頭“だけ”を使いたいなら、うちに来ない方がいい。求めるのは、強い覚悟とオーナーシップを持った人
2021/09/13

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YCPグループのメイン事業は大きく2つ。アジアを中心としたグローバルな顧客に質の高い経営支援を提供する「マネジメントサービス」と、資本を注入した上で自分たち自身が企業経営する「プリンシパル投資」だ。YCPではなぜ、「コンサルティング」ではなく「マネジメントサービス」と呼称するのか。アドバイザリー業務にとどまらず自社事業を展開する理由は何か。創業者であるグループCEOの石田裕樹氏に、その真意を聞いた。

〈Profile〉
石田裕樹(いしだ・ゆうき)
グループCEO / マネージングパートナー
シンガポールに拠点を置くYCP Holdings (Global) Limitedの取締役兼グループCEOを務める。2006年に東京大学大学院工学院研究科を修了後、ゴールドマン・サックス証券に入社。戦略投資部およびプリンシパル・インベストメント・エリアに所属し、株式・債権・不動産といった幅広いアセットクラスへの投資を担当した後、投資先企業の経営再建に取り組んだ。2011年にYCPグループの中核である現在のYCP Solidiance(旧・株式会社ヤマトキャピタルパートナーズ)を創業。現在はグループの経営、主にプリンシパル投資を管掌する。


責任のない参謀役ではなく、自分自身でビジネスをけん引していく覚悟を持つ

――YCPでは「コンサルティング」ではなく「マネジメントサービス」という言葉を使用されています。これはどういう意図があるのでしょうか?

石田:戦略や市場調査だけではなく、経営に必要な機能を多面的に提供しているからです。たとえば現在私が担当しているクロスボーダーのプロジェクトでは、日本の大企業がある事業を本体から切り離し、新しい会社を立ち上げていくための支援を、日本のみならずアジア全域で提供しています。いわゆるカーブアウト案件ですが、新会社が独立して事業運営をするために必要な機能が具備されているか、経営会議はどうあるべきか、組織や部門をどう形作っていくか。日々の経営に携わり、この企業変革を実現していくことが私たちの仕事です。もちろん1人ですべてを担うことはできないので、この案件ではグローバルで約20人のプロフェッショナルがアサインされています。

一方で、膨大な人的リソースやITを駆使した市場データやその分析はYCPの得意分野ではありません。過去10年のマーケットデータや数千件の消費者インタビューから、コンシューマーインサイトをあぶり出すようなケイパビリティは持っていない。多くの戦略コンサルティングファームは、デジタルを駆使してこれを実現するためのプラットフォームに、何百億円もの投資をしているわけですね。

だから我々は、必要に応じて戦略コンサルティングファームと協働する立場にもなります。クライアントの経営陣に伴走し、時に外部の力も活用しながら経営の骨格作りや意思決定を支援する。それがYCPのマネジメントサービスです。

――頭脳労働に従事したいから戦略コンサルを目指す、という若者も多いと思います。

石田:頭“だけ”を使いたいなら、うちに来ない方がいいでしょうね。古代中国の軍師・諸葛孔明のように、盤面を見ながら「次の一手はこれです」という戦略論に特化した人はYCPには多くないです。

当然ながらロジカルに課題を解決できなければ経営は成立しないので、一定の論理的思考力は必要です。ただ、当社ではそれ以上に、人を説得する力や組織を動かす胆力、クライアントの成長に向けて走り切るコミットメントが求められます。深く長くお付き合いする分、未熟なうちは面と向かって「君は使えないな」と言われることもあるでしょうから、メンタルタフネスも重要ですね。

採用シーンで私が強く言っているのは、オーナーシップを持っている人に来てほしいということ。クライアントワークでもプリンシパル投資でも同じように、このビジネスを必ず成功させるんだという覚悟を持っていてほしい。成功のために必要なことで、クライアントや投資先が自ら手を出せていない領域はすべて、自分達の仕事ですから。

――オーナーシップを持った人材がYCPに入社すると、どのような成長を得られるのでしょうか?

石田:参謀役ではなく経営者になるためのスキルと経験を、トータルで身につけることができます。YCPはもともと私自身が企業経営に携わりたくて創業した会社なので、経営者を目指す上では最も良い環境でありたいと思っています。

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日本市場を極めたい人は国内で、グローバル志向の強い人は海外で

――石田さんご自身も現在シンガポールに赴任(※)されていますし、YCPはグローバルにも強みを持っている印象です。
(※インタビューはオンラインで実施)

石田:おっしゃる通り、我々はアジア全域で事業を展開しており、グローバルにワンファームで運営しています。つまり、どこかのオフィスに手の空いているプロフェッショナルがいれば、日本のパートナーでもシンガポールのパートナーでも、そのメンバーをアサインすることができます。そうやって気軽にクロスボーダーの案件を担当できることも、弊社の魅力の一つだと思っています。

ただ、創業当初は日本人しかおらず、対象としていたのも日本企業だけでした。当時は「ニッポンが胸を張れるニッポンへ」というビジョンを掲げていたのですが、ファームを成長させていく中で、この目標を達成するためには日本に閉じこもっていてはダメだと気づいたんです。クライアントからの海外案件への期待も高く、現在ではアジアを中心にグローバル各地に17の拠点を開設。外国籍のメンバーも飛躍的に増えていますし、250人ほどいるプロフェッショナルのうち約7割は海外で働いています。

――どこの国のパートナーでもメンバーを自由にアサインできるというのはすごいですね。

石田:少し裏側の話をすると、そういう体制でなければ適切なプライシングを実現できないのです。たとえば、日本と中国の両方からメンバーをアサインするとして、それぞれの国の組織に利益を残そうと思うと、単純に倍の価格を設定する必要があります。有名なグローバルファームであればそれでもいいのかもしれませんが、我々は新興ファームなのでそういうわけにはいきません。なによりクライアントに余計な出費を強いてしまうことになります。

プロフェッショナルファームは、パートナーが株を持つスタイルが一般的ですよね。YCPもそこは変わらないのですが、各国の現地法人ではなく、ホールディングスの株式を持ってもらうようにしています。つまり、グローバル全体の利益によって自分たちのインセンティブが決まる構造です。

パートナー、ジュニアプロフェッショナル、そしてクライアント。すべての関係者にとってベストなモデルを構築しています。

――YCPに入社する方は、グローバル志向が必須なのでしょうか?

石田:必ずしもそうではないと思っています。すべての会社がグローバル化するわけではないですし、「自分はドメスティックにやっていくんだ」という方も活躍できるフィールドはあります。現時点のメンバー構成でいえば、日本人の6割から7割がドメスティックに活躍することを決めていて、残りがグローバル志向という割合ではないでしょうか。私としては、それも含めてダイバーシティーだという考えです。

ただ、日本はちょっと特殊な環境だということも事実ですね。日本以外のプロフェッショナルのほぼ全員が英語でも高いレベルで仕事ができますが、日本人は英語が苦手な人が多いです。YCPは優秀な人材がそろっていると思っているのですが、それでも日本語で発揮できるバリューを10とすると、英語環境では1になってしまう。これはもったいないですよね。

そこで、マネジャー以上の職位で海外赴任を希望する人は、原則として全員、自由に行けるようにしています。日本市場を極めたい人は国内で、グローバルを志向する人は海外で、それぞれで最高のパフォーマンスを発揮してもらいたいと思っています。

アジアを中心とする世界17都市で、多国籍企業および現地企業への支援をおこなっているYCPの拠点情報や会社概要についてはこちら description

HOWやWHATは途中で変わっても構わない。ゆるぎない“WHY”を持って、大きなことに挑戦してほしい

――YCPのこれからについても教えてください。

石田:会社をおこして3年ほどは生き延びることに必死でしたが、当初思い描いていたことはここ7年間でおおむね形になってきました。最初の3年を0次とするならば、2014年から2020年は第一次創業期。現在は第二創業期といえるフェーズに来ています。第二創業期にやるべきことは明確で、より一層プリンシパル投資を加速することです。

――現時点でもプリンシパル投資はYCPの大きな特徴だと感じます。

石田:そう言ってもらえるのはうれしいですが、正直なところまだまだです。マネジメントサービスについては、ここ数年初めてお会いするクライアントからも「YCPの名前は聞いたことがあります」「海外展開に強いですよね」といった声をいただけるようになりました。少なくとも、経営者やコンサルタントの皆さまからの知名度は急速に上がっている実感があります。

しかし一方で、プリンシパル投資の実績は、既存投資先による追加投資も含めて2020年時点で30社です。従業員数や社歴を考慮すれば決して少ない数字ではありませんが、マネジメントサービスとの真のハイブリッドモデルを実現するにはまだまだです。アジアで展開中のスキンケアブランド「ALOBABY/アロベビー」や、ペット医療サービスもさらに伸ばしていきますし、新たな投資先も複数検討しています。グループ全体で非連続な成長を実現するためにも、成長著しいこのアジアで、多くの事業に投資していくつもりです。

――なぜこのタイミングでプリンシパル投資を強化するのでしょうか?

石田:1つ目の理由は人的リソースが拡大してきたこと。マネジメントサービスでこれだけの成果を上げられる人材がそろっているわけですから、自分たち自身の投資事業を成長させられないはずがない。むしろこれができなければ、クライアントに価値を提供することもできません。

そしてもう一つの要素が資金力です。創業10年が経過して財務基盤が安定したことで、会社としての与信も上がり、大型の調達も可能になってきました。これまでとは違う規模感で積極的に投資できる土壌ができてきたということです。

――そうした未来のYCPをともに作り上げるために必要なのは、どのような人材ですか?

石田:繰り返しになりますが、強いオーナーシップを持って、自分が主体的に事業をドライブさせていくんだという志を持った人です。三人称の立場ではなく、一人称でビジネスをけん引していく覚悟を持った方にぜひ入っていただきたい。

あとは、その先にある大きなビジョンというか、自分自身の行動原理、プリンシプルを持った人がいいですね。将来は経営者になりたい、日本の政治を良くしたい、NPOの活動を通して社会を変えたい……。ゴールはなんでもいいのですが、はっきりした理由がない状態で目標を語るのではなく、“WHY”が明確になっている人といってもいいでしょう。

大きなことを成し遂げようと思えば必ず壁にぶつかります。そうした時に粘り強く歩みを進められるのは、自分なりのプリンシプルがある人だと私は思います。HOWやWHATはどこかで変わっても構いません。ゆるぎない“WHY”さえ持っていれば、きっと成功できるはずです。

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コラム作成者
Liiga編集部
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