際にはそうではなく、ものすごくロジカルで、かつ一つずつステップを踏んで積み上げてできていくものだということが実感できました。

例えば、ユーザー同士がマッチングして、お互いにメッセージを送れるようにしたいとします。そういった場合、一つの作業で全ての機能が完成するわけではなく、まず相手にマッチングをリクエストする指示をコードで書きます。次にそれをOKする指示を書くと、初めてマッチングします。

それができたら、次は、マッチした人同士がメッセージを送れる機能を追加します。そのために、メッセージを送る動作のバックエンドのコードを書いて、フロントエンドではメッセージが表示されるコードを書く。

そういったことの積み重ねで、少しずつ機能を追加していき、どんどんウェブサイトができていくので、進捗も分かりやすいのが楽しかったですね。

――出来上がるまでどのくらいの時間がかかりましたか。

坂井:基礎的な知識を学ぶのと、実際にウェブサイトを作るのを合わせて、約4カ月かかりました。オンラインスクール以外には、「Qiita(※2)」もよく使っていました。ある機能を追加するやり方が分からないときなどに、似た疑問の回答をまねさせてもらってましたね。
※2 エンジニアリングに関する知識を記録・共有できるサービス

ゼロイチでものを作れる楽しさ。エンジニアへのリスペクトも増した

――出来上がったときの感想を教えてください。

坂井:「あーやっとできた」と思って、本当にうれしかったです。でもその後、公開するときはかなり緊張して手が震えました。ちゃんと動くかどうか心配でしたし、もしバグやエラーがあっても、そこからは1人で対処しなければならなかったからです。もちろん、セキュリティー面の強化は、プロにもお願いしているのですが。

――自分でコードを書いたことによって、エンジニアやウェブサービスに対して見方は変わったでしょうか。

坂井:変わったと思います。他のサービスがどういう仕組みでつくられているか気になるようになりました。この機能を使っているのではないかとある程度分かるようにもなりました。

また、エンジニアに対するリスペクトも増しました。ビジネス側だとアイデアをゼロから生み出すことはありますが、ものは作れません。エンジニアの方はそれができますし、仕組みが分かっているからこそ思い付くアイデアもあるでしょう。アメリカではエンジニア出身の起業家が多いですが、そういった理由もあると思います。

――2021年5月でHBSを卒業されます。その後の進路を教えてください。

坂井:MBA留学をサポートしてくれていた、コンサルティングファームのロンドン支社に移籍する予定です。

今後のキャリアを考えるにあたって、HBSでの学びや自分でサービスを作ったことを通して、テック系企業への興味が深まりました。

また、データサイエンスについて継続して勉強していくつもりです。今までデータがあまり使われてこなかったHRの領域に、データが使われることも増えてくると思います。それが当たり前の時代になったときに、キャッチアップしている状態でありたいです。

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