キャリアに関する「問」 - Mondから得られた選択の知見 -
2021/11/17
#キャリア戦略概論
#英語力を身につける
#海外大MBAに行く

description 今年度も半分が終わり、来年度以降のキャリアに迷われている方もおられるかと思います。キャリアを考える時、1人で考え込むより、誰かのふとした言葉がヒントになったという経験は、誰もがお持ちではないでしょうか。

そこで本記事では、弊社が先日ローンチした知見共有プラットフォーム「Mond」から、皆様の悩みに寄り添う回答を厳選しました。英語力向上といった具体的な話題から、キャリアの岐路に立った際の考え方、さらには人生を俯瞰するようなテーマまで、興味深い「問」に対し、専門家の皆さんはどのように答えているのでしょうか。ご自身のキャリアを考える参考の1つとしていただけると幸いです。


現状に留まった場合と、違う選択肢を選んだ場合の比較をどのような観点で行うとより後悔を最小化できるでしょうか?

回答
私は後悔するのが嫌いなので、あなたの「後悔を最小化したい」というお気持ちは非常によくわかります。私は判断するときに、「後悔を減らすにはどうしたらいいだろう」とよく考えます。

あなたのご質問を読んだときに最初に感じたのは「現状に留まるか否か」という選択肢を立てるのは果たして適切だろうか、ということでした。「現状に留まるか否か」というのは、自分の行動に対するいわば最後の判断であって、本当に大事な考えるべきポイントは、それ以前にあると感じたのです。

自分はこのような生活をしたい。こんなふうに生きていきたい。こういうものを手に入れたい。自分の環境をこのように変えていきたい。そういう願いが前段階にあって、その上で、その願いを実現する手段として「現状に留まるか否か」を選ぶのではないでしょうか。

これは、へんな理屈を振り回しているわけではありません。「現状に留まるか否か」だけを見ていては十分に考えることができないし、適切な判断ができないし、その結果として後悔することになる可能性が高まると思うのです。

あなたが判断しようとしている「現状に留まるか否か」がどういう種類のものなのかがわからないので何ともいえませんが、たとえば「転職」だと仮定します。その場合には、自分の将来をどのようなものにしたいかを考えることが大事だと思います。給料をアップさせたい、負荷が少ない仕事にしたい、時間の自由がきくようにしたい、自分の能力を試してみたい。そのような願いがあって、その願いを実現できるかどうかで判断をくだすことになるでしょう。

「理屈はそうかもしれないが、どうしても、留まる・留まらないだけを考えてしまう」としたならば、狭い範囲で考えすぎている状態の可能性もあります。「視野狭窄」とでもいうのでしょうか。

論理的に結論が出せないもの、不確定な要因が多いものに関しては、あれこれ考えているうちに「視野狭窄」におちいることはよくあります。誰でもそうです。明確に結論が出ないため、ぐるぐる考えてしまうのです。

また、あなたにとって「減らしたい後悔」とはどういうものかを考えるのも実は大事です。たとえば以前気付いたことですが、私にとっては「失敗」と「後悔」とは違うものです。何かの判断をして、うまくいかなかったとしても後悔するときとしないときがあります。あなたはいかがでしょうか。「視野狭窄」に陥ってしまうと、そういう省察も難しくなりますので、時間をとってゆっくり考えてみるのがいいと思います。
回答者
結城浩(作家)


 

働きながら英語力を伸ばすにあたり、もっともコストパフォーマンスが良い方法は何でしょうか。

現在はプロジェクトで海外の人と会議する必要がありますが、私自身が英語が不得手で、後ほど共有してもらったりとプロジェクトが遅くなる要因になっています。外資系で昇進を考えるとどうしても英語は求められる環境会に居ます。現状は読み書きはgoogle translatorやdeeplを使いながら文字上でのやり取りはできますが、会議中に海外の人とのビジネス的なコミュニケーションができるまで高めたいです。

回答
ただの持論でしかないですが、英語の能力は、英語にふれる時間や回数におおむね比例して伸びていくと思っています。また、コストパフォーマンスといいますが、はたしてそれがいい指標なのか、すこし疑問を感じています。このトピックに関していえば、コストは低くてパフォーマンスも悪いものよりは、多少コストがかかってもパフォーマンスがたかいもののほうが良いと思うからです。コストとパフォーマンスの比ではなく、パフォーマンスの絶対量を考えたほうがいい気がします。

という観点から、質問内容からして2つほどやったほうがいいんじゃないかなと思うことがあります。

1つ目は、Google TranslateやDeepLといった機械翻訳ツールを、今後一切使うのをやめることです。

こうした機械翻訳ツールは近年ずいぶんと性能向上が著しいですが、それでも実用にはほどとおいと思っています。また、「英語力を伸ばしたい」という欲求に対して非常に悪影響があると思っています。読解力や文章力を上げるには、既存のテキストの読み書きの数をこなすのが大事だと思います。外資で仕事をしていたら、仕事でのやりとりはまさに絶好の教科書といえるはずです。その絶好の教材を使うことなく機械翻訳ツールに流し込んでいたら世話ありません。

なので使うのをやめましょう。自力で文章を解読してください。最初は時間がかかりますが、いずれなれて速くなります。あ、もちろん辞書は使っていいというか、使いまくることになると思います。

2つ目は、1:1の英会話教室に通うことです。

わたしは東京で外資系IT企業で働いていたときは、ありがたいことに会社から補助が出ていてベルリッツに通うことができていました。これはかなり英語の能力向上に役に立ったと思います。どこの学校がいいかとかはわからなくなってしまいましたが、あまりだめじゃなさそうなところで、やっていきましょう。外資系にお勤めということで、もし補助が出るなら活用してみてください。なかったら自腹ということになりますが。

英会話教室で大事なのは1:1のやつを選ぶことだと思います。先生と二人なので、とにかく自分でなにか話さないといけないですからね。多対一だとどうしてもサボってしまうのでよくないかなと思います。

上の点にも関係しますが、先生によっては、(よっぽどの機密的な内容でなければ)仕事のメールの内容を先生に見せて、こういう内容だと思ったんで、こういう返事を書こうと思いますといって見せて直してもらうということもしてくれたりします。

ともあれ、この二つがおすすめです。ほかにもアイディアはあるといえばあるんですが、パフォーマンスがよさそうなのはこの2つかなと思います。

どんな手段をとるにせよ、一朝一夕ですぐよくなるみたいなことはないので、腰を据えて頑張ってください。
回答者
Jun Mukai(ソフトウェアエンジニア、プログラマ。元Google。)


 

このVUCA時代において、MBAに行く価値を様々な観点でお聞きしたいです。

現在、外資系コンサルファームで働く28歳です。学生の頃からMBA留学は視野に入れていたのですが、コロナ含めこの変動激しい時代に、高いお金を出して、また1〜2年のキャリアブランクを作ってまで本当にMBAに行くべきか迷っています。(社費留学はないので私費になります) 将来的には起業を目指しており、目指すとしたら欧米のトップ校を考慮しています。

回答
MBAは経済学や物理学の修士課程とは違い、大学時代に学んだ分野が何であろうが経営学の修士レベルの知識は習得できます。また日本企業の社内教育でも学ぶことができます。そういう意味で、経営学の知識を得るのだけが目的だっだらMBA自体にさほど価値があるとは思えません。

しかし欧米でMBAを取ることに、他に3つの目的があると思います。

第1に、英語で討論ができるようになる。これは実は大変な努力が必要です。MBAを取った多くの日本人は、一般会話はできるようになっても英語で討論のできるレベルまでになかなか成長しません。その理由に、欧米のMBAに入っても他の日本人学生同士が集まり、日本語で会話をし、日本語で試験勉強をし、英語で物事を考える努力をしなくて済んでしまうことが多い。

勿論、授業中のケースディスカッションに日本人の学生はすすんで参加することがあまりない。つまり授業中黙っていても、どうにか記述試験だけは上手く行き必要単位をとり、MBAを終了していく日本人学生が多い。に欧米のトップの大学に行けば行くほどその傾向が高い。むしろ日本人学生が行かないトップレベルの大学院に行った方が、日本人学生がいないのでこの「類は友を呼ぶ」の沼にはまらなくて済む。

私の場合は他の日本人学生には会わないように努力をしましたが、他の日本人からは嫌われました。その覚悟が必要です。

第2に、他の外国人(アメリカ人を含めて)とのネットワークを大切にすることです。MBA後の仕事の関係の中で将来横の関係を築いていくのに大切なネットワークになります。

第3に、日本国内ではなかなか経験できない国際的な視野で物事を考えられるようになります。この3つの観察は私の経験に基づいたものです。
回答者
大学教授(早稲田大学・ハワイ大学マノア校兼任教授 国際経営学 小田部 正明)


 

「良い問い」の条件を最初に伺った上で今後質問したいと考えています。

質問の背景として、普段関わりのない教授やプロフェッショナルの方々にテキストコミュニケーションによる1ラリーだけで質問させていただくとなると、いい答えを得るためにはそれ相応のいい問いをする必要があるのではと思いました。 サービス初期ということもありますので、みなさまの考える「良い問い」の条件を最初に伺った上で今後質問したいと考えています。

回答
質問内容によっては,ネットで調べても当たり前のように答えにたどり着ける「自明」な回答しかないものがあると思います。そういう問いより,様々な前提条件によって意見の割れる答えに対して,それぞれの言い分の理由を聞くような問いが良いのではないかと思ったりします。

回答者
ICHIKAWA, Takayuki(エネルギー変換・貯蔵に関係する材料の研究開発を行っている。)
 

回答
誰が答えても回答が同じになり、答えがはっきりしている質問だと、ウェブ検索などで答えを見つけて自己解決できる可能性が高いです。

このサービスでは1つの問に対し、回答者が複数人となる性質がありますので、「回答者によって答えが変わりそう」な問を投稿してみると、色々な意見を得られて良いのではないかと思います。

投稿された質問のように、背景の記述があるのは回答しやすいです。
回答者
岡野真也(株式会社ObotAI 取締役CTO)


 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

立場が異なるアドバイスは、時に自分の人生を彩ってくれること間違いありません。 さまざまな立場の方から回答を得られるMondで、身近な疑問や質問を専門家に送ってみるのはいかがでしょうか。 回答する専門家を指名することも可能です。

詳しくは、こちらのURLをご覧ください。 Mond

コラム作成者
Liiga編集部
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