監査の資格は年収UPのマスターキーに。手の届かなかったキャリアを切り拓け。
2021/10/12

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みなさんはビジネスに必要なものは何かと問われると、何を思い浮かべますか。

英語、マネジメント、会計、リーダーシップなど、様々な知識やスキルがビジネスでは求められます。

転職難易度が高い企業に転職するためには、他者との差別化が必要です。終身雇用制度が崩壊することで、人材の流動性が増し、高度な人材に多くの企業が頼ることになり、結果として人材による所得格差が激しくなるため、どれだけ企業にとって魅力的な人材になれるかどうかというところが一つの鍵になってきます。

そこで、差別化の一つの方法として監査の資格を取ることを強くお勧めします。

監査の資格を取得することは、必要なビジネス知識を体系的に取得できるだけでなく、国際的なビジネスマンとしての証明になります。

欧米企業では、内部監査部門での経験が経営幹部になるための必要なスキルだと位置付ける企業が増えています。同様に、日系企業でも、社内での評価の一つとして資格をあげる企業が多くなってきています。

つまり、転職するにしても昇格するにしても監査の知識が必要になってきます。

そこで、今回は監査の資格についてどのようなものがあるのかご紹介していきます。

ITともビジネスともつながる監査の資格

一言で、監査の資格とまとめても、その中で多くの資格があります。世界で認証されている資格もあれば、日本でのみ認知度が高い資格もあります。

ここでは、主に3つの側面から監査の資格をみていくことにしましょう。
体系立てて整理すると、この3つに分けられます。

  • 監査についての体系的な知識の証明になるCIA
  • 情報セキュリティのプロフェッショナルの証明になるCISA
  • 不正の抑止の専門家の証明になるCFE

ここに羅列した全ての資格は、国際的な団体の証明になり、世界180カ国以上の国と地域での認定があります。そのため、駐在や社内昇進だけでなく、転職の際にも大きなアピールになるでしょう。

では、より詳細な資格についてご説明していきます。

CIA(Certified Internal Auditor)

CIA(公認内部監査人)は、米国で設立された内部監査人協会が証明する国際資格です。

世界190の国と地域で資格試験が行われており、日本で取得した知識が世界で使える稀有な資格です。内部監査人の能力と専門性を証明する国際資格として、多くのビジネスマンが取得しています。

近年、企業における内部監査の重要性は増加しています。この資格を保持して証明できる能力は、内部監査に対する体型立てられた知識を持っていることでしょう。

これに加え、内部監査を切り口としてさまざまなビジネス知識を横断的に使えるようになることがCIA取得の大きなメリットでしょう。

CIAは、内部監査のキャリアを積むためにはほぼ必携の資格です。一部上場企業では、有価証券報告書でCIAの保持について明記している企業もあります。

内部監査のキャリアを積む以外にも、汎用的な資格であることがCIAの特徴です。

それだけでなく、全ての体型立てられた知識を俯瞰的に使用することができる能力が身につくことで、自分自身の能力の高さを他者と差別化しながら証明することができます。

経営学修士とはまた異なった切り口から自分の能力をアピールできるのは、まだ日本であまりCIAが広まっていない今のうちではないでしょうか。

内部監査の手法は、内部監査の重要性が高まるとともに、実務に適合するように常に変化し続けています。その中で、コンサルティング機能を保持することも内部監査に期待されているという背景があります。

そのため、転職先として人気の高いコンサルティング業界に転職する上で持っておいた方がいい知識や、考え方を得られることは大きなアドバンテージになります。

CISA(Certified Information Systems Auditor)

CISAはアメリカに本部をおくISACA(情報システムコントロール協会)が証明する情報システム監査に関する資格です。CISAで証明できる業務としては、企業の情報システムの監査や情報システムの企画開発運用業務などのマネジメント、情報システムのリスクマネジメントについての助言・コンサルティングがあります。

日系企業においても、CISAに対するニーズが高まってきています。

外資系企業や、監査法人、Sier、金融機関、コンサルティングファームなどで活躍している人が保持する傾向にあります。今までは、外資系企業が企業内にCISA保持者を置いていました。

日系企業においてもCISAに対するニーズが高まっている理由としては、J -SOX法の導入で財務報告などの信頼性を確保する情報誌システムの統制が監査の対象となったことがあげられます。

また、企業会計審議会のなかでITへの対応が内部統制に必要な基本的要素の一つとして定義されています。また、米国のSOX法よりも日本のJ-SOX法はITへの対応に重点が置かれているため、日本企業でのCISAの需要が高まると思われます。(※)

CISAの資格も、CIAと同じく、汎用性が高い資格の一つではないでしょうか。

ITに係る監査のリスクについての資格であるために、英語・IT・監査の三つの側面からリスク管理に長けている証左になります。

CIAとのダブルライセンスを取得することにより、コンサルティング業界への転職において、より有利に働くことができるでしょう。CIAで勉強した経営管理やファイナンスといった側面から監査を学ぶだけでなく、ITの側面からも監査を学習することができるようになるため、DXの時代に必要な人材になることができるでしょう。

(※)
J -sox法とsox法:2002年にアメリカ政府によって定められた企業の内部統制に関する法律がsox法であり、日本においてsox法の役目を果たしているのが、J-sox法と呼ばれる内部統制報告制度のこと。

CFE

CFEは、ACFE(公認不正検査士協会)が認定する不正の防止・発見・抑止の専門家であることを示す国際的な資格です。

不正の対策を行うためには、不正への対応を完璧にするのではなく、不正が実行されるまでの過程について理解をし、疑惑の時点で調査ができる体制を整えておく必要があります。そして、その構築のために、CFEの資格が貢献できます。

また、不正対策の重要性が高い業種では管理職への登用時の優遇資格とされています。不正への対応の知識は、それほどまでに大切なのです。

アメリカでは、監査の仕事だけでなく、金融のアナリストや経営コンサルタントといった職種の人がCFEを保持していることがあるため、日本でも将来コンサルタントを目指されている方にはお勧めの資格といえます。

監査のキャリアをしっかりと組み立てたい人にお勧めの資格であるといえるでしょう。

監査の能力を従来とは違った観点から知識の会得を図っているのがCFEの特徴であるためです。

「監査は興味ないから資格はいらない」は時代に乗り遅れていく。数年先がわからないVUCAの時代の生き残り方。

ここまで、国際的な監査の資格についてご説明させていただきました。

これらの資格は、内部監査とは関係ない人間にも必要なのでしょうか。

結論から先に述べさせていただくと、監査の資格が必要な時代はすぐそこまできています。

では、どのように監査の資格の価値があるのか、2つの側面からみていきましょう。

資格としての価値

資格があることで、将来のキャリアの幅が大きく広がります。

幅広くなるため、ここでは3つほどの例を紹介します。

監査や会計のプロフェッショナルとして

一番頭に浮かぶのは、会計や監査への道ではないでしょうか。

特にCIAを取得することで、公認会計士や簿記といった資格と掛け合わせてキャリアを切り開くことができます。このコラムで記載した監査系3つの資格は、国際的なもののため、日本だけでなく海外への転職も十分考えられるでしょう。

コンサルタントとして

欧米では、コンサルタントが他に負けじとこれらの監査の資格を保持する傾向が増えています。

CIAやCISAを保持することで、近年増加傾向にあるDX化の案件に対応できる人間になることができるのではないでしょうか。戦略コンサルや総合コンサルの線引きが難しくなっている今、この資格の重要性は増しています。

企業内昇進

企業における昇進がしやすくなるのは大きな資格のメリットでしょう。

企業内監査から経営幹部になるだけでなく、海外赴任に適した人材としてアピールすることもできます。

欧米企業では、経営幹部になるための経験として必要な場所だと考えられるようになっています。監査の観点から企業を広く見る経験ができるため、経理部門から経営にちかい部門に進むことができるようになります。

また、企業内昇進として海外赴任を考えることもできます。海外支社を取りまとめるためには、リーダーシップなどのソフトスキルと同時にハードスキルも必要になってくるためです。海外支社を取りまとめた経験が生かせるポジションに、本社に戻ってきたタイミングでつくことができるでしょう。

実務における価値

実務における価値としては、ビジネスに使う知識を学習できると同時に、企業を俯瞰的かつ横断的に把握する力を身につけることができます。

先ほど述べた通り、欧米企業では、内部監査部門は、将来有望な人材が経営幹部になるために経験する部門だと位置付けている企業が多くなってきています。昨今の感染症の社会情勢によって、企業のグローバル化はかなり進み、どの企業でも通用する人材は少なくなってきています。

VUCAの時代の中でいかにして自分の在り方を見つけるのか、その一つの手段としてこれ以上ないのがこの監査の資格です。

実務的価値として財務会計や管理会計だけでなく、ITや経営学といった知識を横断的に自分で使えるようにしなければ、試験に合格することができません。

他の試験と異なり、多くの監査の試験では、明らかな正答がない中で、その状況に応じた正答を求められます。つまり、自分で応用力を身につけることを前提とした知識を習得しなければなりません。

また、監査はどの企業にも欠かせない存在です。

つまり、どの企業にも必要な場所であり、どの企業でも必要な視点がつくということがこのVUCAの時代で自分の武器になることに疑いの余地はありません。

コラム作成者
Liiga編集部
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